18年ぶり阪神優勝と日経平均のアノマリー 1年好成績の日本株ファンドは? 

18年ぶり阪神優勝と日経平均のアノマリー 1年好成績の日本株ファンドは? 

投資情報部 川上雅人

2023/09/19

18年ぶり阪神優勝と日経平均のアノマリー?!

2023年9月14日、プロ野球では阪神タイガースのセントラル・リーグ優勝が決定しました。阪神は2005年以来18年ぶり6回目の優勝となり、地元関西を中心とした熱狂的なファンを持つ人気球団のため、優勝による日本全国での経済効果は900億円超と予想されています。

そこで今回は阪神優勝と日本株(日経平均)の関係を検証します。

過去40年では、阪神の優勝は3回(1985年、2003年、2005年)ありましたが、優勝した年(暦年)の日経平均は2ケタの上昇となっています。優勝が決まった今年も9月14日の途中経過で日経平均は約27%の上昇です。さらには阪神が優勝した翌年の1986年、2004年、2006年の日経平均は、すべて上昇となっています(図表1)。なお、1985年以前の優勝は1964年となり、東京五輪開催の年まで遡ります。

1983年以降の過去3回とサンプルは少ないですが、阪神が優勝した年の日経平均は2ケタ上昇し、翌年も上昇するというアノマリーがあるようです。アノマリーとは根拠はないが経験的に観測できるマーケットの規則性をいいます。

阪神が優勝した年は日経平均が2ケタ上昇し、翌年もその勢いが続くというアノマリーが、2023年、2024年においても実現するのかに注目です(図表2)。

次に、阪神タイガースの全盛期といえる20年前(2003年)と18年前(2005年)、過去2回の優勝を経験した運用実績20年以上の日本株ファンド(SBI証券取り扱い)をチェックします。前年の3位から岡田監督に代わった(阪神の監督としては15年ぶりの復帰)1年目に優勝したことを踏まえて、1年の好成績ファンドをランキングしました。1年好成績日本株ファンドのベスト9は図表3となります。

図表1 過去40年 プロ野球 セントラル・リーグ優勝チームと日経平均騰落率(勝敗)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230919_01_01.png

※NPB(日本野球機構)、QUICKのデータをもとにSBI証券作成(2023年は9/14までのデータ)

図表2 日経平均の推移と阪神優勝のタイミング (1982年12月~2023年9月* 月末値)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230919_01_02.png

※QUICKのデータをもとにSBI証券作成
※阪神優勝決定日の月と日経平均の月末値を表示(2023年9月は優勝決定日14日のデータ)

図表3 運用実績20年以上 1年好成績日本株ファンドの特徴と運用成績

順位 ファンド名 国内株式
カテゴリー
特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年リターン
(年率)
10年リターン
(年率)
1 新世代成長株ファンド(愛称:ダイワ大輔) 小型グロース 取得時において発行済株式総数が2億株未満の株式を主要投資対象 38.84% 7.62% 9.57%
2 明治安田セレクト日本株式ファンド(愛称:初くん) 中型ブレンド 今後成長が期待できる産業分野の中から、継続して成長が期待できる銘柄 32.53% 27.81% 11.94%
3 低位株オープン 小型バリュー 低位株に属する銘柄の中から、成長性、業種分散などを勘案し銘柄を選定 31.79% 20.77% 10.66%
4 情報エレクトロニクスファンド 大型グロース エレクトロニクスに関連する企業群や情報通信に関連する企業群の株式 30.90% 21.65% 17.39%
5 アムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンド 小型バリュー 資産価値からみた割安な銘柄のうち、株主価値の増大を図る余力がある銘柄 29.49% 17.53% 11.09%
6 三菱UFJ スタイルセレクト・バリューファンド(愛称:変革) 大型バリュー 定量評価を重視し、バリュー(株価の割安度)に着目した運用を行う 27.78% 21.24% 9.47%
7 小型ブルーチップオープン 中型ブレンド 中長期的視点に立った成長性などに焦点を当て、中小型株に投資 27.70% 22.66% 14.27%
8 朝日ライフ クオンツ 日本株オープン 大型ブレンド 統計的手法により銘柄を選定するクオンツ運用でTOPIXを上回る収益をめざす 27.36% 16.46% 10.30%
9 ストラテジック・バリュー・オープン(愛称:真価論) 大型バリュー 資産・利益等に比較して株価が割安と判断される銘柄を厳選 27.34% 22.86% 10.11%

※ウエルスアドバイザーのファンド検索をもとにSBI証券作成
※SBI証券取り扱い「国内株式」カテゴリー(運用実績20年以上)の1年リターンランキング(8月末基準)、償還日までが短いファンドを除く
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

運用実績20年以上 1年好成績日本株ファンドの特徴は?

