アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~4-6月期決算に期待できる!?「直近のEPS修正がプラス」の銘柄群~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~4-6月期決算に期待できる!?「直近のEPS修正がプラス」の銘柄群~

投資情報部 榮 聡

2022/07/19

先週は諸々の悪材料で7/14(木)まで下落が続きましたが、7/15(金)には米国の6月小売売上高が堅調となったことを受けて反発しました。今週の株価材料として、4-6月期決算発表、原油価格の動向、などが注目されます。

今回は4-6月期決算の発表を迎えるにあたり、過去4週のEPS修正がプラスの銘柄から、アマゾン ドットコム(AMZN)マクドナルド(MCD)アップル(AAPL)テキサス インスツルメンツ(TXN)エクソン モービル(XOM)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

7/15(金)から7/18(月)の途中まで反発となっていましたが、「基準線」に頭を抑えられた形です。また、先週の安値は6月末前後の安値を下回り、「下値切り上げ」の形が維持できず、チャート形状の改善はなりませんでした。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率(7/18(月)終値のデータによります)

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
一般消費財・サービス 2.0% 7.0% -19.2%
情報技術 0.1% 5.5% -11.2%
エネルギー -0.3% -3.8% -13.3%
金融 -0.6% 2.7% -14.8%
S&P500 -0.6% 4.2% -12.8%
生活必需品 -0.7% 5.5% -8.2%
素材 -0.8% -3.1% -18.8%
資本財・サービス -1.1% 1.3% -13.3%
不動産 -1.5% 4.5% -16.5%
コミュニケーションサービス -1.6% 2.5% -15.9%
公益事業 -2.1% 6.8% -9.1%
ヘルスケア -2.4% 6.6% -7.1%
騰落率上位(5日) 騰落率
シティグループ 8.4%
ボーイング 7.8%
ネットフリックス 7.7%
クアルコム 7.1%
エヌビディア 6.3%
騰落率下位(5日) 騰落率
オールステート -8.1%
ロッキード・マーチン -7.6%
ダナハー -6.9%
サーモフィッシャーサイエンティフィック -6.7%
アルファベット -5.7%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で0.9%、NYダウは0.2%、ナスダック指数は1.6%の下落でした。

7/11(月)から7/14(木)までは、景気悪化とインフレ高進を示す諸々の悪材料を受けて4日続落となりました。

・7/11(月) 中国でオミクロン株の派生型「BA.5」が初めて発見されて大規模なPCR検査の実施が決まった

・7/12(火) ドイツの7月ZEW景況感指数が大幅に落ち込み欧州のリセッション懸念が高まった

・7/13(水) 6月消費者物価指数がヘッドライン、コア指数とも予想以上の上昇となった

・7/14(木) 6月生産者物価指数も予想以上の上昇となり、大手銀行決算が市場予想を下回った

一方、7/15(金)には米国の6月小売売上高が前月比1.0%増と予想を上回り、シティグループの決算が市場予想を上回って、市場心理が改善、大幅な反発につながりました。また、7/14(木)にFRBのウォラー理事が基本的には0.75%ポイントの利上げを支持するとして、1%ポイントの利上げを懸念していた市場の安心材料になり、反発の機運が生まれていたとみられます。

業種指数では、アマゾン、テスラの上昇が寄与した「一般消費財・サービス」が上昇しました。一方、これまで相対的に堅調だったディフェンシブの「ヘルスケア」と「公益事業」が利食われています。個別銘柄では、ボーイング(BA)の上昇が目立ちました。6月の民間航空機の納入機数が51機と3年ぶりの水準に回復、7/18(月)にはデルタ航空から「737MAX」100機の確定受注が入ったと発表されました。

経済指標では、6月消費者物価指数が前年比9.1%増(市場予想は同8.8%増)、同コア指数が同5.9%増(市場予想は同5.7%増)、生産者物価指数が同11.3%増(市場予想は同10.7%増)と、いずれも市場予想を上回りました。FRBの積極的な利上げ姿勢をサポートするデータで相場のマイナス材料になりました。

ただし、物価指標が上振れた主因はエネルギー価格であり、原油価格は6月から7月にかけて下落しているため、7月の数字は6月よりも低下する可能性が高く、物価指標の上振れの割には相場を押し下げる程度は限定されたとみられます。

今週の米国株式市場

先週の米国市場は直近の高値を上回れず、また、直近の安値を下回る場面もあり、期待していたS&P500指数のチャート形状の改善は実現しませんでした。引き続き不安定な相場が続きやすいと考えられます。

なお、7/18(月)の米国市場は、市場予想を上回ったゴールドマンサックスおよびバンクオブアメリカの決算、米国の消費者はまだ健全とのバンクオブアメリカCEOの発言を受けて上昇して始まりました。しかし、Bloombergが「アップルは来年、一部の部門で採用と支出のペースを落とす計画」と報じて下落に転じました。

今週の株価材料として、4-6月期決算発表、原油価格の動向、などが注目されます。

先週から始まった4-6月期の決算発表は、7/18(月)までに発表の23銘柄のうち16銘柄のEPSが市場予想を上回りました。予想を上回った比率は70%で、FactSetによれば過去1年の平均は81%、過去5年の平均は77%ですので、やや低めで始まっています。

