下落局面こそ見直したい!? 5年好成績 米国株式ファンドは?

下落局面こそ見直したい!? 5年好成績 米国株式ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2025/05/02

2025年と長期 インデックスファンドの運用成績は?

2025年4月はトランプ政権による相互関税の発表などで世界の株式市場は乱高下し、為替市場では円高ドル安が進みました。今回は4月25日までのインデックスファンドの値動きについて短期と長期を確認し、今後の投資戦略を考えます。
2024年末から4月25日までのインデックスファンドとドル円のパフォーマンスを比較すると図表1となりました。ここでは最も成績が良かったのは国内リートでした。国内リートは円高やディフェンシブな局面において物色されやすい資産として価格は上昇しました。続いて下げが小さかった順に国内債券、国内株式、先進国債券、先進国リート、全世界株式、米国株式となりました。海外の株式は国内株式と同様に下落しましたが、円高ドル安が進み、投資信託の計算に使われるドル円TTMは9.5%の下落となったことが大きく影響しました。
一方で、2020年のコロナショック前となる2019年末からのパフォーマンスを比較したものが図表2となります。約5年4ヵ月では、米国株式や全世界株式はコロナショックや直近の価格下落があったものの好成績となりました。図表1の2025年と図表2の長期を比較するとインデックスファンドのパフォーマンス順位はほぼ逆になっています。約5年4ヵ月間ではドル円TTMは31%上昇しており、海外に投資するファンドの価格押し上げ要因となりました。

トランプ関税による米国経済への影響は不透明ですが、今後はトランプ関税の着地点が明らかになり、米国の景気対策や規制緩和などによって、トランプ関税に対する警戒感が緩和されていくことが期待されます。
日米の金利差縮小によって今後はドル円レートによる基準価額の押し上げ効果が見込まれにくい環境ではありますが、中長期的には米国企業の業績拡大に伴って米国株式は巻き返していくことが予想されます。
そのような視点から今回は、長期では良かったものの直近低迷している米国株式ファンドに着目します。
NISAで買えるSBI証券取り扱いの5年好成績の米国株式ファンドを一覧にしたものが図表3になります。

図表1 2025年 インデックスファンンドのパフォーマンス比較 (2024/12/30~2025/4/25 2024/12/30=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
  • ※各インデックスファンドはeMAXIS Slimシリーズで計算
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

図表2 2019年末からのインデックスファンンドのパフォーマンス比較 (2019/12/30~2025/4/25 2019/12/30=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
  • ※各インデックスファンドはeMAXIS Slimシリーズで計算
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

図表3 NISAで買える 米国株式 5年好成績ファンド

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
5年
リターン
(年率)
5年
標準偏差
(年率)
1 iFreeNEXT FANG+インデックス 米国テクノロジー企業10銘柄で構成されるFANG+インデックスへの連動を目指す 14.26% 27.13% 39.04% 28.71
2 シェール関連株オープン 米国、カナダおよびメキシコのシェール関連企業の株式に投資 1.75% 11.48% 32.04% 26.78
3 eMAXIS Neo バーチャルリアリティ 日本を含む世界各国の拡張現実・仮想現実関連企業の株式に投資 -10.40% 5.32% 30.86% 34.50
4 米国インフラ・ビルダー株式ファンド(為替ヘッジなし) 米国におけるインフラ設備の建設、改修などに関わる企業の株式に投資 -13.66% 13.75% 28.99% 22.48
5 イノベーション・インデックス・AI AI関連企業の株式に投資、STOXXグローバルAIインデックスへの連動を目指す -1.17% 17.55% 28.60% 23.87
6 新・ミューズニッチ米国BDCファンド(為替ヘッジなし・年2回決算型) 米国に上場されているBDC(ビジネス・ディベロップメント・カンパニー)に投資 7.55% 14.35% 28.05% 19.56
7 iFreeNEXT NASDAQ100インデックス NASDAQ100インデックスファンド 4.44% 16.29% 27.59% 20.97
8 野村クラウド関連株式投信 Bコース(為替ヘッジなし) 世界のクラウド関連企業の株式に投資、ボトムアップリサーチによる銘柄選定 -6.06% 9.20% 25.98% 26.08
9 USマイクロキャップ株式ファンド 高い業績成長が見込まれる超小型企業の株式に投資 -2.47% 7.71% 25.67% 22.69
10 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) S&P500インデックスファンド 6.03% 15.44% 25.47% 16.20
  • ※国際株式・北米カテゴリーのNISA・成長投資枠対象ファンド(SBI証券ネット取り扱い、残高20億円以上)を5年リターン順に表示(2025年3月末基準)
  • ※ランキングにおいては、同種ファンドはトップリターンのファンドのみを表示
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

5年好成績 米国株式ファンドの特徴は?

