AI半導体の競争激化で注目される台湾セミコンダクター(TSMC)

AI半導体の競争激化で注目される台湾セミコンダクター(TSMC)

投資情報部 榮 聡

2026/01/07

(1)AI半導体の競争激化で注目の台湾セミコンダクター(TSMC)

台湾セミコンダクター ADR(TSM)の株価が1/2(金)、1/5(月)、1/6(火)と連続で史上最高値を更新しています。AI半導体市場での競争激化が意識される中、同社に対する市場の注目が高まっているようです。

AI半導体市場は競争が激化へ

2022年末に生成AIが市場の注目を集めてから3年余り経過しましたが、これまでAI半導体の市場では「エヌビディアが8割以上のシェアを占める」との状況が維持されてきました(図表2)。

しかし、AMDの新規参入やアルファベットによるカスタムAI半導体「TPU」外販の可能性を受けて、エヌビディアのシェアが縮小する可能性があります。米大手証券のアナリストからは、エヌビディアの市場シェアが1割程度他社に流れるのではないかとの観測も報じられています。

AI半導体は企業間で取引されており、各社の製品情報や具体的にどのように使用されているかは公にならないことがほとんどで、市場シェアの変動がどのようになるかも予想しにくい面があります。このため市場シェアの変動をめぐって、AI半導体銘柄の株価が不安定になりやすい局面を迎える可能性があります。

〇誰が勝っても大丈夫な台湾セミコンダクター(TSMC

このようにAI半導体の競争が激化する局面で台湾セミコンダクター(TSMC)が注目されます。

というのは、米国のAI半導体メーカーは、いずれも生産をTSMCに委託していると見られ、どのメーカーが優位となってもTSMCはAI半導体市場の拡大の恩恵を確実に受けられる立場にあると考えられるためです。

TSMCは半導体ファウンドリー市場では7割超のシェアをもちます(図表3)。さらに、AI半導体に適用される最先端の微細化技術を擁するのはTSMCとサムスン電子のみと言われ、AI半導体の製造受託シェアは9割を超えるとみられています。

このため、仮にAMDやブロードコムが市場シェアを拡大しても、TSMCへの恩恵は変わらないと考えられます。

AI半導体の競合状況

AI半導体のシェアがどのように変化するか予想が難しいと述べましたが、筆者が分かっている基本的なことを簡単にお伝えします。

まず、AI半導体には汎用とカスタム(特定顧客向け)の違いがあり、エヌビディアとAMDは汎用、ブロードコムとマーベルテクノロジーはカスタムを供給しています。汎用というのは、文字通り幅広い用途に使えるものです。

カスタムは、特定の用途でパフォーマンス(計算速度や消費電力)が向上するように設計したものです。アルファベットが自社サービス用の計算に使うAI半導体をブロードコムの協力のもと自社開発した「TPU」が有名です。

「TPU」にはエヌビディアのAI半導体と同様に10年以上の歴史があり、アルファベットがこれを外販する意向があるとすれば、10%程度の市場シェアを追加で獲得できると考えられています。

なお、以下のレポートにもAI半導体の競合について解説していますので、ぜひご参照ください。

2025年12月10日掲載 『「AIの老舗」アルファベットがいよいよ実力を発揮!?』

2018年1月17日掲載 「エヌビディア株の保有者が知っておきたいこと」

図表2 AI半導体の市場シェア(2025年の推定)

図表3 半導体ファウンドリー市場のシェア(2025年4-6月期)

(2)TSMCを組み入れるETF

台湾セミコンダクター(TSMC)は、米国市場にADRで上場していますので個別銘柄として投資できますが、TSMCを中心に台湾の株式市場全体に投資するETFもありますので、ご紹介します。

TSMCを組み入れる台湾市場のETF

iFreeETF キャセイ台湾テックリーダー指数 (413A)は、昨年9月12日に東京証券取引所に上場した比較的新しいETFです。特徴はTSMCの組み入れ比率が他のETFよりも高い点です。

