新NISA 成長投資枠 隔月決算型ファンドはどう使う?

新NISA 成長投資枠 隔月決算型ファンドはどう使う?

投資情報部 川上雅人

2023/11/06

成長投資枠 隔月決算型のファンド本数は?

今回は新NISAの成長投資枠対象ファンド(投資信託(非上場))の決算頻度をチェックします。9月1日時点と10月2日時点での決算頻度別のファンド本数は図表1になります。

最も少ない年6回決算型=隔月決算型のファンドが54本から72本に増えています。シェアも3.3%から4.3%へと緩やかに拡大しました。長期の資産形成に向かないとされる毎月決算型ファンドは新NISAの対象商品から除外されるため、非課税枠での毎月決算型ファンドの受け皿として隔月決算型ファンドが一定の支持を得ることが予想されます。その流れを予想して運用会社は既存の毎月決算型ファンドの隔月決算型を新商品として投入し、成長投資枠対象ファンドとして申請していることも増加の一因といえます。

年内最終となる12月19日のNISA成長投資枠対象商品リストの更新日までに隔月決算型ファンドがどこまで増えるかに注目が集まります。

こうした状況を踏まえて、隔月決算型の好成績ファンドを確認します。今回は運用実績5年以上のファンドでSBI証券取り扱いの5年リターンランキング(2023年9月末基準)を示したものが図表2になります。1位はインド株式ファンド、2位が北米リートファンド、3位から5位までがバランスファンドとなりました。

図表1 成長投資枠対象ファンド(投資信託(非上場)) 決算頻度の内訳 9月1日時点と10月2日時点の比較

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_231106_01_01.png

※投資信託協会のホームページをもとにSBI証券作成
※四捨五入の関係で比率の合計が100%にならない場合があります

図表2 成長投資枠 隔月決算型 5年好成績ファンドの特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年リターン 3年リターン
(年率)
5年リターン
(年率)
5年
標準偏差
1 インド株式フォーカス(奇数月分配型) 中長期的に高い経済成長が見込まれるインド企業の株式 11.23% 24.10% 14.73% 21.99
2 北米リート・セレクトファンド Bコース(定額目標分配型/為替ヘッジなし)(愛称:ほくと星) 米国およびカナダの不動産投資信託証券(リート) 9.44% 18.77% 7.33% 21.40
3 SBI資産設計オープン(分配型)(愛称:スゴ6) 株式40%、債券40%、リート20%を基本組入比率とする 11.59% 9.65% 5.78% 10.12
4 世界ダブルハイインカム(奇数月決算型) 世界の高格付けの高金利公社債と世界主要国の好配当利回り株 11.48% 8.66% 5.53% 8.80
5 MHAM6資産バランスファンド(愛称:六花選) 国内および海外の公社債、株式およびリート 9.17% 9.43% 5.50% 9.62

※SBI証券取り扱いの新NISA・成長投資枠対象・隔月決算型ファンドの5年リターンランキング(9月末基準)
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

隔月決算型 5年好成績ファンドの特徴は? 隔月決算型はどう使う?

5年リターンで1位となったインド株式フォーカス(奇数月分配型)は、中長期的に高い経済成長が見込まれるインド企業の株式に投資しています。組入上位銘柄は、商業銀行大手のICICI銀行、石油の開発・生産・精製、小売りなどを展開するリライアンス・インダストリーズ、コンピューターサービス会社のインフォシスなどとなっており、組入銘柄数は42銘柄です(※)。インド株式ファンドの中では5年で中位の(平均的な)パフォーマンスです。9月15日に約款変更を行い、毎月決算型から隔月決算型になりました。基準価額10,047円に対して、直近(9/14)は60円の分配金となっています。隔月決算となって11月の分配水準に注目です。

2位の北米リート・セレクトファンド Bコース(定額目標分配型/為替ヘッジなし)(愛称:ほくと星)は、米国およびカナダの不動産投資信託証券(リート)に投資しており、組入上位銘柄は、工業用セクターのプロロジス、データセンターのエクイニクス、集合住宅用セクターのアパロンベイ・コミュニティーズなどとなっており、組入銘柄数は36銘柄です(※)。カナダの組入比率は3.5%で、ほぼ米国リートのファンドです。米国リートファンドの中では5年で平均的なパフォーマンスです。基準価額9,819円(10月末)に対して直近は100円(9/15)の分配金となっています。

3位のSBI資産設計オープン(分配型)(愛称:スゴ6)は、株式40%(国内20%、外国20%)、債券40%(国内20%、外国20%)、リート20%(国内10%、外国10%)を基本組入比率とするバランスファンドです。バランスファンドの中では5年で平均的なパフォーマンスです。基準価額は10,600円(10月末)に対して直近25円(9/11)の分配金となっています。7月10日の決算では525円の分配金となっており、基準価額10,000円を大きく上回った場合に多額の分配金を支払う方針のようです。

4位の世界ダブルハイインカム(奇数月決算型)は、世界の高格付けの高金利公社債と世界主要国の好配当利回り株に投資しています。債券70%、株式30%の基本組入比率となっています。投資通貨はほぼ外貨となりますが、債券70%のため安定成長のバランスファンドに分類されており、その中で5年リターンは高位となっています。基準価額8,988円(10月末)に対して直近30円(9/19)の分配金となっています。

5位のMHAM6資産バランスファンド(愛称:六花選)は、国内および海外の公社債、株式およびリートに投資しており、国内債券、海外債券、国内株式、海外株式、国内リート、海外リートの6資産に均等投資する基本配分比率となっています。バランスファンドの中では5年で平均的なパフォーマンスとなっています。基準価額10,278円(10月末)に対して直近30円(9/12)の分配金となっています。5月12日の決算では80円の分配金となっており、こちらも基準価額10,000円を大きく上回った場合には多額の分配金を支払う方針のようです。

隔月決算型の5年好成績ファンドといっても対象ファンドが少ないため、同じカテゴリーでは目立った好成績とはいえません。リスクを抑えて定期的な分配金を受け取りたい方にとっては、上記バランスファンド3本は選択肢になると考えます。

新NISAにおいては、NISA口座内で商品を売却した場合は、その買付け残高分は翌年から非課税枠(生涯非課税限度額)の再利用が可能となります。そのため、分配金で受け取るよりも一部売却をした方が非課税枠が有効活用できます(図表3)。

投資商品からの定期的なキャッシュフローを期待している方は、隔月決算型ファンドを活用するのもひとつの方法ですが、成長投資枠の隔月決算型で気になるファンドがない場合は、非課税枠の有効活用という視点で考えると、無分配で解約時のコストに相当する信託財産留保額がないファンドなどを購入し、一部売却で対応するのが効率的といえます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報および資産構成比は2023年9月末基準。

図表3 新NISA 投資信託における非課税枠(生涯非課税限度額)再利用のイメージ図

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_231106_02_01.png

※金融庁のホームページ「新しいNISA」をもとにSBI証券作成

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