9.11同時多発テロから22年 運用実績22年以上の好成績ファンドは?

9.11同時多発テロから22年 運用実績22年以上の好成績ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2023/09/11

9.11同時多発テロから22年 マーケットと長期好成績ファンドは?

2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件から今日で丸22年となりました。アメリカ同時多発テロとは、イスラム過激派テロ組織アルカイダによって行われたアメリカ合衆国に対する4つの協調的なテロ攻撃で、9.11事件と呼称されています。ハイジャックされた大型旅客機が世界貿易センタービル等を目標に激突し、甚大な被害を及ぼしました。犠牲者数は約3,000人とされ、テロ事件としては世界最大の被害となりました。

9.11直後のマーケットは、通信システムが破壊されたこともあって4日間市場が閉鎖し、再開後の米国株式市場はリスク回避の動きが強まって短期的な下落に見舞われました。代表的な株価指数であるS&P500指数は、9.11直前の9月10日の1,092.54ポイントから9月21日に965.80ポイント(2001年安値)をつけ、5営業日で11.6%の下落となりました。

その後のS&P500指数は、米エネルギー大手エンロンの破綻(2001年12月)や米通信大手ワールドコムの破綻(2002年7月)による信用収縮などで2002年10月には776.76ポイントの安値を、さらには米投資銀行大手リーマン・ブラザーズの破綻(2008年9月)による金融不安などによって2009年3月には676.53ポイントの安値をつけました(図表1)。2009年3月以降は米国経済の成長による企業業績の拡大などによって、S&P500指数は長期上昇傾向となっています。

日米の配当込み株価指数の相対比較を見たものが図表2になります。アメリカ同時多発テロの前月である2001年8月末からの22年間では、S&P500が6.1倍、TOPIXが3.19倍となっています。テロや金融不安などによる世界的な株式市場の下落を克服して、日米の株価指数は企業業績の拡大とともに上昇を続けてきました。

22年間の為替市場においては、円高ドル安となる局面が前半は続きましたが、2013年からはアベノミクスの下での大規模な金融緩和策によって円安傾向となりました。ドル円レートは22年間で22%上昇(円安ドル高)となっています。

こうした投資環境下で、9.11事件を経験した22年以上の運用実績があるファンドの10年リターンを確認します。ウエルスアドバイザーのファンド検索を参考にSBI証券取り扱いの10年リターン上位ファンドは図表3になります。10年リターン上位ファンド9本(10年で年率15%以上、ブルベア等は除く)では、米国株ファンドが5本、日本株ファンドが4本となっています。22年以上の運用実績を持つ米国株ファンドが少なかったという要因もありますが、意外にも日本株ファンドが健闘しました。それぞれのファンドについて解説します。

図表1 S&P500指数の推移 (2000年12月~2023年8月 月足チャート)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230911_01_01.png

※QUICKのデータをもとにSBI証券作成

図表2 日米株価指数の相対チャート (2001年8月~2023年8月 月末値 2001年8月=100)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230911_01_02.png

※QUICKのデータをもとにSBI証券作成

図表3 運用実績22年以上 10年好成績ファンドの特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年リターン
(年率)
10年リターン
(年率)
1 netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし) 主にテクノロジーの発展により恩恵を受ける米国企業の株式 25.89% 13.88% 19.12%
2 米国NASDAQオープン Bコース(為替ヘッジなし) 成長性、収益性、安全性等を総合的に勘案して選択したNASDAQ銘柄 31.48% 16.27% 18.84%
3 三菱UFJ NASDAQオープン Bコース 新技術・開発力、ビジネスモデル等から成長が期待できるNASDAQ銘柄 27.03% 18.11% 18.22%
4 情報エレクトロニクスファンド エレクトロニクスや情報通信に関連する企業群の株式 30.90% 21.65% 17.39%
5 フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(愛称:Jテック+) テクノロジー関連企業の中から成長力が高いと判断される企業の株式 14.74% 17.98% 16.39%
6 One 国内株オープン(愛称:自由演技) マクロの投資環境の変化に応じて投資スタイルを適宜変更し銘柄を選定 20.87% 16.73% 15.36%
7 大和ベストチョイス・オープン 日本経済の構造的な転換の中で、将来性、成長性が期待される企業 19.23% 15.43% 15.27%
8 フィデリティ・米国優良株・ファンド 個別企業分析により国際的な優良企業や将来の優良企業に投資 23.81% 21.80% 15.23%
9 明治安田アメリカ株式ファンド(愛称:グレートイーグル) S&P500銘柄を対象としてクオンツ手法を活用し、最適ポートフォリオを構築 18.76% 21.75% 15.08%

※ウエルスアドバイザーのファンド検索をもとにSBI証券作成
※SBI証券取り扱いファンド(運用実績22年以上)の10年リターンランキング(8月末基準)、ブルベアと償還が1年以内のファンドを除く
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

運用実績22年以上 10年好成績ファンドの特徴は?

