新NISA効果で申込停止?! 好成績の日本株高配当ファンドは?

新NISA効果で申込停止?! 好成績の日本株高配当ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2024/02/05

新NISA効果で申込停止?! 20年の日本株高配当指数のパフォーマンスは?

1月31日、SBI岡三アセットマネジメントが運用する日本好配当リバランスオープンが、2月7日を最終受付日とし、新規購入の申込み受付を一時停止することが発表されました。新NISAによる資金流入の拡大や投資対象の流動性等の観点から、当ファンドの純資産規模を運用可能な適正範囲に維持するため、2月8日より新規購入の申込みを停止する見込みです。当ファンドの資金流入(買付-売却)は、12月が254億円、1月が286億円になったと推計され、それぞれ月間資金流入が最も多かった日本株ファンドとなりました。

QUICK集計の1月の資金流入上位ファンドを見ると日本株ファンドの上位5本のうち4本が配当に着目したファンド(以下、日本株高配当ファンド)となり、新NISAでの高配当株人気を裏付けることとなりました。

こうした状況から今回は、日本株高配当ファンドへの投資視点を確認します。20年以上の実績がある日本株高配当指数として野村日本株高配当70があります。野村日本株高配当70は、国内上場株式の中から、予想配当利回りが高い70銘柄を選んで構成銘柄とした等金額型の指数です。

野村日本株高配当70の配当込みと東証株価指数(TOPIX)の配当込み、TOPIXの3つの指数を20年比較したものが、図表1となります。東証に上場している銘柄を広く網羅し、一定の計算方法によって指数化されたTOPIXは20年の年率リターンが4.2%でした。一方でTOPIXの配当込みは配当の再投資分が上乗せされるため同6.3%となりました。さらに、野村日本株高配当70の配当込みは同8.6%となり、好パフォーマンスとなりました。野村日本株高配当70の予想配当利回り(12月末)は3.9%(出所:野村フィデュシャリー・リサーチ&コンサルティング)であり、相対的に高い配当利回りによる再投資効果が大きかったと考えられます。

次に日本株高配当ファンドの運用成績を確認します。5年以上の実績がある日本株高配当ファンドを5年リターンでランキング(SBI証券取り扱い)したものが図表2となります。日本好配当リバランスオープンを含む7ファンド(新NISA・成長投資枠対象)を表示しました。6ファンドは日本好配当リバランスオープンの代替となり得るのか検証します。

図表1 日本株高配当指数とTOPIXの比較 (2003年12月~2023年12月 月末値 2003年12月=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成

図表2 好成績の日本株高配当ファンド 特徴と運用成績

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
5年
リターン
(年率)
10年
リターン
(年率)
1 日経平均高配当利回り株ファンド 日経平均採用銘柄の中から予想配当利回りの上位30銘柄に投資 42.54% 31.50% 17.21% -
2 日本株配当オープン(愛称:四季の実り) 相対的に配当利回りが高い銘柄を中心に、増配期待銘柄にも投資 32.91% 17.70% 14.81% 9.75%
3 日本好配当リバランスオープン 日経500採用銘柄で予想配当利回りの高い上位70銘柄程度に投資 31.78% 25.86% 14.62% 11.37%
4 ニュー配当利回り株オープン(愛称:配当物語) 予想配当利回りが市場平均と比較して高いと判断される銘柄を中心に投資 34.93% 18.63% 14.61% 10.07%
5 新光日本インカム株式ファンド(3ヵ月決算型) 予想配当利回りが高いと判断される株式とREITに分散投資 33.31% 24.20% 14.41% 9.59%
6 日本好配当株オープン 予想配当利回りの水準に着目しつつ、配当の安定性や成長性等を勘案 29.67% 17.59% 13.93% 9.90%
7 好配当日本株式オープン(愛称:好配当ニッポン) 予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を中心に、投資銘柄を選別 34.56% 17.94% 13.65% 9.30%
参考 三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド TOPIXインデックスファンド 28.04% 11.95% 12.15% 8.36%

※新NISA対象(SBI証券取り扱い)の日本株高配当ファンドの5年リターンランキング、日本株高配当ファンドは名称に「配当」、「インカム」がつくファンドから抽出
※参考のTOPIXインデックスファンドは10年の実績がある5年リターン上位ファンドを表示
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

好成績の日本株高配当ファンドの特徴は?

