遺言書で「想い」をカタチに・・・円満な相続へ (SBIマネープラザ株式会社 2025.3.11)

遺言書とは?

遺言書とは、誰にどの財産をどれだけ相続させたいかを指定し、法的効力をもたせるものです。法律に則り作成された遺言書は、法定相続分のルールよりも優先されます。

遺言書が有用な手段になる方

以下に該当する方は、遺言書が有用な手段になります。

①夫婦間に子どもがいない

配偶者に加えて、両親または兄弟姉妹(両親が亡くなっている場合)のいずれかが相続人となるので、配偶者に全財産を相続させたい場合には遺言書が有用です。

②再婚し、元配偶者との間に子どもがいる

現配偶者との間の子と元配偶者との間の子における紛争を避けるためにも遺言書が有用です。

③子の配偶者にも財産を分けてあげたい

遺言書を作成しない限り、財産を分けることができないため有用です。

④内縁の妻・夫

内縁の妻・夫には相続権がないため、財産を分けるには遺言書が有用です。

⑤相続人が一人もいない

相続人以外の誰にどの財産をどれだけ相続させたいかを指定するには、遺言書が有用です。

⑥相続人の間で特別な事情がある(不仲、疎遠)

遺言書を作成することで、遺産分割協議が不要となります。

⑦相続人の中に認知症の方がいる

認知症になると遺産分割協議ができないため、遺言書で誰に何を相続させるかを決めていれば、相続手続きに有用です。

遺言書の種類

遺言書には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言などの形式があります。自筆証書遺言と秘密証書遺言は遺言者が自分で遺言書を作成するのに対して、公正証書遺言は法律の専門家である公証人が作成するものです。また、自筆証書遺言は、「自宅等で保管」する場合と「法務局で保管」する場合とがあります。それぞれの遺言書の概要やリスクなどは下図のとおりです。

遺言書の種類

自筆証書遺言

秘密証書遺言

公正証書遺言

概要

自分で全文を書く(自書する)。

ただし、財産目録は、パソコンでも作成可。

自分で全文を書く。パソコンでも作成可(ただし、署名は自署が必要)。

法律の専門家である公証人が正確に作成し、保管する。

費用

法務局の保管制度利用せず

法務局の保管制度

利用

11,000円

公証人手数料(遺言内容や財産額により変動します)

無料

3,900円

作成方法

1人で可能

証人2

公証人と証人2

作成場所

どこでも可

原則公証役場

手続場所

手続不要

法務局

公証役場

原則公証役場

保管場所

自宅等

法務局

自宅等

公証役場

適法性リスク

未発見リスク

やや低

やや低

検認

必要

不要

必要

不要

法務局で自筆証書遺言書を保管してもらえる?

法務局で、遺言書を保管してもらう制度を、自筆証書遺言書保管制度といいます。法務局は、遺言書保管所として遺言書を預かり、正に保管します。相続が発生した後は、相続人等は遺言書の保管事実証明書の交付を受けます。

自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言のメリット・デメリット

自筆証書遺言(自宅等で保管)、自筆証書遺言(法務局で保管)、秘密証書遺言、公正証書遺言について、メリットとデメリットの観点からみると以下のようになります。

自筆証書遺言(自宅等で保管)

メリット:場所や時間を選ばない。単独で作成することができる。費用がかからない。

デメリット:一部目録等を除き自書しなければならない。記載方法や間違い、要件不備により執行が困難になる可能性や、未発見、紛失等のリスクがある。遺言効力発生後に検認の手続きが必要になる。

自筆証書遺言(法務局で保管)

メリット:安価な手数料で作成できる。遺言効力発生後に検認の手続きが不要になる。未発見、紛失のリスクが低い。関係者への通知の制度がある。

デメリット:一部目録等を除き自書しなければならない。管轄の法務局に本人が行く必要あり。最低限の要件の確認にとどまるので、内容の不備や記載の誤りなどの可能性がある。

秘密証書遺言

メリット:遺言する人にしか内容がわからないため秘匿性が高い。本文につき自筆を要件としないので、パソコン作成も可能(ただし、署名は自筆が必要。また、万が一、秘密証書遺言として不備があっても、本文も自筆で自筆証書遺言の要件を満たしていれば自筆証書遺言として有効となる可能性がある)。遺言を封筒に入れた後に封印を押印して公証人の認証を受けるため、偽造や変造の防止に有効。

デメリット:公証人との日程調整などが必要で、公証人手数料等の費用がかかる。証人が2名必要。記載方法や間違い、要件不備により、執行が困難になる可能性や未発見、紛失等のおそれあり。遺言効力発生後に検認の手続きが必要。

公正証書遺言

メリット:公証人が事前に遺言案文をチェックするため法的要件の不備のリスクが低い。検認の手続きは不要で、遺言執行の手続きが簡易かつ確実。

デメリット:公証人との遺言書の案文作成や日程調整、必要書類の準備などが必要になる。公証人手数料等の費用がかかる。証人が2名必要。

遺言書の作成例

上述のように、遺言書には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言などの形式がありますが、実務上よく利用されるのは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。以下は、法務省資料にみられる自筆証書遺言と公正証書遺言の作成例です。

自筆証書遺言の作成例

公正証書遺言の作成例

遺言書は実務経験豊富なコンサルタントにおまかせ

ご自身の想いをカタチにする遺言書には、上述のように、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言などの形式がありますが、それぞれのメリットやデメリット、適法性リスク、未発見リスク、手続きリスクなど、様々な要素を勘案して利用形式を決定する必要があります。遺言書に関する「お悩み」「ご不安」「ご要望」はありませんか?そのお悩みコンサルタントにお任せください。相続・事業承継の実務経験豊富なコンサルタントが、お客さまの「お悩み」「ご不安」「ご要望」を整理します。また、SBIグループ内外の必要な専門家をご紹介します。お気軽に個別相談にお申込みください。

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