「生成AI」は初期段階?! AI関連ファンドの特徴と投資戦略は?

「生成AI」は初期段階?! AI関連ファンドの特徴と投資戦略は?

投資情報部 川上雅人

2023/12/11

東の横綱は「生成AI」 AI関連ファンドのパフォーマンスは?

日本経済新聞社は12月5日に、2023年の日経MJヒット商品番付を発表しました。東の横綱は「生成AI(人工知能)、西の横綱は「大谷翔平&WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)」となりました。

インターネット上にある膨大なデータを学習することで誰でも簡単に文章や画像などを生み出せるようにした「生成AI」は我々の生活に変革をもたらすようになってきました。これによって、2023年の米国株式市場においては「生成AI」関連株として一部の半導体株やソフトウェア株などへの物色が強まりました。

総務省の情報通信白書令和5年版(Grand View Research Incの調査)によると、世界の生成AI市場規模は2022年の1.2兆円から2030年には14.2兆円まで拡大し、年率換算で約+36%の成長が見込まれています。

現在の生成AI市場の成長サイクルは初期段階と考えられ、今後のAI関連ビジネスは半導体からハードウェアへ、さらにはインターネット、ソフトウェア、ITサービスに裾野が拡大していくことが予想されています。

こうした投資環境から今回は、代表的なAI関連ファンドのパフォーマンスと中身をチェックします。SBI証券取り扱いのAI関連ファンドの運用成績は図表1となります。生成AI市場の成長サイクルが初期段階であることも踏まえて、1年リターンでAI関連ファンド(SBI証券取り扱い)をランキングしました。ファンド名にAIがつき、AI運用を除くファンドは、同じマザーファンドに投資するファンドを1本としてカウントすると5ファンドに絞られます。全て新NISAの成長投資枠対象ファンドです。これら5ファンドの1年リターンは+16.6%~+62.8%となり、ファンドによって大きく差が出る結果となりました。

図表1 AI関連ファンド 1年リターン上位の特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1ヵ月
リターン
1年
リターン
3年リターン
(年率)
1年
標準偏差
1 イノベーション・インデックス・AI 世界各国のAI関連企業の株式に投資するインデックスファンド 11.84% 62.81% 22.79% 26.68
2 たわらノーロード フォーカスAI 国内外のAI関連企業の株式に投資するインデックスファンド 14.86% 56.52% 17.45% 24.98
3 ニッセイAI関連株式ファンド(年2回決算型・為替ヘッジなし)(愛称:AI革命(年2・為替ヘッジなし)) 世界各国の株式の中から、主にAI関連企業の株式に投資、米運用会社TCWによる運用 15.94% 47.48% 11.96% 27.76
4 グローバルAIファンド 世界のAIの進化、応用により高い成長が期待される企業の株式に投資、運用は米金融グループであるヴォヤ・フィナンシャル傘下の資産運用会社 14.15% 35.28% 6.80% 31.68
5 ダイワ・グローバルIoT関連株ファンド -AI新時代‐(為替ヘッジなし) 世界のIoT関連企業(IoTに関連した技術を駆使し、AIに携わる企業など)の株式に投資、BNYメロン・グループ傘下のニュートン社による運用 12.31% 16.62% 10.58% 23.27
参考 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 日本を含む全世界株式インデックスファンド 7.41% 20.99% 18.32% 14.20

※SBI証券取り扱いのAI関連ファンド(ファンド名にAIがつき、AI運用のファンドを除く)の1年リターンランキング(2023年11月末基準)
※同一マザーファンドに投資しているファンドは上位1ファンドのみ表示
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

AI関連ファンドの特徴と投資戦略は?

1位のイノベーション・インデックス・AIは、世界各国のAI関連企業の株式に投資するインデックスファンドで、組入上位銘柄はマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、エヌビディアなどとなっており、組入銘柄数は50銘柄です(※)。上位4銘柄の構成比が32.5%となっており、米国主要テクノロジー企業の株価変動の影響が大きいファンドといえます。

2位のたわらノーロード フォーカスAIは、同様にインデックスファンドで、組入上位銘柄はドイツのソフトウェア会社のSAP、米IT大手のIBM、米国の企業向けソフトウェア会社のサービスナウなどとなっており、組入銘柄数は31銘柄です(※)。四半期のリバランス時に組入銘柄を均等配分としているインデックスに連動をめざしています。

3位のニッセイAI関連株式ファンド(年2回決算型・為替ヘッジなし)(愛称:AI革命(年2・為替ヘッジなし))は、世界各国の株式の中から、主にAI関連企業の株式に投資しており、米運用会社TCWが組入銘柄を選定しているアクティブファンドです。組入上位銘柄はエヌビディア、メタ・プラットフォームズ、ネットワーク・セキュリティ会社のパロアルトネットワークスなどとなっており、組入銘柄数は39銘柄です(※)。

4位のグローバルAIファンドは、世界のAIの進化、応用により高い成長が期待される企業の株式に投資しており、米金融グループであるヴォヤ・フィナンシャル傘下の資産運用会社が運用しているアクティブファンドです。組入上位銘柄はエヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コムなどとなっており、組入銘柄数は70銘柄です(※)。中型株と小型株を合わせた構成比が約24%となっており、中小型株のウエイトがやや高くなっているのが特徴といえます。

5位のダイワ・グローバルIoT関連株ファンド -AI新時代‐(為替ヘッジなし)は、世界のIoT関連企業(IoTに関連した技術を駆使し、AIに携わる企業など)の株式に投資しており、BNYメロン・グループ傘下のニュートン社が組入銘柄を選定しているアクティブファンドです。組入上位銘柄は半導体製造装置メーカーのアプライド・マティリアルズ、日立製作所、米ソフトウェア会社のアンシスなどとなっており、組入銘柄数は36銘柄です(※)。他のファンドと比べて日本株のウエイトが9%と高いのが特徴です。

上記5ファンドは1年リターンでは大きな差が出ましたが、1ヵ月リターンでは1年では首位だったイノベーション・インデックスAIが最下位となり、AI革命(年2・為替ヘッジなし)、たわらノーロード フォーカスAI、グローバルAIファンドの好パフォーマンスが目立っています。

これは、図表2で示したように、米国金利の低下を受けて、米国の代表的な小型株指数(ラッセル2000)が、長らく続いた低迷から底打ちし上昇に転じてきたことが挙げられます。

2023年の米国株式市場はマグニフィセント・セブンと称される米国主要テクノロジー企業7社を中心とした上昇で、ナスダック100が好調でした。今後は米国の金利低下により小型株への物色が強まり、AI関連銘柄の物色も拡がっていくことになれば、AI関連ファンドの優劣も変わってくる可能性があります。小型株が巻き返す展開なら、インデックスファンドでは組入銘柄を均等配分としているたわらノーロード フォーカスAI、アクティブファンドでは有望な小型株への選別投資が期待されるAI革命(年2・為替ヘッジなし)グローバルAIファンドが相対的に投資妙味が高いと考えます。

なお、AI関連ファンドは値動きのブレを示す標準偏差が相対的に高くなっているため、積立投資などによる投資タイミングの分散が特に有効といえます。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報および資産構成比は2023年10月末基準。

図表2 2023年 ナスダック100とラッセル2000のパフォーマンス比較  (2022年12月30日~2023年12月7日)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成

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