オルカン純資産総額1兆円! オルカンに勝ち続けている好成績ファンドは?

オルカン純資産総額1兆円! オルカンに勝ち続けている好成績ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2023/04/24

オルカン純資産総額1兆円! オルカンに勝ち続けている好成績ファンドは?

4月14日に日本を含む先進国と新興国の株式に投資するインデックスファンド、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)が、純資産総額1兆円の大台に達しました。ファンド設定日の2018年10月31日から約4年5ヵ月間での1兆円達成です(図表1)。
公募株式投信(除くETF)で純資産総額1位であるeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(以下、S&P500)の1兆円達成は、ファンド設定日から約3年7ヵ月(2018年7月3日~2022年2月10日)でしたので、そのスピードには及びませんでしたが、積立投資を中心とした資金流入増による順調な資産拡大といえます(図表2)。
オルカン1兆円達成には、マーケットによるサポートもありました。オルカンの資産構成比率は、先進国株式が83.4%、新興国株式が11.0%、国内株式が5.5%となっています(2023年3月末)。先進国株式の中では米国株式の比率が7割強、欧州株式が2割強です。
オルカンとS&P500を比較すると2022年3月末以降は、わずかにオルカンが優位となっています(図表3)。1兆円を達成した4月14日のオルカンの基準価額は2023年の高値に近づいています。これは国内株式(TOPIX)の好調に加えて、先進国株式(中でも欧州株式)の好調が寄与しています。
eMAXIS Slimの代表的な5ファンドのパフォーマンス比較を図表3で示しています。約1年間では、国内株式(TOPIX)が優位となっています。それに続くのが先進国株式です。この1年間に関しては、分散投資においては日本株式や欧州株式を組入れることがパフォーマンスを高める上でのポイントとなりました。

こうした環境下で、オルカンと同じカテゴリー「国際株式・グローバル」で、オルカンよりも運用成績が良好なファンドをチェックします。対象ファンドは、ファンドレーティング4つ星以上で、新しいNISAの成長投資枠の条件を踏まえて、毎月分配型のファンドを除外しました。さらに、6ヵ月、1年、3年のすべての期間において、オルカンよりも運用成績が良好なファンドを3年リターンでランキングしたのが、図表4となります。
3年リターン以外にまず6ヵ月リターンにも注目したのは、昨年10月以降の世界的な株価反発局面で全世界株式インデックスを上回る上昇となっているファンドかどうかをチェックできるからです。また、1年リターンのデータは、2022年度前半の株式市場の下落局面で基準価額下落をある程度抑えられているファンドかどうかをチェックできます。これらのチェックポイントをクリアしたファンドが図表4で、直近3年間においてオルカンに勝ち続けている好成績ファンドのランキングといえます。

図表1 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 純資産総額と基準価額の推移(2018年10月31日~2023年4月20日)

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表2 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の純資産総額 大台達成日と期間

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表3 eMAXIS Slimシリーズ 5ファンドのパフォーマンス比較(2022年3月末~2023年4月20日 2022年3月末=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表4 3年間でオルカンに勝ち続けているファンド 3年リターンランキング

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
6ヵ月リターン 1年リターン 3年リターン
(年率)
1 グローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジなし) 世界の自動運転関連企業の株式 14.13% -0.24% 31.04%
2 iTrustプレミアム・ブランド 成長力のあるプレミアム・ブランド企業の株式 16.78% 6.49% 30.11%
3 ピクテ・プレミアム・ブランド・ファンド(3ヵ月決算型) 成長力のあるプレミアム・ブランド企業の株式 16.68% 6.36% 29.86%
4 iTrustロボ 世界のロボティクス関連企業の株式 19.01% -0.28% 26.70%
5 EXE-i先進国株式ファンド 日本を除く世界主要国の株式インデックス 8.21% -0.11% 25.77%
6 インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(年1回決算型)(愛称:世界のベスト) 世界の割安株へ厳選投資 19.87% 12.66% 25.76%
7 グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型) 世界のロボティクス関連企業の株式 21.58% 3.16% 25.73%
参考 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 日本を含む全世界株式インデックス 6.63% -1.19% 23.04%

※ SBI証券取り扱い「国際株式・グローバル」カテゴリーの4つ星以上、毎月決算型と対面専用ファンドを除く(2023年3月末基準)
※ 3年間でオルカンに勝ち続けているファンドとは、2023年3月末基準の6ヵ月リターン・1年リターン・3年リターン、全てでオルカンを上回ったファンドと定義

オルカンに勝ち続けているファンドの特徴は?

