新NISA つみたて投資枠 好成績アクティブファンドは?

新NISA つみたて投資枠 好成績アクティブファンドは?

投資情報部 川上雅人

2023/10/02

新NISA つみたて投資枠の対象ファンドは?

2024年からの新NISAを控えて、つみたてNISA対象ファンドの追加に注目します。つみたてNISA対象ファンドは新NISAにおいてはつみたて投資枠対象ファンドとして引き継がれます。現行のつみたてNISAと比べて新NISAのつみたて投資枠は、非課税枠の拡大(年間40万円→120万円)に加えて、つみたて投資については成長投資枠(年間240万円、生涯非課税限度額1,200万円)への投資も可能となるため、年間では9倍(40万円→360万円)、生涯では2.25倍(800万円→1,800万円)に大幅拡大となります(図表1)。(新NISAの詳細はこちら

2024年からの年間360万円、生涯1,800万円となるつみたて投資枠の資金を狙って、投資信託の運用会社がつみたてNISA対象ファンドを増やしつつあります。つみたてNISA対象商品の適格要件は、販売手数料がゼロ(ノーロード)であること、指定インデックス投資信託以外の投資信託では信託報酬が一定以下であることや信託設定以降5年以上が経過し、信託の計算期間のうち資金流入超の回数が2/3以上であることなど厳しい条件があり、指定インデックス投資信託以外の投資信託においては、対象ファンドの拡充が昨年まではほとんど進んでいませんでした。しかし、今年に入ってから新NISAを控え、これらの投資信託が徐々に増加傾向にあります。

つみたてNISA対象商品は、金融庁のホームページで確認できます。2023年9月15日時点のつみたてNISA対象商品のファンド数は図表2となります。金融庁では指定インデックス投資信託、指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等)、上場投資信託(ETF)と3つに分類していますが、2つ目の指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等)は、ここではさらに独自に3つに分類します。①アクティブ運用投資信託、②インデックス投資信託、③バランス型投資信託の3つです。

①は一般にはアクティブファンドと呼ばれるもので、あらかじめ決められた運用方針のもとで、運用担当者(ファンド・マネージャー)が、投資する企業やその投資割合などを決定し運用するファンドのことです。

②は金融庁が指定していないインデックスへの連動をめざずファンドで、NYダウのインデックスファンドや米国高配当株式のインデックスファンドなどが該当します。

③は株式や債券など複数の資産に投資しているファンドで、金融庁が指定していないインデックスを投資対象としている、またはアクティブファンドに投資しているファンドがこの枠に当てはまります。

今回は①のアクティブファンド16本に注目し、特徴と運用成績を確認します。16本のファンドを3年リターンでランキング(SBI証券取り扱い)したものが図表3となります。参考としてS&P500、全世界株式、日経平均のインデックスファンドとも比較しました。

図表1 新NISA つみたて投資枠 生涯非課税限度額のイメージ

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_231002_01_01.png

※SBI証券ホームページより抜粋

図表2 つみたてNISA対象商品の内訳 (2023年9月15日時点)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_231002_01_02.png

※金融庁ホームページよりSBI証券作成
※四捨五入の関係で比率の合計が100%にならない場合があります

図表3  つみたてNISA対象 アクティブファンドの特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年リターン
(年率)
1年
標準偏差
1 iTrustインド株式 中長期的に成長が期待できるインド企業の株式 10.80% 23.77% 16.37
2 大和住銀DC国内株式ファンド ファンダメンタル価値比割安性(バリュー)を重視し、日本の株式に投資 25.58% 22.56% 14.16
3 フィデリティ・米国優良株・ファンド 個別企業分析により、国際的な優良企業や将来の優良企業に投資 23.81% 21.80% 18.23
4 明治安田DC外国株式リサーチオープン(愛称:DCジェットストリーム) ファンダメンタルズ分析、ボトムアップ型リサーチに基づく成長株への投資 19.36% 18.44% 15.71
5 iTrust世界株式(愛称:世界代表~勝ち組企業厳選) 高い競争優位性をもつ世界の優良企業の株式に投資 18.97% 16.81% 15.74
6 ニッセイ日本株ファンド 株式の銘柄選択などは運用会社が独自に開発した運用モデルを活用 24.08% 16.73% 13.61
7 コモンズ30ファンド 世界の成長を取り込める30銘柄程度の企業に集中投資 22.23% 16.04% 15.80
8 農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね 持続可能なキャッシュ・フロー創出能力を有する「構造的に強靭な企業」 14.28% 15.50% 17.44
参考 SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(SBI・V・S&P500) S&P500インデックスファンド 21.00% 22.74% 17.90
参考 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 全世界株式(日本を含む)インデックスファンド 19.84% 19.63% 15.29
参考 <購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド 日経平均インデックスファンド 18.51% 14.08% 16.67

※SBI証券取り扱いのつみたてNISA対象ファンドのうち、アクティブファンドの3年リターンランキング(8月末基準、販売制限があるファンドは除く)
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

つみたてNISA対象 アクティブファンドの特徴は?

