G7広島サミットで注目!? インデックスに勝ち続けている日本株ファンドは?

G7広島サミットで注目!? インデックスに勝ち続けている日本株ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2023/05/15

インデックスに勝ち続けている日本株ファンドは?

主要7カ国首脳会議、通称「G7サミット」が5月19日から21日までの3日間、広島で開催されます。
G7(Group of Seven)の7カ国は、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダで構成されます。
G7広島サミットで討議するテーマは、ウクライナ情勢や中国、北朝鮮への対応に加え、核軍縮やコロナ後の世界経済や金融、気候変動対策のほか、具体的なルール作りが新たな課題となるAIを含めたデジタル化の推進なども取り上げることを検討している模様です。同時にサミットにあわせて各国首脳の配偶者が参加する行事を発表し、世界遺産の厳島神社がある宮島を訪れることや、広島風お好み焼きを味わってもらうことなどが計画されています。再びインバウンド需要で盛り上がりつつある日本と岸田首相の出身地である国際平和文化都市・広島を、世界にアピールする場としても期待されます。個人的にはG7晩餐会の乾杯酒に選ばれる日本酒の銘柄にも注目です。

2000年以降のG7サミット日本開催については3回ありました。2000年の九州・沖縄、2008年の北海道・洞爺湖、2016年の伊勢志摩になります。G7サミット日本開催後の日本株(日経平均)のパフォーマンス(5年間)を示したものが図表1になります。
まず、2000年の沖縄サミット後は、ITバブル崩壊や米国同時多発テロによる米国景気悪化への懸念などから日経平均は3年間下落し、その後の2年間は上昇となりましたが、5年ではマイナスリターンでした。
2008年の洞爺湖サミット後では、開催直後にリーマンショックに見舞われて大きく下落しましたが、その後は回復しました。5年間では途中下がったものの、U字回復となったため、毎月一定額による積立投資であれば、まずまずのパフォーマンスになったと考えられます。
2016年の伊勢志摩サミットでは、需要喚起と供給制約の改善に向けて金融、財政政策に加え、構造改革を一体的に推進する「G7版アベノミクス」をアピールする場にもなり、その後の企業業績の拡大もあって開催後の日経平均は上昇し、好パフォーマンスとなりました。
今回の広島サミット後は、2016年からの5年間のような株価上昇が実現できるのかに期待がかかります。

こうした中で、広島サミット後に相対的に好成績が期待できそうな日本株ファンドを取り上げます。
日本株ファンドの選び方としては、インデックスファンドよりも運用成績が良好なファンドをチェックします。
対象ファンドは、新しいNISAの成長投資枠の条件を踏まえて、毎月分配型のファンドなどを除外しました。
さらに、6ヵ月、1年、3年のすべての期間において、最も好成績となっているインデックスファンドよりも運用成績が良好なファンドを3年リターンでランキングしたのが、図表2となります。
3年リターン以外にまず6ヵ月リターンにも注目したのは、昨年11月以降の世界的な株価反発局面でインデックスを上回る上昇となっているファンドかどうかをチェックできるからです。また、1年リターンのデータは、2022年度前半の株式市場の一時的な下落局面で基準価額下落を抑えられているファンドかどうかをチェックできます。これらのチェックポイントをクリアしたファンドが図表2で、直近3年間において最も優れたインデックスに勝ち続けている日本株ファンドのランキングといえます。

図表1 G7サミット日本開催後の日経平均パフォーマンス(各開催月の月末値を100として指数化 60ヵ月後までの月次データ)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230515_01_01.png

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表2 3年間でインデックスに勝ち続けている日本株ファンド 3年リターンランキング

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
6ヵ月リターン 1年リターン 3年リターン
(年率)
1年
標準偏差
1 日本製鉄グループ株式オープン 日本製鉄グループ株式 36.00% 37.27% 35.52% 22.18
2 明治安田セレクト日本株式ファンド(愛称:初くん) 割安成長株 16.86% 27.11% 27.71% 12.07
3 日経平均高配当利回り株ファンド 日経平均採用の高配当株30銘柄 21.90% 28.19% 24.46% 13.89
4 日本好配当リバランスオープン 日経500採用の高配当株70銘柄 16.55% 25.15% 23.22% 8.95
5 イーストスプリング・ジャパン中小型厳選バリュー株ファンド 中小型割安株 14.84% 23.35% 22.92% 9.13
6 低位株オープン 低位株に分類される銘柄 18.79% 30.90% 19.70% 9.60
7 ニッポン中小型株ファンド 中小型割安株 18.15% 21.99% 18.88% 8.36
比較 SMT 日本株配当貴族インデックス・オープン S&P/JPX配当貴族指数 13.14% 18.40% 17.52% 7.35
参考 eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) 日経平均 5.76% 9.76% 14.58% 15.02
参考 eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) TOPIX 8.09% 11.16% 14.55% 11.70

※ SBI証券取り扱い「国内株式」カテゴリーで毎月決算型、通貨選択型、償還が近いファンドを除く(2023年4月末基準)
※ 3年間でインデックスに勝ち続けている日本株ファンドとは、最も好成績のインデックスファンドを全ての期間(6ヵ月、1年、3年)で上回ったファンドと定義

好成績日本株ファンドの特徴は?

