【アメリカNOW!】バーティブ、イーライリリィ、アンフェノールなど先週の好決算銘柄

【アメリカNOW!】バーティブ、イーライリリィ、アンフェノールなど先週の好決算銘柄

投資情報部 榮 聡

2026/11/02

先週の米国株式市場は、アンソロピックの上場申請書公表を受けてAI・半導体株に楽観が広がる場面がありましたが、週後半にはテクノロジー大手の決算発表が市場センチメントを急速に悪化させ、週間で下落となりました。今週の株価材料として、米中間選挙、7-9月期決算発表、中東情勢が注目されます。

今回は先週に四半期決算を発表した銘柄から、バーティブ・ホールディングス(VRT)、イーライ リリィ(LLY)、アンフェノール A(APH)、SKハイニックス ADR(SKHY)、マイクロソフト(MSFT)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

「雲」の上限から一旦は反発したものの、大手テクノロジーの決算を受けて週央より急反落となり、「雲」の下限に到達しています。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
ヘルスケア 3.1% 11.2% 13.8%
素材 2.0% 5.9% 4.9%
公益事業 2.0% 9.0% -2.0%
資本財・サービス 1.7% -1.5% -6.8%
生活必需品 1.6% 11.5% 6.6%
不動産 1.3% 5.2% -4.0%
金融 1.1% 5.6% -0.7%
エネルギー 1.0% 11.6% 18.0%
一般消費財・サービス 1.0% 2.7% -2.3%
S&P500 -0.6% -1.8% 1.2%
情報技術 -1.8% -8.5% 3.3%
コミュニケーションサービス -8.5% -14.9% -12.7%
騰落率上位(5日) 騰落率
ゼネラル・モーターズ 15.1%
イーライリリー 11.3%
ギリアド・サイエンシズ 9.4%
テスラ 7.4%
ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS) 7.1%
騰落率下位(5日) 騰落率
サービスナウ -33.9%
インテル -24.4%
アルファベット -12.6%
キャタピラー -9.4%
ボーイング -8.9%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で0.6%、ダウ平均は0.9%、ナスダック指数は2.0%の下落でした。

週初に公表されたアンソロピックの上場申請書がAI・半導体株に対する楽観を刺激したうえ、10/28(水)のSKハイニックス決算が好感されて、テクノロジー株主導で上昇しました。

一方、週後半には、アルファベット、インテルなど、決算発表を受けて急落するテクノロジー株が市場センチメントを悪化させました。また、米中間選挙後に計画されている米国によるイラン攻撃が意識されて原油のWTI先物価格が104ドル台まで上昇したことも市場の押し下げ要因となりました。

経済指標では、7-9月期実質GDPが前期比年率+3.4%と市場予想の同+3.2%を上回りました。個人消費と企業の設備投資がけん引して、米国経済の堅調さが示されました。

業種指数では、11業種中9業種が上昇して、テクノロジー株からその他業種への資金シフトが見られます。騰落率トップのヘルスケアは、イーライリリィなど大手医薬品の上昇がリードして、3週連続で最高値を更新しています。一方、アルファベットが下落したコミュニケーションサービス、半導体株が下落した情報技術などが下落しました。

今週の米国株式市場

ここまでの7-9月期決算発表では、AI・半導体株関連の好決算が続いていますが、株価の反応はまちまちです。ハイパースケーラーなどテクノロジー大手は決算自体が好悪まちまちで、良いのが当たり前だったここ数四半期に比べてやや低調な印象です。

先週相場下落に寄与したのは、アルファベットとインテルの決算ですが、いずれもAI・半導体相場を根底から否定するものではなく、回復の望みはつないでいると見られます。

インテルについては、PC需要が少なくとも2027年半ばまで低迷する見通しとしたことが株価の急落につながりました。PC需要は、ウィンドウズ10のサポート終了、新型コロナを契機とするPCの更新需要の波に加え、半導体メモリーの価格上昇が影響しており、AI需要の弱さを示唆するものではありません。

