暗号資産市場週刊レポート(2026年6月25日〜7月1日)

株式会社HashHub
2026/07/02
今週の暗号資産市場は、米インフレ指標の高止まり、FRB の利上げ観測、米スポット ETF からの資金流出、さらに Strategy のビットコイン売却可能性を巡る警戒感が重なり、主要銘柄は総じて上値の重い展開となりました。米 5 月 PCE 価格指数は前年比 4.1%、コア PCE は 3.4%と高止まりし、暗号資産のような金利感応度の高いリスク資産には逆風となりました。
価格動向
ビットコイン
ビットコインは 6 万ドルを挟んだ攻防が続きました。6 月 25 日の米市場引け時点では 59,413 ドル前後まで下落し、同日朝方には 58,000 ドル割れを試す場面もありました。6 月 30 日時点でも 58,700 ドル台で推移しており、日中高値 60,458 ドルに対して上値を維持できず、60,000 ドルが明確な戻り売りの節目として意識されています。
イーサリアム
イーサリアムは 1,500 ドル台半ばでの値固めが続いています。6 月 25 日時点では 1,559 ドル前後まで下落し、その後も 1,550〜1,620 ドル台の狭いレンジで推移しました。ビットコインと比べて大きく崩れてはいないものの、2,000 ドル回復をうかがうには材料不足で、ETF フローやネットワーク関連の買い材料よりも、マクロ環境の重さが上回っている印象です。
XRP(リップル)
XRP は 1.0 ドル台前半で下値を探る展開でした。6 月 25 日時点では 1.03 ドル前後、6 月 30 日時点でも 1.04 ドル近辺で推移しており、1.00 ドルの心理的節目を維持できるかが焦点です。リップル関連では日本での RLUSD 展開など個別材料も見られますが、足元では市場全体のリスク回避に押され、上値は 1.07〜1.10 ドル近辺で抑えられています。
ドージコイン
ドージコインは 0.07 ドル台前半まで水準を切り下げました。6 月 30 日時点では 0.072 ドル前後で、日中高値 0.074 ドル近辺から押し戻されています。ミーム銘柄は短期資金の回転が入りやすい一方、現在のように ETF 流出や金利上昇観測が市場全体の流動性を抑える局面では、買いが持続しにくい状況です。
ソラナ
ソラナは主要銘柄のなかでは相対的に底堅い動きとなりました。6 月 25 日には 66 ドル台まで下落しましたが、6 月 30 日時点では 73 ドル台まで戻しており、短期的には 70 ドル台の定着を試す展開です。もっとも、75〜76 ドル台では戻り売りも出やすく、80 ドル台回復には市場全体のセンチメント改善が必要です。
テクニカル分析
主要銘柄の支持線と抵抗線
ビットコインは 58,000〜58,200 ドル近辺が直近の重要支持線です。ここを明確に割り込む場合、55,000 ドル、さらに 54,000 ドル近辺まで下値余地が広がります。一方、上値は 60,000 ドル、次に 62,000〜64,000 ドルが抵抗帯です。60,000 ドルを終値ベースで回復できなければ、反発局面でも戻り売りが優勢になりやすいでしょう。
イーサリアムは 1,550 ドル近辺、次に 1,500 ドルが支持線です。抵抗線は 1,620 ドル、次に 1,700〜1,750 ドルです。XRP は 1.03 ドル近辺、次に 1.00 ドルが支持線、抵抗線は 1.07〜1.10 ドル。ドージコインは 0.070 ドル近辺、次に 0.068 ドルが支持線、上値は 0.074〜0.080 ドルが戻り売りの目安です。ソラナは 70〜72 ドル、次に 66 ドル近辺が支持帯で、抵抗線は 75〜76 ドル、次に 80 ドルです。
RSI(相対力指数)の分析
日足ベースの RSI は、主要銘柄で中立圏の下側から売られ過ぎ圏に近い水準にあるとみられます。ビットコインは 30 台後半〜40 近辺で、売られ過ぎ感は出始めているものの、RSI が 50 を回復するまではトレンド転換の確認には至りません。イーサリアム、XRP、ドージコインも同様に、反発余地はある一方、戻り売り圧力が強い地合いです。
