暗号資産市場週刊レポート(2026年7月9日〜7月15日)

株式会社HashHub
2026/07/16
今週の暗号資産市場は、中東情勢の緊迫化と米国の金融政策を巡る思惑に振らされながらも、水曜日に持ち直す展開となりました。米国とイランの対立再燃を受けて原油価格が上昇し、インフレ再加速への警戒から一時リスク回避姿勢が強まりました。一方、7月14日に公表された米6月消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測が後退し、ビットコインを中心に買い戻しが入りました。
相場全体ではビットコインの底堅さが目立ったほか、イーサリアムも週末にかけて上値を伸ばしました。ただし、XRP、ドージコイン、ソラナなどの主要アルトコインは方向感に乏しく、銘柄ごとの強弱が表れています。
価格動向
ビットコイン
ビットコインは、週初に6.2万ドル前後で推移した後、7月10日にかけて6.44万ドル近辺まで上昇しました。しかし、米国とイランの緊張再燃や原油高を受けてリスク資産全般に売りが広がり、13日には6.18万ドル付近まで下落しました。
その後、米CPIの下振れを受けて米長期金利とドルが低下すると、ビットコインは6.4万ドル台を回復しました。週間ではおおむね6.16万〜6.47万ドルのレンジとなり、地政学リスクに対して一定の耐性を示した格好です。もっとも、6万〜7万ドルの価格帯での持ち合いは長期化しており、明確な上昇トレンドへの転換には6.5万ドル台の定着が必要です。
イーサリアム
イーサリアムは週前半に1,730ドル前後まで下押しした後、ビットコインの上昇に連動して1,790ドル付近まで反発しました。13日のリスク回避局面では1,770ドル近辺まで調整したものの、CPI発表後は買い戻しが加速し、15日時点では1,850〜1,870ドル近辺まで水準を切り上げています。
週間ではビットコインを上回る場面もみられましたが、中期的には安値・高値を切り下げる構造から完全には脱していません。1,850〜1,900ドルは戻り売りが出やすい価格帯であり、この水準を日足終値で明確に上回れるかが焦点となります。
XRP(リップル)
XRPは1.05〜1.11ドルを中心とした狭いレンジで推移しました。週初は1.09ドル前後で底堅さをみせましたが、地政学リスクの高まりを受けて1.06ドル台まで下落。その後は市場全体の反発に伴い1.10ドル近辺を回復しています。
XRPを巡っては米国の暗号資産市場構造法案への期待が根強い一方、材料を先取りした個人投資家の強気姿勢も観測されています。価格が伸び悩む中で強気センチメントだけが高まる状況は、短期的には逆指標となる可能性にも注意が必要です。
ドージコイン
ドージコインは0.071〜0.075ドル付近で方向感に乏しい展開となりました。週前半には0.075ドル台まで上昇する場面があったものの、出来高を伴う上抜けには至らず、週央には0.072ドル近辺まで反落しました。
CPI発表後は0.074ドル前後まで持ち直していますが、ミームコイン全体への投機需要は限定的です。ビットコインがレンジを上放れし、アルトコインへの資金循環が明確になるまでは、短期売買中心の値動きが続くとみられます。
ソラナ
ソラナは週初に77〜79ドルで推移し、一時80ドル突破を試しましたが、上値を維持できませんでした。13日には74ドル台後半まで下落した後、15日にかけて77ドル前後まで回復しています。
ネットワーク利用や取引活動は底堅いものの、価格面ではビットコインやイーサリアムに対してやや出遅れています。80ドル付近には売り圧力が集中しており、この水準を明確に上回るまでは73〜80ドルを中心としたレンジ相場が想定されます。
テクニカル分析
主要銘柄の支持線と抵抗線
ビットコイン:支持は6.13万〜6.16万ドル、次いで心理的節目の6万ドル。抵抗は6.44万〜6.52万ドルで、上抜けた場合は6月高値付近の6.72万ドルが次の目標となります。
イーサリアム:支持は1,750ドル、次いで1,700〜1,720ドル。抵抗は1,850〜1,900ドルで、突破後は2,000ドルが意識されます。
