最近話題のキーワード 「SCHD」 とは?

最近話題のキーワード 「SCHD」 とは?

投資情報部 川上雅人

2025/01/20

昨年10月頃からキーワード検索や投稿が急激に増えた「SCHD」について、どのようなものなのか? また、メリット・デメリットをはじめ、SBI証券で投資をする方法などを解説します。

最近話題のキーワード 「SCHD」 とは?

SCHDとは米国に上場しているETF(上場投資信託)で、正式名称をシュワブ・米国配当株式ETFといいます。SCHDはこのETFのティッカーコードになります。
SCHDは、米国の配当利回りの高い100銘柄で構成された指数である「ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックス」への連動をめざしており、配当による収益と中長期的な値上がりをめざしつつ、幅広い業種の米国高配当株式100銘柄程度に分散投資できるのが特徴です。
SCHDの組入上位10銘柄は図表1となっています。米国の代表的な株価指数であるS&P500と比べて、業種では金融やヘルスケアの割合が高く、情報技術の割合が小さくなっています。組入上位銘柄をみると配当利回りが相対的に高くなっているのが分かります。

SCHDよりも運用期間が長いETFとして米国高配当株式ETF(ティッカー:VYM)があります。VYMは、米国の高配当利回り株を組み入れた指数であるFTSEハイディビデンド・イールド・インデックスに連動をめざしており、配当による収益と中長期的な値上がりをめざしつつ、幅広い業種の米国高配当株式500銘柄以上に分散投資できるのが特徴です。同指数は大型株のうち配当利回りが市場平均を上回る銘柄で構成されています。
VYMの組入上位10銘柄は図表2となっています。業種では金融と生活必需品の割合が高いのが特徴で、組入上位銘柄の配当利回りを見るとSCHDの組入上位銘柄と比べてやや低くなっています。

SCHDもVYMも高配当株式が投資対象のため、配当利回りが低い、または配当実績がない米国の巨大IT企業「マグニフィセント・セブン」の組み入れはありません。

図表1 SCHD の組入上位10銘柄

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券作成(2025/1/14基準)
  • ※個別銘柄の取引を推奨するものではありません

図表2 VYM の組入上位10銘柄

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券作成(2025/1/14基準)
  • ※個別銘柄の取引を推奨するものではありません

「SCHD」のメリット・デメリット

SCHDとVYMの特徴を比較したのが図表3になります。ETFの運用コストである経費率は0.06%で同じです。低コストのETFといえます。
パフォーマンスを見ると1年、3年リターンでは、VYMの方が優位となっています。これはSCHDがここ3年程度で相対的にパフォーマンスが劣後している1つの理由としては、ヘルスケアの組入比率が相対的に高いことが影響していると考えられます。
一方で、5年トータルリターンではSCHDが優位となりました。SCHDは相対的に配当利回りや配当成長率(増配率)が高いのが特徴のため、長期でみると好パフォーマンスにつながっているといえます。
配当利回りや増配率を重視するならSCHDが優位といえますが、3年程度のパフォーマンスを重視するならVYMが選択肢になると思われます。
一般的に高配当株式は、上昇局面に弱く(相対的に劣後し)、下落局面に強い(相対的に下落率が小さくなる)傾向があります。こうした特徴もおさえた上で投資することが有効といえます。
また、高配当株式を選ぶ際には配当成長率が高いかどうかというのも1つのチェックポイントといえます。配当成長率が高い企業は、安定して収益が拡大している企業が多いといえます。

図表3 SCHDとVYMの比較表

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券作成(2025/1/14基準)

SBI証券で買える 実質的に 「SCHD」 に投資ができるファンドとは?

SCHDのETFについては、国内の証券会社では購入はできません。しかし、投資信託であれば実質的にSCHDに投資することができるようになりました。そのファンドが、SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)(愛称:S・米国高配当株式100)です。シュワブ・米国配当株式ETFに投資している日本の投資信託となります。
現在、国内で実質的にSCHDに投資ができるファンドは2本となっており、その中でも信託報酬率が低いファンドがSBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)(愛称:S・米国高配当株式100)になります。

そのほかにも米国の高配当株式に着目して長期の運用実績のあるファンドを3年リターン順に並べたものが図表4になります。いずれもNISA・成長投資枠で買えるファンドとなっています。
実質的にVYMに投資することができるファンドが3位と4位のファンドです。VYMは日本においてはETFと投資信託、両方で投資ができます。
7本の米国高配当株式ファンドとS&P500インデックスファンドを比較すると、1年や3年のリターンでは米国高配当株式ファンドはS&P500インデックスファンドに対して見劣りしますが、値動きの振れ幅を示す標準偏差(1年)は小さくなっています。
高配当株式ファンドは、株式ファンドの中では相対的に値動きが小さいのが特徴で、大きなリターンは狙わずにリスクを抑えた株式ファンドを選びたいという方にとっては有効な選択肢になるといえます。

図表4 NISA・成長投資枠 米国高配当株式ファンド 3年リターンランキング

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
1年
標準偏差
1 フランクリン・テンプルトン・アメリカ高配当株ファンド(年2回決算型) 配当の成長が期待される米国の3つの高配当資産(株式等・REIT・MLP)に投資 34.00% 21.11% 12.21
2 ニッセイアメリカ高配当株ファンド(年2回決算型)(愛称:USドリーム(年2回)) 配当の成長が期待される米国の3つの高配当資産(株式等・REIT・MLP)に投資 33.75% 20.85% 12.08
3 SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・米国高配当株式) 米国株式市場における高配当利回りの銘柄で構成される指数への連動をめざす 31.27% 19.42% 11.25
4 楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VYM) 米国株式市場における高配当利回りの銘柄で構成される指数への連動をめざす 31.51% 19.38% 11.33
5 MHAM米国好配当株式ファンド(年1回決算型)為替ヘッジなし(愛称:ゴールデンルーキー) 配当利回りのほか、収益・配当成長予測等を勘案し銘柄を選別 29.45% 17.69% 12.04
6 JPM北米高配当・成長株ファンド(為替ヘッジなし、年2回決算型) 配当利回りが相対的に高いと判断される銘柄に投資 24.83% 15.58% 11.78
7 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族(愛称:Funds-iフォーカス 米国株式配当貴族) 連続で増配している銘柄を対象とした指数への連動をめざす 19.21% 13.88% 10.09
参考 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) S&P500インデックスファンド 40.78% 21.19% 15.01
  • ※NISA・成長投資枠対象のSBI証券取り扱いファンドの中から配当に着目した米国株式ファンドを米国高配当株式ファンドと定義し、3年リターン順に表示(2024年12月末基準)
  • ※同一運用会社で同一マザーファンドに投資しているファンドは3年リターン上位のみを表示、参考としてS&P500インデックスファンドも表示
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

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