インデックス VS アクティブ 長期好成績のインド株式ファンドは?
投資情報部 川上雅人
2024/04/22
1年で残高3倍となったインド株式ファンド インデックスファンドの実績は?
図表1 インド株式ファンドの残高推移 (2021年3月末~2024年3月末)
- ※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成
- ※国内公募追加型株式投信(ETF等含む)のうち、ウエルスアドバイザーカテゴリー「国際株式・インド」に属するファンドを対象に集計
2023年度はインド株式ファンドへの資金流入が目立った1年となりました。ウエルスアドバイザーカテゴリー「国際株式・インド」に属するファンドの残高は2024年3月末に2兆8,530億円となっています。残高は1年間で約3倍となり、1兆9,020億円の増加となりました(図表1)。
そこで今回は人口で世界1位となり、世界経済において影響力が高まりつつあるインドの株式ファンドのパフォーマンスに注目します。
インド株式ファンドでは特定の指数への連動をめざすインデックスファンドと特定の指数を上回る成果をめざすアクティブファンドがありますが、まずはインデックスファンドの運用実績を確認します。
国内公募投資信託(ETF除く)において、日本で最初に設定されたインド株式のインデックスファンドは、iFreeNEXT インド株インデックス(2023年3月13日設定)となります。ファンドのマンスリーレポートを抜粋したものが図表2となります。1年リターンでベンチマークであるNifty50指数(配当込み、円ベース)(以下、Nifty50)が+47.5%に対して、+42.6%の実績となりました。その差は▲4.9%となりました。設定来リターンではベンチマーク+43.8%に対して+42.1%です。こちらは▲1.7%となっています。1年リターンと設定来ではベンチマークとの乖離に差がみられます。
図表3ではauAM Nifty50インド株ファンド(2023年8月29日設定)の運用実績を示しました。こちらのファンドは2月末基準で、6ヵ月リターンはベンチマーク(Nifty50)+17.1%に対してファンドは+14.6%です。その差は▲2.5%です。ベンチマークとの乖離が目立ちます。
図表4でSBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド(愛称:サクっとインド株式)(2023年9月22日設定)の運用実績を示しました。3月末基準での6ヵ月リターンはベンチマーク(S&P/BSE SENSEX指数、配当込み、円ベース)(以下、SENSEX)+13.92%に対してファンドは+10.97%です。その差は▲2.95%となっています。こちらのファンドはiシェアーズのETFに投資していますが、iシェアーズのホームぺージで同様に対象インデックスとの乖離が確認できます。
6ヵ月以上の運用実績のあるインド株式インデックスファンドは、揃ってベンチマークに対しての乖離、劣後している数値がそれなりに大きくなっています。インド株式インデックスファンドがベンチマークとある程度乖離してしまう最大の要因は、インド株式インデックスファンドは主に先物取引でインデックスとの連動をめざしており、インド株価指数においては現物と先物との価格差が大きいこと挙げられます。また、ファンドの信託報酬や先物取引のコストもベンチマークと乖離する要因となります。
インド株式インデックスファンドは低コストでインド株価指数への連動をめざす有効な手段となりますが、こうしたベンチマークに対してある程度劣後してしまうという特徴をおさえた上で、投資することが必要といえます。
図表5では、インド株価指数(Nifty50、SENSEX)を上回る好成績のインド株式アクティブファンドを示しました。インド株価指数を上回る基準を5年リターンとするとSBI証券取り扱いファンドでは4ファンドとなりました。
図表2 iFreeNEXT インド株インデックスの運用実績
- ※大和アセットマネジメントのマンスリーレポート(2024年3月末基準)より抜粋
図表3 auAM Nifty50インド株ファンドの運用実績
- ※auアセットマネジメントのマンスリーレポート(2024年2月末基準)より抜粋
図表4 SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンドの運用実績
- ※SBIアセットマネジメントのマンスリーレポート(2024年3月末基準)より抜粋
図表5 インデックスを上回る5年好成績のインド株式ファンド
順位 | ファンド名/指数名 | 特徴 (投資対象) |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
5年 リターン (年率) |
10年 リターン (年率) |
備考 |
1 | HSBC インド・インフラ株式オープン | インドの証券取引所に上場しているインフラ関連株式 | 75.97% | 34.82% | 23.02% | 15.36% | SBIセレクト |
