半導体だけではない?11月に好決算発表・株価上昇期待の主力11銘柄

半導体だけではない?11月に好決算発表・株価上昇期待の主力11銘柄

投資情報部 鈴木英之

2026/10/30

お知らせ

半導体だけではない?11月に好決算発表・株価上昇期待の主力11銘柄

内外の株式市場に落ち着きを取り戻す動きが見られます。

相場を支える材料の一つは、AI関連需要への期待が企業業績によって裏付けられつつあることです。韓国のSKハイニックスの大幅増益 (2026年7~9月) を受け、米国ではマイクロン・テクノロジーなどに買いが入り、フィラデルフィア半導体株指数は10/28 (水) まで4営業日続伸しました。日本でもキオクシアホールディングス (285A) が反発に転じるなど、海外企業の決算を手掛かりに、関連企業の業績を見直す動きが広がっています。

米金融政策が市場の想定内に収まったことも、安心材料といえそうです。米連邦準備制度理事会(FRB)は米国時間10/28、政策金利の誘導目標を3.75~4.00%に据え置きました。ただし、声明ではインフレが依然として高いと指摘し、2人の委員が利上げを主張しています。したがって、金融引き締めへの警戒が解消したというより、予想外の政策変更を回避し、企業業績に目を向けやすくなったと考えられます。

米国の決算発表は、今のところ市場予想を上回る企業が多い点が特徴です。10/28付のロイター報道が紹介したLSEGの集計では、S&P500構成企業のうち発表済みの200社の84%が利益の市場予想を上回りました。7~9月期の指数全体の利益成長率は前年同期比31.8%増※と見込まれ、10/1時点の30.6%増から上昇しています。※この利益成長率には未発表企業の予想も含まれ、確定した実績ではありません。

日本企業についても、発表済みの決算からは、AI・データセンター関連需要が業績を支える姿が見えてきます。アドバンテスト (6857) は10/28、2027年3月期の会社予想純利益を6,600億円から7,415億円へ引き上げました。日立製作所 (6501) も、半導体製造・計測・検査装置やデータセンター関連、送電機器の需要などを背景に、2027年3月期の売上高と利益の予想を上方修正しています。これらは、関連需要の恩恵を半導体そのものだけでなく、検査装置や電力インフラまで広げて検討する手掛かりになります。

ただ、好決算がそのまま株価上昇につながるとは限りません。上記した日立製作所は10/29 (木) に前日比9.8%も下落。カプコン (9697) の2026年4~9月期営業利益は前年同期比54.5%増となりましたが、通期予想は据え置かれ、発表翌日の株価は下落しました。増益という結果に加え、投資家の期待に対して十分な内容だったか、今後の見通しに改善があるかが問われています。

今回の「日本株投資戦略」では、11/13 (金) までに決算発表を予定している3月決算銘柄 (広義の金融を除く) の中から、2026年4~9月の市場予想 (Bloombergコンセンサス) 純利益について、前年同期比で大幅増益が見込まれる銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行いました。短期的には、利益の実績・予想が市場予想を上回るか否かが重要です。しかし、中長期的な視点からは需要の拡大が実際の受注や販売につながっているか、売上高の増加に伴って利益率も改善しているか、そして会社の通期予想に上振れ余地があるかなどに注目したいと思います。

【銘柄一覧】半導体だけではない?11月に好決算発表・株価上昇期待の主力11銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価
(10/29・円)
決算発表予定日 2027年3月期上半期市場予想純増益率 (%)
5801 5801 5801 5801 古河電気工業 3,065 11/09 275.7
6963 6963 6963 6963 ローム 3,857 11/05 106.2
7267 7267 7267 7267 本田技研工業 1,763 11/10 103.1
7011 7011 7011 7011 三菱重工業 3,499 11/06 92.4
6976 6976 6976 6976 太陽誘電 9,231 11/05 89.9
6525 6525 6525 6525 KOKUSAI ELECTRIC 7,356 11/09 71.4
7733 7733 7733 7733 オリンパス 1,769 11/10 59.6
6098 6098 6098 6098 リクルートホールディングス 18,890 11/11 58.9
6479 6479 6479 6479 ミネベアミツミ 3,268 11/06 54.7
4523 4523 4523 4523 エーザイ 4,974 11/10 34.3
9024 9024 9024 9024 西武ホールディングス 3,568 11/12 29.0
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※「2027年3月期上半期市場予想純増益率 (%)」は2026年4~9月期における純利益の前年同期比増減率

