新NISA 6ヵ月リターン ランキング! 上位ファンド と S&P500・オルカン との格差は?
投資情報部 川上雅人
2024/07/16
新NISA 6ヵ月リターン ランキングは? 上位ファンドとS&P500・オルカンとの格差は?
新NISAがスタートして半年が経過しました。国内公募株式投資信託(ETFを除く)への月間資金流入額(買付金額-売却金額)は2024年1月以降、1兆円を超える高水準を維持しています(図表1)。投資信託(ファンド)への資金流入が高水準となっている最大の要因は非課税枠が大幅に拡大した新NISAによるものといえます。
2024年前半のマーケットを振り返りますと、主な株価指数では国内株式(日経平均)が前半の好調もあってパフォーマンスではトップとなりました(図表2)。次に続くのが米国株式(NASDAQ100、S&P500)となり、インド株式(Nifty50)、欧州株式(ユーロ・ストックス50)の順となっています。
為替市場ではドル円レートが半年で13.6%上昇(円安ドル高)となり、他の主要外国通貨も上昇したことから外貨建て資産の評価を押し上げました。
こうした投資環境で新NISAの期間となった6ヵ月でのファンドのパフォーマンスをチェックします。SBI証券取り扱いの新NISA対象の6カ月リターン上位10ファンドは図表3となります。
1位から10位までのファンドの6カ月リターンは74.86%~42.29%です。NISAで人気のS&P500インデックスファンド(以下、S&P500)を43%~11%上回っています。同様に全世界株式インデックスファンド(以下、オルカン)を48%~15%上回っています。
上位ファンドは半導体関連株式や米国株式に投資するファンドが多くなりました。iFreeNEXT FANG+インデックス以外の9ファンドはNISA・成長投資枠でしか買えないファンドであり、NISA口座で投資信託のパフォーマンスを高めるのであれば、つみたて投資枠対象ファンドへの投資に加えて、成長投資枠の上位ファンドを活用することが有効だったといえます。
以下、上位ファンド(6ヵ月好成績ファンド)10本の特徴についてコメントします。
図表1 国内公募追加型株式投資信託(ETFを除く)への月間資金流入額 (2023年12月~2024年6月)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
図表2 2024年前半 主な株価指数のパフォーマンス比較 (2023年末~2024/6/28 2023年末=100)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
図表3 新NISAの6カ月リターン上位ファンド一覧
順位 | ファンド名 | 特徴 (投資対象) |
6ヵ月 リターン |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
1年 標準偏差 |
新NISA 対象 |
1 | 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資) | 世界各国の半導体関連企業の株式、技術力や価格決定力などを考慮し銘柄を選定 | 74.86% | 103.08% | 46.86% | 25.33 | 成長 |
2 | トルコ株式オープン(愛称:メルハバ) | 収益性、成長性、安定性などを総合的に勘案して、トルコ株式を選別 | 53.33% | 74.29% | 45.79% | 32.03 | 成長 |
3 | iFreeNEXT FANG+インデックス | NYSE FANG+指数(配当込み、円ベース)に連動した投資成果をめざす | 47.19% | 65.85% | 30.65% | 18.66 | つみたて+成長 |
4 | <購入・換金手数料なし>ニッセイSOX指数インデックスファンド 米国半導体株 | フィラデルフィア半導体株指数(配当込み、円ベース)に連動した投資成果をめざす | 46.36% | 67.04% | - | 21.74 | 成長 |
5 | HSBC インド・インフラ株式オープン | インドのインフラに関連する企業の株式の中から銘柄を厳選 | 45.66% | 76.00% | 41.47% | 11.75 | 成長 |
6 | 米国NASDAQオープンBコース(為替ヘッジなし) | 成長性、収益性、安定性等を総合的に勘案し、米国NASDAQ上場株式を銘柄選定 | 45.55% | 64.37% | 25.91% | 18.40 | 成長 |
7 | 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド(愛称:THE 5G) | 日本を含む世界各国の次世代通信関連企業の株式 | 45.33% | 63.40% | 12.72% | 20.77 | 成長 |
8 | スパークス・新・国際優良日本アジア株ファンド(愛称:日本アジア厳選投資) | 日本とアジアの企業の中から企業価値に対して割安と考えられる銘柄の中から厳選投資 | 44.75% | 40.02% | 12.18% | 14.88 | 成長 |
9 | フィデリティ・米国株式ファンド Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし) | 米国株を中心に世界(日本含む)の企業の株式に投資、将来有望な成長企業など | 43.07% | 56.80% | 24.60% | 14.16 | 成長 |
10 | フィデリティ・米国株式ファンド Dコース(分配重視型・為替ヘッジなし) | 米国株を中心に世界(日本含む)の企業の株式に投資、将来有望な成長企業など | 42.29% | 55.86% | 24.32% | 13.99 | 成長 |
参考 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500インデックスファンド | 30.92% | 40.26% | 24.57% | 12.53 | つみたて+成長 |
参考 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 全世界株式(日本を含む)インデックスファンド | 26.52% | 34.39% | 19.60% | 11.08 | つみたて+成長 |
- ※SBI証券取り扱い(ネット購入可)の新NISA対象ファンドを6カ月リターン順に表示(2024年6月末基準)、参考としてNISAで人気のインデックスファンドを表示
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
6ヵ月好成績ファンドの特徴は?