アルファベットに関しては、ネット検索事業を生成AIの利用拡大から守るために「AIによる概要」などでAI対応したことが、広告収入につながりにくくなっている可能性が指摘されています。「AI導入が収益改善につながっていない」とは言えますが、同社に限定される個別の現象と考えられます。

同社のクラウドサービスは、AI半導体のTPUを擁することが強みになっていると見られ、7-9月期売上は前年同期比103%増で市場予想を6%上回って好調でした。

今週の株価材料として、米中間選挙、7-9月期決算発表、中東情勢が注目されます。なお、米国の夏時間が終了して、今週から米国市場の取引時間は、日本時間で23時30分から翌6時00分になります。

米中間選挙は、11/3(火)が投票日です。トランプ大統領に対する低支持率を受けて、下院では民主党が過半を獲得するとの見方が優勢で、上院も民主党過半になるかが注目されています。上院も民主党となると、データセンター建設にマイナスの影響が出る可能性があるため、注意が必要でしょう。

7-9月期決算発表は、テクノロジー企業ではアップル、パランティアテクノロジーズ、AMD、アリスタネットワークス、アーム、ルメンタムなど、テクノロジー以外ではファイザー、マクドナルドなどが予定されています。

S&P500指数採用銘柄の60%が発表を終わった段階で、同銘柄のEPS(既発表銘柄の実績と未発表銘柄の予想の混合)は前年同期比30.2%増と、企業業績は好調を維持しています。

中東情勢では、米国が中間選挙後にイランへの「短期猛攻撃」を計画しているとされ、実行されるのか注目です。また、イエメンのフーシ派によるサウジアラビアに対する攻撃も継続しています。

経済指標では、11/2(月)に10月ISM製造業景気指数(前月の54.5から横ばいの予想)、11/3(火)に9月製造業受注(前月比+1.2%の予想)、11/4(水)に米国のADP雇用統計(前月比6.7万人の予想)、10月ISM非製造業景気指数(前月の54.9から54.8に悪化の予想)、11/6(金)に10月雇用統計(非農業部門雇用者数は前月比6.4万人増の予想)、11月ミシガン大学消費者信頼感速報値(前月の48.0から横ばいの予想)などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は先週に好決算を発表して、株価の反応も悪くなかったと考えられる銘柄から、バーティブ・ホールディングス(VRT)、イーライ リリィ(LLY)、アンフェノール A(APH)、SKハイニックス ADR(SKHY)、マイクロソフト(MSFT)を選んでご紹介いたします。

図表3に先週の好決算銘柄(株価の反応も考慮しています)を抽出しています。SKハイニックスはS&P500指数に含まれませんが、米国上場であり、半導体株相場に大きな影響を与えているため、特別に選んでいます。

好決算銘柄の特徴として、株価の反応は好悪まちまちでしたが、AIインフラ関連銘柄の好決算が目立ちました。大手の医薬品銘柄も好決算銘柄の一群としてあげられます。また、先週号で言及した防衛関連も好調が目立ちます。

図表3 好決算銘柄の決算概要(S&P500指数採用銘柄、売上の市場予想比が大きい順)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 今週の5銘柄の投資指標

注:予想PERは今期予想EPSに基づいて計算しています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(10/30)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートバーティブ・ホールディングス(VRT)232.50ドル24.1

【受注のオーガニック成長が100%以上】

・データセンターの無停電電源装置や冷却装置を手掛ける会社です。受注のオーガニック成長率は、前年同期比100%超だとして、売上の伸びを大きく上回り、2027年業績の見通しに関するリスクが低下したと考えられます。

・7-9月期決算は、売上のオーガニック成長が前年同期比約55%、調整後営業利益率が25.2%に達し、いずれも市場予想を上回りました。通期の売上ガイダンス中央値を140.0億ドルから146.5億ドルに引き上げました。

買付チャートイーライ リリィ(LLY)1,417.54ドル28.6

【糖尿病治療薬、肥満治療薬が好調】

・7-9月期決算では、売上の44%を占める糖尿病治療薬の「マンジャロ」が前年同期比65%増、同22%を占める肥満治療薬の「ゼップバウンド」が同49%増となって、業績をけん引しました。業績好調を受けて、通期の売上ガイダンスを850~870億ドルから910~920億ドルに引き上げました。

