WBC開幕週! 日本の二刀流!? 高配当株 走攻守のファンド評価は?

WBC開幕週! 日本の二刀流!? 高配当株 走攻守のファンド評価は?

投資情報部 川上雅人

2023/03/06

日本では高配当株優位が継続

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がいよいよ3月8日に開幕します。日本代表・侍ジャパンの初戦は9日の中国戦です。好発進が期待されます。

そこで今回は日本を応援する意味で日本の株式を取り上げます。足元でパフォーマンスが好調の高配当株と関連ファンドについて解説します。

2022年からの1年2ヵ月間では、日本の株式市場の全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は1,900ポイントを中心に上下150ポイントのもみ合い相場となっています。

配当込みTOPIXで見ると1年2ヵ月間では3%の上昇となっています(図表1)。東証プライム市場指数の配当利回りは2.51%(3/1基準)のため、この約1年ではほぼ配当分程度が上昇しているといえます。

一方で、TOPIXの構成銘柄を連結PBR(株価純資産倍率)などの指標を用いて、銘柄群をバリュー(割安株)といったスタイル別に区分した株価指数であるTOPIXバリュー指数(配当込み)は、この間16%の上昇となっており、バリュー株が優位のマーケットとなっています。

さらに上昇しているのが、直近の実績配当利回りが相対的に高い40銘柄により構成される指数、TOPIX高配当40指数(配当込み)となっており、27%の上昇となっています。

バリュー株が優位となり、さらにバリュー株の中でも高配当株が優位(高配当株の多くがバリュー株)となっているのが2022年以降の株式市場といえます。バリュー株や高配当株については米国の金利上昇がきっかけとなってグロース株からバリュー株へのシフトが起こり、バリュー株物色と高配当株物色が継続しているといえます。足元、日本の高配当株については、高利回りと好パフォーマンスが両立している「二刀流」ともいえる状況です。

バリュー株物色、高配当株物色の継続性を見たものが図表2です。直近5年間では2020年まではバリュー株と高配当株はTOPIXに劣後していました。つまり、グロース株(成長株)優位の状況でした。これが2021年からバリュー株と高配当株の巻き返しとなり、2022年以降はバリュー株と高配当株の物色が強まりました。特に高配当株の上昇が目立ちます(図表2)。

日本の高配当株物色の継続性は米国の長期金利の動向に左右されそうですが、日本の長期金利の動向にも影響を受けると考えられます。日米の長期金利は連動性が高いものの、今後については米国に比べて日本の長期金利の上昇余地が大きいと考えられることから(図表3)、日本においては、緩やかな金利上昇で高配当株物色が継続することも想定されます。また、日経平均予想配当利回りで見ても過去10年間では企業の株主還元策の積極化などから上昇傾向にあります(図表4)。加えて、2024年からのNISA制度拡充で高配当株への投資がより注目を集めると予想されることも高配当株のパフォーマンスを下支えすると考えます。

こうした中で、日本の高配当株への投資を効率的に行うことができるのが、投資信託による高配当株投資(高配当株ファンドへの投資)です。日本の高配当株ファンドを探すポイントとしては、ファンド分類で「国内株式」を選択し、検索ワードで「配当」を入れます。検索ワードで「高配当」と入れてしまうと「好配当」や「配当利回り」の名称となったファンドが検索できなくなるため、「配当」と入れるのがポイントです。「国内株式」の分類で「配当」で検索すると19ファンドとなります。

これら19ファンドを3年リターンで9本に絞ったものが、図表5の高配当株ファンドランキング(3年リターンのベスト9)です。

図表1 TOPIX高配当40、TOPIXバリュー、TOPIXの比較① (2021年12月30日~2023年2月28日 2021年12月30日=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表2 TOPIX高配当40、TOPIXバリュー、TOPIXの比較②(2018年2月~2023年2月 月末値 2018年2月末=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表3 日米の長期金利の推移(2018年2月~2023年2月 月末値) 

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表4 日経平均予想配当利回りと日経平均の推移(2013年2月~2023年2月 月末値) 

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表5 高配当株ファンド(国内株式) 3年リターンのランキングと特徴