1位の野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)は、世界各国の半導体関連企業の株式に投資しており、技術力や価格決定力などを考慮し銘柄を選定しています。組入上位銘柄はエヌビディア、ブロードコム、台湾セミコンダクター、クアルコムなどとなっており、組入銘柄数は24銘柄です(※)。6ヵ月では株価が大幅上昇したエヌビディアへの集中投資がパフォーマンスに貢献しました。また、長期10年リターンでも日本の投資信託においてトップクラスの実績です。
2位のトルコ株式オープン(愛称:メルハバ)は収益性、成長性、安定性などを総合的に勘案して、トルコ株式を選別しているファンドです。トルコ株式は他の海外株式市場と比較しても割安で、経済政策の正常化で長期的にプラスの経済効果が期待できることなどの理由から上昇を続けています。また、トルコの個人投資家が高インフレのヘッジのためにトルコ株式を購入しているという側面もあります。値動きの振れ幅を示す標準偏差がかなり大きいファンドであり、トルコ固有のリスク要因を注視する必要があります。
3位のiFreeNEXT FANG+インデックスは、NYSE FANG+指数(配当込み、円ベース)に連動した投資成果をめざすインデックスファンドで、アルファベット、エヌビディア、アップル、ブロードコム、ネットフリックス、テスラ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、スノーフレークの10銘柄へ投資しています(※)。米国のテック企業をまとめて買いたいというニーズに応えることができるファンドといえます。
4位の<購入・換金手数料なし>ニッセイSOX指数インデックスファンド 米国半導体株は、フィラデルフィア半導体株指数(配当込み、円ベース)に連動した投資成果をめざすインデックスファンドです。1位のファンドとは上位銘柄の組入比率の違いでパフォーマンスは劣後しました。
5位のHSBC インド・インフラ株式オープンはインドのインフラに関連する企業の株式の中から銘柄を厳選しているファンドです。インド株式ファンドでトップ10はこのファンドのみであり、インフラ関連株式の中で特に株価が上昇した銘柄を高ウエイトとしたことなどが好パフォーマンスにつながっています。
6位の米国NASDAQオープンBコース(為替ヘッジなし)は、成長性、収益性、安定性等を総合的に勘案し、米国NASDAQ上場株式を銘柄選定しているファンドです。組入上位銘柄はエヌビディア、マイクロソフト、アップル、メタ・プラットフォームズなどとなっており、組入銘柄数は35銘柄です(※)。3年リターンではベンチマークであるNASDAQ総合指数(税引前配当込み、円ベース)を大きく上回っているファンドです。
7位の次世代通信関連 世界株式戦略ファンド(愛称:THE 5G)は、日本を含む世界各国の次世代通信関連企業の株式に投資するファンドです。組入上位銘柄はエヌビディア、アマゾン・ドット・コム、台湾セミコンダクター、メタ・プラットフォームズ、ルネサスエレクトロニクスなどとなっており、組入銘柄数は54銘柄です(※)。半導体関連株式への高ウエイトが好パフォーマンスの要因といえます。
8位のスパークス・新・国際優良日本アジア株ファンド(愛称:日本アジア厳選投資)は、日本とアジアの企業の中から企業価値に対して割安と考えられる銘柄の中から厳選投資しており、日本+アジア株式のファンドです。組入上位銘柄は台湾セミコンダクター、丸紅、韓国の食品メーカーの三養食品、日立製作所、インドのオンライン旅行会社・メイクマイトリップなどとなっており、国別では日本の比率が38.1%と最も高く、組入銘柄数は42銘柄です(※)。
9位と10位のフィデリティ・米国株式ファンド Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし)、フィデリティ・米国株式ファンド Dコース(分配重視型・為替ヘッジなし)は、米国株を中心に世界(日本含む)の企業の株式に投資しており、将来有望な成長企業などを選別しているファンドです。組入上位銘柄はメタ・プラットフォームズ、エヌビディア、バークシャー・ハサウェイ、マイクロソフトなどとなっており、組入銘柄数は296銘柄です(※)。3年リターンではS&P500並みですが、直近1年では好パフォーマンスとなっています。
図表4で主な上位ファンドとS&P500・オルカンとの2024年のパフォーマンスを直近(7/10)まで比較しました。
S&P500やオルカンは株式市場の上昇と円安で安定したリターンを獲得していますが、NISA口座でリスクを取って高いリターンを求めるなら、ファンドの特徴をおさえた上で、値動きの異なる6ヵ月好成績ファンドを組み合わせて分散投資することが有効と考えます。
(※)個別銘柄の取引を推奨するものではありません。組入銘柄の情報は2024年5月末基準(フィデリティ・米国株式ファンド Bコース/Dコースは2024年4月末基準)。
図表4 6カ月リターン上位ファンドとS&P500・オルカンとのパフォーマンス格差 (2023年末~2024/7/10 2023年末=100)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は略称または愛称)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
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