台湾株式市場におけるTSMCの比率は非常に大きいため、株価指数を設計するときには、TSMCの比率を抑えるルールが設けられるケースが多いです。

しかし、同ETFについては、そのようなTSMCの比率を抑えるルールがなく、市場の時価総額比率のままで組み入れられています。TSMCを重視して投資したい場合に有用です。

iシェアーズ MSCI 台湾 ETF(EWT)は、TSMCの組み入れ比率が実体よりも抑えられています。これはMSCI社の株価指数の組成ルールによって、個別銘柄が占めることができる割合に上限が設けられているためとみられます。台湾のテクノロジー株に広く投資したい場合に適したETFと言えるでしょう。

db x MSCI台湾(03036) / db x-trackers - MSCI Taiwan Index UCITSは、香港市場に上場するETFです。ただし、不正アクセスによる取引を防止するため、買付注文を一時的に停止しています。

TSMC以外の組み入れ銘柄(台湾証券取引所(TWSE)上場銘柄)※当社ではTWSE上場銘柄を直接お取引することはできません。

上記3つのETFは、TSMCの組み入れ比率は異なりますが、基本的にインデックス運用のため、それ以外の銘柄については時価総額が大きい順に組み入れられています。TSMCを除く組み入れ上位4銘柄を簡単にご紹介いたします(1/6(火)時点)。

・ホンハイ・プレシジョン・インダストリー(TWSE/2317)

1974年に台湾で設立された世界最大の電子機器製造企業で、ソフト・ハード両面の技術力を活かした先進的な製造ソリューションを提供しています。2024年の売上高は2,080億ドルに上ります。

・デルタ・エレクトロニクス(TWSE/2308):

1971年に設立された電源・熱管理のグローバル企業で、省エネルギー技術を軸に電力、電子、モビリティ、オートメーション分野で事業を展開しています。

・メディアテック(TWSE/2454):

世界第5位のファブレス半導体企業で、毎年20億台以上のスマホなど電子デバイスを支える技術を提供しています。

・フボン・ファイナンシャル・ホールディングス(TWSE/2881):

損害保険、生命保険、証券、資産運用、ベンチャーキャピタルなどの事業を展開する金融持株会社です。

図表4 TSMCの組み入れが高いETF

(3)TSMCの会社概要と業績動向

〇会社概要

モリス・チャン氏が1987年に台湾で創業した半導体の受託製造専門会社(半導体ファウンドリと呼ばれます)で、現在もこの分野におけるリーディングカンパニーです。台湾のほか、中国、米国、日本などに工場を保有するほか、ドイツでも工場建設を進めています。

半導体の微細化でトップを走っており、3nm(ナノメートル)、5nm、7nmなどの7nm以下のプロセス技術による売上が70%以上を占めます。製品分野別売上は、HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)57%、スマートフォン30%、IoT5%、自動車5%、その他3%です(2025年7-9月期)。同社の株式は、台湾市場に上場するほか、米国市場ではADRで上場しています。

〇業績動向

7-9月期決算は、AI半導体の需要拡大を受けて売上は前年同期比30%増、EPSは同39%増と好調でした(ニュー台湾ドル建て)。10-12月期のガイダンスは、売上が前年同期比20~24%増相当で(米ドル建て)、粗利益率は59~61%で、いずれも市場予想を上回りました。

2025年10-12月期の決算発表は1/15(木)に予定されています。月次売上は10月が前年比16.9%増、11月が同24.5%増と30%を割り込みましたが、会社ガイダンスのレンジ上限に到達するとすれば、12月は同30%を超えてくることが期待されます。

2025年12月には台湾・高雄の拠点で2nm技術による生産が始まったと報じられています。同社は2026年中に2nm技術による生産をスマートフォンやAI半導体向けに引き上げる計画です。市場コンセンサスでは、2026年、2027年とも20%以上の高い売上成長が予想されています。

〇株価に関する情報

1/6(火)終値327.43ドルは、2026年12月予想EPS基準で予想PERは27.2倍に相当します。アナリストによる目標株価平均値は368.27ドルで12%の上値が示唆されています。アナリストの投資判断は、買い/中立/売りがそれぞれ28/2/0と圧倒的に買いの判断となっています。

図表5 TSMCの月次売上

図表6 TSMCの業績推移

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