暗号資産市場週刊レポート(2026年7月2日〜7月8日)

株式会社HashHub
2026/07/09
今週の暗号資産市場は、6月末にかけて強まったリスク回避の巻き戻しが入り、主要銘柄は総じて反発しました。ビットコインは一時58,000ドル台まで下落した後、米金融政策を巡る警戒感の後退、ETFフローの一部改善、ショートカバーを背景に63,000〜64,000ドル近辺まで戻しました。一方で、戻り局面でも現物需要やETF資金流入の継続性にはなお不透明感があり、上値では利益確定売りも出やすい地合いです。
価格動向
ビットコイン
ビットコインは7月2日に61,000ドル台を回復し、週後半には63,000ドル台まで上昇しました。6月末には58,200ドル付近まで売られていたため、短期的には下落分を取り戻す動きとなりましたが、7月7日には64,500ドル近辺から伸び悩み、戻りの持続力が試される展開です。足元の価格は64,000ドル前後で、心理的節目である60,000ドルを維持したことが安心感につながりました。
イーサリアム
イーサリアムはビットコインを上回る反発となりました。7月4日時点で1,790ドル台まで上昇し、7月8日時点でも1,800ドル前後で推移しています。CoinGeckoでは直近7日間で約15%上昇しており、BTCよりも強い値動きが確認されました。イーサリアム ETFへの資金流入が一部戻ったことも下支え要因ですが、2,000ドル台を明確に回復するには、ネットワーク利用や機関投資家フローのさらなる改善が必要です。
XRP(リップル)
XRPは週中に相対的な強さを見せました。7月4日には1.18ドル近辺まで上昇し、週間では約10%の上昇となりました。その後は1.13ドル前後で推移しており、上値追いには出来高の増加が必要な局面です。XRPは規制面の不透明感が後退する局面では買われやすい一方、1.10〜1.15ドル台では戻り売りも出やすく、レンジ内での値動きが続いています。
ドージコイン
ドージコインは0.075ドル前後で推移し、主要銘柄の中では戻りの鈍さが目立ちました。短期のリスク選好が改善しても、ミームコイン全般への資金流入は限定的で、ビットコインやイーサリアム、ソラナと比べると物色の優先度は低い印象です。足元では0.07ドル台半ばを維持できるかが焦点で、0.08ドル台を明確に回復するには市場全体のリスク許容度のさらなる改善が必要です。
ソラナ
ソラナは週を通じて相対的に堅調でした。7月4日時点で82ドル台を維持し、週間では13%超の上昇となったと報じられています。7月8日時点でも82ドル前後で推移しており、主要アルトコインの中ではイーサリアムと並んで買い戻しが入りやすい銘柄でした。高速チェーンとしての利用期待や、相場回復時にベータが高まりやすい性質が、反発局面での優位性につながったとみられます。
テクニカル分析
主要銘柄の支持線と抵抗線
ビットコインは60,000ドルが引き続き重要な支持線です。短期では62,000ドル前後、次に60,000ドル、下抜けた場合は58,000ドル台が意識されます。上値は64,500ドル、次いで66,000ドル台が抵抗帯です。64,500ドルを終値ベースで上抜けることができれば、ショートカバー主導から実需買いを伴う上昇に移行できるかが焦点となります。
イーサリアムは1,750〜1,780ドルが短期支持線、1,700ドル近辺が次の下値メドです。上値は1,830ドル、次に1,900ドルが抵抗線です。1,800ドル台で値固めできれば、2,000ドル回復を試す展開も視野に入ります。
XRPは1.10ドル前後が支持線、1.00〜1.04ドルが下値の重要帯です。上値は1.15ドル、次に1.20ドル近辺が抵抗線です。ドージコインは0.073〜0.075ドルが支持線、0.080ドル近辺が抵抗線です。ソラナは80ドル前後が短期支持線、78ドル前後が次の押し目候補で、上値は83〜85ドル、次に90ドルが意識されます。
RSI(相対力指数)の分析
RSIは一般的に70超で買われすぎ、30未満で売られすぎとみなされるモメンタム指標です。足元の14日RSIは、ビットコインが59台、イーサリアムが58台、XRPが45台、ドージコインが45台、ソラナが56台となっています。ビットコイン、イーサリアム、ソラナは50を上回り、短期モメンタムは改善していますが、70を大きく上回る過熱圏ではありません。一方、XRPとドージコインは中立圏にとどまり、戻りの勢いは相対的に限定的です。
市場に影響を与えたニュース
今週の第一の材料は、米金融政策を巡る見方の変化です。FRBのウォーシュ議長がインフレリスクの低下に言及したことや、米雇用統計が市場予想を下回ったことにより、年内の追加利上げ観測が後退し、リスク資産全般に買い戻しが入りやすくなりました。暗号資産は6月に大きく売られていたこともあり、ショートカバーを伴って反発しました。
需給面では、米国の現物ビットコインETFに7月2日、2.217億ドルの純流入があり、10日連続の資金流出が止まりました。さらに7月6日にもビットコイン ETFへ2.6569億ドル、イーサリアム ETFへ2,066万ドルの純流入が確認され、短期的な安心材料となりました。ただし、週次ではなお流出超であり、ETFフローが完全に改善したと判断するには時期尚早です。CitiもETFフローの悪化や米国の暗号資産法制の進展鈍化を理由に、ビットコインとイーサリアムの12カ月予想を引き下げています。
第二に、Strategyが3,588ビットコインを売却したことは市場心理を冷やしました。同社は世界最大のビットコイン保有トレジャリー企業でありますが、実態としては配当支払いによるレバレッジの構造になっており、逆回転のリスクがあることは本連載でも指摘をしてきました。そして、今回実際に、約2.15億ドル相当のビットコインを売却しました。これにより大口保有企業が今後も流動性確保のために売却を続けるのではないかとの警戒が広がるものの、この売却によって、同社は約1年半分の配当支払いを確保しました。今後ビットコインの買い増しをしない限り、1年半の配当余力を備えていることから、市場は本格的な逆回転リスクを一旦後退させませた。
また米国政府はビットコイン準備金の制度化について作業中であることを改めてコメントをしました。このテーマもまだ顕在化していないものの、続いていると判断できます。
今週以降の見通し
ベースシナリオでは、ビットコインは60,000〜66,000ドルのレンジで値固めを進める展開を想定します。60,000ドルを維持する限り、6月末の急落局面はいったん消化されたとの見方が優勢になりやすく、イーサリアムやソラナなど相対的に強いアルトコインにも押し目買いが入りやすいでしょう。ただし、今回の上昇はショートカバーの側面が強く、現物需要とETFフローの継続確認が必要です。
強気シナリオでは、ビットコインが64,500ドルを明確に上抜け、66,000ドル台を回復する展開です。この場合、イーサリアムは1,900ドル、ソラナは85〜90ドルを試す可能性があります。ETFへの純流入が連日続き、米長期金利が低下基調を強めれば、リスク資産としての暗号資産には追い風となります。Strategy社のリスクが若干後退していることもポジティブな要因です。
弱気シナリオでは、ビットコインが60,000ドルを割り込み、58,000ドル台を再び試す展開です。Strategyを含むデジタル資産保有企業の売却懸念、ETFからの再流出、AI関連株への資金シフトが重なる場合、暗号資産市場は再び下値を探る可能性があります。特にドージコインや流動性の低いアルトコインは、ビットコインの下落時に値幅が大きくなりやすいため注意が必要です。
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