最も簡単なチャート分析「移動平均線大循環分析」

小次郎講師
2025/7/25
第4回 最も簡単なチャート分析「移動平均線大循環分析」
「移動平均線大循環分析」は売買の最適なタイミングを可視化するためのチャート手法であり、今回の講義ではその基礎と活用法を解説します。
移動平均線大循環分析の成り立ち

移動平均線大循環分析は、3本の移動平均線(短期・中期・長期)を用いて、相場のトレンドや転換点を把握するシンプルで実践的な分析手法です。初心者でも扱いやすく、売買判断の補助としても有効です。
移動平均線大循環分析で使う3本の線
図にある3本の移動平均線は、それぞれ以下の期間を基にしています。
・短期移動平均線:5日
・中期移動平均線:20日
・長期移動平均線:40日
異なる時間軸のトレンドを同時に見ることで、相場の流れを立体的に把握できます。
計算方法はEMA(指数平滑移動平均線)を推奨
本分析では、単純移動平均線よりも、直近の値動きをより重視する「指数平滑移動平均線(EMA)」の使用をおすすめしています。 「指数平滑移動平均線(EMA)」は滑らかな線を描き、トレンド変化を早めに捉えやすいため、単純移動平均線(SMA)よりも精度の高い判断に役立つとされています。
※図中の線種(EMAまたはSMA)は明示されていませんが、ここではEMAを前提に読み進めてください。
チャンスの見つけ方

移動平均線の並びと角度から読み取るトレンド転換のサイン
移動平均線の「並び」と「傾き」を見ることで、相場の転換点やエントリーチャンスが浮き彫りになります。図では、
・短期(赤)
・中期(緑)
・長期(青)
青い丸が下降トレンド(売り時)、黄色の丸が上昇トレンド(買い時)の兆候として浮き彫りになっています。
-
上昇トレンドのサイン
・移動平均線が上から順に「短期 → 中期 → 長期」と並んでいる
・3本とも右肩上がりで推移しているこのようなとき、相場は安定した上昇トレンドに入っている可能性が高く、買いのチャンスと考えられます。
下降トレンドのサイン
・移動平均線が上から順に「長期 → 中期 → 短期」と並んでいる
・3本とも右肩下がりで推移しているこのパターンでは、下落トレンドが継続する可能性が高いため、注意が必要です。
単に順番だけでなく、傾きがそろっているかどうかも重要です。たとえ順番が整っていても、傾きが弱かったり逆向きだったりする場合は、トレンドの勢いが不十分と判断できます。
チャート画面で移動平均線を表示する手順
ステップ1:銘柄ページからチャートを開く
銘柄詳細ページで「チャート」タブをクリックします。

ステップ2:インジケーター設定を開く
チャート画面右上のインジケーターマーク(グラフのアイコン)をクリックし、指数平滑移動平均線(EMA)のプラスマークをクリックし、設定を行います。

3本の移動平均線を表示するには、3つの期間のチェックボックスをチェックします。
期間1を短期移動平均線の5日、期間2を中期移動平均線の20日、期間3を長期移動平均線の40日に設定し、それぞれ異なる好きな色を設定してください。

実際に銘柄を見てみよう!
META(メタ・プラットフォームズ)のチャート分析
以下のチャートは、3本の移動平均線(短期=オレンジ/中期=緑/長期=紫)を用いた分析例です。
移動平均線の並びと傾きから、売買のチャンスを見つける方法を見てみましょう。

-
買いのシグナル(図中①)
・移動平均線が上から順に短期 → 中期 → 長期と並んでいる
・3本すべてが右肩上がりこのような局面は、トレンドが安定して上昇している「買いの好機」と判断できます。
-
売りの警戒シグナル(図中②)
・移動平均線が下から順に短期 → 中期 → 長期と並んでいる
・すべてが右肩下がりこの状態は、下降トレンドが明確になった「売り」や「撤退」の検討場面となる可能性があります。
相場に絶対はありませんが、有利な条件がそろった場面を的確に見極めることは、売買の成功確率を高める大切な判断材料です。「移動平均線大循環分析」を活用することで、そのタイミングを視覚的に捉えることができます。
ネットフリックス(NFLX)
以下のチャートは、3本の移動平均線(短期=オレンジ/中期=緑/長期=紫)を用いた分析例です。
移動平均線の並びと傾きの変化から、トレンドの反転とチャンスの見極め方を見てみましょう。

