S&P500だけじゃない!? プロの投資家も注目する “ラッセル指数” とは?

S&P500だけじゃない!? プロの投資家も注目する “ラッセル指数” とは?

投資情報部 川上雅人

2025/08/25

そもそもラッセル指数とは?

ラッセル指数を算出しているFTSE Russellは、ロンドン証券取引所グループ(London Stock Exchange Group, LSEG)の一部門として運営されています。
FTSEとは、ロンドン証券取引所グループ傘下の指数提供会社で、英国FTSE 100種総合株価指数(1984年より算出)や英国FTSE全株指数(1962年より算出)で有名です。
Russell Indexesとは、米国を拠点とする指数提供会社で、1984年にフランク・ラッセル社により創設されました。
これら2つのブランドが2015年に統合して、現在のFTSE Russellとなっています。

投資のプロである機関投資家による要望を受け開発されたRussell 米国株インデックスシリーズは、1984年から40年以上の歴史を持っています。大型株から小型株まで、米国株式市場を包括する代表的なインデックスシリーズであり(図表1)、多くの機関投資家がベンチマークとして採用しています。

S&P500との違いは?

それぞれ米国の大型株の指数であるRussell 1000とS&P500の違い、イメージ図については図表1および図表2をご参照ください。

Russell 1000とS&P500の違いについては、大きく3点が挙げられます。

まず1つ目は構成銘柄の選定方法です。S&P500は米国株式市場で最も時価総額が大きい500銘柄を必ずしも含んでいるわけではありません。構成銘柄は、S&P Dow Jones Indexesの専任スタッフによる委員会が必要に応じて変更しています。

2つ目はIPOの追加タイミングです。Russell 1000は、適格な新規株式公開(IPO)銘柄を四半期ごとに指数に追加しますが、S&P500には定期的な追加プロセスがなく、「IPOは12か月間取引されてからでないと指数に組み入れられない」というルールのみが存在しています。

3つ目は収益性の要件です。S&P500には収益性の要件があり、企業は直近四半期で黒字を計上し、過去4四半期の合計利益も黒字である必要があります。Russell 米国株インデックスシリーズにはこのような収益性の要件はありません。

S&P500は米国株式市場に上場している代表的な500銘柄にアプローチでき、時価総額の約80%をカバーしている優れた指数といえますが、Russell 米国株インデックスシリーズは、市場の特性をよりタイムリーに反映した指数といえます。

図表1 米国株インデックスシリーズ(Russell 1000 、Russell 2000、 Russell 3000)について

  • ※三井住友トラスト・アセットマネジメントの資料より抜粋

図表2 S&P500のイメージ図

  • ※日興アセットマネジメントの資料より抜粋

プロが注目する理由とは?

Russell 米国株インデックスシリーズでは、以下の5つの基準を満たせば、どの企業でも指数に組み入れられるという考え方になっています。

①米国籍であること
②適格な米国取引所に上場していること
③最低5%の浮動株および議決権を有すること
④株価が最低1ドルであること
⑤最低時価総額が3,000万ドルであること

こうした手法により、指数提供者の主観的な判断を極力排除しています。実際にRussell 1000には、S&P500の設計ルールにより除外されているトップ500企業のいくつかが含まれています。

構築手法の違いが、過去には指数に実務的な影響をもたらしました。
例えば、Russell 米国株インデックスシリーズは、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、アルファベット(グーグル)、テスラなどの急成長企業を、S&P 500より最大10年早く指数に組み入れました。
Russell 米国株インデックスシリーズの採用基準では、これらの企業が指数ルールを満たした時点で即座に指数に組み入れられました。一方、S&P 500では、委員会の承認が必要でした。
Russell 1000に組み入れられてからS&P500に追加されるまでの間に、株価が30%~17,000%も上昇したという具体的なケースを示したものが図表3となります。

このようなことからRussell 米国株インデックスシリーズは、ユーザーが再現可能な透明性の高い方法で構築されている指数としてプロの投資家に認知されているようです。

図表3 Russell 1000とS&P500 代表的な新規上場銘柄のインデックスへの追加時期の違いと その期間の株価パフォーマンス

  • 出所:FTSE Russell
  • ※個別銘柄の取引を推奨するものではありません

ラッセル指数のパフォーマンスと投資方法

ラッセル指数(Russell 1000 、Russell 2000、Russel 3000)とS&P500の長期25年におけるパフォーマンス(配当込み、米ドル建て)を比較したものが図表4となります。
S&P500とRussell 1000は、米国の大型株の値動きを示す指数のため似たようなチャートとなっていますが、25年のトータルリターンはRussell 1000がS&P500を15%上回りました。
さらに、米国株式3,000銘柄を網羅するRussel 3000についても、S&P500を12%上回るリターンとなりました。
米国の小型株の指数であるRussell 2000は、2021年頃までは好調で、4指数の中ではトップのパフォーマンスとなっていましたが、直近4年間は大型株が好調なマーケットのため相対的に劣後しています。

ラッセル指数への連動を目指す投資は、日本の投資信託でも可能となっています。

Russell 1000 (配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指すファンドが、My SMT ラッセル1000米国株式インデックス(ノーロード)で、2025年1月15日に運用を開始しました。
Russell 2000 (配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指すファンドが、My SMT ラッセル2000米国中小型株式インデックス(ノーロード)で、2025年7月31日に運用を開始しました。
Russell 3000 (配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指すファンドが、My SMT ラッセル3000全米株式インデックス(ノーロード)で、2025年7月31日に運用を開始しました。

上記3つのファンドは、NISA・成長投資枠での投資が可能となっており、特集ページも内容もご参考にしていただければ幸いです。

米国株への投資は、プロが注目するラッセル指数の活用も有効ではないかと考えます。

図表4 ラッセル指数とS&P500の長期25年パフォーマンス比較 (2000年7月~2025年7月 月末値 2000年7月=100)

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券作成(配当込み、米ドル建て)
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

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