S&P500指数採用銘柄のEPSは全体では前年同期比4.2%増の予想ですが、この増益には「エネルギー」の寄与が大きく(前年同期比3.6倍の予想)、「エネルギー」を除くと、「金融」や「一般消費財・サービス」が足を引っ張って減益予想となっています(FactSet社の集計、7/15(金)時点)。

4-6月期は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響、インフレ高進、ドル高による売上の目減り、前年同期にパンデミックからの回復が強まったなど、業績比較を押し下げる要因が多く発生しています。様々な要因が錯綜して、全体としてどのように出てくるか予想が難しい、また、その結果に対する相場の反応が読みにくいという意味で、近年にない緊張感を伴う決算発表と言えます。

原油価格については、米国の消費者物価指数(CPI)に対する影響の大きさから、引き続き重要でしょう。予想以上の上昇となった6月CPIに対して株式市場の反応がマイルドだったのは、足もとの原油価格が下落していたためと考えられます。一方、7/18(月)に大きく上昇したのは、バイデン大統領の中東歴訪が原油増産につながらなかったという評価のためとされます。トレンドの変化につながらないか注意が必要でしょう。

経済指標では、7/19(火)に米国の6月住宅着工件数(前月比2.0%増の予想)、同6月住宅建設許可件数(前月比2.7%減の予想)、7/20(水)に米国の6月中古住宅販売件数(前月比0.9%減の予想)、などの発表が予定されています。

主要企業では、IBM、ジョンソン&ジョンソン、ネットフリックス、テスラ、ASMLホールディングス、AT&T、インテル、などが予定されています。産業景気の動向やドル高による売上目減りに対する市場の反応などが注目されます。

今週の5銘柄

4-6月期決算の発表を迎えるにあたり、堅調な業績となる期待が高そうなものをご紹介いたします。S&P100指数採用銘柄を対象に、過去4週の予想EPS修正率が大きいものを、図表3にピックアップしました。

1-3月期の決算発表を受けて過去3ヵ月に予想EPSが大幅に下方修正されたものも散見されますが、ほぼ3ヵ月が経過して前回の決算発表を受けたネガティブ材料は織り込みが進んでいると想定します。

抽出された銘柄群から投資環境や業界の動きなどを勘案して、アマゾン ドットコム(AMZN)、マクドナルド(MCD)、アップル(AAPL)、テキサス インスツルメンツ(TXN)、エクソン モービル(XOM)を選んでご紹介いたします。

図表3 過去1ヵ月のEPS修正が大きい銘柄(S&P100指数採用銘柄対象)

コード 銘柄名 株価
(7/13)
(ドル)
予想PER
(倍)
EPS修正率
(4週)
(%)
EPS修正率
(3ヵ月)
(%)
目標株価
(ドル)
XOM エクソンモービル 84.84 7.1 12.1 32.9 102.90
AMZN アマゾン・ドット・コム 110.40 38.5 9.2 -33.7 173.23
SO サザン 71.20 19.7 5.4 -2.9 72.61
F フォード・モーター 11.51 5.7 3.3 -3.5 17.03
CHTR チャーター・コミュニケーションズ 465.64 14.6 2.1 2.8 593.27
TXN テキサス・インスツルメンツ 154.29 17.6 1.7 -7.0 181.64
BKNG ブッキング・ホールディングス 1738.03 16.8 1.5 -7.6 2,641.48
CVX シェブロン 137.99 7.4 1.4 11.0 177.08
MCD マクドナルド 252.67 25.5 1.3 -0.4 276.19
TGT ターゲット 145.44 14.9 1.2 -76.9 182.71
AAPL アップル 145.49 23.7 1.1 -6.2 181.66
GILD ギリアド・サイエンシズ 62.46 10.4 1.1 -4.2 70.09

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

買付 チャート 銘柄 株価
(7/18)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートアマゾン ドットコム(AMZN)113.76ドル59.3

【業績不振の織り込みが進んだ可能性】

・1-3月期の決算発表を受けて通期の予想EPSは33.7%と大幅に下方修正されましたが、過去4週では9.2%の上方修正となっています。パンデミックからの反動による業績不振はかなり株価に織り込みが進んだとみられ、見直し買いとなる可能性もあると考えられます。

・7/12(火)~13(水)のプライムデーでは商品3億点を販売して、過去最大のイベントになったと報告されています。インフレ環境下でバリューを求める消費者の動きが同社の業績悪化を緩和する期待があるでしょう。4-6月期決算の発表は7/28(木)の予定で、売上は前年同期比6%増、EPSは同78%減が予想されています。

買付チャートマクドナルド(MCD)252.42ドル25.7

【経済再開の恩恵が期待される】

・同社の今期予想EPSは、今年1月からオミクロン株の感染拡大、ロシア事業の売却などを受けて5月までは下方修正基調で推移しました。しかし、6月からは中国のロックダウンの解除などを受けて上方修正基調に変化しています。

