下落時の追加購入が効果的!? S&P500 円高局面での積立投資の結果は?
投資情報部 川上雅人
2024/08/19
円高局面でも効果を発揮したS&P500への長期積立投資
7月中旬から8月上旬までのマーケットは株式市場の下落に加えて為替市場では急速に円高が進みました。
新NISAで投資を始められた方はこれまでは比較的順調なマーケットだったため、今回の株式市場の下落と円高によって保有している投資信託の基準価額が大きく下がることを初めて経験された方も多かったのではないでしょうか。
今回の下落局面で外国株式に投資する投資信託においては円高の影響が大きかったといえます。円高は外国株式に投資する投資信託の基準価額を引き下げることになります。実際に投資信託の基準価額の計算に使われるドル円(TTM)レートは、2024年の高値である7月11日の161.73円から8月6日には144.98円となり、16.75円の円高、10.4%の下落率となりました。わずか1ヵ月弱でドル円は10%を超える下落となりました。
足元の為替市場は落ち着きを取り戻していますが、今後は米国と日本との金利差縮小によって円高ドル安傾向が続くことも予想されるため、投資信託への影響を気にされている方も多いと思われます。
そこで今回は、米国の代表的な株価指数であるS&P500について過去の円高局面における長期積立投資の結果を確認します。
まず、1999年12月末から2024年7月末までのドル円(TTM)レートが図表1になります。この期間の中から円高局面といえる2001年12月末から2021年12月末までの20年間についてS&P500(配当込み、円換算ベース)のインデックスに毎月3万円を積立投資したと仮定したシミュレーション結果が図表2となります。
S&P500への20年積立投資の結果は、投資額 720万円が評価額 3,246万円となりました。これによって評価益は2,526万円、投資額の4.51倍となりました。途中の2008年や2011年などは円高や株安などによって投資額を下回る評価額となる場面もありましたが、このような下落局面で積立投資を継続することによって購入単位を増やすことができたため、その後の上昇局面で順調に評価益を拡大することができました。円高による価格下落も慌てずに味方につけて積立投資を続けることが有効であったといえます。
なお、2001年12月末から2021年12月末までの円高局面は20年で約17円の円高となっていますが、これを年率換算すると▲0.68%です。年間0.68%の下落要因となるため、20年の長期で見ると為替レートの影響は小さいといえます。
図表1 ドル円(TTM)レートの推移 (1999年12月~2024年7月 月末値)
- ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
図表2 S&P500に毎月末3万円積立投資した場合 (2001年12月末~2021年12月末)
- ※BloombergデータをもとにSBI証券作成
- ※計算された数値は、あくまでもシミュレーションであり、将来の市場環境の変動や運用成果等を示唆および保証するものではありません。
下落時の追加購入が効果的に
次に図表2と同じ期間で、S&P500への月3万円の積立投資に加えて月間5%超の下落時に10万円を追加購入した場合のシミュレーション結果が図表3になります。なお、月間5%超の下落は240ヵ月の中で35回ありました。
S&P500への20年積立投資+下落時追加購入の結果は、投資額 1,070万円が評価額 5,137万円となりました。これによって評価益は4,067万円となり、投資額の4.80倍となりました。下落時に追加購入(累計350万円)を行うことによって、毎月一定額の積立投資よりも、評価益を1,541万円増やすことができました。
積立投資においては続けることが重要で、さらに下落時に追加購入を行うことが、投資成果を高める上で有効だったといえます。
これは、長期で右肩上がりの資産に投資することが前提となりますが、下落時をチャンスと捉えて行動することも選択肢となります。
今回の下落局面をきっかけにして、NISAの成長投資枠などを使って、下落時の追加購入も検討してみてはいかがでしょうか。
図表3 S&P500に毎月末3万円積立投資+下落時に10万円追加購入した場合(2001年12月末~2021年12月末)
- ※BloombergデータをもとにSBI証券作成
- ※計算された数値は、あくまでもシミュレーションであり、将来の市場環境の変動や運用成果等を示唆および保証するものではありません。
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