店頭CFDで取扱う暗号資産XRP(リップル)を解説

店頭CFDで取扱う暗号資産XRP(リップル)を解説

提供:株式会社HashHub

2025/08/22

2025年上半期のXRP市場動向分析

過去1年間、暗号資産市場におけるXRPの時価総額順位に大きな変化が見られました。この背景には、米大統領選後の規制緩和への期待、XRP Ledger(XRPL)の技術的進展、そして機関投資家の関心の高まりといった複数の要因が複合的に作用し、結果として現在、時価総額第3位に位置しています。

本稿は、2025年8月時点でのXRP市場の現状を解説するとともに、2025年上半期(1月〜6月)の主な市場動向に焦点を当て、この変化の背景を多角的に分析します。

1.XRPとXRPLの基本概要

1.1 XRPの市場現況と価格動向

図1|XRPの時価総額と取引高の推移、および主要指標一覧(出所:Coingecko)

2025年8月現在、XRPは暗号資産市場において、ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)に次ぐ時価総額第3位に位置しています。これは前年同月の第7位から大きく順位を上げたものであり、過去1年間でXRPの時価総額が市場全体に対して相対的に拡大したことを示しています。

この上昇は、複数の要因が重なった結果と見られます。まず、2024年11月の米大統領選において暗号資産に寛容な姿勢を示すドナルド・トランプ氏が再選したことが、グローバルな市場拡大や規制環境の変化を促し、暗号資産セクター全体の投資家心理に好影響を与えました。

加えて、XRP Ledger(XRPL)上での新機能導入といったファンダメンタルズの改善も、投資家の注目を集める要因となりました。特に、XRP現物ETFへの期待や、Ripple社によるステーブルコイン「RLUSD」のローンチが注目され、XRPLエコシステム全体の成長見通しが強まったことも、XRPの需要拡大につながっています。こうした動きが、XRPの市場評価の押し上げ要因となっていると考えられます。

1.2. XRPLの技術的特徴と主要機能

XRPをネイティブトークンとするXRP Ledger(XRPL)は、10年以上の稼働実績を持つパブリックブロックチェーンです。高い手数料や決済の遅延といった従来の金融インフラが抱える課題に対処することを目的に設計されており、国際送金や資産のトークン化など、幅広い金融ユースケースに対応する基盤として機能しています。

2025年上半期には、XRPLはその機能を大きく拡張しました。特に、2025年6月30日には、Solidity対応のスマートコントラクトをサポートする「XRPL EVMサイドチェーン」がメインネットで稼働を開始しました。このサイドチェーンでは、MetaMaskとの連携やXRPをネイティブガスとする高速・低コストな環境が提供されており、開発者にとっても親和性の高い構造となっています。

こうした技術的進化を通じて、XRPLは決済インフラにとどまらず、DeFi、NFT、実世界資産(RWA)のトークン化といった多様なユースケースに対応可能なプラットフォームへと進化を遂げています。これにより、開発者やユーザーを含む広範なエコシステムの拡大が期待され、XRPの需要増にも寄与しています。

また、XRPLエコシステム内では、米ドルに裏付けられたステーブルコイン「RLUSD(Ripple USD)」の導入も進行中です。RLUSDは、2025年4月2日までにRippleのクロスボーダー決済ソリューション「Ripple Payments」に統合され、その時価総額は2億5000万ドルに迫る急速な成長を見せました。RLUSDは、国際送金や資産担保などへの活用が見込まれており、XRPLのユースケース拡大およびエコシステム全体の安定性強化に貢献すると期待されています。

2.XRPのトークノミクス:供給と需要のメカニズム

XRPはXRP Ledgerのネイティブトークンとして、そのエコシステム内で複数の役割を果たします。具体的には、XRPL上での取引手数料の支払い、ウォレットの準備金(ベースリザーブ)としての機能、そしてトラストラインの作成やDEXへのOffer、Escrow/Checkなどの特定のオンレジャー操作に必要な準備金(オーナーリザーブ)として利用されます。

2.1. XRPの供給構造とトークノミクス

図2|XRPの供給ディストリビューション(出所:Coingecko)

XRPは2012年のローンチ時に、最大供給量である1000億XRPが一括発行されました。このうち20%が創設チームに、残る80%がRipple社に寄贈される形で初期分配が行われました。
XRPの供給管理において特筆すべきは、Ripple社が2017年に導入したエスクロー制度です。
Ripple社が保有していた800億XRPのうち、550億XRPがXRPL上のエスクローに預け入れられ、この仕組みに基づき、毎月初めに最大10億XRPがRipple社にアンロックされます。ただし、使用されなかった分は再びエスクローに戻され、将来の供給に回されます。この段階的かつ自動化された供給管理により、市場への急激な供給過多を抑え、価格の安定性と予測可能性の向上が図られています。