1位のグローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジなし)は、自動運転技術の進化・普及により業績拡大が期待される世界の自動運転関連企業の株式に投資するファンドです。業種別では情報技術のサブセクターである半導体・半導体製造装置が32.0%、同じくテクノロジー・ハードウェア・機器が15.8%となっており、情報技術の構成比率が高いのが特徴です(3月末基準、以下同じ)。

2位のiTrustプレミアム・ブランドと3位のピクテ・プレミアム・ブランド・ファンド(3ヵ月決算型)は、同じマザーファンドに投資するファンドで成長力のあるプレミアム・ブランド企業の株式に投資しています。これらのファンドは好調だった欧州企業の株式が5割以上となっており、そのことがパフォーマンス向上(特に6ヵ月リターン)に寄与しています。カルティエやヴァンクリーフ&アーペルなどのブランドを展開するフィナンシエール・リシュモン、ロレアル、フェラーリが組入上位3銘柄となっています(※)。

4位のiTrustロボは、業種別上位は、半導体・半導体製造装置が38.8%、ソフトウェアが31.8%となっており、情報技術が大半です。国別上位は米国63.3%、日本11.1%、ドイツ9.6%などとなっており、日本の比率がやや多くなっています。組入上位5銘柄は、セールスフォース、アルファベット、シーメンス、シノプシス、アドバンスト・マイクロ・デバイセズとなっています(※)。

5位のEXE-i先進国株式ファンドは、FTSE Kaigai(カイガイ)インデックスへの連動を目指すファンドです。米国株式が70%、欧州株式が25%、アジア・太平洋地域(日本を除く)の株式が5%となっています。先進国株式インデックス(日本を除く)では、MSCIコクサイ・インデックスが有名ですが、3年リターンではMSCIコクサイ・インデックスをベンチマークとするファンド(eMAXIS Slim先進国株式インデックスなど)をわずかに上回っています。

6位のインベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(年1回決算型)(愛称:世界のベスト)は、日本を含む世界各国(エマージング国を除く)の株式の中から、独自のバリュー・アプローチによりグローバル比較で見た割安銘柄を厳選し投資するファンドです。高配当や連続増配の視点でも組入銘柄を選定しており、業種別の構成比では金融が23.9%、情報技術が16.4%、資本財・サービスが13.8%などとなっています。通貨別では欧州通貨の構成比が35%を超えていることから欧州株式の比率が高いファンドといえます。ランキングファンドの中では6ヵ月リターンと1年リターンがそれぞれ1位となっており、直近1年の不安定なマーケットの中で好パフォーマンスを上げています。なお、世界のベストは4つのコースがあり、全体で4,000億円を超える残高となっています。

7位のグローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)は、世界各国の株式の中から主にロボティクス関連企業の株式に投資を行なうファンドです。年2回の決算で、基準価額水準が1万円(1万口当たり)を超えている場合には、分配対象額の範囲内で積極的に分配を行ないます。兄弟ファンドで1年決算型もあります。業種別では情報技術が50.8%(うち半導体・半導体製造装置が25.6%)、資本財・サービスが32.5%などとなっています。国別上位は米国47.0%、日本25.7%などとなっています。組入上位銘柄ではキーエンスが1位、エヌビディアが2位です(※)。

まとめますと直近3年間でオルカンに勝ち続けたファンドの特徴は、業種別では半導体関連株の組入比率が高いファンド、国・地域別では欧州または日本の組入比率が先進国株式インデックスや全世界株式インデックスよりも高かったファンドといえそうです。

オルカンとパフォーマンスが類似しているEXE-i 先進国株式ファンドを除く図表4のランキングファンドは、オルカンとの分散投資効果が期待できるファンドとして今後も注目です。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

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