キオクシア、イビデンほか、大幅増益・株価上昇に期待したい主力11銘柄

キオクシア、イビデンほか、大幅増益・株価上昇に期待したい主力11銘柄

投資情報部 鈴木英之

2026/10/23

お知らせ

キオクシア、イビデンほか、大幅増益・株価上昇に期待したい主力11銘柄

日経平均株価は10/7 (水) から10/15 (木) まで6営業日連続で下落し、特に10/15の下げ幅は過去3番目となる3,318円でした。その後反発する場面もありましたが、10/22 (木) には終値で63,000円を割り込む等、下落基調が続いています。

9月の米コアCPI (消費者物価指数) が市場予想を上回り、利上げ観測が高まったことが一因です。さらに、ブロードコムCEOがAI投資をカジノの賭けに例えた発言(10/12)や、中国CXMTのメモリー技術に関する発表も、AI・半導体業界の競争激化懸念につながりました。WTI原油先物相場が一時、再び1バレル100ドルを超えた点も不安材料です。

そうした中、「コアウィーブ問題」が株価下落に拍車をかけました。同社はAI向けGPUクラウドを手がける新興事業者です。エヌビディアが第2位株主 (2026年1月時点) で、同社製半導体を大量に調達する関係が「循環取引」とも呼ばれてきました。10/13 (火) に著名投資家が2032年償還の同社の社債の利回りが15%台に上昇したとSNSで指摘しました。

論点は同社の財務の持続性です。2026年6月末の負債総額は500億ドル超に達し、資金調達コストの上昇が、AIデータセンターの構築や先端半導体の需要への逆風になるとの懸念が広がりました。AI需要そのものの減速ではなく、同社の資金繰りへの不安がAI投資の採算性への警戒に拡大した面が大きいと考えます。実際、10/15発表のTSMCの2026年7~9月期決算は売上高・純利益とも予想を上回り、設備投資見通しも維持されました。

今回の株価下落は、需要悪化というより金利・信用不安に伴うセンチメント悪化が主因です。そのため、決算で受注や設備投資、ガイダンスといった実需が確認されれば、過度な悲観が修正される余地があります。市場関係者も、今後の決算ではAI関連企業の投資に見合う利益が出ているかが焦点とみています。

企業業績の面では追い風もあります。9月調査の日銀短観では2026年度の売上・経常利益が増収増益計画に上振れ、7~9月期決算では生成AI関連業種を中心に業績予想上方修正が見込まれると考えられます。短期間の大幅下落で値頃感も出てきつつあります。決算でAI投資の継続と収益化の進展が確認できれば、日経平均株価が上昇に転じる可能性があると考えます。

そこで今回の「日本株投資戦略」では、10/26 (月)~10/30 (金) に2026年4~9月期の決算発表を予定している3月決算銘柄の中から、仮に市場予想どおりであれば大幅増益が期待できる銘柄を抽出すべくスクリーニングを行ってみました。結果的にはスクリーニングの結果残ったすべての銘柄の時価総額が1兆円以上で、主力銘柄といえる銘柄群になりました。

この時期には多くのAI・半導体関連企業が決算発表を実施する予定です。時価総額1兆円以上の主力銘柄と言える銘柄の多くで、市場が大幅増益を予想していることが分かります。決算発表を契機に株価上昇にも期待したいところです。

キオクシア、イビデンほか、大幅増益・株価上昇に期待したい主力11銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価
(10/22・円)
決算発表予定日 2027年3月期上半期市場予想純増益率 (%)
285A 285A 285A 285A キオクシアホールディングス 12,595 10/30 3,649.5
6857 6857 6857 6857 アドバンテスト 32,370 10/28 95.2
6752 6752 6752 6752 パナソニック ホールディングス 3,700 10/30 77.9
4062 4062 4062 4062 イビデン 8,598 10/29 76.5
9697 9697 9697 9697 カプコン 4,413 10/27 58.6
8035 8035 8035 8035 東京エレクトロン 9,450 10/30 48.9
5802 5802 5802 5802 住友電気工業 1,878 10/30 48.8
9766 9766 9766 9766 コナミグループ 25,175 10/29 46.7
6861 6861 6861 6861 キーエンス 80,360 10/29 41.5
6981 6981 6981 6981 村田製作所 6,432 10/30 36.9
6503 6503 6503 6503 三菱電機 4,881 10/30 31.1
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※「2027年3月期上半期市場予想純増益率 (%)」は2026年4~9月期における市場予想純利益の前年同期比増減率