・1-3月期の既存店売上はグローバルで前年同期比11.8%増、うち米国が同3.5%増、インターナショナル・オペレイテッド・マーケッツが同20.4%増、インターナショナル・デベロップメンタル・ライセンスト・マーケッツが同14.7%増といずれも好調でした。4-6月期の決算発表は7/25(月)の予定で、売上は前年同期比1%減、EPSは同4%増が予想されています。

買付チャートアップル(AAPL)147.07ドル22.7

【スマホ市場鈍化の影響は受けにくい】

・アジアのハードウェア関連メーカーからスマホ市場の鈍化が伝えられているため、同社の売上に対しても警戒感があります。一方、同社の増収は製品の更新サイクルや18億個の稼働デバイスに対するサービスの展開によるところが大きいため、スマホ市場全体の鈍化をそのまま受けるわけではないとの期待もあります。

・4-6月期の売上増加率は、1-3月期の前年同期比9%増から同1%増への鈍化が予想されています。サプライチェーンの制約から売上に80億ドルの影響が出るとのガイダンスが織り込まれています。4-6月期の決算発表は7/28(木)の予定で、売上は前年同期比1%増、EPSは同12%増が予想されています。

買付チャートテキサス インスツルメンツ(TXN)159.67ドル17.8

【同社の半導体需要は相対的に堅調】

・1-3月期決算発表では、中国でのロックダウンの影響を織り込んで、4-6月期の売上・EPSガイダンスが市場予想を5%下回り、これが通期EPSの下方修正につながりました。一方、半導体の需要拡大トレンドが続く自動車および産業向けが同社売上の60%以上を占めるため、業界の中では相対的に堅調な売上を記録する可能性が高いと考えられます。

・アナログ半導体で22%のトップシェアと先進的な生産能力の拡大が競争力の源泉になると考えられます。4-6月期決算の発表は7/26(火)の予定で、売上は前年同期比1%減、EPSは同6%増が予想されています。

買付チャートエクソン モービル(XOM)86.10ドル7.7

【原油価格の上昇を受けて上方修正基調】

・原油価格の上昇基調が6月上旬まで続いてきたため、過去3ヵ月、4週とも予想EPSの上方修正が続きました。ただし、原油価格は6月半ばからは大きく下落したため、現水準が継続、あるいは、さらに下落が続くようだと今後は下方修正に転じる可能性はあるでしょう。

・ただし、エネルギー企業の株価は原油価格を見て動いているため、EPSが下方修正になるにしても、相場には織り込まれている可能性が高いでしょう。4-6月期の決算発表は7/29(金)の予定で、売上は前年同期比47%増、EPSは同213%増が予想されています。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、アップルが2023年9月期、その他は2022年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
18(月) ・米NAHB住宅市場指数(7月) IBM、バンクオブアメリカ、ゴールドマンサックス
19(火) ・米住宅着工・建設許可件数(6月) ジョンソン&ジョンソンネットフリックス、ロッキードマーチン
ハリバートン
20(水) ・米中古住宅販売件数(6月) テスラ、ASMLホールディングス、アボットラボラトリーズ
ユナイテッドエアラインズ、バイオジェン
21(木) ・日銀金融政策
・ECB主要政策金利

・フィラデルフィア連銀製造業景気指数(7月)
・米新規失業保険申請件数(7月16に終わる週)
AT&T、ダウ、アメリカン航空
22(金) ・auじぶん銀行日本製造業PMI(7月)
・S&Pグローバルユーロ圏製造業PMI(7月)
・S&Pグローバル米国製造業PMI(7月)
ベライゾンコミュニケーションズツイッター
フィリップモリスインターナショナルアメリカンエキスプレス
25(月) ・ドイツIFO企業景況感(7月)
・シカゴ連銀全米活動指数(6月)
 
26(火) ・S&Pコアロジック住宅価格指数(5月)
・米コンファレンスボード消費者信頼感指数(7月)
・米新築住宅販売件数(6月)
マイクロソフトアルファベットコカ・コーラ3Mビザ
マクドナルドゼネラルモーターズ、ムーディーズ
レイセオンテクノロジーズ、テキサスインスツルメンツ
27(水) ・中国工業部門利益(6月)
・米耐久財受注(6月)
・米中古住宅販売成約(6月)

メタプラットフォームズボーイング
ブリティッシュアメリカンタバコ
、クアルコム
ヒルトンワールドワイド、サービスナウ、TEコネクティビティ
28(木) ・FOMC政策金利
・ユーロ圏景況感(7月)
・米実質GDP(4-6月期)
・米新規失業保険申請件数(7月23日に終わる週)
アップルアマゾンドットコムインテルファイザーメルク
アンテロリソーシズ、ブラジル石油公社、マスターカード、サザン
29(金) ・日本鉱工業生産(6月)
・ユーロ圏消費者物価指数(6月)
・ユーロ圏実質GDP(4-6月期)
・米個人所得・個人支出(6月)
・米個人消費支出物価指数(6月)

・米ミシガン大学消費者マインド(7月、確報値)
アッヴィアルトリアグループP&Gエクソンモービル
シェブロン、サウスウェスタンエナジー

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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