グロース250(旧マザーズ)が底打ち?! 注目の国内小型株ファンドは?

グロース250(旧マザーズ)が底打ち?! 注目の国内小型株ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2023/11/27

グロース250(旧マザーズ)が底打ち?! 注目の国内小型株ファンドは?

11月6日から東証グロース市場250指数(以下、グロース250)の公表が始まりました。グロース250は新興市場である東証グロース市場に上場する250銘柄を対象に時価総額加重方式により算出される株価指数で、旧東証マザーズ指数になります。11月2日までは旧マザーズ市場上場全銘柄が算出対象でしたが、11/6からは東証グロース市場の時価総額上位250銘柄に絞られて算出されています。

グロース250は主に小型株で構成されていることから、TOPIX小型株指数と並んで、長期の値動きが確認できる日本の代表的な小型株の指数といえます。また、グロース250に関してはグロース(成長)株の比率が高いことから小型グロース株の代表的な指数の1つともいえます。

そのグロース250ですが、これまで日経平均やTOPIXなどと比べて大きく出遅れていましたが、11月に入ってから米国の金利低下などを受けて、見直し買いが入っているようです。図表1は2023年のグロース250を日経平均やTOPIXと比較していますが11月に入ってようやく底打ちの動きとなっています。

2023年の日本株については、大型株を中心とした上昇でしたが(図表2)、出遅れていた小型株、特に出遅れていた小型グロース株にも物色対象が広がっていくことが期待されます。

グロース250(旧東証マザーズ指数)は、株式新規公開(IPO)の増加を手掛かりに上昇しやすい傾向があります。11月下旬から12月下旬にかけてはIPOラッシュが予定されています。

過去10年でみると前半約4年間が小型株優位、後半約6年間が大型株優位のマーケットとなっていますが(図表3)、東証グロース市場のマーケットが活況となり、IPO投資の資金が既存の小型株などにも還流するといった好循環になれば、長らく劣後していた小型株が大型株に対して優位になる展開も期待されます。

このような投資環境を踏まえて、ここ数年間で出遅れている国内小型株ファンドに注目します。2014年からの約4年間の小型株上昇などを追い風にして10年で好成績となっている国内小型株ファンドの一覧は図表4となります。

図表1 日本の主な株価指数の比較 (2022年末~2023/11/22 2022年末=100) 

※QUICKデータをもとにSBI証券作成

図表2 大型株指数と小型株指数の比較 (2022年末~2023/11/22 2022年末=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成

図表3 大型株指数と小型株指数の10年比較 (2013年11月~2023年11月* 月末値 2013年11月=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成 (2023年11月は11/22まで)

図表4 国内小型株ファンド 10年リターン上位の特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
3年リターン
(年率)
5年リターン
(年率)
10年リターン
(年率)
1 SBI 中小型成長株ファンド ジェイネクスト(愛称:jnext) 将来への成長機会を持つ革新的な高成長が期待される企業の株式 -0.77% 4.52% 14.46%
(1) SBI 中小型成長株ファンド ジェイネクスト(愛称:jnextⅡ) 同上(成長投資枠対象ファンド) -0.72% 4.59% -
2 SBI 中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ(愛称:jrevive) 財務安定性に優れ業績も安定し、経済社会に貢献すると考えられる企業の株式 5.33% 4.11% 14.03%
(2) SBI 中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ(愛称:jreviveⅡ) 同上(成長投資枠対象ファンド) 5.38% 4.13% -
3 新成長株ファンド(愛称:グローイング・カバーズ) 「成長の壁」を克服し新たな成長局面に入りつつあると判断される企業の株式 -0.93% 3.44% 13.83%
4 三井住友・中小型株ファンド 徹底したボトムアップリサーチにより推計した「企業価値」により銘柄を選定 7.32% 4.57% 12.98%
5 新光 小型株オープン(愛称:波物語) 成長期待の高い銘柄をボトムアップ・アプローチで発掘 0.62% 7.70% 12.32%
6 日本新興株オープン 中長期的に成長が期待できる企業および業績の回復が見込める企業の株式 1.62% 5.06% 12.07%
7 MHAM 新興成長株オープン(愛称:J‐フロンティア) 高成長が期待できる「新興企業」の株式を中心に投資 -4.06% 2.06% 11.96%
8 日興 中小型グロース・ファンド 業績モメンタムのより顕著な拡大が見込まれると判断する銘柄群を抽出 10.11% 7.42% 11.34%
参考 ニッセイ日経225インデックスファンド 日経平均インデックスファンド 12.16% 8.92% 9.73%

※SBI証券取り扱いの国内小型株(ウエルスアドバイザー分類)の10年リターンランキング(2023年10月末基準)
※3位以下のファンドは成長投資枠対象とし、信託期間1年未満のファンドは除外
※1位と2位のファンドはSBI証券では成長投資枠対象となっていないため、同じマザーファンドに投資している成長投資枠対象ファンドを表示
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

10年好成績 国内小型株ファンドの特徴は?