アクティブファンド1位のiTrustインド株式は、中長期的に成長が期待できるインド企業の株式に投資しています。組入上位銘柄は幅広い金融サービスを提供するHDFC銀行、コンピューターサービス会社のインフォシス、インド全土に支店網を有する商業銀行のICICI銀行などとなっており、組入銘柄数は24銘柄です(※)。3年のリターンではS&P500インデックスファンドを上回る実績となっており、2023年6月9日からつみたてNISA対象となりました。

2位の大和住銀DC国内株式ファンドは、ファンダメンタル価値比割安性(バリュー)を重視して日本の株式に投資しており、組入上位銘柄は三菱UFJフィナンシャル・グループ、日本電信電話、トヨタ自動車などとなっています(※)。組入銘柄数は80銘柄で、1年・3年のリターンでは日経平均インデックスファンドを大きく上回っています。

3位のフィデリティ・米国優良株ファンドは、個別企業分析により、国際的な優良企業や将来の優良企業に投資しており、組入上位銘柄はマイクロソフト、アップル、エヌビディアなどとなっています(※)。組入銘柄数は86銘柄で、1年リターンではS&P500インデックスファンドを上回っています。

4位の明治安田DC外国株式リサーチオープン(愛称:DCジェットストリーム)は、ファンダメンタルズ分析、ボトムアップ型リサーチに基づく成長株への投資を行っており、組入上位銘柄はマイクロソフト、アップル、アルファベットなどとなっています(※)。組入銘柄数は115銘柄で、2023年9月14日からつみたてNISA対象となっています。

5位のiTrust世界株式(愛称:世界代表~勝ち組企業厳選)は高い競争優位性をもつ世界の優良企業の株式に投資しています。組入上位銘柄は、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなどとなっており、組入銘柄数は51銘柄です(※)。2023年6月9日からつみたてNISA対象となりました。

6位のニッセイ日本株ファンドは、株式の銘柄選択などは運用会社が独自に開発した運用モデルを活用しているファンドで、組入上位銘柄はトヨタ自動車、キーエンス、三菱UFJフィナンシャル・グループなどとなっています(※)。1年・3年のリターンでは日経平均インデックスファンドを上回っています。

7位のコモンズ30ファンドは、世界の成長を取り込める30銘柄程度の企業に集中投資しており、組入上位銘柄はディスコ、三菱商事、味の素などとなっています(※)。こちらも1年・3年のリターンでは日経平均インデックスファンドを上回っています。

8位の農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶねは、持続可能なキャッシュ・フロー創出能力を有する「構造的に強靭な企業」に投資しており、組入上位銘柄は会員制倉庫型店を展開するコストコ・ホールセール、世界最大手の相互接続製品メーカーのアンフェノール、米国大手半導体メーカーのテキサス・インスツルメンツなどとなっています(※)。組入銘柄数は28銘柄となっており、2023年7月31日からつみたてNISA対象となりました。

つみたてNISA対象の3年リターン上位のアクティブファンドは、2023年6月以降につみたてNISA対象となったファンドが半数となりました。アクティブファンドで上位といっても対象数が少なく、インデックスファンド比較では運用成績が見劣りするファンドがあるのも事実です。しかし、日本株アクティブファンドはインデックスを上回るファンドが多く散見され、また、インド株式など特色ある好成績ファンドも存在します。新NISAでは非課税枠が大きく広がるため、こうした好成績ファンドも加えることでパフォーマンス向上につながることも期待されます。

図表4で3年リターン上位の3ファンドと参考のインデックスファンドのパフォーマンスを比較可能な約4年間でグラフ化しました。S&P500インデックスや全世界株式インデックスに加える分散投資先として有望と考えられるのは、それぞれのインデックスファンドと異なる値動きとなっているファンドといえます。過去の実績で絞るなら、S&P500インデックスには大和住銀DC国内株式ファンド、iTrustインド株式が、全世界株式インデックスには、フィデリティ・米国優良株ファンド、大和住銀DC国内株式ファンド、iTrustインド株式がその候補と考えます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。各ファンドの組入上位銘柄の情報は2023年8月末基準(フィデリティ・米国優良株ファンドのみ2023年7月末基準)。

図表4 つみたてNISA対象 好成績アクティブファンドのパフォーマンス比較 (2019年9月30日~2023年9月28日 2019年9月30日=100) 

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_231002_02_01.png

※QUICKのデータをもとにSBI証券作成 (ファンド名は一部、愛称または略称) 

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