外国株式米国株式市場にはなお8%以上の上昇余地か

米国株式市場、2021年を振り返って

2021年の米国株式市場は、当初想定を大きく上回る上昇でした。主因は企業利益が予想以上に上方修正されたことです。S&P500指数のEPSは2020年の140.46ポイントから2021年は205.55ポイントへ46%増の見込みです。パンデミック前の2019年が163.13ポイントですので、2021年がいかに高いかお分かりいただけるでしょう。

DXが一気に進んだことで大手IT企業の業績が大幅に伸び、それら以外の企業もパンデミックに素早く対応して、業績回復に努めました。根底には柔軟な労働市場を活かした米国経済の調整の速さがあるのでしょう。EPSの増加を伴った株価上昇となったため、予想PERは20倍前後と、市場の一部で言われる“バブル”というほどには高くなっていません。

米国株式市場、2022年の見通し

パンデミックによる落ち込みと回復を経て、2022年の米国経済、企業業績は“巡行速度”での成長に回帰する見通しです。新型コロナは様々な取り組みによって克服できる前提です。S&P500指数のEPSは2022年に前年比9%増加する見込みで、株価もそれに沿った上昇(8%程度の上昇)となる可能性が高いでしょう。

一方、2022年は2021年にはなかった10%を超える株価調整に注意が必要でしょう。S&P500指数の予想PERが20倍前後というのは、15~19倍という過去の長期的なレンジからみると高めで、ネガティブな材料が出ると割高感が意識されやすいためです。調整のトリガーとなる要因として、FRBによる金融政策、米国中間選挙、米中関係などが考えられます。

2022年の注目のテーマ

デジタル関連、EVといった従来からある長期トレンドに加え、インフラ投資、経済再開といった投資テーマも浮上しそうです。
・企業のDX投資・・・消費分野で一気に進んだDXに追いつくために、様々な業界の企業が本気で取り組みつつあるとみられます。
・インフラ投資・・・トランプ氏の大統領選挙勝利から5年越しで実現しました。
・経済再開・・・新型コロナの克服が進むことで、海外旅行、レジャー関連は完全回復の期待もあります。
・EV(電気自動車)・・・脱炭素の目玉として取り組みが世界中で加速しつつあります。
・5G・・・パンデミックでつまずきましたが、足もとで普及が本格化しています。
・メタバース・・・次の巨大技術プラットフォームとなるか、行方が注目されます。

榮 聡
SBI証券投資情報部(日本証券アナリスト協会検定会員)

1986年一橋大学商学部卒業、1991年カーネギーメロン大学テッパー・スクール・オブ・ビジネス卒業。
大和証券、大和証券投資信託委託、野村證券を経て15年4月よりSBI証券投資調査部に所属。国内外株式のファンド運用、ファンド運用助言、調査業務に長年携わる。欧州株式、アセアン株式について現地での調査経験があり、企業をグローバルな視点から評価できることに強み。

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