独占企画!スペシャル対談 SESSION-02 独占企画!スペシャル対談 SESSION-02

全3編でお送りするSBI証券の独占スペシャル対談。
SESSION2では、よりヒートアップした対談をお伝えします。

まずは、藤野氏(レオス・キャピタルワークス)が舌鋒鋭くベンチマーク指数(TOPIX)について語ります。「腐った幕の内弁当」や「最強のインデックス」とは、どんなものなのでしょうか?渋澤氏(コモンズ投信)の言う「宗教論争」とは、なにを意味するのでしょうか?

「日本のTOPIXの半分は腐っている。'半分腐った幕の内弁当’だ!!」 

― 藤野(レオス・キャピタルワークス)

―3社とも、アクティブマネジャーで、インデックスに勝つ運用をめざし、それを見事に実現しています。しかし、多くのアクティブファンドが運用成績でインデックス・ファンドに負けている現実があり、もはや、アクティブファンドは不要だという極端な議論もあるくらいです。なぜ、インデックスに勝てるのですか?

<藤野>日本のTOPIX(東証株価指数)は、半分腐った幕の内弁当だと考えた方がいいと思いますよ(笑) 本来は、腐った企業をインデックスから除去すればいいのだけど、アメリカと比べると、大企業に対する投資家からのプレッシャーが薄く、結果的に本来は早く滅んでしまった方がいい企業が、滅ばずに残ってしまっている。これが日本のインデックスの抱える大きな問題だと思います。

アメリカの場合には、アクティビスト(モノ言う株主)もたくさんいるので、腐った幕の内弁当の腐ったおかず部分やご飯の部分を除去していく仕組みがあるのです。
実は、腐ったところを慎重に除去するだけで、インデックスに勝てます。パフォーマンスを出すには、'何を持つか’より、'何を持たないか’ということがベンチマーク運用で大きな要素だ。

アクティブファンドの中には、ベンチマークを置いて、ベンチマークとのかい離を小さくして、インデックスに勝つことを評価するものがあります。かい離しないことを重視してしまうと、組み入れ上位銘柄がインデックスの構成銘柄と変わりなくなってしまいます。日本の系列系の運用会社は、トラッキングエラーを小さくするところに、アクティブ運用の重きをおいているところが少なくありません。これが、結果的にパフォーマンスを悪くしてしまっています。

ベンチマークに勝つことを考えると、トラッキングエラーは当然悪くなるのです。ここにきている3社は、トラッキングエラーを捨てています。日本の多くの運用会社の場合、ベンチマーク運用はトラッキングエラーが小さい運用の方が良い運用ということに縛られているのです。ベンチマークが優れている場合はそれでも良いのですが、優れていないベンチマークの場合は、不幸な結果になります。

「'オールジャパンインデックス’を作ったら、最強のインデックスになる。」

― 藤野(レオス・キャピタルワークス)

<藤野>TOPIXの上位100社の中に腐ったおかずに該当する企業があって、それが足を引っ張っています。だから、東証1部だけじゃなくて、ジャスダック、マザーズなど全部足したインデックスだったら、TOPIXを凌駕すると思います。まさに最強の「オールジャパンインデックス」ですね。

日本の系列系運用会社も、独立系のような動きをすれば、日本の新陳代謝も早まると思います。今はインデックス運用で腐った幕の内を全部買うようなことをやっていますが、腐ったものを除去する機能をもっとつけていかないといけない。

最近では、日本でもフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営に関する原則)がクローズアップされてきていますが、まず機関投資家が、ダメな会社を売ってよい会社を買うという、結果的に「本当にいい運用」という本来の機能を取り戻すことが重要です。

「'アクティブ’か'インデックス’か、そんなのは宗教論争みたいなものだ。」

― 渋澤(コモンズ投信)

<渋澤>コモンズでは、そもそもインデックスを見ていません。日経225、TOPIXは、インデックスをつくるにあたって価格は見ていますが、価値は見ていないでしょ。私たちは、組み入れている30社の持続的に成長できる可能性があるという価値をみています。そのような価値を見ないインデックスを意識する意味がありません。

私たちのモデルは、お客さまのうち、積立で毎月買い付けてくださる方が7割を占めていて、コンスタントにお金が入ってきます。たとえば、半導体セクターは最近、大変好調なのですが、数年前は誰も見向きもしないほど低迷していました。その時もコモンズは淡々と買っていました。均等に投資しているので、安くなるとより多い量を買っている。それを繰り返しているので、上がる時に一緒に上がって、下がる時にあまり下がらなければ、当然、インデックスをアウトパフォームしていくことになります。

個人投資家の間で長期投資について、「インデックス派」と「アクティブ派」に分かれて、宗教論争のようなことが続いています。教科書的に言えば、コストが安いことはメリットがあり、「資産運用の勝者はストックピッカーよりマーケットアロケーションだ」と書いてあります。だったら、インデックス投資でいいじゃないかということになります。

しかし、「日経平均株価(日経225)」は、その名の通り、平均的な株価指数ですかというと、全然違います。平均的だったら、1銘柄あたり225分の1なので、0.445%の寄与度のはずなのに、ファーストリテイリングが7%、ソフトバンクが5%、ファナックが4%など、上位10柄で3分の1くらいの寄与度になっています。上位24銘柄くらいで半分くらいを占めるのです。全然平均的ではないですね。

TOPIXは、トップ10の寄与度が米国のS&P500の寄与度と同じくらいになっていてよくできていると思えるのですが、どういう会社が上位に入っているかよく見ると、結構なオールドエコノミーだったりしますね。S&P500のトップ10には、アップル、グーグル、アマゾンなど、今をときめく企業で占められていることと比較すると、大きく見劣りしませんか?