・注目の経口肥満治療薬「ファウンダヨ」の売上は1.8億ドルで市場予想を20%下回りました。しかし、薬に体をならすために、開始用量が維持用量より小さいことについて、市場予想を作るアナリストらが十分に考慮していなかった可能性があるという指摘があります。

買付チャートアンフェノール A(APH)79.30ドル22.1

【AIデータセンター投資の恩恵を受ける】

・電子部品のコネクターで世界的大手です。データセンター投資の拡大の恩恵を受けて売上の高い成長が継続しています。機器間を接続する需要の増加に加え、光通信の増加によって販売単価も上昇していると考えられます。

・7-9月期の売上が前年同期比65%増となったうち、オーガニック成長は同37%増に達しています。10-12月期のガイダンスは、市場予想を売上で6%、EPSで9%上回りました。受注額は122億ドルで、受注額の出荷額に対する比率は1.19:1となり、2027年業績見通しも良好です。

買付チャートSKハイニックス ADR(SKHY)149.21ドル3.8

【メモリー不足は2030年まで続く見通し】

・DRAM、フラッシュともに手掛ける半導体メモリーの韓国大手です。メモリー不足は2030年まで続き、「スーパーサイクル」を超える「メガトレンド」になるとの見通しを示しました。エヌビディアは5-7月期決算で、メモリー不足とメモリー価格上昇は2027年も続くと述べていましたが、これを超える強気な見方です。

・7-9月期決算は、売上が前年同期比4.3倍、営業利益が同7.3倍、それぞれ市場予想を6%、8%上回って好調でした。

買付チャートマイクロソフト(MSFT)521.91ドル26.1

【クラウドサービスの売上が予想上回る】 

・7-9月期の企業向けクラウドサービス「Azure」売上は、前年同期比48%増となり、4-6月期の同42%増から加速して、市場予想も3.2%ポイント上回って好調でした。AI投資が成果を生みつつあると捉えられ、市場から好感されました。

・また、企業向け「Microsoft 365」の売上も前年同期比17%増と好調でした。契約ユーザー数は同5%増にとどまっていることから、企業がより高単価の契約にシフトしていることが示唆され、良いトレンドと考えられます。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、マイクロソフトは2027年6月期、その他は2027年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
11月
2(月)
・ISM製造業景気指数(10月)
・シカゴ連銀グールズビー総裁が討論に参加
アップル、パランティアテクノロジーズ
3(火) ・米中間選挙
・米求人労働異動調査(9月)
・米製造業受注(9月)
AMD、ファイザー、アリスタネットワークス
4(水) ・米ADP雇用統計(10月)
・米貿易統計(9月)
・米ISM非製造業景気指数(10月)
アームホールディングス、マクドナルド
ジョビーアビエーション、クラフトハインツ
クアルコム、アップラビン
5(木) ・チャレンジャー人員削減(10月)
・米新規失業保険申請件数(10月31日に終わる週)
・リッチモンド連銀バーキン総裁が討論に参加
イオンキュー、ルメンタムホールディングス
6(金) ・米雇用統計(10月)
・米ミシガン大学消費者信頼感(11月、速報値)
オクロ、ワーナーブラザーズディスカバリー(E)
モデルナ
9(月) ・NY連銀1年インフレ期待(10月)
・米3年国債入札
・シカゴ連銀グールズビー総裁が討論に参加
ロケットラボ
10(火) ・米NFIB中小企業楽観指数(10月)
・米消費者物価指数(10月)
・米10年国債入札
リゲッティコンピューティング、エコペトロル
Dウェーブクオンタム、コアウイーブ
11(水)   ネビウスグループ(E)
12(木) ・米新規失業保険申請件数(11月7日に終わる週)
・米中古住宅販売件数(10月)
・米30年国債入札
・サンフランシスコ連銀デイリー総裁の基調講演
 
13(金) ・ユーロ圏実質GDP(7-9月期、改定値)
・米生産者物価指数(10月)
・ジェファーソンFRB副議長の講演
 

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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