現在のXRPの総供給量は、ローンチ時の1000億XRPから、トランザクション手数料として焼却(バーン)された約1,410万XRPを差し引いた約999.9億XRPとなっています。XRPの総供給量に影響を与える唯一の要因は、この「取引コストに伴うバーン」であり、その影響は小さいながらも、継続的なデフレ圧力として機能しています。

一方、現在の循環供給量は約592億XRPで、残りの約407億XRP(エスクローやRipple社の保有分)から将来的に流通する分が控えています。循環供給量には、取引に伴うバーンによるデフレ要因と、エスクローからの段階的な排出によるインフレ要因が同時に作用しています。

このように、XRPの供給は「総量に対する軽度なデフレ圧力」と「流通量に対する管理されたインフレ圧力」の両面を持ち合わせており、この複合的なメカニズムは、価格の急変動リスクを抑え、長期的な安定性を提供する設計となっています。こうした予測可能な供給体制は、機関投資家にとっても重要な判断材料の一つと見なされています。

2.2 取引費用とバーン(焼却)メカニズム

XRP Ledgerでは、ネットワークをスパムやDoS攻撃から保護するために、すべてのトランザクションに少額の手数料が課されています。取引費用はトランザクションの種類によって異なりますが、一般的な送金にかかる最低手数料は0.00001 XRP(10 drops)です。また、ネットワークの負荷状況に応じてこの手数料は自動調整される設計となっており、ネットワーク全体の健全性を保つセキュリティ機能としても機能しています。

XRP Ledgerの大きな特徴のひとつは、これらの取引手数料として支払われたXRPがすべてネットワーク上で焼却(バーン)される点です。この仕組みにより、XRPの総供給量には継続的にわずかながらデフレ圧力がかかり続けます。

図3|XRPL取引費用の推移(出所:XRPScan)

2025年上半期の動向を見ると、特に2024年11月から2025年3月にかけてネットワーク上のトランザクション数が増加し、それに伴いバーンされるXRP量も拡大しました。一方、2025年3月以降は取引活動がやや落ち着き、日次のバーン量も安定的に推移しています。それにもかかわらずXRP価格は同期間に上昇傾向を見せており、こうした動きは、オンチェーンの取引活動よりも、企業によるトレジャリー活用の増加や、ETF・ステーブルコイン発行といった将来期待をめぐる「物語」によって市場評価が押し上げられていた可能性を示唆しています。

3.過去1年間のXRP価格変動要因の考察:市場を動かした出来事

過去1年間、XRPは市場環境、規制、機関投資家の動向、さらにはマクロ経済や政治的なニュースなど、複数の要因が複雑に絡み合いながら価格変動を示してきました。本節では、これらの具体的な事例を交えながら、XRPの価格上昇・調整局面の要因について考察します。

3.1.規制環境の転換と訴訟結果

長らくXRPの価格変動に影響を与えてきたのが、規制環境とRipple社を巡る法廷闘争の進展でした。2020年に米国証券取引委員会(SEC)がRippleをXRPの販売に関して訴えたことにより、XRPは「未登録証券」という不透明な状態に置かれ、主要取引所から一時的に上場停止されるなど、投資家心理に影響を与えていました。

しかし、2023年7月13日、米国の裁判所は「XRP自体はHoweyテストの要件を満たさない」と判断し、XRPがデジタルトークンとして証券性を有さないとの判決を下しました。この部分勝訴は、XRPにとって重要な転換点となり、主要取引所(Coinbase、Binanceなど)が再びXRPの取引を再開しました。これにより価格は上昇し、長年の訴訟による不確実性が解消され、市場の期待が高まりました。この規制リスクの軽減は、XRPに対する投資家の信頼を回復させ、潜在的な需要を喚起しました。

さらに、2025年1月のゲーリー・ゲンスラーSEC委員長の辞任は、これまで暗号資産に対して強硬な姿勢を示していたSECのアプローチに変化の兆しをもたらしました。この動きは、XRPを含むデジタル資産に対する市場の見方に影響を与え、米国内外での規制柔軟化への期待を高めました。結果として、XRPの価格上昇や取引量の増加といったポジティブな市場反応を引き起こす一因となったと言えるでしょう。規制の明確化、あるいはその期待が、暗号資産の評価にどれほど大きな影響を与えるかを示す一例です。

3.2 政治的・マクロ経済的要因

2024年の米国大統領選挙において、ドナルド・トランプ氏が「暗号資産に友好的な政策」を掲げたことは、市場にポジティブなシグナルとして受け止められました。トランプ氏の当選が確定した2024年11月以降、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産全体が上昇し、XRPもその一環として反発しました。