1年リターン1位の新世代成長株ファンド(愛称:ダイワ大輔)は、取得時において発行済株式総数が2億株未満の株式を主要投資対象としており、小型グロースに分類されています。組入上位銘柄は発光ダイオード用拡散レンズを展開するエンプラス、半導体製造装置関連製品メーカーのテセック、言語分析を使った顧客情報管理に強みを持つプラスアルファ・コンサルティングなどとなっており、組入銘柄数は50銘柄です(※)。1年では好調ですが、3年では小型成長株には逆風のマーケットだったこともあって、3年リターンでは相対的に苦戦しています。

2位の明治安田セレクト日本株式ファンド(愛称:初くん)は、今後成長が期待できる産業分野の中から、継続して成長が期待できる銘柄に投資しており、中型ブレンドに分類されています。組入上位銘柄は、トヨタ自動車、三菱商事、ヘルスケア領域における商品やサービスを開発、事業を展開しているジェイフロンティアなどとなっており、組入銘柄数は114銘柄です(※)。9ファンドの中では3年で最も好成績となっています。

3位の低位株オープンは、低位株に属する銘柄の中から、成長性、業種分散などを勘案し銘柄を選定しており、小型バリューに分類されています。組入上位銘柄は自動車部品メーカーのユニプレス、自動車用防振ゴム最大手の住友理工、東海東京フィナンシャル・ホールディングスなどとなっており、組入れ銘柄数は316銘柄となっています(※)。

4位の情報エレクトロニクスファンドは、エレクトロニクスに関連する企業群や情報通信に関連する企業群の株式に投資しており、大型グロースに分類されています。組入上位銘柄は、ディスコ、日立製作所、ロームなどとなっており、組入銘柄数は42銘柄です(※)。9ファンドの中では10年で最も好成績となっています。

5位のアムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンドは、資産価値からみた割安な銘柄のうち、株主価値の増大を図る余力がある銘柄に投資しており、小型バリューに分類されています。組入上位銘柄はリコー、凸版印刷、牧野フライス製作所などとなっており、組入銘柄数は62銘柄です(※)。

6位の三菱UFJ スタイルセレクト・バリューファンド(愛称:変革)は、定量評価を重視し、バリュー(株価の割安度)に着目した運用を行うファンドで、大型バリューに分類されています。組入上位銘柄は三菱UFJフィナンシャル・グループ、東京海上ホールディングス、三菱商事などとなっており、組入銘柄数は56銘柄です(※)。

7位の小型ブルーチップオープンは、中長期的視点に立った成長性などに焦点を当て、中小型株に投資しているファンドで、中型ブレンドに分類されています。組入上位銘柄はアドバンテスト、豊田通商、ロームなどとなっており、組入銘柄数は69銘柄です(※)。

8位の朝日ライフ クオンツ 日本株オープンは、統計的手法により銘柄を選定するクオンツ運用でTOPIXを上回る収益をめざすファンドで、大型ブレンドに分類されています。組入上位銘柄はトヨタ自動車、日本電信電話、日立製作所などとなっており、組入銘柄数は145銘柄です(※)。

9位のストラテジック・バリュー・オープン(愛称:真価論)は、資産・利益等に比較して株価が割安と判断される銘柄を厳選して投資しており、大型バリューに分類されます。組入上位銘柄は日本電信電話、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソニーグループなどとなっており、組入銘柄数は100銘柄です(※)。

直近1年間は時価総額が大きく割安株に分類される銘柄で構成される大型バリューのファンドが相対的に優位なマーケットでしたが、上位9ファンド(ベスト9)は規模でみると大型4、中型2、小型3と比較的分散されました。スタイル別ではバリューのファンドが多くなりました。

ベスト9の20年パフォーマンスを比較したものが図表4になります。多くのファンドがTOPIXまたはTOPIX(配当込)を参考指数としているため、TOPIX(配当込)を参考として比較しました。20年ではアムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンド、低位株オープン、情報エレクトロニクスファンド、小型ブルーチップオープンは、TOPIX(配当込)を大きく上回っており、長期でも優秀なファンドといえます。

三菱UFJ スタイルセレクト・バリューファンド(愛称:変革)以外のファンド8本は、新NISAの成長投資枠対象ファンドとなっています(9月1日時点)。これらの8ファンドについては、ファンドの特徴をおさえた上で新NISAにおける分散投資の選択肢として活用することも有効と考えます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。各ファンドの組入上位銘柄の情報は2023年8月末基準。

図表4 1年好成績日本株ファンド 20年パフォーマンス比較 (2003年8月~2023年8月 月末値 2003年8月=100) 

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_230919_02_01.png

※QUICKのデータをもとにSBI証券作成 (ファンド名は一部、愛称または略称)

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