  ファンド名 予想配当
利回り
1年リターン 3年リターン
(年率)
3年標準偏差
(年率)
3年
シャープレシオ
1 日経平均高配当利回り株ファンド 6.3% 27.41% 13.97% 18.78 0.74
2 日本好配当リバランスオープン 5.3% 21.33% 13.18% 17.40 0.76
3 日本株配当オープン(愛称:四季の実り) 3.0% 9.70% 10.44% 15.44 0.68
4 日本好配当株オープン 3.5% 6.58% 10.27% 14.49 0.71
5 MHAM日本好配当株オープン(愛称:配当生活) 3.5% 10.44% 9.63% 14.30 0.67
6 ニュー配当利回り株オープン(愛称:配当物語) 3.3% 9.51% 9.38% 12.96 0.72
7 SMT 日本株配当貴族インデックス・オープン 3.7% 14.76% 9.18% 15.29 0.60
8 株ちょファンド日本(高配当株・割安株・成長株)毎月分配型(愛称:カブチョファンド) 開示なし 14.88% 9.04% 18.26 0.50
9 好配当ジャパン・オープン(愛称:株式時代) 3.4% 14.45% 8.86% 16.04 0.55
  • ※ SBI証券取り扱いの「国内株式」カテゴリーから「配当」で検索し、3年リターンでランキング(2023年1月末基準)
  • ※ 各ファンドの予想配当利回りは運用会社のマンスリーレポート(2023年1月末基準)より抜粋(7位のファンドのみ実績配当利回り)

高配当株ファンドの走攻守での評価は?

図表5にあるベスト9のファンドを、走攻守の視点から評価します。

攻め(走攻)のファンドとしては、リターンが高いファンドです。ランキング1位の「日経平均高配当利回り株ファンド」が当てはまります。

続いて、守りに強いファンドです。これは値動きのブレを示す標準偏差が小さいファンドです。ベスト9の中では、最も3年の標準偏差が低いのはランキング6位の「ニュー配当利回り株オープン(愛称:配当物語)」になります。標準偏差はリスクとしても表示されます。標準偏差が小さいファンドは下落局面でファンドの基準価額の下落が相対的に小さくなることが期待されます。

走攻守バランスのとれたファンドは、リスク(標準偏差)1単位当たりの超過リターンを測る指標であるシャープレシオが高いファンドです。シャープレシオが高いファンドは運用効率が高いファンドといえます。

シャープレシオは以下の式で求められます。

 ファンドの収益率(リターン)ー 無リスク資産の収益率
      ファンドの標準偏差(リスク)

無リスク資産の収益率は短期金利を指します。今はゼロ金利のため、無リスク資産の収益率はゼロとなります。

そのためシャープレシオは、「リターン÷標準偏差(リスク)」で求められます。

ベスト9のファンドで、シャープレシオが最も高いファンドは、ランキング2位の「日本好配当リバランスオープン」です。1位のファンドよりもリターンはやや低いですが、標準偏差が小さいため、運用効率が最も高いファンドになります。

3ファンドの特徴は以下となります。

①走攻のファンド:「日経平均高配当利回り株ファンド

日経平均株価採用銘柄の中から予想配当利回りの上位30銘柄に投資します。

1月末の組入上位業種は、銀行業、海運業、鉄鋼となっています。直近1年は銀行業と鉄鋼のオーバーウエイトが好成績につながっています。予想配当利回りが高い海運業の組入比率が高いことなどから、予想配当利回りが最も高いファンド(6.3%)であり、高利回りかつ好パフォーマンスとなっています。

②守りのファンド:「ニュー配当利回り株オープン(愛称:配当物語)

予想配当利回りが市場平均と比較して高いと判断される銘柄を中心に投資します。

ファンドの予想配当利回りが3.3%となっており、配当の原資となる企業業績の安定性に着目した銘柄選定を行っているのが特徴といえます。56銘柄に投資しており、相対的にリスクを抑えた運用になっています。

③走攻守バランスの取れたファンド:「日本好配当リバランスオープン

日経500種平均株価採用銘柄を予想配当利回りの高い順にランキングし、上位の70銘柄程度を投資対象とします。

毎月1回組入銘柄の見直しと各銘柄の組入比率の調整(リバランス)をすることで、ファンドの予想配当利回りが相対的に高くなることを目指します。

リバランスでは、株価が下落して割安になった銘柄を買付け、上昇した銘柄を売却することで投資している70銘柄程度はほぼ均等投資となっています。

3年の標準偏差は9ファンドの中では比較的大きくなっていますが、業種が分散されていることなどから1年の標準偏差では小さく抑えらえており、1年での運用効率はさらに高まっているといえます。

1点を争う好ゲームが予想されるWBC。走攻守すべてがカギを握りそうです。

ファンド選びにおいても走攻守とそのバランスに注目してみてはいかがでしょうか。

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