    ★スクリーニング条件
    (1) 東証プライム市場上場企業 (広義の金融を除く)
    (2) 時価総額1兆円以上の3月決算銘柄
    (3) 11/2 (月) ~11/13 (金) に2027年3月期第2四半期の決算発表を予定
    (4) 予想EPSを公表するアナリストが3名以上
    (5) 2027年3月期市場予想 (Bloombergコンセンサス) 1株利益が過去4週間で上昇
    (6) 2028年3月期市場予想純利益が今期市場予想純利益に対し10%以上増益予想
    (7) 2027年3月期第1四半期 (2026年4~6月) の純利益が前年同期比10%以上の増益、または黒字転換
    (8) 2027年3月期第2四半期累計 (2026年4~9月) の市場予想純利益が前年同期比20%以上の増益
    (9) 取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く (空売り規制銘柄は除きません)

    上記図表は2027年3月期第2四半期累計 (2026年4~9月) の市場予想純利益の前年同期比増益率が高い順に掲載しています。

一部掲載銘柄を解説!

■KOKUSAI ELECTRIC (6525) ~NAND型フラッシュメモリなどの高積層化が追い風

◎バッチ成膜装置などに強みを持つ半導体製造装置メーカー

半導体製造装置と保守・改造などのサービスを手掛ける企業です。2018年に日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業を承継し、現在の社名となりました。半導体の性能を左右する薄膜の形成と、その膜質を改善する技術を軸に、世界の半導体メーカーへ装置を供給しています。

半導体製造の前工程は、シリコンウェーハ上に微細な回路をつくる工程です。薄膜を形成する「成膜」、回路パターンを転写する「露光」、不要な部分を削る「エッチング」などを繰り返します。成膜装置には複数の方式があり、同社は数十枚以上のウェーハを一括処理するバッチ式を得意としています。特に、原子層レベルで膜厚を制御するALD技術とバッチ処理を組み合わせ、複雑な形状にも均一な膜を形成しながら、高い生産性を確保できる点が強みです。成膜後にプラズマや熱で膜の品質を改善するトリートメント装置も展開しています。

主要取引先にはサムスン電子や台湾積体電路製造(TSMC)があります。2026年3月期の売上収益に占める割合は、それぞれ21.8%、13.4%でした。中国のDRAMメーカーであるCXMTも取引先※ですが、同年度の構成比は10%未満となり、個別の販売額は開示されていません。メモリーとロジックの両分野に顧客基盤を持つ一方、大手顧客の設備投資動向が業績を左右します。

※2025年3月期は売上高の20.4%がCXMT向けでした。

◎第1四半期決算発表時に通期予想を上方修正

成長の追い風は、DRAMの微細化やNAND型フラッシュメモリーの高積層化とみられます。構造が複雑になるほど、狭く深い溝や孔の内部まで均一に膜を形成し、品質を維持する技術が重要になります。同社はNAND向けで培ったバッチALDやトリートメント技術をDRAMにも展開しており、AI向けの広帯域メモリーであるHBMを構成するDRAMの製造でも採用が進んでいます。技術の世代交代は、新規装置に加え、既存装置の改造需要を生む機会にもなります。

2026年4~6月期の連結業績は、売上収益が前年同期比45.6%増の754億1,400万円、営業利益が同63.9%増の159億2,600万円でした。DRAMやロジック向けを中心とする装置販売とサービスの伸長が寄与しました。製品構成の変化で売上総利益率は前年同期を下回りましたが、増収効果により営業利益率は21.1%へ改善 (前年同期は18.8%) しました。

会社側は8/6 (木) 、2027年3月期予想を上方修正しました。売上収益は2,800億円から3,400億円 (前期比44.6%増) 、営業利益は545億円から794億円 (同89.8%増) へ引き上げました。顧客の設備投資拡大により、装置販売が従来想定を上回る見込みです。年間予想1株配当金も47円から65円へ増額し、前期の37円から大幅な増配を計画しています。調整後当期利益に対する配当性向は25%程度を目安としており、利益成長を株主還元につなげる方向です。今後は、先端メモリー向けの技術採用が、装置販売と利益の持続的な拡大に結び付くかが注目されます。



