オルカンよりも低リスクで好成績!? 波乱の1年で輝いたバランスファンドは?

オルカンよりも低リスクで好成績!? 波乱の1年で輝いたバランスファンドは?

投資情報部 川上雅人

2025/07/22

資金流入が落ち込む中でバランスファンドに注目!

2025年6月の投資信託(追加型株式投信(ETF除く))の資金流入額(買付金額-売却金額)は4,064億円となり、5月比で半分以下まで落ち込みました(図表1)。株高や円安で多くのファンドの基準価額が上昇し、利益確定に伴う売却が増えていることと、トランプ関税などによるマーケットの不透明感などから投資家の様子見姿勢が強まっていることが要因と考えられます。
投資信託の月間資金流入額は新NISA2年目の駆け込みで過去最高となった2025年1月をピークに減少傾向が続いており、この要因は売れ筋でシェアの大半を占める海外株式カテゴリーの資金流入の縮小が大きいといえます(図表1)。
こうした中で注目されるのが、シェアは大きくないものの、株式や債券、不動産、金など複数の資産を投資対象にしているバランスファンドで構成されるバランスカテゴリーの安定した資金流入です。バランスファンドは株式ファンドと比べて異なる資産クラスに分散投資していることから相対的にリスク(値動きの振れ幅)が小さいため、買うタイミングを選ばないファンドといえます。

そこで今回はバランスファンドに着目し、NISAで人気のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)よりリスク(1年の標準偏差)が小さく、1年のリターンが高いファンドを探してみました。こうした条件で絞ったSBI証券取り扱いのNISAで買える好成績バランスファンドは10本以上あり、1年リターン順に7本に絞った一覧が図表2となります。
バランスファンド7本の値動きの振れ幅を示す標準偏差(1年)は、大きな下落局面が2度もあった波乱の1年間において、オルカン対比で50~75%程度に抑えられています。

図表1 投資信託の月間資金流入額とカテゴリー別(海外株式とバランス)の資金流入額の推移 (2024年7月~2025年6月)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成

図表2 NISAで買える オルカンよりも低リスク 1年好成績バランスファンド

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
設定日 1年
リターン
3年
リターン
(年率)
設定来
リターン
(累積)
1年
標準偏差
1年
シャープ
レシオ
1 ROBOPROファンド 世界の株式、債券、リートおよびコモディティ(金)に分散投資、AIが資産配分を決定 2023/12/28 12.53% - 33.48% 11.72 1.04
2 ダイワ FEグローバル・バリュー(為替ヘッジあり) 割安と判断される世界の株式等に投資、金ETF、債券、転換社債などの資産も投資対象、為替ヘッジあり 2016/7/1 11.03% 6.81% 44.66% 8.28 1.29
3 ピクテ 新興国ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:新興国ポラリス) 新興国の株式および債券、金等様々な資産に投資、魅力的なリスクプレミアムが期待できる資産を選定 2023/9/29 7.09% - 30.89% 7.42 0.91
4 NZAM・ベータ 日本2資産(株式+REIT) 日経平均と東証リート指数(配当込み)の比率を均等とした合成指数に連動する投資成果を目指す 2020/2/13 6.80% 9.29% 39.97% 7.94 0.82
5 日本株式・Jリートバランスファンド 日経平均と東証リート指数(配当込み)の比率を均等とした合成指数に連動する投資成果を目指す 2017/9/22 6.52% 9.23% 87.94% 7.92 0.78
6 グローバル経済コア 日本を含む世界の株式、債券、リート、金に分散投資、地域別のGDP総額の比率を参考に決定 2027/11/30 6.43% 10.83% 71.73% 8.09 0.76
7 ダイワ FEグローバル・バリュー(為替ヘッジなし) 割安と判断される世界の株式等に投資、金ETF、債券、転換社債などの資産も投資対象、為替ヘッジなし 2016/7/1 5.19% 14.65% 158.63% 11.32 0.43
参考 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 全世界株式(日本を含む)インデックスファンド、株式のみ 2018/10/31 4.00% 19.19% 175.00% 15.44 0.24
  • ※NISA・成長投資枠対象ファンド(SBI証券ネット取り扱い)を6ヵ月リターン順に表示(2025年6月末基準)
  • ※金(ゴールド)ファンド、同じ投資助言会社による国内小型株ファンド、同じマザーファンドに投資しているファンドは、6ヵ月リターンのトップファンドのみを表示
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

オルカンより低リスクで1年好成績のバランスファンドは?