XRP:支持は1.04ドルおよび1.00ドル。抵抗は1.12ドルで、その上は1.20ドルが重要な節目となります。
ドージコイン:支持は0.070〜0.072ドル、次は0.067ドル台。抵抗は0.075〜0.077ドルで、0.08ドル超えには出来高の増加が必要です。
ソラナ:支持は73〜75ドル、次いで70ドル。抵抗は79〜80ドルで、上抜けた場合は85ドル付近が次の上値目標です。
RSI(相対力指数)
日足RSIは主要銘柄の多くで中立圏にあります。
ビットコインは50前後からやや上向いており、短期モメンタムは改善しています。ただし、6.5万ドル近辺では上値が抑えられており、強い上昇トレンドを示す水準には達していません。
イーサリアムは50台後半から60前後と、主要銘柄の中では比較的強い状態です。1,900ドルを短期間で上抜けた場合はRSIが70に接近し、短期的な過熱感が意識される可能性があります。
XRPとドージコインはおおむね40台後半から50近辺で、方向感は限定的です。ソラナも中立圏にありますが、80ドルを超えられない状況が続いており、相対的なモメンタムはやや弱めです。なお、RSIは時間軸や取引所によって数値が異なるため、出来高や移動平均線と併用する必要があります。
市場に影響を与えたニュース
今週の最大の変動要因は、米国とイランを巡る地政学リスクでした。ホルムズ海峡を巡る対立や軍事行動への警戒から原油価格が上昇し、インフレ再加速とFRBの利上げ観測が強まりました。これを受けて13日には暗号資産市場で約2.83億ドルのポジションが清算され、その大半をロングポジションが占めました。
一方、14日に発表された米6月CPIは前月比0.4%低下、前年同月比3.5%上昇となり、5月の4.2%から大幅に鈍化しました。食品とエネルギーを除くコアCPIも前年同月比2.6%まで低下しました。市場では7月の利上げ確率が大きく低下し、米金利とドルの下落を通じてテクノロジー株などが上昇、暗号資産の買い戻しにもつながりました。
需給面では、暗号資産投資商品への資金フローに改善の兆しがみられます。ビットコインETFは直近8週間で約80億ドルの資金流出を記録したものの、7月に入って複数日にわたり純流入が確認されました。ただし、日ごとの流入・流出は依然として不安定であり、機関投資家による継続的な買い需要が回復したと判断するには時期尚早です。
規制面では、米上院で暗号資産市場構造を定めるCLARITY法案の新たな調整案が公表されるとの観測が浮上しました。法案成立までには超党派の合意形成が必要ですが、SECとCFTCの監督範囲が明確になれば、XRPを含むアルトコインや暗号資産関連企業の中長期的な評価改善につながる可能性があります。
今週以降の見通し
ベースシナリオでは、ビットコインが6.1万〜6.7万ドル、イーサリアムが1,700〜1,950ドルを中心としたレンジを継続すると想定します。CPIの下振れは市場心理を改善させましたが、エネルギー価格が再び上昇すれば、インフレ懸念が再燃する可能性があります。
強気シナリオでは、FRBのウォーシュ議長が議会証言で利上げに慎重な姿勢を示し、ETFへの資金流入が続くケースが考えられます。ビットコインが6.5万ドル台に定着すれば6.72万ドルを目指す展開が期待されます。
一方、弱気シナリオでは、中東情勢の悪化による原油高や、FRBがインフレ警戒姿勢を維持するケースを想定します。ビットコインが6.13万ドルを割り込むと6万ドル付近まで下落する可能性は依然ありますが、6万ドルを割り込む場面があっても、その都度回復しており下値は固くなりつつあるようです。
今後は7月15日のFRB議長による議会証言に加え、7月28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が最大の焦点です。短期的にはCPIを受けた買い戻しが続く余地があるものの、ビットコインが6.6万ドルを明確に上回るまでは、レンジ上限での利食いと地政学リスクへの警戒を維持する必要があります。
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