オルカン+α の分散投資! トランプ関税の影響を受けにくい国内小型株ファンドは?

投資情報部 川上雅人
2025/06/23
トランプ関税で注目! 内需企業が多い国内小型株ファンド
足元の国内株式市場は堅調な値動きとなっており、日経平均株価は6月18日に2月以来の38,800円台まで回復しています。米国ではテック株主導での戻り基調が続き、その動きにつられて日本株も上昇しています。
とはいえ、日経平均株価も東証株価指数(TOPIX)も依然として年初来高値を回復していません(6月18日時点)。一方で、主に小型株で構成されている東証グロース市場指数や東証スタンダード市場指数は年初来高値を更新し、年初来の上昇率が目立っています(図表1)。
グローバル企業が多い大型株に比べ、東証グロース市場は内需企業も多く、トランプ関税による貿易戦争激化の影響を受けにくい銘柄が多いのが特徴といえます。また、東証スタンダード市場は外需の製造業が一定程度上場しているものの、東証プライム市場よりその割合は低いといえます。こうしたことが東証グロース市場指数や東証スタンダード市場指数が2025年に入ってから相対的に堅調となっている1つの要因と考えられます。
そこで今回はトランプ関税の影響を受けにくいといえそうな国内小型株を主に投資対象としているファンドに着目します。国内小型株ファンドはウエルスアドバイザーカテゴリーにおいて国内小型グロース・国内小型バリュー・国内小型ブレンドに分類されているファンドと定義しました。これらのカテゴリーでNISAで買えるSBI証券取り扱いの1年好成績ファンドの一覧が図表2となります。それぞれのファンドの1年リターンは、国内株式(TOPIX)インデックスファンドを大きく上回る実績となっています。
図表1 2025年 株価指数のパフォーマンス比較 (2024年12月末~2025年6月18日 2024年12月末=100)

- ※ QUICKデータをもとにSBI証券作成
図表2 NISAで買える 1年好成績 国内小型株ファンド
順位 | ファンド名 | 特徴 (投資対象) |
カテゴリー | ファンド レーティング |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
5年 リターン (年率) |
1年 標準偏差 |
1 | 中小型株式オープン(愛称:投資満々) | 今後の成長が期待できる企業が数多く存在するわが国の中小型株式を中心に投資 | 国内小型グロース | ★★★ | 16.43% | 6.08% | 5.72% | 12.10 |
2 | インベスコ 店頭・成長株オープン | 中小型株式を中心とする成長性溢れるわが国の株式などに投資 | 国内小型グロース | ★★★★ | 15.62% | 10.64% | 8.64% | 15.43 |
3 | 野村リアルグロース・オープン | 個別企業の調査・分析等により中長期的に高い成長が期待できる企業の株式を選別して投資 | 国内小型グロース | ★★★ | 14.57% | 7.24% | 4.95% | 9.84 |
4 | ミュータント | 旧来の常識を打ち破り爆発的な変貌を遂げる「ミュータント・カンパニー」となり得る企業を厳選し投資 | 国内小型グロース | ★★ | 14.15% | 7.93% | 6.16% | 14.10 |
5 | SBI日本小型成長株選抜ファンド(愛称:センバツ) | 新たに成長を加速する、企業家精神に溢れた「次代を拓く革新高成長企業」に厳選投資 | 国内小型グロース | ★ | 12.51% | 0.65% | -1.50% | 17.96 |
6 | SBI小型成長株ファンド ジェイクール(愛称:jcool) | 新たに成長を加速する、企業家精神に溢れた「次代を拓く革新高成長企業」に厳選投資 | 国内小型グロース | ★★ | 12.28% | 0.41% | -1.76% | 17.97 |
7 | 小型株ファンド(愛称:グローイング・アップ) | 中小型株式に特化して調査・分析を行うスペシャリストが「次代を拓く革新高成長企業」を厳選 | 国内小型グロース | ★★ | 11.70% | -0.17% | -1.55% | 18.09 |
8 | 日興 グローイング・ベンチャーファンド | エンジェルジャパン・アセットマネジメントによる徹底したボトムアップ・リサーチにより有望企業を厳選 | 国内小型グロース | ★★ | 11.54% | 0.34% | -1.64% | 17.54 |
9 | アクティブ元年・日本株ファンド | 企業規模にとらわれることなく企業価値の向上や市場評価の見直しが期待される銘柄を選別 | 国内小型グロース | ★★★★★ | 11.01% | 18.18% | 17.32% | 10.61 |
10 | スパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド(愛称:ライジング・サン) | 中長期的に高い利益成長が期待される企業、経営体質の改善等変化の兆しが認められる企業などに投資 | 国内小型グロース | ★★★★ | 10.06% | 12.80% | 7.34% | 10.38 |
参考 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | TOPIXインデックスファンド | 国内大型ブレンド | ★★★★ | 3.46% | 16.28% | 14.94% | 8.88 |
- ※NISA・成長投資枠対象ファンド(SBI証券ネット取り扱い、運用実績5年以上)の中で、国内小型株カテゴリーの1年リターン上位ファンドを表示(2025年5月末基準)
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
1年好成績 国内小型株ファンドの特徴は?