    ★スクリーニング条件
    (1) 東証プライム市場上場企業 (証券商品先物を除く)
    (2) 時価総額1,000億円以上の3月決算銘柄
    (3) 10/26 (月)~10/30 (金) に2027年3月期第2四半期の決算発表を予定
    (4) 予想EPSを公表するアナリストが3名以上
    (5) 2027年3月期市場予想 (Bloombergコンセンサス) 1株利益が過去4週間で上昇
    (6) 2028年3月期市場予想純利益が今期市場予想純利益に対し10%以上増益予想
    (7) 2027年3月期第1四半期 (2026年4~6月) の純利益が前年同期比20%以上の増益
    (8) 2027年3月期第2四半期累計 (2026年4~9月) の市場予想純利益が前年同期比30%以上の増益
    (9) 取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く(空売り規制銘柄は除きません)

    図表の銘柄は上記の条件をすべて満たしています。
    掲載の順番は2027年3月期第2四半期累計 (2026年4~9月) の市場予想純増益率が高い順です。

一部掲載銘柄を解説!

■キオクシアホールディングス(285A) ~市場は業績拡大を予想も株価は調整が継続。今後はどうなる?

◎「NAND型フラッシュメモリー」はサンディスクグループとの合弁を合わせれば世界トップ級/業績は急拡大

NAND型フラッシュメモリーの製造大手企業です。フラッシュメモリー自体に加え、同メモリーを用いた次世代記憶装置であるSSD※、メモリーカード等が製品です。「NAND型フラッシュメモリー」の市場シェアは、同社単独ではサムスン電子、SKハイニックスに次ぐ第3位グループとみられますが、米サンディスクグループとの製造合弁を合わせると、2025年3月期の生産量シェア(記憶容量ベース)は29%と世界トップ級 (同社『統合報告書』)になります。


※SSD(Solid State Drive)は、主にパソコンやスマホ、データセンター等で使われる「データを保存する装置」で、主にNAND型フラッシュメモリー、コントローラー、DRAMで構成されます。なお、DRAMを搭載しないSSDもあります。


2027年3月期第1四半期(2026年4~6月期)の売上収益は1兆7,671億円 (億円未満は切り捨て・前年同期比415.5%増) 、営業利益は1兆2,700億円(前年同期は448億円)でした。「SSD&ストレージ」の売上収益 (同四半期の売上収益構成比66.5%) の6割超を占めるデータセンター・エンタープライズ向けが旺盛なAIサーバー向け需要を受けて物量・販売単価とも増加・上昇しました。スマホ向け等も単価が上昇し、販売単価は全体で前四半期比70%上昇しました。


会社側は第2四半期(2026年7~9月期)の売上収益を2兆3,900億円 (前年同期比433%増) 、営業利益を1兆8,900億円(前年同期の859億円から大幅増)と計画しています。市場 (Bloombergコンセンサス) では同四半期の売上収益を2兆4,499億円、営業利益を1兆9,480億円と予想しています。同四半期の決算発表は10/30 (金) の予定です。

◎低水準の予想PER (今期市場予想ベース) を改善することはできるか

市場予想 (Bloombergコンセンサス) では、2027年3月期は売上収益10兆930億円 (億円未満は切り捨て・前期比331.8%増) 、営業利益7兆9,830億円 (同818.0%増) 、純利益5兆5,803億円 (同906.4%増) の見込みです。第1四半期末発行済株式数5億4,608万株 (1万株未満は切り捨て) を3倍 (株式分割を考慮) した株数と今期予想純利益から計算される今期予想1株利益は3,406円28銭、来期は同4,704円50銭です。10/22終値12,595円から計算される予想PERは今期予想で3.70倍、来期予想で2.68倍の計算です。