1年リターン1位のROBOPROファンドは、世界の株式、債券、不動産(リート)およびコモディティ(金)に分散投資し、各資産配分にあたっては、マーケットデータ、対象資産の期待収益率、リスク、各資産の相関等に基づく合理的判断によりAIが月1回配分比率を決定しています。機動的な資産配分の変更によって1年では相対的に高いリターンを獲得しました。資産別の構成比率は、不動産(米国リート)37.8%、米国株式18.1%、金16.3%、ハイイールド債券15.6%、新興国株式7.0%、先進国株式5.2%となっています(※)。好パフォーマンスとなったファンドの運用状況等の詳細は動画(※YouTubeに遷移します)をご参照ください。
2位のダイワFEグローバル・バリュー(為替ヘッジあり)と7位のダイワ FEグローバル・バリュー(為替ヘッジなし)は、割安と判断される世界の株式等に投資、金ETF、債券、転換社債などの資産も投資対象としているファンドです。運用はファースト・イーグル・インベストメント・マネージメントが行っています。円高局面となった1年のリターンでは為替ヘッジありが優位でしたが、3年リターンでは為替ヘッジなしが優位となっています。資産別の構成比率は、北米株式45.2%、欧州株式21.5%、日本株式6.6%、金関連(金ETF、金関連株式)13.4%などとなっており(※)、株式の比率が高いバランスファンドといえます。
3位のピクテ新興国ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:新興国ポラリス)は、新興国の株式および債券、金等様々な資産に投資を行い、世界の市場環境に応じて魅力的なリスクプレミアムが期待できる資産を選定し、配分比率の決定を行うファンドです。基本資産配分の見直しは原則として月次で行い、資産別の構成比率は、株式34.2%、債券19.7%、金37.8%などとなっており(※)、過去も金の構成比が高いファンドとなっています。大半は新興国に投資していますが、為替ヘッジなどを考慮した円資産の比率は58%となっていることもあり、標準偏差が小さいファンドとなっています。
4位のNZAM・ベータ 日本2資産(株式+REIT)と5位の日本株式・Jリートバランスファンドは、日経平均と東証リート指数(ともに配当込み)の比率を均等とした合成指数に連動する投資成果を目指すというインデックスファンドです。国内株式と国内リートは値動きが異なり、為替リスクがないことから標準偏差が小さく、安定したパフォーマンスとなりました。2ファンドともにつみたて投資枠でも購入可能です。
6位のグローバル経済コアは、日本を含む世界の株式、債券、リート、金に分散投資し、各投資対象市場の代表的なインデックスへの連動を目指す運用を行うファンドです。株式及び債券の基本組入比率は、地域別(日本、先進国、新興国)のGDP(国内総生産)総額の比率を参考に決定しています。資産別の構成比率は、国内株式3.63%、外国株式21.24%、新興国株式13.28%、国内債券2.31%、外国債券18.64%、新興国債券12.19%、国内リート4.82%、グローバルリート5.01%、金18.07%などとなっています(※)。外貨建て資産の割合が高いバランスファンドといえます。

上記の7ファンドは、オルカンにはない株式以外の異なる資産へ分散投資が可能となっているファンドであり、一部のファンドはオルカンでは構成比が低い日本や新興国に分散投資が可能なファンドといえます。
まとまった資金で運用していて投資タイミングを迷われている方や、リスクを抑えた運用を考えている方は、これらのバランスファンドへの投資が有効な選択肢になると考えます。
主なバランスファンドとオルカンの約1年間におけるパフォーマンスを比較したものが図表3となります。これらのバランスファンドはオルカンと比べて下落局面で値動きが小さいことが確認できることから、オルカンとバランスファンドを組み合わせて投資することも一考に値すると思われます。

(※)組入銘柄の情報は、1位のファンドが7月10日基準、それ以下のファンドは6月末基準。

図表3 主なバランスファンドとオルカンのパフォーマンス比較 (2024年6月28日~2025年7月15日 2024年6月28日=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成
  • ※ファンド名は一部略称または愛称
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

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