1位の中小型株式オープン(愛称:投資満々)は、今後の成長が期待できる企業が数多く存在するわが国の中小型株式を中心に投資することにより、高い投資成果の獲得を目指すファンドです。組入上位銘柄は、SHIFT、エフピコ、東宝、ぺプチドリーム、パーク24などとなっており、組入銘柄数は86銘柄です(※)。プライム市場の構成比が84%、グロース市場が7%、スタンダード市場が4%となっています。1年ではTOPIXインデックスファンドを約13%も上回る実績となっています。
2位のインベスコ 店頭・成長株オープンは、中小型株式を中心とする成長性溢れるわが国の株式などに投資しているファンドです。組入上位銘柄はサイバーエージェント、エムアップホールディングス、大栄環境、太陽ホールディングス、シンプレックス・ホールディングスなどとなっており、組入銘柄数は67銘柄です(※)。プライム市場の構成比が82%、グロース市場が11%、スタンダード市場が3%となっています。大型株が優位だったため3年や5年リターンではTOPIXインデックスファンドには劣後していますが、図表2の国内小型株ファンドの中ではバランス良く好成績を上げているファンドといえます。
3位の野村リアルグロース・オープンは、個別企業の調査・分析等により中長期的に高い成長が期待できる企業の株式を選別して投資しているファンドです。組入上位銘柄は、QPS研究所、ライフネット生命、フィットイージー、小池酸素工業、くすりの窓口などとなっており、組入銘柄数は83銘柄です(※)。プライム市場の構成比が43%、グロース市場が28%、スタンダード市場が28%となっており、グロース市場、スタンダード市場の割合が高いのが特徴といえます。国内小型株ファンドの中では値動きの振れ幅を示す標準偏差が相対的に小さくなっており、1年では高い運用効率を実現しています。
4位のミュータントは、旧来の常識を打ち破り爆発的な変貌を遂げる「ミュータント・カンパニー」となり得る企業を厳選し投資しているファンドです。組入上位銘柄は、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソニーグループ、日立製作所、日本電気、三井住友フィナンシャルグループなどとなっており、組入銘柄数は45銘柄です(※)。プライム市場の構成比が97%、グロース市場の組入れはなく、スタンダード市場が0.3%となっています。国内小型グロースのカテゴリーとなっていますが、直近では大型株中心に運用しているファンドといえます。
5位のSBI日本小型成長株選抜ファンド(愛称:センバツ)、6位のSBI小型成長株ファンド ジェイクール(愛称:jcool)、7位の小型株ファンド(愛称:グローイング・アップ)、8位の日興 グローイング・ベンチャーファンドの4ファンドは、エンジェルジャパン・アセットマネジメントによる企業調査力を活かして有望企業を厳選している同じコンセプトのファンドです。そのため4ファンドの運用実績は類似しています。5位のファンドの組入上位銘柄は、ライズ・コンサルティング・グループ、ボードルア、守谷輸送機工業、グローバルセキュリティエキスパート、ワンキャリアなどとなっており、組入銘柄数は50銘柄です(※)。プライム市場の構成比が8%、グロース市場が65%、スタンダード市場が24%となっており、グロース市場、スタンダード市場の割合が特に高いのが特徴といえます。3年・5年リターンでは苦戦していますが、1年リターンが回復してきたことから、今後継続的なパフォーマンス回復となるのか要注目といえます。
9位のアクティブ元年・日本株ファンドは、企業規模にとらわれることなく企業価値の向上や市場評価の見直しが期待される銘柄を選別して投資しているファンドです。組入上位銘柄はマツオカコーポレーション、MARUWA、BUYSELL TECHNOLOGIES、AI ロボティクス、都築電気などとなっており、組入銘柄数は146銘柄です(※)。プライム市場の構成比が58%、グロース市場が17%、スタンダード市場が20%となっています。小型株が相対的に苦戦した3年・5年のリターンでもTOPIXインデックスファンドを上回る実績は特筆され、10ファンド中では最もバランス良くリターンを上げているファンドといえます。そのため、カテゴリー(国内小型グロース)内での運用効率の相対評価を示すファンドレーティングは5ツ星となっています。
10位のスパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド(愛称:ライジング・サン)は、中長期的に高い利益成長が期待される企業、収益力に対して株価が割安に放置され、かつ経営体質の改善等変化の兆しが認められると判断した企業、また、これらの企業の成長、変化を支える優秀な経営陣、技術等を有している企業に着目して投資を行うファンドです。組入上位銘柄はMARUWA、良品計画、ぺプチドリーム、センコーグループホールディングス、東京建物などとなっており、組入銘柄数は43銘柄です(※)。プライム市場の構成比が86%、グロース市場が10%、スタンダード市場が1%となっています。
トランプ関税の行方とその影響度が分からない不透明な環境下では、運用担当者が今後の見通しなどを踏まえて銘柄を選定するというアクティブファンドの優劣がはっきりと表れてくるのではないかと思われます。特に玉石混交の国内小型株市場ではその傾向が顕著となりそうです。こうしたことから、国内小型株のカテゴリーにおいては好成績のアクティブファンドがTOPIXなどのインデックスファンドに対して優位性を維持することが期待され、図表2のファンド群は有望な分散投資ツールとして注目すべきと考えます。
(※)組入銘柄の情報については5月末基準。個別銘柄の取引を推奨するものではありません。
免責事項・注意事項
・レポートおよびコラムの配信は、状況により遅延や中止、または中断させていただくことがございます。あらかじめご了承ください。
・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
【投資信託に関するご注意事項】
・投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
・投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客さまが実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
・ご投資にあたっては、商品概要や目論見書(目論見書補完書面)をよくお読みください。
【手数料及びリスク情報等】
SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。