1位のSBI 中小型成長株ファンド ジェイネクスト(愛称:jnext)は、将来への成長機会を持つ革新的な高成長が期待される企業の株式に投資しており、運用会社はSBIアセットマネジメントですが、小型株の調査に強みを持つエンジェルジャパン・アセットマネジメントより投資に関する助言を受けて運用しています。組入上位銘柄は雑貨製造販売のトランザクション、半導体用化学薬品製造のトリケミカル研究所、土木資材製造の前田工繊などとなっており、組入銘柄数は52銘柄で、グロース市場の組入比率は7.0%です(※)。このファンドはSBI証券では成長投資枠のファンドではないため、同じマザーファンドに投資しているSBI 中小型成長株ファンド ジェイネクスト(愛称:jnextⅡ)が成長投資枠の対象ファンドとなります。

2位のSBI 中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ(愛称:jrevive)は、財務安定性に優れ業績も安定し、経済社会に貢献すると考えられる企業の株式に投資しており、こちらもエンジェルジャパン・アセットマネジメントより投資に関する助言を受けて運用しています。組入上位銘柄はイタリアンレストランを展開するサイゼリヤ、パソコン受注生産のMCJ、雑貨・衣料卸のドウシシャなどとなっており、組入銘柄数は50銘柄で、グロース市場の組入比率は5.1%です(※)。このファンドもSBI証券では成長投資枠のファンドではないため、同じマザーファンドに投資しているSBI 中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ(愛称:jreviveⅡ)が成長投資枠の対象ファンドとなります。

3位の新成長株ファンド(愛称:グローイング・カバーズ)は「成長の壁」を克服し新たな成長局面に入りつつあると判断される企業の株式に投資しており、運用会社は明治安田アセットマネジメントですが、エンジェルジャパン・アセットマネジメントより投資に関する助言を受けて運用しています。組入上位銘柄はトランザクション、トリケミカル研究所、経営コンサルティングのシグマクシス・ホールディングスなどとなっており、組入銘柄数は52銘柄です(※)。1位のファンドと実質的に運用プロセスが同じであり、組入銘柄と組入構成比率もほぼ一緒となっています。

4位の三井住友・中小型株ファンドは、徹底したボトムアップリサーチにより推計した「企業価値」により銘柄を選定しているファンドです。組入上位銘柄はITサービスのJBCCホールディングス、ITコンサルティングのフューチャー、技術者派遣などを展開するメイテックグループホールディングスなどとなっており、組入銘柄数は98銘柄で、グロース市場の組入比率は2.7%です(※)。マンスリー・レポートのファンドマネージャーコメントがとても参考になるファンドです。

5位の新光 小型株オープン(愛称:波物語)は、成長期待の高い銘柄をボトムアップ・アプローチで発掘するファンドです。組入上位銘柄はサイゼリヤ、楽天銀行、半導体製造装置などを手掛けるTOWAなどとなっており、組入銘柄数は77銘柄で、市場別構成比は開示していません(※)。

6位の日本新興株オープンは、中長期的に成長が期待できる企業および業績の回復が見込める企業の株式に投資しています。組入上位銘柄は太陽光発電施設などを手掛ける霞ヶ関キャピタル、半導体製品のテスト業務を受託しているテラプローブ、スマホ充電器貸し出しを展開するINFORICHなどとなっており、組入銘柄数は89銘柄で、グロース市場の構成比は36.4%と高めとなっています(※)。

7位のMHAM 新興成長株オープン(愛称:J‐フロンティア)は、高成長が期待できる「新興企業」の株式を中心に投資しています。組入上位銘柄はシグマシス・ホールディングス、デジタル家電部品を製造するMARUWA、半導体製造向けガスの供給装置製造など展開するジャパンマテリアルなどとなっており、組入銘柄数は100銘柄で、グロース市場の構成比は28.2%です(※)。

8位の日興 中小型グロース・ファンドは、業績モメンタムのより顕著な拡大が見込まれると判断する銘柄群を抽出し銘柄を選定しているファンドです。組入上位銘柄は事務用家具大手のイトーキ、半導体新工場建設で恩恵を受けることが期待される熊本の地方銀行を傘下とする九州フィナンシャルグループ、八十二銀行などとなっており、組入銘柄数は151銘柄で、グロース市場の組入比率は8.5%です(※)。

上記10ファンドはすべてウエルスアドバイザー分類で国内小型グロースとなっていますが、ほとんどのファンドがバリュー(割安)株といえる銘柄を上位に組入れています。また、ほとんどのファンドがプライム、スタンダード、グロースの市場別での構成比を開示しており、グロース市場の組入比率はファンドによって大きく異なります。

グロース市場の回復局面などは、ファンドの上位組入銘柄に加えて市場別(グロース市場など)の組入比率などを押さえた上で、ファンドを選ぶことが有効になると考えます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報および資産構成比は2023年10月末基準。

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