暗号資産市場週刊レポート(2026年3月26日〜4月1日)

株式会社HashHub
2026/04/02
今週の暗号資産市場は、中東情勢の緊迫化を背景とする原油高と金利再上昇観測が重荷となり、週前半は主要銘柄がそろって下押ししました。一方、月末にかけてはイラン情勢の緩和期待が広がり、原油が乱高下するなかで米株とともに暗号資産にも買い戻しが入りました。3月18日のFOMCは政策金利を3.50〜3.75%で据え置きつつ、「インフレはやや高止まり」「中東情勢の経済への含意は不確実」と明記しており、暗号資産はなおマクロ主導の地合いに置かれています。本稿は4月1日朝時点で確認できる価格・報道を基に整理しています。
価格動向
ビットコイン
ビットコインは3月26日の71,309ドルから週末にかけて下落し、3月30日には65,970ドルまで調整しました。その後は月末のリスク回復で68,159ドル近辺まで持ち直しており、週内レンジはおおむね6.6万〜7.1万ドル、週間では4%台の下落です。原油高とドル高で一度は売られたものの、月末には下値での買い戻しが確認されました。
イーサリアム
イーサリアムは2,168ドルから1,983ドルまで下押ししたのち、足元では2,098ドル前後へ反発しています。下落率はビットコインよりやや小さい一方、投資商品フローではイーサリアムが最も大きい流出となっており、戻りの鈍さにつながりました。2,000ドル近辺は守ったものの、2,100ドル台前半では戻り売りが出やすい印象です。
XRP(リップル)
XRPは1.41ドル近辺から1.32ドルまで軟化し、足元は1.34ドル前後での推移です。価格自体は弱含みでしたが、CoinShares集計の投資商品フローではXRPが数少ない流入超の資産となっており、相対的な下値の安定には一定の需給支援があったとみられます。1.40ドル台の回復にはなお材料不足です。
ドージコイン
ドージコインは0.096ドル近辺から0.090ドル近辺まで下押しし、その後0.092ドル台へ小反発しました。週間では4%弱の下落で、値幅はあるものの、強いアルト物色が広がる局面には至っていません。ビットコインの方向感が鈍るなかで、短期資金が往来する典型的なレンジ相場の色合いが濃い週でした。
ソラナ
ソラナは91.64ドルから81.34ドルまで調整し、主要5銘柄のなかでは最も下落幅が大きくなりました。現在は82ドル台へ戻していますが、週後半の下げが大きく、ハイベータ資産としての弱さが出た形です。投資商品フローでもソラナは流出超となっており、需給面でも追い風は限られました。
テクニカル分析
主要銘柄の支持線と抵抗線を確認すると、ビットコインは66,000ドル前後が初期支持、次が65,000ドル近辺で、上値は68,500〜69,000ドル、その上は71,000ドル台が抵抗です。イーサリアムは2,000ドル前後が支持、2,100〜2,170ドルが戻りの壁。XRPは1.32〜1.33ドルが支持、1.36ドルと1.40〜1.41ドルが抵抗帯です。ドージコインは0.090ドル近辺が支持、0.093〜0.096ドルが上値の目安。ソラナは81〜82ドルが支持、86ドル近辺と91〜92ドルが主要な抵抗として意識されます。
RSI(相対力指数)を直近2週間の終値推移から概算すると、主要銘柄は総じて30台前後まで低下しており、短期的には「売られすぎ寄り」の領域に入っています。
ビットコインとイーサリアムは中立下限から弱気寄り、ドージコインも30台前半、ソラナとXRPはより弱いモメンタムが示唆される水準です。ただし、RSIの低下だけで底打ちを断定する段階ではなく、反発局面で出来高を伴って戻せるかが実務上の焦点になります。
市場に影響を与えたニュース
今週の最大材料は、中東情勢とそれに伴う原油価格の急変です。3月26日時点ではブレント原油が108ドル台に乗せ、株式市場は調整色を強めました。3月27日には停戦懐疑からブレントが112.57ドルまで上昇し、インフレ再加速懸念が一段と強まりました。その後、3月31日にはトランプ大統領のイランからの撤退が極めて近いという終戦観測を受けて6月限ブレントが103.97ドルへ反落し、米株も大きく切り返しています。暗号資産もこの連鎖に強く連動しました。
資金フロー面では、CoinSharesによるとデジタル資産投資商品は5週ぶりに4.14億ドルの流出となりました。内訳ではイーサリアムが2.22億ドル流出と最も重く、ビットコインも1.94億ドルの流出、ソラナも1,230万ドルの流出でした。一方でXRPは1,580万ドルの流入と例外的に底堅さを示しています。加えて、Strategyは3月23日〜29日にビットコインを追加購入せず、保有残高は76万2,099ビットコインのままでした。ここ数カ月の相場で下値支えとして意識されてきた企業トレジャリー需要が、今週は即効性のある買い材料にならなかった点も見逃せません。
マクロ統計では、3月31日公表のJOLTSで2月の求人件数が6.9百万件、採用が4.8百万件となり、採用率は2020年4月以来の低水準でした。景気面では減速シグナルですが、今週は同時に原油高がインフレ懸念を押し上げており、市場は景気減速なら利下げという単純な解釈を取りにくい局面でした。ただし3月31日のパウエル議長の講演では、FRBが原油高でも即時の利上げの判断はしないという株式市場を支援するようなコメントも出しており、長期金利はピークから低下しています。
さらに、本来3月27日に予定されていた2月のPCEは政府閉鎖の影響で4月9日に後ずれしており、今週はFRBが重視するインフレ指標が欠けたまま、原油と地政学ヘッドラインに相場が振られやすい構図でした。
今週以降の見通し
引き続き中東情勢のヘッドラインに振り回される展開が続く見通しです。執筆時点で終戦観測が出ており、このまま終戦に向かえば、このイベントは消化となりますが、実際にそうなるかは不確実性が極めて高い状況と言えます。
その他の短期的な焦点は、4月3日の米雇用統計、4月8日のFOMC議事要旨、そして4月9日に後ずれした2月PCEです。今週はインフレと景気のどちらに市場がより敏感かを測る週になる可能性が高く、暗号資産も引き続き単独材料よりマクロの振れに左右されやすいと考えられます。
ベースシナリオでは、中東情勢がこれ以上悪化せず、雇用統計も極端に強すぎず弱すぎない場合、ビットコインは66,000〜71,000ドルのレンジを維持しつつ下値を固める展開が想定されます。イーサリアムは2,000ドル台の維持、XRPは1.30ドル台前半の保ち合い、ドージコインは0.09ドル台、ソラナは80ドル台前半の安定化が基本線です。テクニカルには売られすぎ修正の余地があり、まずは戻り高値を丁寧に試す相場になりやすいでしょう。
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