WBC侍ジャパン 2次ラウンド進出! コロナ禍3年 好成績日本株ファンドは?

WBC侍ジャパン 2次ラウンド進出! コロナ禍3年 好成績日本株ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2023/03/13

コロナ禍3年のマーケットを振り返る

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では、日本代表「侍ジャパン」が見事4連勝で、2次ラウンド進出となりました。2次ラウンド、その先の決勝ラウンドでもさらなる活躍が期待されます。

さて、世界保健機構(WHO)が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を宣言した2020年3月11日から丸3年が経過しました。本日3月13日は、政府の方針を受けて新型コロナウイルス対策としてのマスクの着用について、屋内外を問わず個人の判断に委ねられるスタートの日です。同時にイベントの開催制限等についても各業界団体の判断で緩和される見込みです。いよいよ日本においてもコロナ禍からの脱却の春となりそうです。

そこで今回は、コロナ禍3年(2020年2月末~2023年2月末)のマーケットを振り返ります。

主要国・地域の3年間の株価指数(図表1)でみると、2020年3月のコロナショックでは一時的な下落となったものの、その後は回復基調となっています。中国(香港ハンセン)は低迷していますが、日米欧の株価は2022年の下落はありましたが3年間では堅調でした。インドは2022年についても世界的な株価下落の中で株価は堅調だったため、この中ではトップのパフォーマンスです。日米欧の中では、米国の株価指数(NASDAQ100とS&P500)が2021年までは絶好調でしたが、2022年の株価下落で伸び悩んでいます。日本(TOPIX)は、上昇は大きくはないものの価格変動が比較的小さい株価指数といえます。欧州(ユーロストックス50)は直近半年間で巻き返しの動きです。

日米欧の長期金利については、コロナショックによる各国の政策金利引き下げなどで低下したものの、その後は各国のインフレ懸念やそれに伴う政策金利の引き上げなどで上昇しました。特に2022年からの金利上昇が目立ちます(図表2)。一方で日本の長期金利については、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)などにより小幅な上昇にとどまっています。

こうした長期金利の動向を受け、日本と海外との金利差が意識されて円安が進んだというのがこの3年間といえます(図表3)。通貨別では、豪ドル、中国元、米ドルの上昇が目立ちました。足元の為替水準(円安ドル高・円安ユーロ高)は日本の輸出企業やグローバル企業にとって業績面で追い風といえます。

コロナショックによる一時的な下落はありましたが、3年間では中国を除くと株式への投資は好調でした。円安により外国通貨が上昇しているため、円建ての外国株式への投資は好環境だったといえます。一方で債券への投資は金利上昇で債券価格が下落しているため、逆風となりました。

こうした環境下で日本株ファンドの3年リターン・ランキングを確認します。日本株の変動要因以外に通貨の変動が反映される通貨選択型ファンドや販売停止中のファンドを除外した上位9ファンドのランキング(ベスト9)は図表4となります。比較対象の参考としてTOPIXインデックスファンドも表示しました。

図表1 主要国・地域の株価指数の比較 (2020年2月28日~2023年2月28日 2020年2月28日=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表2 日米欧の長期金利の推移 (2020年2月~2023年2月 月末値)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表3 主要国の為替レートの比較(2020/2/28~2023/2/28 2020/2/28=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表4 日本株ファンド 3年リターンのランキングと特徴