10年リターン1位のnetWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)は、主にテクノロジーの発展により恩恵を受ける米国企業の株式に投資しており、組入上位銘柄はアルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、アップルなどとなっています(※)。組入銘柄数は36銘柄です。

2位の米国NASDAQオープン Bコース(為替ヘッジなし)は、成長性、収益性、安全性等を総合的に勘案して選択したNASDAQ銘柄に投資しており、組入上位銘柄はアップル、アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、エヌビディアなどとなっています(※)。組入銘柄数は39銘柄で、ファンドは直近1年での上昇が目立ちます。

3位の三菱UFJ NASDAQオープン Bコースは、新技術・開発力、ビジネスモデル等から成長が期待できるNASDAQ銘柄に投資しており、マイクロソフト、アップル、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディアなどとなっています(※)。組入銘柄数は46銘柄です。

4位の情報エレクトロニクスファンドは、エレクトロニクスや情報通信に関連する企業群の株式に投資しており、39年以上の実績を持つ日本株ファンドです。組入上位銘柄はディスコ、日立製作所、ローム、ソニーグループ、アドバンテストなどとなっており、組入銘柄数は41銘柄です(※)。ファンドは直近1年での上昇が目立ちます。

5位のフィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(愛称:Jテック+)は、テクノロジー関連企業の中から成長力が高いと判断される企業の株式に投資しており、組入上位銘柄は東京エレクトロン、キーエンス、ソニーグループ、村田製作所、野村総合研究所などとなっています(※)。組入銘柄数は36銘柄です。

6位のOne 国内株オープン(愛称:自由演技)は、マクロの投資環境の変化に応じて投資スタイルを適宜変更し銘柄を選定しており、組入上位銘柄はソニーグループ、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、キーエンス、三井住友フィナンシャルグループなどとなっています(※)。組入銘柄数は192銘柄となっています。

7位の大和ベストチョイス・オープンは、日本経済の構造的な転換の中で、将来性、成長性が期待される企業の株式に投資しており、組入上位銘柄はソニーグループ、トヨタ自動車、野村総合研究所、コナミグループ、ディスコなどとなっています(※)。組入銘柄数は55銘柄です。

8位のフィデリティ・米国優良株・ファンドは、個別企業分析により国際的な優良企業や将来の優良企業に投資しており、組入上位銘柄は、マイクロソフト、アップル、エヌビディア、アマゾン・ドット・コム、アルファベットなどとなっています(※)。組入銘柄数は86銘柄です。

9位の明治安田アメリカ株式ファンド(愛称:グレートイーグル)は、S&P500銘柄を対象としてクオンツ手法を活用し、最適ポートフォリオを構築するファンドで、組入上位銘柄はアップル、マイクロソフト、エヌビディア、アマゾン・ドット・コム、テスラなどとなっています(※)。組入銘柄数は278銘柄です。

上記9ファンドとS&P500指数(配当込・円ベース)、TOPIX(配当込)の20年間を比較したものが図表3になります。20年間では3位以下の順位が変わりました。

順位が変わらなかった1位のnetWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)と2位の米国NASDAQオープン Bコース(為替ヘッジなし)の2ファンドは、S&P500指数(配当込・円ベース)を20年間でも上回っており、長期で好成績の米国株ファンドとして注目します。日本株ファンドにおいてもJテック+を除いては20年でもTOPIX(配当込)を上回っており分散投資先として有効な選択肢と考えます。

なお、9ファンドのうち大和ベストチョイス・オープン以外の8ファンドが、新NISAの成長投資枠対象ファンドとして申請されています(9月1日時点)。これらのファンドは22年以上の運用実績を持つ成長投資枠対象ファンドとして躍進が期待されます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。各ファンドの組入上位銘柄の情報は2023年7月末基準。

図表4 長期好成績ファンド 20年パフォーマンス比較 (2003年8月~2023年8月 月末値 2003年8月=100) 

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230911_02_01.png

※QUICKのデータをもとにSBI証券作成 (ファンド名は愛称または略称)

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