アメリカ人がインデックスに投資することは、とても合理的です。そこに成長があるからです。日本の場合、そこに成長はありますか?アメリカの株価と日本の株価に差があるのは、日米の経済状況の差とばかりとはいえません。インデックス投資は否定しませんが、何がインデックスなのかということを、きちんと理解して投資するようにした方がいいと思います。

「ベンチマークに何%勝った!を意識して闘うということは、結果的に無駄」

― 藤村(スパークス・アセットマネジメント)

<藤村>ベンチマークをいつも意識しながら、ベンチマークに何%買ったとか意識して戦うことは、結果的に無駄なことだと思います。ベンチマークを意識しながら戦っているよりも、本来自分はどういう戦い方をするんだということに集中した方が、結果的に勝てると思います。

私たちが一番戦いやすいのは、いい会社を探して、それにずっと投資していること。それが一番勝てると思っているメンバーが集まっています。企業のファンダメンタルズをちゃんと見て銘柄を選んで投資することが、一番勝つ確率が高いと思っています。自分に合ったやり方で投資することが一番だと思います。

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プロフィール

藤村 忠弘(ふじむら ただひろ)
スパークス・アセット・マネジメント株式会社 取締役 CIO 常務執行役員シニア・ファンド・マネージャー

筑波大学卒。同年日興證券投資信託委託(現日興アセットマネジメント)入社。
ペンシルベニア大学ウォートンスクールでMBA取得。帰国後、商品企画、中小型株運用を担当。スパークス・アセット・マネジメント株式会社入社。中小型株運用を一貫して担当。

藤野 英人(ふじの ひでと)
レオス・キャピタルワークス
取締役・最高投資責任者(CIO)

1966年、富山県生まれ。1990年、早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で活躍。特に中小型株および成長株の運用経験が長く、22年で延べ5000社、5500人以上の社長に取材し、抜群の成績をあげる。2003年に独立し、現会社を創業。現在は、販売会社を通さずに投資信託(ファンド)を直接販売する直販ファンドの「ひふみ投信」を運用し、ファンドマネージャーとして高パフォーマンスをあげ続けている。

渋澤 健(しぶさわ けん)
コモンズ投信 取締役会長

1961年、神奈川県生まれ。渋沢栄一の5代目の子孫。
8歳の時、父親の転勤で渡米。83年テキサス大学卒業。87年UCLA経営大学院修了(MBA) JPモルガン、ゴールドマン・サックスなどの外資系金融機関を経て、2001年投資コンサルティング会社のシブサワ・アンド・カンパニーを設立。2008年コモンズ投信設立。経済同友会幹事。

藤村 忠弘(ふじむら ただひろ)
スパークス・アセット・マネジメント株式会社 取締役 CIO 常務執行役員シニア・ファンド・マネージャー

筑波大学卒。同年日興證券投資信託委託(現日興アセットマネジメント)入社。
ペンシルベニア大学ウォートンスクールでMBA取得。帰国後、商品企画、中小型株運用を担当。スパークス・アセット・マネジメント株式会社入社。中小型株運用を一貫して担当。

藤野 英人(ふじの ひでと)
レオス・キャピタルワークス
取締役・最高投資責任者(CIO)

1966年、富山県生まれ。1990年、早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で活躍。特に中小型株および成長株の運用経験が長く、22年で延べ5000社、5500人以上の社長に取材し、抜群の成績をあげる。2003年に独立し、現会社を創業。現在は、販売会社を通さずに投資信託(ファンド)を直接販売する直販ファンドの「ひふみ投信」を運用し、ファンドマネージャーとして高パフォーマンスをあげ続けている。

渋澤 健(しぶさわ けん)
コモンズ投信 取締役会長

1961年、神奈川県生まれ。渋沢栄一の5代目の子孫。
8歳の時、父親の転勤で渡米。83年テキサス大学卒業。87年UCLA経営大学院修了(MBA) JPモルガン、ゴールドマン・サックスなどの外資系金融機関を経て、2001年投資コンサルティング会社のシブサワ・アンド・カンパニーを設立。2008年コモンズ投信設立。経済同友会幹事。

ご注意事項

  • 本ページは、投資一般に関する情報提供を目的としているものであり、投資その他の行動を勧誘したり、推奨したりするものではございません。銘柄の選択などの投資にかかる最終判断は、お客様ご自身の判断でお願いいたします。
  • 本情報は、2017/6/20の取材時点のものです。
  • 「毎月分配型」の投資信託については、お取引の前に必ず「毎月分配型投信の収益分配金およびNISAでのご注意事項、ならびに通貨選択型投信に関するご注意事項」PDFです。新しいウィンドウで開きます。の内容をご確認いただきますようお願いいたします。
  • 投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
  • 投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客さまが実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
  • ご投資にあたっては、商品概要や目論見書(目論見書補完書面)をよくお読みください。
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