アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~アマゾン、マイクロソフト、アップルほか好決算銘柄~

投資情報部 榮 聡

2022/08/01

先週はFOMC会見で今後の利上げペースが鈍化する可能性が示唆されて大幅高となりました。GAFAMの決算は必ずしも好調とは言えませんが、改善を示唆する要素を前向きに評価する流れとなりました。今週の株価材料として、米国の経済指標、4-6月期決算、PERの妥当水準に関する議論、などが注目されます。

今回は先週決算を発表したGAFAMの5銘柄およびその他の好決算銘柄から、マイクロソフト(MSFT)アマゾン ドットコム(AMZN)アップル(AAPL)テキサス インスツルメンツ(TXN)エンフェーズ エナジー(ENPH)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

FOMC会見で利上げスピードの緩和が示唆されたことを受けて、一気に「雲」を突き抜けました。上昇一服後も「雲」の上限で下値支持されるか注目です。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
エネルギー 10.3% 8.1% 4.6%
公益事業 6.5% 2.8% 3.8%
資本財・サービス 5.7% 8.5% 0.5%
一般消費財・サービス 5.5% 16.6% 0.7%
情報技術 5.1% 13.2% 1.8%
不動産 4.9% 6.5% -4.8%
S&P500 4.3% 8.0% 0.0%
素材 4.1% 5.4% -8.0%
金融 2.9% 5.5% -2.4%
コミュニケーションサービス 2.5% 2.8% -2.8%
ヘルスケア 2.0% 1.9% 1.5%
生活必需品 1.6% 1.7% -4.6%
騰落率上位(5日) 騰落率
フォード・モーター 14.6%
シェブロン 13.6%
エクソンモービル 11.3%
キャタピラー 11.0%
コノコフィリップス 10.6%
騰落率下位(5日) 騰落率
コムキャスト -11.9%
チャーター・コミュニケーションズ -11.0%
インテル -7.4%
メタ・プラットフォームズ -6.0%
クアルコム -5.6%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で4.3%、NYダウは3.0%、ナスダック指数は4.7%の大幅な上昇となりました。

ウォルマートが通期の利益見通しを引き下げて、消費者の経済状況に懸念が高まった7/26(火)までは軟調に推移しました。しかし、7/27(水)のFOMC会見で9月以降の利上げペースが鈍化する可能性が示唆されて、相場の流れが変わりました。FRBの利上げ姿勢の緩和、米10年国債利回りの低下によって、株式市場には「妥当PERの上昇圧力」が生じたと解釈されます。

7/28(木)には米国の4-6月期実質GDPが前期比年率0.9%減と2四半期連続のマイナスで「テクニカルリセッション」となりましたが、FRBの利上げスタンス緩和につながるとして株式は大幅続伸、7/29(金)もこの流れが継続しました。

注目されたGAFAMの決算は、図表4の通り市場予想を下回るもののほうが多く、必ずしも好調とは言えないものでした。しかし、企業業績に対する市場の警戒感が高まっていたため、先行きに改善を示唆する要素があれば、これを積極的に前向きに評価する流れとなり、相場を押し上げました。

業種指数では、全11業種がプラスで、エクソンモービル、シェブロンとも好決算となった「エネルギー」がトップ、米10年国債利回りの低下がポジティブに効いた「公益事業」が2位でした。個別銘柄では、フォード モーター(F)の上昇が目立ちました。価格の引き上げで北米売上が前年同期比94%増、市場予想を13%上回り、全体で前年同期比50%の増収、調整後EPSは同5.2倍でした。通期のEBIT見通しは前年比15~25%増で維持されました。

経済指標では、米国の4-6月期実質GDPが前期比年率0.9%減と、市場予想の同0.5%増を大幅に下回りました。主要項目では、住宅投資が前期比年率14.0%減と足を引っ張ったほか、在庫投資もマイナスに寄与しました。消費は同1.0%増と1-3月期の同1.8%増から低下するもプラスが維持されました。財の消費が同4.4%減と落ち込む一方、サービス消費が同4.1%増となってカバーしています。