1位の日経平均高配当利回り株ファンドは日経平均採用銘柄の中から予想配当利回りの上位30銘柄に投資しています。組入上位銘柄は、神戸製鋼所、三井住友フィナンシャルグループ、武田薬品工業、本田技研工業などとなっており、予想配当利回りは4.2%です(※)。30銘柄集中投資のため標準偏差(値動きの振れ幅)はやや大きいですが、1年・3年・5年で日本好配当リバランスオープンを上回る実績となっています。運用開始から5年が経過し、1月31日よりつみたて投資枠対象ファンドとなりました。1月の資金流入で日本株ファンドでは上位5本に入っており、代替ファンドとして期待されるSBIセレクトのファンドです。(SBIセレクトの詳細はこちら

2位の日本株配当オープン(愛称:四季の実り)は相対的に配当利回りが高い銘柄を中心に、増配期待銘柄にも投資するファンドです。上位組入銘柄はトヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱商事、三井物産などとなっており、組入銘柄数は76銘柄で、予想配当利回りは2.78%です(※)。日本好配当リバランスオープンのリターンを1年・5年で上回っており、ファンドレーティングも5ツ星で代替ファンドとして期待されます。

4位のニュー配当利回り株オープン(愛称:配当物語)は、予想配当利回りが市場平均と比較して高いと判断される銘柄を中心に投資しています。組入上位銘柄は、三菱UFJフィナンシャル・グループ、トヨタ自動車、三井住友フィナンシャルグループ、日本電信電話などとなっており、組入銘柄数は65銘柄、予想配当利回りは3.03%です(※)。1年リターンでは日本好配当リバランスオープンを上回っており、ファンドレーテイングは5ツ星で代替ファンドとして期待されます。

5位の新光 日本インカム株式ファンド(3ヵ月決算型)は、予想配当利回りが高いと判断される株式とREITに分散投資しています。組入上位銘柄は、伊藤忠商事、東京海上ホールディングス、日本電信電話、豊田通商などとなっており、組入銘柄数は47銘柄、予想配当利回りは3.35%です(※)。1年リターンでは日本好配当リバランスオープンを上回っており、代替ファンドとして期待されるSBIセレクトのファンドです。

6位の日本好配当株オープンは予想配当利回りの水準に着目しつつ、配当の安定性や成長性、企業の業績動向、株価のバリュエーション(割安性)等を勘案して銘柄を選定しています。組入上位銘柄は、ソフトバンク、東京建物、日本製鉄、セイノーホールディングスなどとなっており、組入銘柄数は67銘柄、予想配当利回りは3.9%です(※)。日本好配当リバランスオープンのリターンを1年・3年・5年で下回っています。

7位の好配当日本株式オープン(愛称:好配当ニッポン)は、予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を中心に、投資銘柄を選別しています。組入上位銘柄は、東京海上ホールディングス、日本電信電話、オリックス、大和ハウス工業などとなっており、組入銘柄数は121銘柄、予想配当利回りは2.9%です(※)。1年リターンでは日本好配当リバランスオープンを上回っています。

好成績の日本株高配当ファンドは長期でTOPIXインデックスファンドを上回る実績となっており、日本好配当リバランスオープンとの比較でも代替となるファンドが多いと思われます。

新NISAではこれらの好成績の日本株高配当ファンドへの20年投資が有効になると考えます。

なお、今回は日本好配当リバランスオープンと長期の運用実績による比較でファンドを取り上げましたが、日本好配当リバランスオープンに次ぐ1月の資金流入上位の日本株ファンドは、2023年12月12日に運用をスタートしたSBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)(愛称 : SBI日本シリーズ‒日本高配当株式(分配))となっています。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報および資産構成比は2023年12月末基準。

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