新NISAで短期売却はNG!? オルカン 積立+下落局面での追加購入の投資成果は?

新NISAで短期売却はNG!? オルカン 積立+下落局面での追加購入の投資成果は?

投資情報部 川上雅人

2024/04/30

新NISA はじめての株価下落 下落局面はどうする?

新NISAが始まってから4ヵ月目に入りましたが、4月の3週間では株式市場の下落が目立ちます(図表1)。
4月の世界的な株式市場の下落要因は、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ開始観測の後退と中東情勢の緊迫化、2024年の上昇を牽引した半導体関連銘柄が一部企業の決算発表をきっかにして大幅下落したことなどが要因といえます。
株式市場は不安定な局面を迎えていますが、こうした局面でのNG行為はNISAをはじめたばかりなのに今後が不安だからといって売却してしまうことです。NISA制度は中長期の視点で非課税枠を有効活用して複利効果などによる収益の積み上げを期待するものであり、新NISAがはじまってすぐの今は投資元本をできるだけ増やしていくという視点が重要です。
投資信託(ファンド)への長期積立投資においては、投資しているファンドの長期的な右肩上がりの上昇を前提にするなら、下落局面をある意味楽しむことが重要であると筆者は考えます。
そこで提案したいのが下落局面におけるファンドの追加購入です。

図表1 2024年 主な株価指数のパフォーマンス
(2023年末~2024/4/19 2023年末=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成

オルカン積立の投資成果は?

  • 図表2は新NISAの人気ファンドであるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)をファンド設定時の2018年10月末から毎月末に5万円を積立投資した場合のシミュレーションです。約5年半では、コロナショックによる一時的な下落があったものの、結果的には右肩上がりの価格推移となりました。そのため5年半(66ヵ月)の投資額330万円は、2024年4月22日には5,626,764円の評価額(投資額の1.705倍)となっています。評価益は+2,326,764円です。
    なお、この期間におけるオルカンの基準価額は2.34倍となりました。2018年10月末からの一括投資であれば、評価額は2.34倍になった計算です。5年半では株高と円安外国通貨高が進み、恵まれた投資環境となりました。

図表2 オルカン月5万円の積立シミュレーション
(積立期間は2018年10月~2024年3月、直近評価日は2024年4月22日)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
  • ※2018年10月から2024年3月まで毎月末に当該ファンドを5万円ずつ積立投資したと仮定し、概算の購入口数から積立評価額を計算したシミュレーション
  • ※上記は過去のシミュレーション結果を示したものであり、購入口数が概算のため実際の取引とは厳密には異なります。また、投資元本の安全性および将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。

オルカン 積立+下落局面での追加購入の投資成果は?

図表3はオルカンを2018年10月末から毎月末に5万円を積立投資しながら、月間で基準価額が3%以上下落したときに5万円を追加購入した場合のシミュレーションです。
下落時に追加購入(5万円×11回=55万円)をした約5年半では、投資額385万円は2024年4月22日には6,673,734円の評価額(投資額の1.733倍)となっています。評価益は+2,823,734円です。投資額に対して何倍になったかを比較すると1.705倍(追加購入なし)と1.733倍(追加購入あり)なので、追加購入の効果は倍率では小さく見えますが、評価益で比較すると+233万円に対して+282万円です。その差は+49万円です。このケースでは追加購入分55万円の大部分が評価益となりました。
仮にこのまま下落局面が続いたところで評価してしまうと追加購入の効果は小さくなってしまうことが予想されます。しかし、長期で右肩上がりの資産に投資しているとの前提に立てば、下落局面での追加購入は、平均買付単価を引き下げる効果があり、その後の価格上昇をより大きく享受することが期待されます。

シミュレーションではオルカンを例に挙げましたが、長期で基準価額の上昇が見込まれるファンドであれば、積立+下落局面での追加購入は、積立だけよりも投資成果が大きくなることが期待できます。特に長期のリターンが高いファンドほど、追加購入の効果は大きくなるといえます。
このことからファンドへの長期積立投資においては下落局面をチャンスと捉えて、資金があれば下落時に追加購入し、投資元本を増やすことが有効といえます。

SBI証券 新NISA つみたて投資枠対象ファンド

SBI証券 新NISA 成長投資枠対象ファンド

図表3 オルカン月5万円の積立と下落時(月間3%超)に5万円追加購入した場合のシミュレーション
(積立期間は2018年10月~2024年3月、直近評価日は2024年4月22日)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
  • ※2018年10月から2024年3月まで毎月末に当該ファンドを5万円ずつ積立投資したと同時に月間で基準価額が3%以上下落したときに5万円を追加購入したと仮定し、概算の購入口数から積立評価額を計算したシミュレーション
  • ※上記は過去のシミュレーション結果を示したものであり、購入口数が概算のため実際の取引とは厳密には異なります。また、投資元本の安全性および将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。

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