日経平均の調整局面で堅調だった日本株ファンドは?

日経平均の調整局面で堅調だった日本株ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2023/07/03

日経平均の調整局面で堅調だった日本株ファンドは?

3月下旬の27,000円近辺から上昇を続けていた日経平均ですが、6月16日に33,706.08円の終値ベースでの年初来高値をつけたあとは、今年初となる4日続落(6/22~27)となるなど、緩やかな調整局面を迎えました。

こうした環境の中で、短期的なファンドの値動きに注目します。日本株ファンドに分類される「国内株式」カテゴリーにおいて、4日続落の調整局面となった1週間で、運用成績が堅調だったファンドを確認します。SBI証券ホームページのランキングから、1週間(6/20~27)のリターンがプラスとなったファンド(通貨選択型ファンド等を除く)は9ファンドとなりました(図表1)。

参考として日経平均インデックスファンドも表示しましたが、この1週間で日経平均は850円(2.55%)の下落となったなか、1位の日経平均高配当利回り株ファンドは、2.48%上昇しました。この主な要因は、日経平均の下落局面で組入比率が高かった金融株や海運株が上昇したことによるものです。2位は日本製鉄グループ株式ファンドで、日本製鉄株の組入比率が半分近くを占めますが、日本製鉄株は5月から6月の上昇局面であまり上昇せず、直近の調整局面で株価が堅調であったことがプラスリターンとなった要因といえます。

3位以下では、SMT 日本株配当貴族インデックス・オープンを含む5ファンドが連続増配や高配当など配当に着目したファンド(以下、高配当株ファンド)となりました。結果、1週間でプラスリターンの9ファンドのうち6本が高配当株ファンドとなりました。

図表2で日経平均構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄から構成される代表的な高配当株指数といえる日経平均高配当株50指数(以下、高配当株50)と日経平均とTOPIXを年初来から比較しました。高配当株50は3月からの上昇局面では日経平均やTOPIXと比べて上昇率が低くなっていますが、直近の調整局面では下落が小さいことが分かります。

図表1にある高配当株ファンド6本は、全て日経平均インデックスファンドよりも基準価額の値動きのブレを示す標準偏差(リスク)が低く、長期の3年リターンも総じて良好となっています。日経平均インデックスよりもリスクが低い一方でリターンが高いため、運用効率の面からも優秀なファンドといえます。

図表1 調整局面の1週間 好成績日本株ファンドの特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
*1週間
リターン
1年
リターン
3年リターン
(年率)
1年
標準偏差
1 日経平均高配当利回り株ファンド 日経平均採用の予想配当利回りの高い30銘柄 2.48% 21.81% 22.39% 13.81
2 日本製鉄グループ株式オープン 日本製鉄およびそのグループの株式 0.95% 28.19% 31.91% 22.44
3 SMT 日本株配当貴族インデックス・オープン 連続増配株インデックス 0.95% 20.83% 16.23% 7.10
4 日本好配当リバランスオープン 日経500種平均の予想配当利回りの高い上位70銘柄 0.88% 22.33% 21.23% 9.10
5 ニッポン中小型株ファンド 利益成長および成長の持続性等を勘案した中小型割安株 0.67% 19.88% 14.95% 8.78
6 ダイヤセレクト日本株オープン 三菱グループ企業の株式 0.44% 14.83% 19.23% 11.81
7 好配当優良株ジャパン・オープン 連続増配銘柄のうち、好配当優良株を中心に投資 0.27% 18.66% 14.02% 8.33
8 新光日本インカム株式ファンド(3ヵ月決算型) 予想配当利回りが高いと判断される株式 0.06% 19.15% 21.79% 11.26
9 日本好配当株オープン 予想配当利回りや配当の成長性などを勘案した好配当株式 0.05% 10.30% 17.32% 9.13
参考 eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) 日経平均インデックス -2.55% 15.59% 14.14% 16.25

※SBI証券取り扱い「国内株式」カテゴリーの1週間(6/20~27)リターンランキング。通貨選択型ファンド等は除く。
※1年・3年リターン、1年標準偏差は5月末基準。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表2 日経平均・TOPIX・高配当株50の比較 (2022年末~2023年6月29日 2022年末=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成

高配当株ファンドの使い方は?

高配当株ファンドは一般的に日本株ファンドの中では値動きが小さい傾向があり、株式市場の調整局面において下値抵抗力を発揮することが期待されます。また、長期的に見ると相対的に高い配当収入の積み上げ効果がリターンに貢献することが見込まれます。

図表3で高配当株50とTOPIXの配当込み指数を20年間で比較しました。20年間ではTOPIXが3.75倍に対して、高配当株50は8.58倍になりました。

このパフォーマンス格差の主な要因は、高配当株50の相対的に高い予想配当利回り(図表4、高配当株50は2017年1月10日から算出のため予想配当利回りの開示は2017年1月から)と考えられ、高配当株50は高い配当収入の再投資効果が長期で見ると大きくなるといえます。

2022年4月の東証市場再編をきっかけとした上場企業の株主還元の積極化などによって2022年9月の予想配当利回りは5.90%まで上昇しました。足元では株価上昇によって高配当株50の予想配当利回りは4.10%まで低下していますが、今後は4%程度の予想配当利回りを維持できるかが、高配当株指数の優位性を確認するポイントと考えます。

高配当株ファンドの使い方としては、直近上昇が大きかった日経平均インデックスファンドと併せ持つことで分散投資効果が期待できると考えられます。長期の視点では、日経平均やTOPIXといったインデックスファンドよりも高い配当収入の積み上げ効果などによって、相対的に好パフォーマンスが期待できる資産といえそうです。

2024年からの新しいNISAにおいては、年間投資枠の拡大と非課税保有限度額の拡大が予定されています。好成績かつ分配実績のある高配当株ファンドは、分配金ニーズの高い投資家にとっては有効な選択肢の1つになると考えます。

図表3 高配当株50とTOPIXの長期比較 (2003年6月~2023年6月* 月末値 2003年6月=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成(2023年6月は29日までのデータ)

図表4 高配当株50と日経平均の予想配当利回りの推移 (2017年1月~2023年6月* 月末値)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成(2023年6月は29日までのデータ)

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