特に2025年1月には、トランプ新政権による規制方針の転換が進み、SEC委員長の交代などを含む政策変更の動きが伝えられたことで、XRPに対する投資家の期待が高まりました。さらに注目すべきは、3月初旬にトランプ大統領が「国家戦略的デジタル資産備蓄」の構想を正式に打ち出し、XRPやSolana(SOL)といった米国発の暗号資産をビットコインとともにその対象に含める方針を明らかにしたことです。この政策発表は市場に好感され、XRP価格の上昇につながりました。国家元首によるこのような直接的な言及は、XRPが国家戦略上の位置づけを持つ可能性を示唆し、市場での正当性と魅力に影響を与えました。

マクロ経済の変動もXRPの価格を後押ししています。米国連邦準備制度(FRB)の金融政策や、世界的なインフレ懸念の緩和により、リスク資産への資金流入が進んでいます。ただし、トランプ政権による関税引き上げがもたらす市場混乱の影響も受ける可能性があり、執筆時点での見通しは依然として不透明な状況です。

3.3 機関投資家の参入とETF・投資商品の拡大

機関投資家向けの暗号資産投資商品(BTC現物ETF、ETH現物ETFなど)の整備が進む中、XRPに対するETFや信託商品の申請が相次いでいることも、XRP価格の重要な要因の一つです。

具体的には、暗号資産ファンド大手GrayscaleがXRPトラストをETFに転換する申請をSECへ提出したほか、米国初のXRPスポットETFの申請がBitwiseから行われ、市場の注目を集めました。さらに、Canary Capitalや21Shares、WisdomTreeなど、複数の機関がXRP ETFに向けた動きを強めていることも、XRPへの機関投資家の関心を示唆しています。

伝統的な企業が暗号資産をトレジャリー資産(手元資金)として組み入れる動きが広がっていることも、XRPの需要増加要因です。これは、XRPが投機対象から企業の財務戦略の一部として認識され始めていることを示唆します。

具体例としては、2024年12月5日に米国上場企業Worksportが、余剰資金の10%を暗号資産(ビットコインとXRP)に投資する計画を発表しました。2025年1月9日には、カナダのBC Bud Co.もキャッシュリザーブの一部をXRPに投資する動きを示し、さらに2025年6月にはTrident Digitalが2025年後半に向けて約5億ドルを調達し、XRPを中心とした「XRPトレジャリー」を構築する構想を公表。そして2025年7月23日には、Nature's Miracle Holding Inc.が最大2,000万ドル分のXRPをトレジャリーに組み込むプログラムを開始しました。これらの動きは、XRPが従来の投機対象から、より安定した機関投資家や企業のポートフォリオの一部へと移行していることを示しており、長期的な価格安定性と主流金融への統合に寄与する要素です。

3.4 技術的・エコシステムの進展

XRPの価値は、XRPL上でのDeFi(分散型金融)やリアルワールド資産(RWA)のトークン化プロジェクトなど、新たなユースケースの拡大によっても高まっています。 具体的な事例として、Societe Generaleの暗号資産子会社であるSG-FORGEによるMiCA準拠のユーロ建ステーブルコイン(EURCV)のXRPLへの展開(2024年11月)や、デジタル証券取引所・カストディアンビジネスを展開する英Archaxとの提携によるトークン化されたマネーマーケットファンドの立ち上げ(2024年11月)が挙げられます。さらに、Elysiaによる米国債トークン化(2024年12月)、Ondo FinanceによるXRPL上のRWAトークン計画なども進んでいます。これらの取り組みは、XRPLの利用価値と取引量を押し上げ、エコシステムの多様化と成長を示しています。また、Ripple社自身も「RLUSD」というステーブルコインの開発を進めており、これが国際送金の効率性向上や、グローバルな金融システムへの統合に寄与すると期待されます。

4.総括

2025年上半期、XRPはSEC指導部の交代、政治的期待感、機関投資家の参入、そしてXRPLエコシステムの進展など、さまざまな好材料に支えられて大幅な価格変動を見せました。たとえば、米国における規制環境の明確化により市場の不透明感が払拭され、GrayscaleやBitwiseなどによるETF申請、企業がトレジャリー戦略にXRPを組み入れる動きが、XRPに対する信頼回復に寄与しました。

今後、規制環境のさらなる明確化や技術・エコシステムの進展が進めば、XRPは長期的な成長軌道に乗る可能性もあると期待されますが、依然として規制リスクや市場のボラティリティといった短期的なリスクも存在するため、投資家は市場の感情的な動向に惑わされず、基本的なファンダメンタルズや長期的な展望に基づいて、慎重かつ冷静な判断を下す必要はあるでしょう。

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