堅調な消費や雇用市場の強さから考えて「テクニカルリセッション」であって、実質的な「リセッション」に陥っているとの見方は少ないものの、成長の鈍化が続いていることは間違いないようです。

今週の米国株式市場

先々週からの相場上昇には、以下2つの力が働いているとみられます。(1)一つは景気減速によるEPSの下方修正を受けた株価下落圧力、(2)もう一つは、FRBによる利上げの緩和と米10年国債利回りの低下を受けたPERの上昇圧力です。(1)の下落圧力よりも(2)の上昇圧力のほうが大きいために相場は上昇したと解釈できます。

EPSの下方修正は図表3の通りで、2022年予想、2023年予想とも明確な下方修正となっています。今後も下方修正が続くとみられますが、この程度の下方修正ペースであれば、2021年から2022年、2022年から2023年にかけての増益は確保され、さほど怖くないとの判断がなされているとみられます。

今週の株価材料として、米国の経済指標、4-6月期決算、PERの妥当水準に関する議論、などが注目されます。

経済指標は、8/1(月)に米国の7月ISM製造業景気指数(前月の53.0から52.0に悪化の予想)、8/3(水)に7月ISM非製造業景気指数(前月の55.3から53.7に悪化の予想)、8/5(金)に米国の7月非農業部門雇用者数(前月比25.0万人増の予想)、が予定されています。企業景況感は前月から悪化、非農業部門雇用者数の増加は鈍化が見込まれています。

市場予想程度の悪化、鈍化であればFRBの利上げを抑える方向に作用して相場支援的と考えられるでしょう。一方、予想以上の大幅な悪化となると、冒頭の(1)の圧力のほうが大きくなる可能性には注意が必要でしょう。

4-6月期決算は質的には先週がピークでしたが、今週も多くの企業決算が発表されます。AMD、ペイパルホールディングス、キャタピラー、アムジェン、スターバックス、モデルナ、ワーナーブラザースディスカバリー、アリババグループ、イーライリリー、などの発表が予定されています。

S&P500指数の予想PERは、7/29(金)終値4,130.29ポイントで2022年予想で18.2倍、2023年予想で16.9倍まで回復しました。景気減速とEPSの下方修正が進行中の投資環境下で、妥当なPER水準はどれくらいか、議論がありそうです。15~19倍が中心レンジとなっています。投資環境が万全でないことを考えると、レンジの下半分(つまり、15~17倍)で推移する可能性が高そうです。

経済指標では上記のほか、8/3(水)に米国の6月製造業受注(前月比1.0%増の予想)、8/5(金)に米国の7月雇用統計の平均時給(前年比4.9%増の予想、前月は5.1%増)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

先週決算を発表したGAFAMの5銘柄および7/22(金)~7/28(木)に4-6月期決算を発表したS&P500指数採用銘柄について、好決算と考えられる銘柄を図表4に抽出しました。

GAFAMからは、マイクロソフト(MSFT)アマゾン ドットコム(AMZN)アップル(AAPL)、その他の好決算銘柄からはテキサス インスツルメンツ(TXN)エンフェーズ エナジー(ENPH)を選んでご紹介いたします。

図表3 S&P500指数の予想EPS

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 GAFAMの決算と先週の好決算銘柄(S&P500指数採用銘柄を対象、データは7/28(木)時点)