  ファンド名 特徴
(投資対象)
1年リターン 3年リターン
(年率)
3年標準偏差
(年率)
3年
シャープレシオ
1 日本製鉄グループ株式オープン 日本製鉄G株式 38.49% 27.15% 28.50 0.95
2 明治安田セレクト日本株式ファンド(愛称:初くん) 割安成長株 19.29% 24.66% 17.91 1.38
3 企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力) 小型成長株 8.28% 24.21% 26.20 0.92
4 りそな日本中小型株式ファンド(愛称:二ホンノミライ) 中小型株 30.73% 23.18% 21.30 1.09
5 厳選ジャパン 厳選集中投資 7.68% 21.44% 28.66 0.75
6 IPOリサーチ・オ―プン(愛称:リターン・エース) 中小型株 7.23% 20.46% 26.66 0.77
7 小型ブルーチップオープン 中小型優良株 10.10% 20.42% 16.57 1.23
8 日経平均高配当利回り株ファンド 高配当株 30.47% 19.99% 18.14 1.10
9 日本好配当リバランスオープン 高配当株 23.22% 18.88% 16.36 1.16
参考 eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) インデックス 8.34% 12.19% 14.04 0.87
  • ※ SBI証券取り扱いの「国内株式」カテゴリーを3年リターンでランキング(通貨選択型ファンドと販売停止中のファンドを除く、2023年2月末基準)

3年の好成績日本株ファンド3選

3年リターン1位の日本製鉄グループ株式オープンは、日本製鉄およびそのグループ会社に投資するという特殊なファンドです。日本製鉄株の上昇により1年、3年リターンは優秀ですが、日本製鉄株の動向に左右されるため、注目ファンドとしては除外します。

ここでは下記3本を注目ファンドとして取り上げます。ファンドの特徴と注目点は以下となります。9ファンドでの順位です。

①3年シャープレシオ1位、3年リターン2位 : 「明治安田セレクト日本株式ファンド(愛称:初くん)
企業を取巻く経済・社会環境および事業環境の変化に対応して、今後成長が期待できる産業分野の中から、継続して成長が期待でき、質の高いと判断される銘柄を厳選の上、投資しています。2023年2月末基準の組入上位銘柄は、MTG(7806)、ジェイフロンティア(2934)、日産自動車(7201)などとなっています(※)。ファンドの業種別ウエイトはTOPIXに近いことで業種リスクはあまり取らずに規模などの銘柄選択でリスクを取ることで、リスク(標準偏差)を比較的抑えながら高いリターンを上げています。そのため運用効率(シャープレシオ)が高くなっています。

②1年リターン2位 : 「りそな日本中小型株式ファンド(愛称:二ホンノミライ)
社会の構造変化に伴い生じる「社会的な課題」の解決にビジネスの観点から取り組み、持続的かつ安定的に成長することが期待できる中小型株式に投資しています。2023年1月末基準の組入上位銘柄は、M&A総合研究所(9552)、ユーグレナ(2931)、SREホールディングス(2980)などとなっています(※)。日本の産業競争力低下、地球環境問題、少子・高齢化などの社会的な課題に対応する企業を組入れています。中小型株にとって追い風とはいえなかった直近1年で高いリターンを上げているのが特筆されます。

②3年シャープレシオ2位、3年標準偏差1位: 「小型ブルーチップオープン
中小型株を実質的な主要投資対象とし、銘柄の選定にあたっては、リサーチに基づいたボトムアップにより、中長期的視点に立った成長性に焦点を当て、バリュエーションを勘案して銘柄を選択しています。2023年2月末基準の組入上位銘柄は、ローム(6963)、豊田通商(8015)、ジーエス・ユアサ コーポレーション (6674)などとなっています(※)。他に組入上位銘柄では銀行株を4銘柄組入れています。同ファンドにおける中小型優良株の定義は幅広く、柔軟な銘柄選択が特徴です。リスクを抑えた運用により、高い運用効率となっています。

円安による企業業績の拡大期待やバリュー株の見直し機運、コロナ禍からの脱却(インバウンド需要拡大に対する期待)などが意識され、足元の株式市場では日本(TOPIX)が米国(S&P500)を上回っています(図表5)。 WBCでの侍ジャパンの活躍とともに好成績日本株ファンドにも注目です。

※個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

図表5 日本(TOPIX) vs 米国(S&P500)(2022/12/30~2023/3/9 2022/12/30=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

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