2 | イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド | インドの金融商品取引所に上場するインフラ関連株式 | 69.37% | 29.25% | 20.91% | 15.42% | |
3 | イーストスプリング・インド消費関連ファンド | インドの金融商品取引所に上場する消費関連株式 | 52.75% | 25.21% | 20.16% | 15.80% | SBIセレクト |
4 | SBI・UTIインドインフラ関連株式ファンド | インドの証券取引所に上場しているインフラ関連の株式 | 56.84% | 30.02% | 20.13% | 13.24% | |
参考 | Nifty50指数(配当込み、円ベース) | NSE Indices Limitedが算出する50銘柄から構成される株価指数 | 46.12% | 23.64% | 18.26% | 14.78% | |
参考 | S&P/BSE SENSEX指数(配当込み、円ベース) | ボンベイ証券取引所上場銘柄のうち流動性・業種等から選定された30銘柄の株価指数 | 42.08% | 22.82% | 18.09% | 14.72% |
- ※SBI証券取り扱いの「国際株式・インド」でインド株価指数の5年リターンを上回るファンドを表示(2024年3月末基準)
- ※参考のインド株価指数のパフォーマンスはBloombergデータから計算(為替レートの評価時点の違いによりインデックスファンドのベンチマークとは異なります)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
長期好成績インド株式ファンドの特徴は?
HSBC インド・インフラ株式オープンは、インドの証券取引所に上場しているインフラ関連株式に投資するファンドで、組入銘柄がインドのインフラ投資拡大による恩恵などを受け、1年・3年・5年・10年のリターンにおいてインド株式ファンドの中でトップクラスの実績です。1年・3年・5年のリターンではインド株価指数を大きく上回っています。組入上位銘柄は建設エンジニアリング大手のラーセン&トゥブロ、石油開発・生産・精製から小売り、携帯電話事業も展開するリライアンス・インダストリーズ、インド石油天然ガス公社、アジア・アフリカで事業展開する電気通信事業者のバルティ・エアテルなどとなっており、組入銘柄数は57銘柄です(※)。SBIセレクトのファンドで、ファンドの紹介動画はこちら(※SBI証券公式YouTubeチャンネルに遷移します)をご覧ください。
イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンドは、インドの金融商品取引所に上場するインフラ関連株式に投資しているファンドで、1年・3年・5年・10年のリターンにおいてインド株式ファンドの中でトップクラスの実績です。組入上位銘柄はラーセン&トゥブロ、バルティ・エアテル、インド全土に支店網を有する商業銀行のICICI銀行、インド最大級の国営電力会社であるナショナル・サーマルパワーなどとなっており、組入銘柄数は73銘柄です(※)。
イーストスプリング・インド消費関連ファンドは、インドの金融商品取引所に上場する消費関連株式に投資しているファンドで、4ファンドの中では10年リターンでトップとなっているSBIセレクトのファンドです。組入上位銘柄はバルティ・エアテル、ジェネリック医薬品を中心に製造・販売するサン・ファーマシューティカル・インダストリーズ、ICICI銀行、日本の自動車メーカー・スズキのインド子会社であるマルチ・スズキ・インディアなどとなっており、組入銘柄数は77銘柄です(※)。
SBI・UTIインドインフラ関連株式ファンドは、インドの証券取引所に上場しているインフラ関連の株式に投資しているファンドで、10年リターンではインド株価指数を下回っていますが、3年リターンはインド株式ファンドの中でトップクラスの実績です。組入上位銘柄はラーセン&トゥブロ、バルティ・エアテル、ナショナル・サーマルパワー、セメントメーカーのウルトラ・テック・セメントなどとなっており組入銘柄数は36銘柄です(※)。
長期好成績インド株式ファンド4本とNifty50指数(配当込み、円ベース)の10年リターンを比較したものが図表6となります。
インド株式ファンドにおいては、インデックスファンドがベンチマーク(指数)との連動性に乏しいことを踏まえると、長期で指数を上回るアクティブファンドがより存在感を高めることが予想されます。インド株式投資においては、こうしたファンドを活用することが長期的なパフォーマンスの向上に寄与すると考えます。
(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報は2024年3月末基準。
図表6 長期好成績インド株式ファンドのパフォーマンス比較 (2014年3月~2024年3月 月末値 2014年3月=100)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は略称)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
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