■リクルートホールディングス (6098) ~情報サービスからAIを活用した採用支援などに進化し成長軌道に

◎個人と企業を結ぶサービスを基盤にAIを活用した採用支援などに展開

1960年に大学新聞へ求人広告を掲載する事業から出発しました。その後、人材紹介・人材派遣に加え、住宅、旅行、美容、飲食などへ事業を拡大。2012年には持株会社体制へ移行するとともに、米国の求人情報サービスIndeedを買収し、2014年に東京証券取引所へ上場しました。個人と企業を結ぶ情報サービスを基盤に、現在はAIやデータを活用した採用支援、企業の業務効率化へと事業を進化させています。

現在の事業は3つのセグメントで構成されています。成長と利益の中心は「HRテクノロジー事業」です。Indeedなどのオンライン求人・採用サービスに加え、リクルートエージェントなどの国内人材紹介サービスを展開しています。国内人材領域は2025年4月に同事業へ移管されました。「人材派遣事業」は、リクルートスタッフィングやスタッフサービスグループなどを通じ、日本、欧州、米国、豪州でサービスを提供しています。「マーケティング・マッチング・テクノロジー(MMT)事業」は、SUUMO、Hot Pepper Beauty、じゃらんなどによる集客支援と、Airレジ、Airペイなどの業務支援サービスを担っています。

2026年4~6月期のセグメント別収益 (セグメント間の内部売上収益または振替高を含む) を見ると、HRテクノロジー事業の売上収益は前年同期比33.2%増の4,554億円 (億円未満は切り捨て) 、セグメント利益に相当するEBITDA+S※は同80.6%増の2,157億円でした。人材派遣事業は売上収益が同11.5%増の4,552億円、EBITDA+Sが同5.2%増の282億円、MMT事業は売上収益が同3.7%増の1,418億円、EBITDA+Sが同18.3%増の511億円です。売上規模ではHRテクノロジーと人材派遣が並びますが、利益面ではHRテクノロジーの存在感が際立ちます。

※EBITDA+Sは、営業利益に減価償却費の一部や株式報酬費用などを調整した会社独自の指標で、営業利益とは異なります。

◎米国事業での収益性維持が焦点

連結業績も好調です。2026年4~6月期の売上収益は前年同期比18.9%増の1兆453億円、営業利益は同66.1%増の2,554億円となりました。これを受け、8/7 (金) に2027年3月期の会社予想を上方修正しました。売上収益は4兆300億円から4兆2,300億円 (前期比14.4%増)へ、営業利益は7,870億円から9,450億円 (同49.9%増) へ引き上げています。HRテクノロジー事業の上振れが主因で、想定為替レートも1米ドル154円から159円へ見直しました。

注目されるのは、米国の採用需要が前年を下回るなかでも、HRテクノロジー事業の米国売上収益が米ドルベースで前年同期比30.0%増となった点です。会社は、AIを使った採用業務の自動化が顧客企業の時間短縮や生産性向上につながり、顧客数と単価の双方が伸びたと説明しています。したがって、足元の好業績は雇用市場の回復だけに依存したものではなく、サービスの付加価値向上と収益化の進展を伴っています。一方、会社自身も急速な単価上昇を踏まえ、顧客満足度を慎重に確認する姿勢を示しています。

株主還元では、2027年3月期の年間予想1株配当を前期比1円増の26円とする予想で、8月の決算発表時には変更していません。また、上限3,500億円・6,400万株の自社株買いを進めています。10/14 (水)付開示資料によると、取得期限を2026/11/30から2027/3/31へ延長しました。これは取得枠の増額ではなく、取得期間の延長です。10/14までの累計取得額は約1,781億円で、金額上限に対する進捗率は50.90%となっています。

堅調な業績を背景に株価も上昇基調です。背景にはAIによる採用支援の収益拡大と利益率改善への期待があると考えられます。11/11 (水) に予定される中間決算で、米国事業の顧客数・単価の伸びと高い収益性が続いているかが焦点です。年初来の株価上昇後だけに、増益の継続に加え、業績が市場の高まった期待に応えられるかを見極めたいところです。

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