日経平均史上最高値更新とグロース250が底入れ! 注目の出遅れ小型株ファンドは?

日経平均史上最高値更新とグロース250が底入れ! 注目の出遅れ小型株ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2024/03/04

グロース250が底入れ 出遅れ小型株指数が巻き返しへ?

2月22日の日経平均は前日の米半導体大手・エヌビディアの予想を上回る好決算を受け、半導体関連株など指数寄与度の高い銘柄が軒並み上昇したことから、前日比+836円52銭(+2.2%)の39,098円68銭をつけ、1989年12月29日(38,915円)以来、34年ぶりの史上最高値を更新しました。3連休明けの26日と27日も日経平均は史上最高値を更新、28日と29日は調整したものの、終値では39,000円台で底固めの展開となっています(2月29日現在)。

2023年度の日経平均を振り返ると2月29日までの上昇率は39.7%です(図表1)。一方で東証株価指数(TOPIX)の上昇率は33.6%となっており、TOPIX大型株指数は+38.7%、TOPIX小型株指数は+23.8%です(図表2)。2023年度の日本株上昇は日経平均主導、大型株主導だったといえます。しかし今週に入ってからは、34年ぶりの達成感などから、日経平均の上昇が小幅となる中で、これまで劣後していた小型株指数が大型株指数を上回る展開となっています。また、小型グロース株の代表的な指数といえる東証グロース250指数(旧:東証マザーズ指数)(以下、グロース250)が今年に入ってから底入れの動きとなっており(図表1)、物色対象の変化をにらんだ投資家の買いが入った可能性が指摘されています。

このような環境から、今回は国内小型株ファンドを取り上げます。NISAで買えるSBI証券取扱いの国内小型株ファンドを5年リターン順に並べたものが図表3になります。参考として日経平均インデックスファンドと比較しました。

国内小型株ファンドでもスタイル(主に割安株で構成される「バリュー」や主に成長株で構成される「グロース」、「バリュー」と「グロース」が混在した「ブレンド」)によって、パフォーマンスが異なります。小型バリューや小型ブレンドのファンドは日経平均インデックスファンドとの比較で1年リターンではほとんど変わらずで好成績となっています。一方で小型グロースに分類されるファンドは1年では総じて苦戦し、大幅上昇の1年で苦戦した結果、3年でも低迷しています。そのため、小型株ファンドでもバリューとグロースでは大きな差が出ています。これまで出遅れていた小型グロースのファンドは、グロース250が目立って上昇する展開なら投資妙味が高まると予想します。以下、出遅れ修正が期待できると考える小型グロースのファンドについてコメントします。

図表1 日経平均とグロース250の比較(2023/3/31~2024/2/29 2023/3/31=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成

図表2 TOPIX、TOPIX大型株指数、TOPIX小型株指数の比較(2023/3/31~2024/2/29 2023/3/31=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成

図表3 5年好成績 国内小型株ファンドの特徴と運用成績

順位 ファンド名 国内株式
カテゴリー
特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
5年
リターン
(年率)
1 企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力) 小型グロース 利益成長による将来のROE水準やその改善に着目、企業価値の成長が見込める銘柄を選定 6.32% 1.30% 16.79%
2 TORANOTEC アクティブジャパン 小型ブレンド 企業の成長性に主として着眼し、また割安な企業、変化する企業を選別 37.16% 11.90% 13.54%
3 低位株オープン 小型バリュー 低位株に属する銘柄の中から、成長性、業種分散などを勘案した銘柄に投資 31.90% 20.57% 13.52%
4 カレラ 日本小型株式ファンド 小型グロース 事業内容、成長性、収益性、財務健全性などを勘案して厳選し銘柄選定 22.87% 9.55% 12.45%
5 日興中小型グロース・ファンド 小型グロース 業績モメンタムのより顕著な拡大が見込まれると判断する銘柄群を抽出 17.91% 8.75% 12.30%
6 ミュータント 小型グロース 旧来の常識を打ち破り爆発的な変貌を遂げる「ミュータント・カンパニー」となり得る企業を厳選 -5.38% 1.41% 11.20%
7 アムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンド 小型バリュー 実質的な資産価値からみた割安な銘柄のうち、株主価値の増大を図る余力がある銘柄に投資 34.71% 16.64% 10.98%
8 新光小型株オープン(愛称:波物語) 小型グロース 小型株の中から成長期待の高い銘柄をボトムアップ・アプローチで発掘 7.83% 0.89% 10.87%
参考 iFree 日経225インデックス 大型グロース 日経平均インデックスファンド 35.39% 11.43% 13.90%