市場ではNAND型フラッシュメモリーの需給ひっ迫は2027年もしくは28年まで続くとの見方が一般的なようです。キオクシア株の予想PERの低さは、2028年以降の市況悪化を織り込んだかのような低さとみられます。

しかし、同社の業績拡大は単純にNAND型フラッシュメモリーの市況高騰によりもたらされたものではないかもしれません。AIが「学習」中心から「推論」中心となり、NAND型フラッシュメモリーが「推論」を手助けし、付加価値の高いSSDの売上高構成比が高まっていく可能性があります。それにより、同社の成長が安定したものになると市場が期待できるようになれば、低い予想PERを脱出し、株価上昇を実現できるとみられます。

■イビデン(4062) ~エヌビディアの成長を支える黒子的企業

◎ICパッケージで世界トップ級、エヌビディア向けは「独占的」

1912年、岐阜県において電力会社 (揖斐川電力) として創業されました。その後製造業に進出し、1995年に大手半導体メーカーとの取引を開始し成長しました。

2026年3月期時点では「電子」が売上高の58.5% (売上高営業利益率は18.6%)を占める主力事業です。データセンターやパソコン向け等にICパッケージ基板等を製造販売しています。自動車等に販売される「セラミック」が売上高の19.8% (売上高営業利益率は9.3%)で、「その他」が同21.7%です。

ICパッケージ基板はICチップと一体になって機能する重要な部品です。近年では、ICチップの微細化の進展に関する技術的・コスト的制約を克服するために、ICチップ基板上に複数のICチップを組み合わせて搭載する「チップレット工法」の採用が進んでいます。

同社は生成AI用GPUや高性能CPU等の最先端半導体向けICパッケージ基板では世界トップ級とみられています。古くからCPU大手インテルと密接な関係にありましたが、2025年3月期以降はGPU最大手エヌビディアとの取引も増えています。2026年3月期同社売上高の29.4%がエヌビディア向け、18.1%がインテル向けになっています。特にエヌビディア向けには「独占的」に供給しています。

◎第1四半期発表時に通期見通しを上方修正。設備投資資金はエヌビディア等からの前受金で調達

8/4 (火) に発表された2027年3月期第1四半期(2026年4~6月期)の売上高は1,232億1,900万円 (前年同期比26.4%増)、営業利益は268億8,000万円 (同52.4%増) でした。主力の「電子」においては、生成AI用・汎用ともにサーバー向けに高機能ICパッケージ基板の受注が堅調に推移し増収増益となりました。「セラミック」も好調でした。

これらを受け会社側は2027年3月期の業績予想を上方修正しました。売上高は500億円上方修正されて5,500億円 (前期比32.1%増)、営業利益は370億円上方修正されて1,270億円 (同104.7%増) の見通しになりました。

同社はICパッケージ基板事業のさらなる成長を図る方針です。2027年3月期の「電子」は売上高3,750億円、営業利益1,100億円の計画ですが2031年3月期には売上高8,000億円、営業利益2,800億円まで伸ばす計画です。そのために同社は2027年3月期以降の3年間で「電子」事業に対し、5,000億円の設備投資を実施し、河間事業場と大野事業場で生産能力を増強する方針です。

驚きなのは、これらの設備投資相当額に対し、エヌビディアやインテルから前払いの形で資金を受領できることです。米半導体大手の成長に同社が欠かせない存在のひとつになっていると考えられます。

同社の2027年3月期第2四半期決算は10/29 (木)に発表される予定です。市場の2027年3月期業績予想 (Bloombergコンセンサス)では営業利益予想が1,222億円で会社予想 (1,270億円)を下回っています。会社予想のさらなる上方修正があれば素直にサプライズになりそうです。

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