暗号資産市場週刊レポート(2026年5月7日〜5月12日)

株式会社HashHub
2026/05/14
今週の暗号資産市場は、米CPIの上振れと米長期金利の上昇、中東情勢をめぐる地政学リスクが上値を抑える一方、暗号資産投資商品への資金流入や米国の規制整備期待が下値を支える展開となりました。ビットコイン(BTC)は8万ドル台を維持したものの、200日移動平均線近辺で上値の重さが確認され、アルトコインは銘柄ごとに強弱が分かれました。米4月CPIは前年同月比3.8%、前月比0.6%と発表され、エネルギー価格の上昇がインフレ再加速の主因となりました。
価格動向
ビットコイン
ビットコインは週初から8.0万〜8.2万ドル台を中心にもみ合いました。5月7日は一時8.17万ドル近辺まで上昇したものの終値ベースでは8.0万ドル近辺に押し戻され、5月10日に8.24万ドル台まで戻した後、5月12日は8.0万ドル台前半へ再び軟化しました。8万ドルの心理的節目では買いが入りやすい一方、8.2万ドル超では利食いとマクロ警戒が強まり、方向感は限定的です。
イーサリアム
イーサリアムは2,300ドル前後での推移が中心でした。5月7日の終値は2,290ドル台、5月10日には2,369ドル台まで反発しましたが、2,400ドル台を維持できず、5月12日は2,280ドル台へ反落しました。現物・機関投資家需要への期待は残るものの、2,400〜2,450ドルの上値抵抗を前に戻り売りが出やすい地合いです。
リップル(XRP)
XRPは1.38〜1.50ドル台のレンジで推移しました。5月7日に1.38ドル台まで下落した後、5月10日には一時1.50ドル台を回復しましたが、上値は定着せず5月12日は1.44ドル前後へ反落しました。ETF関連の資金流入期待は支援材料ですが、1.50ドル近辺の抵抗帯が引き続き意識されています。
ドージコイン
ドージコインは0.10ドル台後半から0.11ドル台前半での値動きとなりました。5月7日に0.107ドル台まで下げた後、5月10日に0.112ドル台まで反発しましたが、週後半は0.11ドル近辺で上値が重くなりました。個人投資家の関心は残っているものの、出来高を伴う明確な上放れには至っていません。
ソラナ
ソラナは主要銘柄の中で相対的に強い値動きとなりました。5月7日の88ドル台から5月12日には一時97ドル台まで上昇し、95ドル前後で高止まりしています。90ドル台前半を維持できるかが短期的な焦点であり、100ドルの心理的節目回復が次のテーマとなります。
テクニカル分析
サポート・レジスタンス水準
ビットコインは8万ドルが目先の支持線で、割り込む場合は7.9万ドル、さらに7.6万ドル台が下値めどとなります。上値では200日EMA近辺の8.21万ドル、次いで8.34万〜8.44万ドルが抵抗帯です。日足RSIは60台前半で、過熱感は強くないものの、上値追いには新規材料が必要な水準です。
イーサリアムは2,200ドルが重要な支持線で、ここを明確に下回ると2,000ドルの心理的節目が意識されます。上値は2,400〜2,450ドル、次は2,600ドルが抵抗帯です。RSIには弱気ダイバージェンスが見られ、価格が高値圏を試してもモメンタムが追随しにくい点には注意が必要です。
XRPは1.44ドル近辺、次いで50日EMA付近の1.41ドルが支持線です。下抜けた場合は1.33ドル近辺まで調整余地が広がります。抵抗線は1.50ドル、次が200日EMA付近の1.71ドルです。RSIは50台後半で中立からやや強めですが、1.50ドルを終値で突破できるかが焦点です。
ドージコインは0.105〜0.102ドルが支持帯、0.116ドル近辺が短期抵抗線です。0.116ドルを上抜ければ0.123ドル近辺の200日EMAが次の上値めどとなります。RSIは50台後半で中立圏にあり、過熱よりもレンジ継続の色合いが強いと見ています。
ソラナは93〜94ドル、次いで88〜90ドルが支持帯です。上値は96〜97ドル、100ドル、さらに111ドル台が抵抗帯となります。RSIは60台後半まで上昇しており、主要銘柄の中では相対的に強い一方、短期的には過熱感に近づきつつあります。
市場に影響を与えたニュース
先週は米4月CPIが発表されました。総合CPIは前年同月比3.8%、前月比0.6%、コアCPIは前年同月比2.8%、前月比0.4%となり、エネルギー指数は前年同月比17.9%、ガソリンは28.4%上昇しました。これにより、FRBの利下げ期待は後退し、米国債利回りとドルが上昇しやすい環境となりました。暗号資産は金利を生まないリスク資産として金利上昇に弱く、CPI発表後は上値の重さが目立ちました。
需給面では、暗号資産投資商品への資金流入が相場を下支えしました。CoinSharesの集計として、前週のデジタル資産投資商品には約8.58億ドルの純流入があり、ビットコインに約7.06億ドル、イーサリアムに約7,710万ドル、ソラナに約4,760万ドル、XRPに約3,960万ドルが流入したと報じられました。短期的なマクロ逆風がある中でも、機関投資家の買い需要が市場の下値を支えている構図です。
規制面では、米上院銀行委員会で暗号資産市場構造を巡るCLARITY法案の審議が注目されました。同法案は、ステーブルコイン報酬、AML、DeFi、トークン化証券などを含む包括的な枠組みを示すものとされ、成立すれば米国の暗号資産市場に一定の規制明確化をもたらす可能性があります。長く調整されたこの法案がようやく可決されそうなところですが、一方、銀行業界や一部議員との調整はわずかに残っており、期待先行の買いと失望リスクが併存しています。
今週以降の見通し
ベースシナリオでは、ビットコインが8万ドルを維持しながら、8.2万〜8.4万ドルの上値抵抗を試す展開を想定します。CPIを受けた金利上昇が一巡し、ETF・投資商品への資金流入が継続すれば、下値では押し目買いが入りやすいでしょう。歴史的にビットコインと相関係数が高いNASDAQ株価指数が高値を更新していることもあり、心理的には高値ブレイクをトライしにいく可能性のほうが高いでしょう。ただし、8.4万ドル台を明確に突破するには、米金利の低下、規制面の進展、または株式市場のリスク選好回復が必要と見ています。
強気シナリオでは、CLARITY Actを巡る審議が市場に前向きに受け止められ、機関投資家フローが継続するケースを想定します。この場合、ビットコインは8.4万ドル台を上抜け、イーサリアムは2,400ドル台回復、ソラナは100ドル突破を試す展開となります。XRPは1.50ドル台定着、ドージコインは0.116ドル超えが確認できれば、アルトコイン物色が広がる可能性があります。
一方、弱気シナリオでは、米インフレ再加速を受けてFRBの高金利長期化観測が強まり、米長期金利とドルが一段高となるケースが挙げられます。この場合、ビットコインは8万ドルを割り込み、7.8万〜7.6万ドル台の支持帯を試す可能性があります。
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