※SBI証券取り扱いの新NISA・成長投資枠の国内小型株ファンド(ウエルスアドバイザーの国内小型カテゴリー)を5年リターン順に表示(2024年1月末基準)
※参考として日経平均インデックスファンド(5年リターン最上位)を表示
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

5年好成績 国内小型株ファンドの特徴と投資視点は?

1位の企業価値成長小型株ファンド(愛称:眼力)は利益成長による将来のROE水準やその改善に着目、企業価値の成長が見込める銘柄を選定しているファンドです。組入上位銘柄はTOWA、MARUWA、東京精密、楽天銀行、M&A総研ホールディングスなどとなっており、組入銘柄数は63銘柄です(※)。運用担当者は、AIなどのテクノロジーの進化や高齢化・人手不足、新しい国際政治経済体制や脱炭素社会に向けた動向、人々の価値観の変化、東証の市場改革による上場企業の経営変化などで恩恵を受ける企業に注目しているようです。当ファンドは過去に純資産総額が500億円となった時点で申込を停止しています。2月29日時点で純資産総額が467億円となっており、申込停止が近い可能性がある点には注意が必要です。

4位のカレラ 日本小型株株式ファンドは事業内容、成長性、収益性、財務健全性などを勘案して厳選し銘柄を選定しているファンドです。組入上位銘柄は平田工機、泉州電業、新晃工業、レオン自動機、助川電気工業などとなっており、組入銘柄数は34銘柄です。運用担当者はグローバルニッチ(独特・特殊な技術・ノウハウを持ち、高い世界シェアを誇る)成長銘柄、今後の社会・経済変化を捉え高い成長力が期待できる銘柄という視点で選んでいるようです。

5位の日興中小型グロース・ファンドは業績モメンタムのより顕著な拡大が見込まれると判断する銘柄群を抽出し、株価の値上がりが期待できる銘柄の発掘に努めているファンドです。組入上位銘柄はイトーキ、日本電気硝子、M&A総研ホールディングス、日本マイクロニクス、九州フィナンシャルグループなどとなっており、組入銘柄数は158銘柄です(※)。運用担当者は、ニッチなビジネスに参入する新興企業や、ビジネスモデルの再構築などを進める再生企業に注目しているようです。

6位のミュータントは旧来の常識を打ち破り爆発的な変貌を遂げる「ミュータント・カンパニー」となり得る企業を厳選し投資を行うファンドです。FPパートナー、ニトリホールディングス、ANYCOLOR、丹青社、乃村工藝社などとなっており、組入銘柄数は51銘柄です(※)。5位のファンドと運用会社は一緒ですが、ファンドの特色と組入銘柄は異なります。

8位の新光小型株オープン(愛称:波物語)は、成熟産業の勝ち組企業、地味な業種の変化企業、リベンジ企業、新規公開企業の4つのキーワードを中心に、成長期待の高い銘柄をボトムアップ・アプローチで発掘するファンドです。組入上位銘柄はTOWA、FPパートナー、ダイヘン、MARUWA、サイゼリヤなどとなっており、組入銘柄数は76銘柄です(※)。

日経平均の上昇局面で出遅れていたグロース250。グロース250の出遅れ修正による上昇が続くなら、国内小型グロースに分類され、5年リターンで上位となっている上記5ファンドは巻き返しが期待されるファンド群として注目します。これらのファンドの優劣を見極めるには、長期の運用実績に加えて、短期的にグロース250の上昇に乗れているファンドかどうかをチェックすること(図表4)が有効と考えています。

なお、新NISAで成長が期待される新興株などの個別株投資を検討されている方は、新興株ウィークリーをご参照ください。

(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報は2024年1月末基準。

図表4 国内小型グロースのファンド5本と東証グロース250の比較(2023/11/30~2024/2/29 2023/11/30=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は略称または愛称)
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

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