夏までの国別株価指数 対決! 上昇が大きかったファンドは? 

夏までの国別株価指数 対決! 上昇が大きかったファンドは? 

投資情報部 川上雅人

2023/08/14

夏までの国別株価指数は? 上昇が大きかったファンドは? 

先週8月6日、第105回全国高等学校野球選手権記念大会(夏の甲子園)が開幕しました。8月6日から22日までの17日間の日程で、地方大会を勝ち抜いた49の代表校によるトーナメント戦が阪神甲子園球場で行われています。新型コロナウイルスが5類に移行してから初めて甲子園球場で行われる野球大会で、開会式では4年ぶりに代表校のすべての選手が入場行進しました。また、試合終了後に対戦したチームの選手どうしが握手することや勝ったチームが大声で校歌を歌うことなどが認められました。4年ぶりとなる制限のない夏の甲子園です。代表校の夏までの努力、思い、意地のぶつかり合いに注目です。

今回は夏の甲子園にちなんで、2023年の夏までの国別株価指数の値動きや好成績ファンドを確認します。

2022年末から8月9日までの先進国の株価指数を比較したものが、図表1になります。2023年は多くの国で2022年の下落後の上昇となっていますが、先進国では米国(NASDAQ総合、S&P500)と日本が好調、ドイツ、フランス、オランダはまずまず。カナダ、オーストラリア、イギリスはあまり上昇せずに低迷しました。

米国株好調の要因は、2022年に株価下落が大きかったFANG(メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、アルファベット(グーグル))などの米国大手IT企業が業績の拡大期待などで上昇したことにあります(※)。これによって米国大手IT企業の構成比が高くなっているNASDAQ総合が大きく上昇しました。2023年は特に生成AI関連として物色されたエヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラの急上昇が目立ちます(※)。

日本(日経平均)は経済正常化や円安などによる業績拡大期待などで20%超上昇しました。

カナダ、オーストラリア、イギリスの株価指数が伸び悩んだのは、これら3ヵ国においては構成比が高いエネルギーや金融が年前半に低迷したことが要因といえます。

同様に新興国の株価指数を比較したものが図表2になります。新興国の中では2023年に入って好調となった半導体株の比率が高い台湾と韓国が上昇しました。

メキシコ、インド、ブラジル、南アフリカ、中国(上海)はまずまずでした。インドSENSEXは7月20日に過去最高値を更新しましたが、3月までは低迷していたため、上昇率は約8%にとどまりました。

インドネシアや中国(香港)は相対的に低迷しました。インドネシアが軟調となったのは中国の景気減速などによるものです。中国(香港)に関しては、上海市場よりも香港市場は海外投資家の比率が高く、米中貿易摩擦など地政学リスクを警戒した海外投資家の売りが要因と考えられます。

図表3で為替レート(対円)を示しました。2023年は日本と海外との金利差拡大を背景に円安が進みましたが、自国のインフレ率低下で実質金利(名目金利-インフレ率)が上昇したメキシコ、ブラジルの通貨が特に堅調となりました。インフレ率が相対的に高止まりしていることなどから英ポンドやユーロは米ドルよりも上昇。米ドルは対円で約9%の上昇となりました。アジア・オセアニア通貨は総じて米ドルに対して軟調となりましたが、インドネシアルピアは政府の為替介入などによって対ドルで上昇しました。南アフリカランドは南アフリカ経済の低迷などで弱い円に対しても小幅下落となりました。

こうしたマーケット環境を受けて、2023年のマーケットの大部分が反映されているといえる7月末までの6ヵ月リターンランキングは図表4となります。トップ10は全て米国株式(主にNASDAQの成長企業)に投資するファンドとなりました。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

図表1  先進国の株価指数の比較 (2022年末~2023年8月9日 2022年末=100)

※QUICKのデータをもとにSBI証券作成

図表2  新興国の株価指数の比較 (2022年末~2023年8月9日 2022年末=100)

※QUICKのデータをもとにSBI証券作成

図表3 主な為替レート(対円)の比較 (2022年末~2023年8月9日 2022年末=100)