銘柄(コード) 事前予想比サプライズ 前年同期比成長率 株価騰落率
(5日)
(%)
株価騰落率
(1ヵ月)
(%)
売上増加率
(%)
EPS増加率
(%)
売上増加率
(%)
EPS増加率
(%)
GAFAM
マイクロソフト(MSFT) -1.1 -3.0 12.4 2.8 4.4 6.2
アマゾン ドットコム(AMZN) 1.4 -31.5 7.2 -86.4 -1.9 12.3
アルファベット A(GOOGL) -1.0 -8.3 12.8 -1.8 -0.1 2.3
アップル(AAPL) 0.2 3.6 1.9 -7.7 1.3 13.0
メタ プラットフォームズ A(META) -0.4 -3.1 -0.9 -31.9 -12.3 -2.0
その他好決算銘柄
テキサス インスツルメンツ(TXN) 14.6 15.8 13.8 23.1 5.5 15.0
フォード モーター(F) 15.6 52.0 50.0 423.1 7.7 21.5
コカ-コーラ(KO) 5.8 4.4 11.6 2.9 4.4 2.1
アンフェノール A(APH) 6.7 11.1 18.2 23.0 9.7 19.2
エンフェーズ エナジー(ENPH) 4.8 25.8 67.8 101.9 24.8 48.5
ビザ A(V) 3.0 12.9 19.1 32.9 -2.2 5.9
シュルンベルジェ(SLB) 7.8 25.0 20.2 66.7 6.2 -1.3
ケイデンス デザイン システムズ(CDNS) 2.5 11.2 17.8 25.6 8.8 21.7
ヒルトン ワールドワイド ホールディングス(HLT) 5.7 23.3 68.6 130.4 4.9 13.2
ユナイテッド レンタルズ(URI) 2.7 22.1 21.2 68.7 8.9 26.4
マスターカード A(MA) 4.2 8.1 21.4 31.3 1.6 9.3
サーモ フィッシャー サイエンティフィック(TMO) 10.0 9.4 18.3 -1.6 3.9 11.5
メルク(MRK) 5.3 10.3 28.0 42.8 -0.2 -2.8
マーチン マリエッタ マテリアルズ(MLM) 5.8 5.4 19.2 3.9 4.2 14.4

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

買付 チャート 銘柄 株価
(7/29)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートマイクロソフト(MSFT)280.74ドル27.3

【今期も2桁増収・増益に自信】

・4-6月期決算は市場予想を下回って低調でした。ドル高、景気減速に加え、サプライチェーン問題の逆風もあって業績の伸びは鈍化しつつあります。しかし、2023年6月期について、前年比2桁の増収・増益を見込むとしたことから、市場には安心感が広がりました。

・成長をけん引するクラウドサービスは、「Azure」その他の売上が4-6月期は前年同期比40%増(為替の影響を除くベースで同46%増)と高い伸びが維持されています。会社は「企業がIT投資においてクラウド化を推し進めている。今回の事業年度でアジュールはより大規模かつ長期的な契約、特に1~10億ドルを上回るような大型案件は記録的な数を獲得した。」として先行きに自信を示しています。

買付チャートアマゾン ドットコム(AMZN)134.95ドル87.1

【売上成長率が改善の見込み】

・売上成長率は4-6月期実績の前年同期比7%増から7-9月期は同11~15%増に改善のガイダンスとなったことが好感されて、決算発表を受けた7/29(金)の株価は10.4%の上昇となりました。利益は実績・ガイダンスとも市場予想を下回りましたが、売上成長の鈍化が5四半期続いてきたため、加速への転換が重視されたとみられます。クラウドサービスのAWS売上は前年同期比33%増と高い伸びが維持されています。

・7-9月期の売上は、市場予想の1,269.7億ドルに対して1,250~1,300億ドル、営業利益は市場予想の38.3億ドルに対して0~35.0億ドルでした。7/12(火)~13(水)のプライムデーでは商品3億点を販売して、過去最大のイベントになったと報告されています。インフレ環境下でバリューを求める消費者の動きが同社の業績悪化を緩和する期待があるでしょう。

買付チャートアップル(AAPL)162.51ドル25.2

【7-9月期の増収率は拡大へ】

・4-6月期はサプライチェーンの制約から売上は前年同期比2%増まで低下しましたが、売上・EPSとも市場予想を若干上回りました。7-9月期については、同社事業を取り巻く環境は引き続き不透明感に覆われているため、売上見通しの発表は控えられました。しかし、7-9月期は4-6月期を上回る売上成長を維持できると見ており、粗利益率は41.5~42.5%と予想しています。

