暗号資産市場週刊レポート(2026年8月6日〜8月12日)

株式会社HashHub
2026/08/13
今週の暗号資産市場は、米雇用統計の下振れを受けて一時リスク選好が改善したものの、週後半にかけては米7月CPIの公表を控え、利益確定売りとポジション調整が優勢となりました。ビットコインは6.5万ドル台で上値を抑えられ、8月12日早朝には6.3万ドル台へ反落しています。
一方、米国のビットコイン・イーサリアム現物ETFへの資金流入は下値を支える材料となりました。8月10日時点で両ETFには直近1週間で合計約11億ドルの純流入が確認され、機関投資家の需要は一定程度維持されています。ただし、米金融政策を巡る不透明感や中東情勢を背景とした原油価格の変動もあり、市場全体としては方向感を探る展開となっています。
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価格動向
ビットコイン
ビットコインは8月6日に6.46万ドル前後で推移した後、米雇用統計を受けた金利上昇懸念の後退などから買いが入り、週末から10日にかけて6.5万ドル台を回復しました。しかし、6.5万〜6.6万ドル近辺では戻り売りが強く、CPI発表を前にポジション調整が進んだことで、11日から12日早朝にかけて6.35万〜6.4万ドル付近へ反落しました。
ETFへの資金流入という需給面の支えがある一方、6.5万ドル台を明確に上抜けられておらず、短期的にはレンジ相場の色彩が強まっています。
イーサリアム
イーサリアムは週初に1,900ドル前後で推移し、8日には1,915ドル付近まで上昇しました。ビットコインと比較すると週を通じた値動きは底堅く、直近7日では小幅ながらプラス圏を維持しています。もっとも、11日には市場全体のリスク回避から1,870ドル台まで押し戻され、1,900ドルを挟んだ攻防が続いています。
XRP(リップル)
XRPは主要銘柄の中で相対的に弱い値動きとなりました。足元では1.02ドル前後で推移しており、直近7日では約5%下落しています。心理的節目となる1ドルに接近しており、この水準を維持できるかが短期的な焦点です。
ドージコイン
ドージコインは0.07ドル前後での持ち合いが続きましたが、週後半には反発し、8月12日早朝時点で0.072ドル前後まで回復しました。週間では約3%上昇しており、ビットコインが方向感を欠く中で、短期資金が一部アルトコインへ向かったことが値動きを支えたと考えられます。
ソラナ
ソラナは今週、主要アルトコインの中で比較的強い推移となりました。10日には77ドル付近まで上昇し、直近7日では約3%の上昇となっています。足元では76ドル前後まで押し戻されているものの、XRPなどと比較すると下値は堅く、75ドル近辺での買い需要が確認される展開です。
テクニカル分析
主要銘柄の支持線と抵抗線
ビットコインは、6.3万〜6.4万ドルが目先の重要な支持帯です。ここを明確に割り込む場合は6.2万ドル、その下では心理的節目となる6万ドルが意識されます。上値では6.45万〜6.55万ドルが最初の抵抗帯となり、これを突破できれば6.6万ドル台への回復が視野に入ります。8月10日時点でも6.42万〜6.45万ドルが需要帯、6.54万〜6.56万ドルが目先の抵抗として意識されていました。
イーサリアムは1,850〜1,870ドルが支持帯、次いで1,800ドルが重要な下値目処となります。抵抗は1,900〜1,950ドルで、2,000ドルが次の心理的節目です。
XRPは1.00ドルが重要な支持線で、割り込む場合は0.95ドル近辺まで調整余地が広がります。上値は1.05〜1.10ドルが抵抗帯です。ドージコインは0.068〜0.070ドルが支持、0.074〜0.075ドルが目先の抵抗となり、その上では0.08ドルが意識されます。ソラナは74〜75ドルが支持帯、78〜80ドルが抵抗帯として注目されます。
RSI(相対力指数)の分析
日足ベースのRSIは、主要銘柄の多くが極端な買われ過ぎ・売られ過ぎには至っておらず、概ね中立圏で推移しているとみられます。
ビットコインは40台半ばを中心とする弱含みの中立圏で、短期モメンタムはやや低下。イーサリアムは50前後で比較的中立です。XRPは価格下落を背景に40前後まで低下しているとみられ、売られ過ぎ水準への接近に注意が必要です。一方、ドージコインは40台後半から50近辺、ソラナは50台前半から半ばと、アルトコインの中では相対的に底堅いモメンタムを維持しています。
(RSIはいずれも日足・14期間を想定した参考レンジ。取引所、確定時刻によって数値には差異があります)
市場に影響を与えたニュース
今週最大のマクロ材料は米雇用統計でした。8月7日に発表された7月の米非農業部門雇用者数は2.3万人減となり、雇用環境の減速を示す内容となりました。一方、失業率は4.1%と前月から低下しており、単純な景気悪化を示す内容ではありませんでした。
金融政策面では、7月29日のFOMCが政策金利を3.50〜3.75%に据え置く一方、3名の委員が0.25%の利上げを主張しています。インフレが依然として2%目標を上回る中、「雇用減速」と「インフレ警戒」が併存しており、暗号資産市場も経済指標に反応しやすい状態が続いています。
需給面では、米現物ビットコイン・イーサリアムETFへの約11億ドルの週間純流入が相場を支えました。一方、Strategyが前週に1,690BTC、約1.09億ドル相当を売却したことが明らかとなり、これまで代表的な大口買い手だった同社の売却継続は市場心理の重石となりました。
規制面では、米上院で暗号資産の包括的な市場構造を定める「Clarity Act」の審議に向けた手続きが進展しました。ただし、本格的な採決は8月休会後の9月中旬以降となる見通しであり、中長期的な制度整備期待は高まったものの、直近相場への影響は限定的です。
今週以降の見通し
目先最大のイベントは、日本時間8月12日21時30分に予定されている米7月CPIです。その翌13日にはPPIも控えており、インフレ指標を受けた米金利とドルの反応が暗号資産市場の方向性を左右すると考えられます。
ベースシナリオでは、CPIが市場予想から大きく乖離せず、ビットコインが6.3万ドル前後の支持帯を維持する展開を想定します。この場合、6.3万〜6.6万ドルを中心としたレンジ相場が続き、ETFへの資金流入が押し目を支える構図となりそうです。イーサリアムも1,850〜1,950ドルを中心に推移し、アルトコインではソラナなど相対的に強い銘柄への物色が継続する可能性があります。
強気シナリオでは、CPIが市場予想を下回り、米長期金利とドルが低下するケースを念頭に置きます。この場合、ビットコインは6.55万〜6.6万ドルの抵抗帯突破を試し、イーサリアムは2,000ドル、ソラナは80ドル台への回復が視野に入ります。XRPも1ドルを維持できれば反発余地が生じ、ドージコインでは0.075ドル超えが焦点となります。
一方、弱気シナリオでは、CPIが上振れし、FRBの追加利上げ観測が再び強まるケースが警戒されます。米金利・ドルの上昇に加えてレバレッジポジションの解消が重なれば、ビットコインは6.2万ドルから6万ドル付近まで下値を試す可能性があります。しかしながら6.3万ドルの下値支持は強いと期待されます。
いずれにしても、今週はETFフローという需給面の支えが確認された一方、価格はマクロ材料に対して依然として敏感です。CPI通過後にビットコインが6.5万ドル台を回復できるか、それとも6.3万ドルを下抜けるかが、8月後半の方向性を判断する上で重要なポイントとなりそうです。
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