※QUICKのデータをもとにSBI証券作成

図表4  2023年 好成績ファンドの特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
6ヵ月
リターン
1年
リターン
3年リターン
(年率)
1年
標準偏差
1 iFreeNEXT FANG+インデックス FANG+インデックス(米国大手IT企業10銘柄) 66.63% 54.12% 31.69% 32.20
2 イノベーション・インデックス・AI 世界各国のAI関連企業の株式 45.15% 38.58% 25.68% 28.08
3 eMAXIS NASDAQ100インデックス NASDAQ100インデックス 43.07% 30.11% - 23.17
4 iFreeNEXT NASDAQ100インデックス NASDAQ100インデックス 43.02% 30.03% 25.78% 23.18
5 インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式) NASDAQ100インデックス 42.94% 29.91% - 23.16
6 NZAM・ベータ NASDAQ100 NASDAQ100インデックス 42.81% 29.87% 25.19% 23.08
7 デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド(愛称:ゼロ・コンタクト) 非接触型ビジネス関連企業の株式 42.74% 30.90% -10.65% 38.74
8 米国NASDAQオープン Bコース(為替ヘッジなし) 成長性、収益性等で選定したNASDAQ上場株式 42.70% 31.05% 19.25% 23.56
9 PayPay投信 NASDAQ100インデックス NASDAQ100インデックス 42.55% 29.26% - 23.08
10 eMAXIS Neo バーチャルリアリティ 世界各国の拡張現実・仮想現実関連企業の株式 41.61% 29.46% 42.00% 31.91

※SBI証券取り扱いのレバレッジ型、通貨選択型、毎月決算型、積立不可ファンドを除く6ヵ月リータンランキング(7月末基準)
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

2023年 好成績ファンドの特徴は?

1位のiFreeNEXT FANG+インデックスは、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、テスラ、マイクロソフト、ネットフリックス、スノーフレイク、アルファベット、エヌビディア、アドバンスト・マイクロ・デバイセズの10銘柄に集中投資しているファンドです(※)。6ヵ月ではエヌビディアやメタ・プラットフォームズの株価大幅上昇が+66.63%の好成績につながりました。3年リターンでも年率31.69%と好パフォーマンスです。

2位のイノベーション・インデックス・AIは、世界各国のAI関連企業の株式に投資するインデックスファンドで、上位組入銘柄はメタ・プラットフォームズ、エヌビディア、マイクロソフト、アルファベットなどとなっています(※)。3年リターンでも好パフォーマンスです。

3位のeMAXIS NASDAQ100インデックスは、マイクロソフト、アップル、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズの7銘柄で54%の構成比となっています(※)。4位、5位、6位、9位もNASDAQ100インデックスファンドとなりました。

7位はデジタル・トランスフォーメーション株式ファンド(愛称:ゼロ・コンタクト)は、非接触型ビジネス関連企業の株式に投資するファンドで、米アーク社の調査を活用して運用しています。暗号資産取引プラットフォームを運営するコインベース・グローバル、クラウドベースのeコマースプラットフォームを提供するショッピファイ、双方向のリアルタイム3Dコンテンツの制作・運用のためのプラットフォームを開発するユニティ・ソフトウェアなどに投資しています(※)。3年リターンでは苦戦していますが、2023年に入って大きく回復しています。また、値動きのブレを示す標準偏差が高くなっているファンドです。

8位の米国NASDAQオープン Bコース(為替ヘッジなし)は、成長性、収益性等で選定したNASDAQ上場株式に投資しているアクティブファンドです。組入上位銘柄はアップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディアなどとなっています(※)。1年リターンではNASDAQ100インデックスファンドを上回っていますが、3年リターンでは劣後しています。

10位のeMAXIS Neo バーチャルリアリティは世界各国の拡張現実・仮想現実関連企業の株式に投資するインデックスファンドで、組入上位銘柄はユニティ・ソフトウェア、写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営するスナップ、メタ・プラットフォームズなどとなっています(※)。台湾のハイマックス・テクノロジーズやエヌビディアなど半導体株の構成比が28.9%となっているのも特徴です。3年リターンは年率42.00%と10ファンドの中で最も高くなっています。

2023年において夏まで好調だったファンドは、過去3年で見ても好調だったファンドが多くなっています。唯一、デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド(愛称:ゼロ・コンタクト)だけが2023年に入ってから回復した出遅れファンドといえます。

こうした特徴をつかんだ上で、これらの2023年好成績ファンドへの分散投資を検討することが有効といえます。

過去3年の実績通りにバーチャルリアリティ、FANG+インデックス、インデックス・AIが好調持続となるのか、米国成長株の物色対象が広がって2022年までは低迷し2023年から回復しているゼロ・コンタクトのようなテーマ株ファンドの巻き返しが続くのか、米国成長株優位が一巡して世界の割安株が巻き返すのか。これら3つのシナリオを想定して株式ファンドに分散投資することが有効と考えます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。各ファンドの組入上位銘柄の情報は2023年6月末基準。

免責事項・注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【投資信託に関するご注意事項】

・投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
・投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客さまが実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
・ご投資にあたっては、商品概要や目論見書(目論見書補完書面)をよくお読みください。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。