暗号資産市場週刊レポート(2026年6月3日〜6月10日)

暗号資産市場週刊レポート(2026年6月3日〜6月10日)

株式会社HashHub

2026/06/11

今週の暗号資産市場は、米雇用統計の上振れ、米金利高止まり観測、地政学リスク、ETFからの資金流出が重なり、リスク資産全般に売りが広がる展開となりました。ビットコインは一時6万ドル近辺まで下落し、アルトコインもビットコイン以上に下げが大きく、月曜日にかけては短期的な買い戻しが入ったものの、戻りの鈍さが目立ちました。Farside Investorsのデータでは、米国スポットビットコイン ETFは63日に約3.97億ドル、65日に約3.26億ドル、68日に約0.91億ドルの純流出となり、需給面の重しとなりました。

価格動向

ビットコイン

ビットコインは6.6万ドル台から売りに押され、65日には一時5.9万ドル台まで下落しました。その後は6.3万ドル前後まで反発したものの、69日時点では6.1万〜6.3万ドル台で上値の重い推移となっています。執筆時点では、6万ドル台ですが、ストラテジー社が購入しており、短期的には下落トレンド内の自律反発にとどまる形です。

イーサリアム

イーサリアムはビットコイン以上に弱く、2,000ドル台を明確に割り込んだ後、1,5001,700ドル台で値固めを試す展開となりました。63日は1,829ドル台で引けましたが、65日には1,581ドル台まで下落し、67日に1,690ドル台へ反発しました。ただ、69日時点では再び1,600ドル台半ばまで押し戻されており、戻り売り圧力は残っています。

リップル

XRP(リップル)は1.20ドル台から1.10ドル台前半へ下落しました。63日の終値は1.2123ドルでしたが、65日には1.0959ドルまで下落し、67日から8日にかけて1.151.17ドル台へ反発しました。週を通じてみれば下値模索の流れであり、1.20ドル台回復には市場全体のセンチメント改善が必要です。

ドージコイン

ドージコインはアルトコインのなかでも売りに押され、0.09ドル台前半から0.08ドル台前半へ水準を切り下げました。63日の終値は0.092421ドル、65日は0.081383ドルまで下落し、その後0.086ドル台へ戻す場面もありました。ミーム銘柄特有の短期反発は見られるものの、資金流入が細る局面ではビットコインやイーサリアム以上にボラティリティが高まりやすい状況です。

ソラナ(SOL)

ソラナは80ドル近辺から急速に水準を切り下げ、週中には60ドル台前半まで下落しました。63日の終値は72.302ドル、65日は63.582ドル、68日は66.812ドルとなっており、週後半は反発したものの、70ドル台の回復には至っていません。ETF関連の期待が残る一方、リスクオフ局面では機関投資家フローの逆回転が重くなりやすい展開です。

テクニカル分析

サポート・レジスタンス水準

ビットコインは6.0万ドル前後が当面の重要支持線です。ここを明確に割り込む場合、5.8万ドル、次に5.5万ドル台が視野に入ります。一方、上値は6.4万ドル、次に6.6万〜6.7万ドルが抵抗帯となります。6.4万ドル台を回復できなければ、反発局面でも戻り売りが優勢になりやすいでしょう。

イーサリアムは1,5001,550ドルが主要支持線、1,7001,750ドルが短期抵抗線です。1,500ドルを割り込むと心理的節目の1,400ドル台前半まで下値余地が広がります。XRP1.10ドル近辺、次に1.05ドルが支持線、抵抗線は1.181.22ドル。ドージコインは0.08ドル近辺が支持線、0.09ドル台前半が抵抗線。ソラナは6062ドル、次に55ドル前後が支持帯で、上値は6872ドル、さらに7680ドルが戻り売りの目安となります。

RSI(相対力指数)の分析

RSIは主要銘柄で総じて低水準にあります。RSI Hunter69日時点データでは、ビットコインが30.99、イーサリアムが32.59XRP31.69、ソラナが31.71、ドージコインが38.34となっており、多くの銘柄が「売られ過ぎ」に近い支持ゾーンに入っています。一般にRSI70以上で過熱、30以下で売られ過ぎとされますが、下落トレンドでは30台前半に長くとどまることもあります。したがって、現状は短期反発の余地を示す一方、トレンド転換を確認するには価格が抵抗線を出来高を伴って上抜ける必要があります。

市場に影響を与えたニュース

今週は、米雇用統計の強さと、それに伴う利下げ期待の後退でした。5月の米非農業部門雇用者数は17.2万人増と市場予想を上回り、失業率は4.3%で安定していました。これを受け、暗号資産市場では早期利下げによる流動性回復という見方が後退し、ビットコインは6.2万ドル近辺で軟調に推移しました。

また本連載ではここ数週間指摘している通り、ストラテジー社は配当支払い優先株でビットコインを購入するレバレッジポジションを構築しています。同社のポジションが意識され、上値を重くしている他、ビットコインはより金利敏感になっている可能性があります。

金融政策面では、FRB議事要旨で、インフレが2%目標を上回るなか、中東情勢やエネルギー価格の影響により政策スタンスを長めに維持する可能性が示されました。金利高止まりは、配当や利息を生まない暗号資産にとって相対的な逆風です。金利先物市場では、年内利下げ期待はなくなり、年内1回の利上げを織り込み始めています。

需給面では、ETFからの資金流出が引き続き相場の重しとなりました。Galaxy Researchは、米国スポットビットコイン ETFが13営業日連続で流出し、その間の流出額が約43.3億ドルに達したと指摘しています。また、中東情勢をめぐる不透明感、エネルギー価格、米国株の調整もリスク資産全体の重しとなりました。

今週以降の見通し

ベースシナリオでは、ビットコインは6.0万〜6.4万ドルを中心とした荒いレンジ推移を想定します。ETF流出が鈍化し、米金利の上昇が一服すれば、売られ過ぎ感から6.4万ドル台回復を試す展開が考えられます。ただし、イーサリアムやソラナなどアルトコインはビットコインよりも需給が薄く、反発局面でも戻り売りが出やすいでしょう。

強気シナリオでは、米インフレ指標が落ち着き、FRBの追加引き締め観測が後退することでリスク選好が回復するケースです。この場合、ビットコインは6.6万〜6.7万ドル台を試し、イーサリアムは1,750ドル台、ソラナは7276ドルの抵抗帯を再び意識する展開が想定されます。RSI30近辺まで低下しているため、ショートカバーが入れば値幅を伴う反発もあり得ます。

一方、弱気シナリオでは、米金利上昇、ETF流出継続、中東情勢の再緊張が重なり、ビットコインが6.0万ドルを明確に割り込む展開です。この場合、イーサリアムは1,500ドル割れ、ソラナは60ドル割れ、ドージコインやXRPも年初来安値圏を再度試す可能性があります。

RSI面では短期反発の準備は整いつつありますが、資金流入を伴わない反発は持続しにくく、上値を追うにはまず6.4万ドル台の明確な回復が必要です。現時点では、強い上昇トレンド再開というよりも、急落後の値固め局面として慎重に見ておきたいところです。

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