まず、比較対象となる好成績のインデックスファンドは、SMT 日本株配当貴族インデックス・オープンになりました。このファンドは、S&P/JPX配当貴族指数(配当込み)に連動する投資成果を目指します。いわゆる連続増配株(10年以上増配または配当を維持といった配当についての基準を満たした銘柄)で構成される株価指数に連動を目指すファンドで、連続増配株49銘柄に投資しています(組入銘柄のデータは2023年3月末現在、以下同じ)。図表2で日経平均インデックスファンドとTOPIXインデックスファンドを参考として表示しましたが、SMT 日本株配当貴族インデックス・オープンの6ヵ月、1年、3年リターンは、全てこれらのインデックスファンドを上回っており、値動きのブレを示す標準偏差が小さく、運用効率も高いのも特徴です。直近3年間は連続増配株や高配当株が好調だったマーケットといえます。

その好調な連続増配株インデックスファンドを上回るアクティブファンドが順位1から7までのファンドです。

1位のファンドは、日本製鉄グループ株式ファンドです。日本製鉄グループの株式に投資を行う特殊なファンドで、日本製鉄の組入比率が47%となっています(※)。日本製鉄が直近3年(特に4月末までの直近6ヵ月)で好パフォーマンスだったことが好調の要因です。

2位の明治安田セレクト日本株式ファンド(愛称:初くん)は、企業を取巻く経済・社会環境および事業環境の変化に対応して、今後成長が期待できる産業分野の中から、継続して成長が期待できる質の高いと判断される銘柄に投資するファンドです。組入上位銘柄は美容機器と健康家電メーカーのMTG、ルネサスエレクトロニクス、ファナックなどとなっており、割安成長株という視点で大型株から小型株まで幅広く115銘柄に投資しています(※)。

3位の日経平均高配当利回り株ファンドは、日経平均株価採用銘柄の中から予想配当利回りの上位30銘柄に投資するファンドです。組入上位銘柄は、日本製鉄、三井住友フィナンシャルグループ、川崎汽船、みずほフィナンシャルグループ、丸紅などとなっています(※)。

4位の日本好配当リバランスオープンは、日経500種平均株価採用銘柄を予想配当利回りの高い順にランキングし、上位の70銘柄程度に投資するファンドです。70銘柄はほぼ均等投資になっています。

5位のイーストスプリング・ジャパン中小型厳選バリュー株ファンドは、中小型株を投資対象として、独自のバリュー投資の運用哲学に基づき、株価が企業価値に対して割安に評価されている銘柄へ集中投資を行うファンドです。組入銘柄数は52銘柄で、組入上位銘柄はNOK、大東建託、DICなどとなっています(※)。

6位の低位株オープンは、低位株に分類される銘柄に主に投資を行うファンドです。組入銘柄数は240銘柄と幅広く分散投資しており、上位組入銘柄は円谷フィールズホールディングス、中山製鋼所、藤倉コンポジットなどとなっています(※)。

7位のニッポン中小型株ファンドは、中小型株を投資対象として、利益成長および成長の持続性等を勘案したファンダメンタルズ価値に対して、株価水準が割安と判断する銘柄に投資します。組入銘柄数は235銘柄と幅広く分散投資しており、組入上位銘柄はジャックス、黒崎播磨、ハマキョウレックスなどとなっています(※)。

まとめますと好成績日本株ファンドの特徴は、株価水準の割安度に着目したファンドや配当に着目したファンドといえます。

なお、長期では好成績の中小型成長株ファンドは、直近では中小型成長株が苦戦したマーケットとなったため、連続増配株インデックスファンドに勝ち続けることができませんでした。

2023年4月は、日本株の割安度などに着目した外国人投資家が現物株を2.1兆円買い越し、月間では5年半ぶりの高水準となりました。広島サミット開催も手伝って、2023年は世界が注目する日本で、割安株の物色が続く可能性があります。ただし、割安株の物色は企業業績見通しの違いなどによって一部の銘柄に限定されることが予想されます。そのような環境下では、銘柄選定力でインデックスファンドのパフォーマンスを上回ることが期待される好成績アクティブファンドの活用が有効と考えます。

好成績の日本株アクティブファンドは、2024年からの新しいNISAとは別枠となる2023年の一般NISAでの活用も選択肢といえます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

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