5年リターン1位のiFreeNEXT FANG+インデックスは、米国テクノロジー企業10銘柄で構成されるNYSE FANG+指数(配当込み・円ベース)の動きに連動した投資成果を目指すファンドです。組入銘柄はアップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、ネットフリックス、クラウドストライク、サービスナウ、アルファベット、エヌビディア、ブロードコムとなっています(※)。1年、3年でも相対的に好成績のファンドですが、10銘柄集中投資のため値動きの振れ幅を示す標準偏差が大きくなっています。
2位のシェール関連株オープンは、米国、カナダおよびメキシコのシェール関連企業の株式に投資しており、シェールガス/オイルの生産拡大により成長が期待される企業、エネルギーコストの低下により恩恵を受ける企業に着目しているファンドです。組入上位銘柄は、エネルギーサービスを手掛けるタルガ・リソーシズ、石油メジャーの一角であるシェブロンとエクソンモービル、エネルギー・インフラ会社のウィリアムズ・カンパニーズなどとなっており、組入銘柄数は59銘柄です(※)。2025年に入ってからの下落率は相対的に小さくなっているファンドといえます。
3位のeMAXIS Neo バーチャルリアリティは、日本を含む世界各国の拡張現実・仮想現実関連企業の株式に投資しているインデックスファンドです。組入上位銘柄は、米国のユニティ・ソフトウェア、メタ・プラットフォームズ、軍事用エレクトロニクスを開発しているイスラエルのエルビット・システムズ、スナップチャットを展開するスナップなどとなっており、組入銘柄数は17銘柄です(※)。3年リターンでは相対的に苦戦しており、17銘柄への集中投資のため標準偏差が最も大きくなっています。
4位の米国インフラ・ビルダー株式ファンド(為替ヘッジなし)は、米国におけるインフラ設備の建設、改修またはメンテナンス、建設素材の生産または輸送などに直接関わる企業の株式に投資しているファンドです。組入上位銘柄はモーション・コントロール技術の分野で多角経営を行うパーカー・ハネフィン、175カ国超で事業展開するパワーマネジメント企業のイートン、産業機械メーカーのトレイン・テクノロジーズ、インフラ関連サービス会社のクアンタ・サービシズなどとなっており、組入銘柄数は31銘柄です(※)。直近1年についてはインフラ関連株式の下落により相対的に苦戦しています。
5位のイノベーション・インデックス・AIは、AI関連企業の株式に投資し、STOXXグローバルAIインデックス(ネット・リターン、円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指すファンドです。組入上位銘柄はマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、アルファベットなどとなっており、組入銘柄数は80銘柄です(※)。テーマ型株式ファンドの中では比較的安定的にパフォーマンスを上げています。
6位の新・ミューズニッチ米国BDCファンド(為替ヘッジなし・年2回決算型)は、米国の金融商品取引所に上場されているBDC(ビジネス・ディベロップメント・カンパニー)に投資を行うファンドです。BDCは中堅企業への投融資を行う形態の1つで、収益の90%以上を払い出すことで法人税を実質的に免除されるメリットがあります。ファンドは23銘柄に投資しており、ポートフォリオの予想配当利回りは9.27%と配当利回りが高いのが特徴です(※)。
7位のiFreeNEXT NASDAQ100インデックスは、NASDAQ100指数(配当込み、円ベース)の動きに連動した投資成果を目指しており、組入上位銘柄はアップル、マイクロソフト、エヌビディア、アマゾン・ドット・コムなどとなっています(※)。
8位の野村クラウド関連株式投信 Bコース(為替ヘッジなし)は、世界のクラウド関連企業の株式に投資しており、ボトムアップリサーチによる銘柄選定を行うファンドです。組入上位銘柄はエヌビディア、アマゾン・ドット・コム、ブロードコム、マイクロソフトなどとなっており、組入銘柄数は46銘柄です(※)。
9位のUSマイクロキャップ株式ファンドは、高い業績成長が見込まれる超小型企業の株式に投資を行うファンドです。組入銘柄数は120銘柄で、幅広い業種の超小型株式に分散投資しているのが特徴です(※)。
10位はお馴染みのS&P500インデックスファンドとなりました。

1位から9位までの米国株式ファンドは、2020年のコロナショックによる株価下落後の反発局面、2022年の米金利上昇による株価下落を経験しながら、5年間でS&P500インデックスファンドを上回る実績を上げたファンドです。
中長期的な米国株式の上昇に期待するなら、ファンド特徴を理解した上で、これらの5年好成績米国株式ファンドの活用も有効ではないかと思われます。

(※)組入銘柄の情報は3月末基準。個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

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