相対的に強いのはソラナです。70 ドル台を回復したことで RSI も中立圏へ戻りつつあると考えられますが、75〜80 ドルの抵抗帯を出来高を伴って上抜けるまでは、下落トレンド内の自律反発という整理が妥当です。全体としては、RSI 面では短期反発の余地がある一方、資金流入を伴う上昇トレンド再開にはなお確認が必要です。
市場に影響を与えたニュース
今週は、米インフレ指標と FRB の政策見通しに焦点が集まりました。FRB は 6 月 17 日の FOMC で政策金利を 3.50〜3.75%に据え置きましたが、その後もインフレ高止まりへの警戒は強く、6 月 30 日にはクリーブランド連銀のハマック総裁が、インフレが鈍化しなければ利上げを支持する可能性に言及しました。金利上昇観測は、利息を生まない暗号資産にとって相対的な逆風です。
需給面では ETF からの資金流出が相場の重しとなりました。報道によれば、6 月 25 日には米スポットビットコイン ETF から 4.69 億ドルの流出があり、ETF は 7 週連続の流出に向かっているとされました。米国の個人・機関投資家の需要が細るなか、ビットコインは 60,000 ドルを回復しても買いが続きにくい状況です。
また、世界最大のビットコイントレジャリー企業のStrategyが優先株の配当、債務利払い、自社株買い、現金準備などを目的に最大 12.5 億ドル相当のビットコイン売却可能性があることを発表しました。同社は実質的にレバレッジをかけてビットコインに投資をしており、現在は含み損の状態にあります。この発表後、同社の財務構造の懸念後退によりビットコインが一時上昇しましたが、その後は下落しています。これまで同社は下落局面の買い手として見られてきましたが、売却可能性が話題になること自体が、トレジャリー企業による需給下支えへの見方を弱めています。ビットコインの最大の構造的買い手であった同社が構造的売り手になろうとしており、同社の売却を意識した値動きは市場で長く続く可能性があります。
今週以降の見通し
今週は雇用統計に注目が集まります。前回の発表の数値が強かったこともあり、今回も強い場合は利上げを後押しする材料として意識がされやすいと言えます。
ベースシナリオでは、ビットコインは 58,000〜60,000 ドル台前半を中心とした荒いレンジ推移を想定します。ETF 流出が鈍化し、米金利上昇観測が一服すれば、売られ過ぎ感から 62,000 ドル台を試す展開はあり得ます。ただし、60,000 ドルの上にショートポジションが集まりやすいとの指摘もあり、同水準を明確に上抜けるまでは上値追いには慎重さが必要です。
強気シナリオでは、米インフレ指標への警戒が後退し、FRB 高官発言も追加利上げに慎重なトーンへ傾くケースです。この場合、ビットコインは 62,000〜64,000 ドル、イーサリアムは 1,700 ドル台、ソラナは 80 ドル近辺の回復が視野に入ります。XRP は 1.10 ドル台、ドージコインは 0.08 ドル台を回復できるかが、アルトコイン物色再開の目安となります。
一方、弱気シナリオでは、米金利上昇、ETF 流出継続、Strategy 関連の需給不安、中東情勢の再緊張が重なり、ビットコインが 58,000 ドルを明確に割り込む展開です。この場合、55,000 ドル台までの下落を想定する必要があり、イーサリアムは 1,500 ドル割れ、ソラナは 66〜70 ドルの支持帯再テスト、XRP とドージコインも年初来安値圏を再度意識する展開となるでしょう。
現時点では、暗号資産市場は「急落後の値固め」と「追加下落リスク」が併存する局面です。RSI 面では短期反発の準備が整いつつありますが、ETF フローと米金利環境が改善しなければ、反発は自律的な買い戻しにとどまりやすいでしょう。今週以降は、ビットコインの 60,000 ドル回復と、ETF 資金流出の鈍化が最初の確認ポイントになります。
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