-
買いのシグナル(図中①)
・移動平均線が上から順に短期 → 中期 → 長期と並んでいる
・3本すべてが右肩上がりこの局面は、下降トレンドからの転換が明確となった「買いの好機」と考えられます。
トレンドの方向性と勢いがそろっており、エントリーに適した状態です。
マスターカード(MA)
以下は、マスターカード(MA)のチャートに3本の移動平均線(短期=オレンジ/中期=緑/長期=紫)を適用した分析例です。下落相場からの反転と、買いの好機が訪れたタイミングを視覚的に読み取ることができます。

-
買いのシグナル(図中①)
・図中の後半の移動平均線は上から順に短期→中期→長期と並んでいる
・3本すべてが右肩上がり下降相場から上昇相場に転換した状況です。3本右肩上がりのため、エントリーに適したタイミングと言えそうです。
オートデスク(ADSK)
以下は、オートデスク(ADSK)のチャートにおける3本の移動平均線(短期=オレンジ/中期=緑/長期=紫)を使った分析例です。下落トレンドとその転換点、再下降、再上昇という複雑な局面を通じて、売買の見極め方を整理します。

-
下落トレンドが終了、買いのシグナル(図中①)
・移動平均線が上から順に短期 → 中期 → 長期と並んでいる
・3本すべてが右肩上がり図の後半では下降トレンドからの反転が明確になり、上昇トレンドへの切り替わりを示すポイントです。買いのタイミングとして有力です。
-
下落トレンド再開のサイン(図中②)
・一度反発したあとに再び3本とも右肩下がりに傾き直す
いったん回復しかけたトレンドが再び下落基調に戻ったことを示す局面です。保有株の見直しやリスク管理が必要な状態といえます。
-
もみあい相場(図中③)
・3本の移動平均線が横ばいとなり、間隔が狭くなる
下降トレンドから上昇トレンドに転換するも、すぐにトレンドが終わり、もみあい相場となりました。マーケット状況を注意深く観察することが必要な状態といえます。
サービスナウ(NOW)
以下は、サービスナウ(NOW)のチャートにおける3本の移動平均線(短期=オレンジ/中期=緑/長期=紫)を用いた分析例です。長期の下落トレンドが収束し、再上昇の兆しが見え始めている「様子見」の局面を中心に、現在の状態を整理します。

-
様子見のシグナル(図中①)
・移動平均線が上から順に短期 → 中期 → 長期と並んでいる
・3本とも右肩上がりになりかけているが、短期線の傾きが弱い状態このような場面は、トレンド転換初期の可能性を示唆する局面でありながらも、
まだ確信を持てる形には至っておらず、「様子見」や「慎重な観察」が必要な状態と判断されます。 -
傾きが整えば「買い検討ゾーン」へ
短期・中期・長期のすべての移動平均線が右肩上がりに明確化したとき、
本格的なトレンド転換の確認材料となり、買いの検討が視野に入るフェーズへと移行していきます。
移動平均線に関する質問
-
もみあい相場では取引しない方がよい?
-
3本の移動平均線が横ばいで、間隔も狭くなっている「もみあい状態」では、トレンドが見えにくいため、取引を控えるのが賢明です。
-
買いのサインが出てから上昇してしまっていたら、もう遅い?
-
買いの条件が整っていても、すでに大きく上昇していれば「チャンスは過ぎている」可能性があります。タイミングが遅いと感じたら、より好条件の銘柄に切り替える判断も有効です。
※SBI証券サイトへのログインが必要です
免責事項・注意事項
・本インタビューの内容は出演者個人の見解であり、将来の運用成果を保証又は示唆するものではありませんのでご留意ください。
・本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
免責事項・注意事項
・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
【手数料及びリスク情報等】
SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。