新NISA つみたて投資枠 オルカンを上回る注目のインデックスファンドは?

新NISA つみたて投資枠 オルカンを上回る注目のインデックスファンドは?

投資情報部 川上雅人

2023/11/13

つみたてNISA 人気のオルカンを上回るインデックスファンドは?

2024年からの新NISAスタートに向けて、つみたてNISA対象ファンドがじわじわと増えてきました。つみたてNISA対象ファンドは新NISAにおいてはつみたて投資枠対象ファンドとして引き継がれます。現行のつみたてNISAと比べて新NISAのつみたて投資枠は、非課税枠の拡大(年間40万円→120万円)に加えて、つみたて投資については成長投資枠(年間240万円、生涯非課税限度額1,200万円)への投資も可能となるため、年間では9倍(40万円→360万円)、生涯では2.25倍(800万円→1,800万円)に大幅拡大となります。(新NISAの詳細はこちら

今回はあらためてつみたてNISA対象商品の適格要件を確認します。金融庁の分類では、上場株式投資信託(ETF)を除く公募株式投資信託には、指定インデックス投資信託、指定インデックス投資信託以外の投資信託の2つがあり、それぞれの要件は図表1になります。

指定インデックス投資信託については、販売手数料ゼロや一定以下の信託報酬といったコストの要件をクリアすれば、比較的容易ににつみたてNISAの対象ファンドとなります。

一方で、指定インデックス投資信託以外の投資信託のつみたてNISA要件は、コストの要件に加えて、

☆ 純資産額が50億円以上

☆ 信託期間が5年以上

☆ 信託期間のうち、資金流入超の回数が2/3以上

といった厳しい要件があります。

コストが一定以下かつ継続的な人気と長い運用実績がないと指定インデックス投資信託以外の投資信託は、つみたてNISAの対象とはなりません。

指定インデックス投資信託以外の投資信託は、様々なファンドが含まれるため、SBI証券が独自に分類したものが図表2の分類になります。①インデックス投資信託、②アクティブ運用投資信託、③バランス型投資信託の3種類です。それぞれの対象ファンド数も表示しました。

①は金融庁が指定していないインデックスへの連動をめざずファンドで、NYダウやNASDAQ100、米国高配当株式のインデックスファンドなどが該当します。

②は一般にはアクティブファンドと呼ばれるもので、あらかじめ決められた運用方針のもとで、運用担当者(ファンド・マネージャー)が、投資する企業やその投資割合などを決定し運用するファンドのことです。

③は株式や債券など複数の資産に投資しているファンドで、金融庁が指定していないインデックスを投資対象としている、またはアクティブファンドに投資しているファンドがこの枠に当てはまります。

今回は①のインデックス投資信託10本に注目し、特徴と運用成績を確認します。つみたてNISAの適格要件の1つである5年のリターンでランキングしたものが図表3となります。参考として設定来5年を経過した人気のオルカン(=eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー))やS&P500インデックスファンドとも比較しました。

オルカン5年リターンを上回るファンドは、FANG+インデックス、NASDAQ100インデックス、S&P500配当貴族(連続増配株)インデックスの3本となりました。FANG+インデックス、NASDAQ100インデックスは好調だったS&P500インデックスの5年リターンも上回っており、つみたてNISA対象ファンドの中でもトップクラスのリターンとなっています。

図表1 つみたてNISAの対象商品の要件

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※金融庁のホームページ掲載資料より抜粋

図表2 つみたてNISA対象商品の内訳 (2023年11月2日時点)

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※金融庁のホームページをもとにSBI証券作成

図表3 つみたてNISA対象インデックスファンド 指定インデックス以外で5年リータン上位の特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年リターン 3年リターン
(年率)
5年リターン
(年率)
5年
標準偏差
1 iFreeNEXT FANG+インデックス NYSE FANG+指数への連動をめざす 62.53% 21.95% 29.95% 28.61
2 iFreeNEXT NASDAQ100インデックス NASDAQ100指数への連動をめざす 25.51% 21.98% 22.85% 21.07
3 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族(愛称:Funds-i フォーカス 米国株式配当貴族) S&P500配当貴族指数への連動をめざす -1.67% 21.55% 14.11% 17.75
参考 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 日本を含む全世界株式インデックスファンド 10.66% 19.70% 13.90% 16.98
参考 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) S&P500指数への連動をめざす 9.20% 23.20% 17.05% 17.84

※指定インデックス以外のつみたてNISA対象インデックスファンド(SBI証券取り扱い)の5年リターンランキング(10月末基準)
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

オルカン5年リターンを上回るインデックスファンドの特徴は?

1位のiFreeNEXT FANG+インデックスは、NYSE FANG+指数への連動をめざすインデックスファンドです。NYSE FANG+指数はメタ・プラットフォームズ、アップル、ブロードコム、アルファベット、エヌビディア、マイクロソフト、スノーフレイク、ネットフリックス、テスラ、アマゾン・ドット・コムの10銘柄です(※)。米国を代表するIT企業10銘柄に投資することができるファンドで、集中投資のため値動きのブレを示す標準偏差は高くなっていますが、長期で高いリターンを獲得しています。2023年10月24日につみたてNISA対象ファンドとなりました。(詳細はこちら)

2位のiFreeNEXT NASDAQ100インデックスは、NASDAQ市場に上場している100銘柄で構成される指数であるNASDAQ100指数への連動をめざすファンドです。組入上位銘柄は、アップル、マイクロソフト、インベスコQQQトラスト・シリーズ1、アマゾン・ドット・コム、エヌビディアなどとなっています(※)。1位のファンドよりもより広く銘柄を分散したい場合は選択肢となるファンドといえます。2023年10月5日につみたてNISA対象ファンドとなりました。

3位の野村インデックスファンド・米国株式配当貴族(愛称:Funds-i フォーカス 米国株式配当貴族)は、S&P500構成銘柄のうち、過去25年間連続して毎年増配している優良大型株で構成されるS&P500配当貴族指数への連動をめざすファンドです。組入上位銘柄はエクソン・モービル、生命保険会社のアフラック、建設機械メーカーのキャタピラー、医薬品メーカーのアッヴィ、損害保険会社のチャブなどとなっています(※)。S&P500配当貴族指数は直近1年ではバリュー株がグロース株に劣後したことなどから苦戦していますが、金利が上昇し株式市場の調整局面となった2022年に下値抵抗力を発揮した指数です。そのため守りに強いファンドといえます。2023年2月2日につみたてNISA対象ファンドとなりました。

上記3ファンドとオルカン、S&P500との5年パフォーマンス比較が図表4となります。

米国大手IT企業の中長期的な業績拡大に期待するなら、オルカンやS&P500に加えて、FANG+やNASDAQ100のファンドにも分散してつみたて投資を行うことが有効と考えます。

2023年は5年超の運用実績を持つ特色あるつみたてNISA対象ファンドが追加になった年といえそうです。今後も特色あるファンドが加わることで、つみたてNISA(=新NISA・つみたて投資枠)における分散投資先が広がることが期待されます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報および資産構成比は2023年9月末基準。

図表4 インデックスファンド(図表3)のパフォーマンス比較 (2018年10月~2023年10月 月末値 2018年10月=100)

★画像表示:ファイル名 base/g_media_fund_info_plus_231113_03_01.png

※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は略称)

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