第1回 スーパーチューズデーに注目!バイデン対トランプの一騎打ちが始まる!?(前編)

第1回 スーパーチューズデーに注目!バイデン対トランプの一騎打ちが始まる!?(前編)

小次郎講師

2024/03/07

米大統領選とは?

米国における大統領の権限は絶大で、行政府の長であり軍の最高司令官も兼ねています。

選挙は夏季五輪と同じ年、4年ごとに開催されます。そして、各党で予備選があり、2大政党である民主党、共和党両党の全国大会で候補者が決まります。それを本選挙で一般有権者が投票します。

各州には人口などに応じて一定の数の選挙人が割り振られていて、大半の州では、一般投票で1位になった候補がその州の選挙人を総取りします。選挙人は計538人です。よって、過半数の270以上を得た候補が正式に大統領に当選することになります。

大統領選のスケジュール

(トランプ氏は裁判を4つ抱えて大統領選を行っています。赤字はトランプ氏が抱える裁判です。)

3月4日(月)大統領選手続き妨害の初公判⇒延期
3月5日(火) スーパーチューズデー
3月25日(月)(予定)不倫口止め料の初公判
5月20日(月) トランプ氏の機密文書事件の初公判
7月15日~18日 共和党大会(党の候補者決定)
8月19日~22日 民主党大会(党の候補者決定)
9月~10月
大統領候補者テレビ討論会3回予定
副大統領候補者テレビ討論会1回予定
11月5日(火) 大統領選、投開票日
*日程未定 大統領選介入事件

今年の大統領選のポイント

今年の大統領選のポイントは、共和党、民主党それぞれ、断トツで優勢な候補者がいるということです。
民主党のバイデン氏は現職の大統領ですので、高齢という問題はあるもののほぼ決まりでしょう。共和党はトランプ氏が断トツです。トランプ氏は23年に4つの刑事事件で起訴されている状況での選挙戦となっています。トランプ氏が大統領選挙に再選されれば混乱が起きるという意見が多く、これを「もしトラ」と言っています。

世論調査では、民主党支持が29%、共和党支持が28%、無党派層が40%(2月6日時点. GALLUPより)となっており、この無党派層がどちらの候補に投票するかがカギとなっています。

熱烈なトランプ支持派か、安定を求めて嫌々ながらもバイデンを支持するかが今回の最重要ポイントで、ケネディ氏・ウエスト氏、スタイン氏(ウエスト氏とスタイン氏は出馬予定)など超党派の出馬によって反トランプ氏の票がバイデン氏に集中せずに超党派に流れてしまうことがバイデン氏のリスクとなっています。

各党の候補者予想

・民主党は現役大統領のバイデン氏、世代交代を訴えているフィリップ氏となりますがバイデン氏が現時点では圧勝しています。
・共和党はトランプ氏と元国連大使のヘイリー氏ですが、こちらもトランプ氏が現時点では圧勝しています。
無所属からは、ケネディ氏が出馬表明をしています。

大統領選の外政、内政への影響

トランプ氏、バイデン氏がそれぞれ、大統領になった場合の影響をまとめました。

■バイデン氏再選の場合
「外政」
・ウクライナ:ウクライナ支援
・対中政策:対中規制の段階的強化
・通商政策:貿易自由化の回避と地域経済枠組みの推進
「内政」
・気候変動:インフレ抑制法など既存法規制の継続的施行
・税制:中間層・中小企業向け減税の拡大
・産業政策:CHIPS(半導体支援)既存規制の継続的施行

■トランプ氏再選の場合
「外政」
・ウクライナ:ウクライナ支援を削減
・対中政策:対中規制の急進的強化
・通商政策:保護貿易の拡大と貿易戦争の再発
「内政」
・気候変動:環境規制の撤廃
・税制:既存の高所得者・大企業向け減税の継続
・産業政策:労働者保護要件など既存法規制の一部修正

各候補者の政策

共和党候補者

■ドナルド・トランプ氏 (6月で78歳)
「アメリカを再び偉大な国に」がスローガン、「アメリカファースト」を政策の基本理念にし、ウクライナ戦は停戦を呼びかけています。パリ協定は再離脱、外国からの製品に関税を設けるとし、米中貿易戦争が懸念されています。
外交:アメリカファースト、ウクライナは停戦、対中関係は悪化、日本やドイツの駐留軍の減少を画策
移民:国境の壁を強化
経済:米国内経済を優先、大企業・高所得者を優遇、高関税を付加
国内:暴徒化するデモ隊を非難

■ニッキー・ヘイリー氏(52歳)
前国連大使、サウスカロライナ州で女性初の知事。外交・安全保障が強みと自負
外交:ウクライナ支援を強化することが、ロシアの脅威の歯止め。中国を「敵」と表現し中国政策においては強硬姿勢。日本と韓国と関係を強化し中国と対抗。中国投資家が購入した米国内の土地の返還を主張。
移民:不法移民の流入に終止符、合法的に入国しない者は米国の滞在を認めない
経済:中国との貿易関係を大幅に制限
国内:中絶合法化に反対の立場、だが連邦レベルでの中絶禁止は支持しない、トランプ氏よりは穏健

民主党候補者

■ジョー・バイデン氏(11月で82歳)
現在の米国大統領
外交:ウクライナ支援、対中政策:対中規制の段階的強化、貿易自由化の回避と地域経済枠組みの推進
移民:移民制度の改革に取り組むもトランプ氏の後追い的な対応
経済:2兆ドルの「米国雇用計画」インフラ投資、1.8兆ドルの育児・教育支援「米国家族計画」、富裕層や企業の増税から社会保障の財源に活用
国内:「バイデノミクス」インフレ対策、温室効果ガス排出削減目標引き上げ

■ディーン・フィリップス氏(55歳)
ミネソタ州の連邦下院議員
バイデン大統領の方針を支持するが、世代交代を掲げる
経済:大企業によるむしり取りを阻止
国内:手ごろな医療を提供、手ごろな保育制度、大学授業料無料

無所属

■ロバート・ケネディ・ジュニア氏(70歳)
名門ケネディ家の出身、弁護士、長年、環境問題に取り組む、反ワクチン活動家
主張:「民主党は、私がバイデン大統領の選挙を台なしにすると恐れていて、共和党は、トランプ前大統領の選挙を台なしにするとおびえている。問題はどちらも正しいということだ。私の狙いは、彼ら2人の選挙を台なしにすることだ」と発言
外交:世界中の米軍基地を閉鎖
移民:メキシコの国境管理強化(共和党寄り)
経済:気候変動対策を強化(民主党寄り)
国内:ワクチン義務化を反対、分断したアメリカを1つにまとめる

第1回 スーパーチューズデーに注目!バイデン対トランプの一騎打ちが始まる!(後編)

著者プロフィール

小次郎講師

岡山県出身。チャート分析の第一人者として、投資セミナー、書籍などを通じて個人投資家向けの投資教育活動を精力的に展開している。
40年以上の投資キャリアを持つ。

【出演】
・ラジオNIKKEI「小次郎講師のチャートラボラトリー」レギュラー番組

【受賞暦】
・みんなの株式「コラムアワード2013、2014」2年連続大賞受賞
・パンローリング社「ブルベア大賞2016」大賞受賞、
「ブルベア大賞2015、2019」準大賞受賞、「ブルベア大賞2017、2018」特別賞受賞

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