・アジアのハードウェア関連メーカーからスマホ市場の鈍化が伝えられているため、同社の売上に対しても引き続き警戒感があります。一方、同社の増収は製品の更新サイクルや18億個の稼働デバイスに対するサービスの展開によるところが大きいため、スマホ市場全体の鈍化と平行して売上が推移するわけではないとの期待があります。

買付チャートテキサス インスツルメンツ(TXN)178.89ドル18.8

【同社の半導体需要は相対的に堅調】

・同社が1-3月期の決算発表時に出したガイダンスは中国の新型コロナによるロックダウンの影響をきつく見積もり過ぎていたため、4-6月期実績は市場予想を大幅に上回る結果となりました。7-9月期の売上ガイダンスは、49~53億ドル(前年比6~14%増)と、市場予想の46.5億ドルを大幅に上回りました。

・エンド市場の需要動向は家電向けに弱さがみられるものの、同社売上の60%を占める自動車および産業向けは堅調に推移しています。景気減速の環境下でも半導体業界の中では相対的に堅調な売上を記録する可能性が高いと考えられます。アナログ半導体で22%のトップシェアを保有し、先進的な生産能力の拡大を行っていることが競争力の源泉になると考えられます。

買付チャートエンフェーズ エナジー(ENPH)284.18ドル72.1

【太陽光発電の需要拡大から恩恵】

・原油価格の上昇やロシアからの調達減少懸念から太陽光発電の需要が拡大しており、その恩恵を受けています。4-6月期売上は前年同期比68%増で、1-3月期比でも同20%増と伸びが加速しています。米国市場、海外市場とも市場予想を上回る売上を記録しました。

・同社は2006年にカリフォルニアで創業した家庭用の太陽光発電向けに直流を交流に変換するマイクロ・インバータを主力製品とする企業です。マイクロ・インバータは、小型化することで個々の太陽光パネルの裏に取り付けることができるインバータで、従来の複数の太陽光パネルを束ねて一つのインバータで変換する方式に比べて発電パフォーマンスを効率化できるものです。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、マイクロソフトが2023年6月期、アップルが2023年9月期、その他は2022年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
8月
1(月)
・財新中国製造業PMI(7月)
・ISM製造業景気指数(7月)
 
2(火) ・米求人労働異動調査(6月)
・米自動車販売台数(6月、3日までに発表)
アドバンストマイクロデバイセズペイパルホールディングス
オキシデンタルペトロリアム、キャタピラー、スターバックス
3(水) ・「OPECプラス」の閣僚級会合
・米製造業受注(6月)
・ISM非製造業景気指数(7月)
モデルナ、キャロンペトロリアム、アルベマール
4(木) ・米チャレンジャー人員削減数(7月)
・米貿易統計(6月)
・米新規失業保険申請件数(7月30日に終わる週)
ワーナーブラザースディスカバリーアリババグループ
ビヨンドミート
ロイヤルティファーマバージンギャランティック
ブロック
、ユーロナブ、イーライリリー、サウスウェスタンエナジー
5(金) ・米雇用統計(7月)  
8(月)   パランティアテクノロジーズ、パイオニアナチュラルリソーシズ
アップスタートホールディングス
9(火) ・日本工作機械受注(7月)
・中国資金調達総額(7月、15日までに発表)
・NFIB中小企業楽観指数(7月)
ユニティソフトウェアコインベースグローバル
10(水) ・中国生産者・消費者物価指数(7月)
・米消費者物価指数(7月)
ウォルトディズニーマルケタ
11(木) ・米生産者物価指数(7月)
・米新規失業保険申請件数(8月6日に終わる週)
リビアンオートモーティブニオ
12(金) ・米鉱工業生産(6月)
・米ミシガン大学消費者信頼感指数(8月、速報値)
 

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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