年内NISA使い切り!? オルカンを超越!? 2025年 MVP候補ファンドは?

年内NISA使い切り!? オルカンを超越!? 2025年 MVP候補ファンドは?

投資情報部 川上雅人

2025/12/01

年内NISA使い切り!? 2025年 オルカンを超越したファンドは?

11月13日、米大リーグ機構(MLB)は、今季の最優秀選手(Most Valuable Player=MVP)を発表し、ナショナル・リーグでは投打「二刀流」で活躍し(55本塁打102打点と投手では14登板し1勝)、ドジャースのワールド・シリーズ優勝にも貢献した大谷翔平選手が満票で選出されました。アメリカン・リーグのエンゼルス時代と合わせて3年連続の受賞です。一方、アメリカン・リーグのMVPはヤンキースのアーロン・ジャッジ選手で、首位打者と53本塁打114打点が評価され、2年連続の受賞となりました。

MLBのMVP2名は時代を超越するホームランバッターとなりました。おめでとうございます!

11月26日、日本プロ野球(NPB)でもMVPが発表されました。パシフィック・リーグは福岡ソフトバンクホークから12勝3敗、防御率1.46で最優秀防御率を獲得し、リーグ優勝と日本一に導いたリバン・モイネロ投手が受賞となりました。セントラル・リーグのMVPは40本塁打102打点の2冠でリーグ優勝に導いた阪神タイガースの佐藤輝明選手となりました。

NPBのMVP2名は時代を超越した投手力と打撃力を発揮しました。おめでとうございます!

MLBとNPBのMVPが出揃ったタイミングですので、今回はファンドにおいても2025年のMVP候補を取り上げます。

11月の世界の株式市場は調整局面となっていますが、上昇局面といえる10月末までの2025年の10ヵ月リターンに着目してランキングしてみました。

SBI証券取扱いでNISAで買える2025年のMVP候補ファンドの一覧が図表1となります。

参考としてNISAで人気のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)と比較しました。

2025年のMVP候補ファンド9本は、10ヵ月リターンでオルカンを33%以上も上回った、2025年のオルカンを超越したファンドといえます。

NISA枠については、受渡ベース(例えば、オルカンは約定日から4営業日後が受渡日となり、受渡日はファンドによって異なります。)となりますので、ファンドで2025年NISA枠の年内使い切りを目指すなら、12月15日の週までに約定しておくことをおすすめします。

以下、2025年 オルカンを超越したファンドの特徴についてコメントします。

図表1 NISAで買える 2025年 MVP候補ファンドは?

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
10ヵ月
リターン
3年
リターン
(年率)
5年
リターン
(年率)
3年
標準偏差
(年率)
1 ブラックロック・ゴールド・ファンド 南アフリカ・オーストラリア・カナダ・アメリカ等の金鉱企業の株式を中心に投資 96.21% 44.96% 21.90% 28.34
2 厳選ジャパン 今後高い利益成長が期待できる20銘柄程度の国内株式に厳選して投資 64.13% 25.70% 12.60% 14.30
3 インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド(愛称:世カエル) 日本を含む世界各国のブロックチェーン関連株式に投資するインデックスファンド 62.59% 46.17% 30.82% 36.48
4 eMAXIS Neo クリーンテック 日本を含む世界各国のクリーンテクノロジー関連企業の株式に投資するインデックスファンド 61.21% 7.62% - 36.03
5 カレラ 日本小型株式ファンド 日本の小型株式に投資し、事業内容、成長性、収益性、財務健全性などを勘案して銘柄を厳選 60.66% 34.79% 22.66% 17.24
6 中欧株式ファンド ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアを中心に、それらの周辺諸国を含む株式等に投資 58.93% 43.87% 34.08% 18.73
7 情報エレクトロニクスファンド エレクトロニクスに関連する企業群や情報通信に関連する企業群の株式を主要投資対象 53.19% 41.10% 28.23% 20.93
8 三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド) 国内の金価格の値動きをとらえることを目指す 51.88% 35.96% 25.07% 19.04
9 ソフトバンク&SBIグループ株式ファンド ソフトバンクグループ、SBIホールディングス及びそれらのグループ関連企業の株式に投資 49.91% 28.48% 16.19% 15.38
参考 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン) 日本を含む全世界株式インデックスファンド 16.69% 23.10% 23.66% 13.39
  • ※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成
  • ※NISA・成長投資枠対象ファンド(SBI証券ネット取り扱い、運用期間3年以上)を10ヵ月リターン順に表示(2025年10月末基準)
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

2025年 MVP候補ファンドの特徴は?

10ヵ月リターンで1位のブラックロック・ゴールド・ファンドは、南アフリカ・オーストラリア・カナダ・アメリカ等の金鉱企業の株式(金鉱株)に投資を行うファンドです。金鉱株とは金の採掘や精錬を事業とする企業です。金鉱株の株価と金価格は長期では同じ方向に動く傾向が見られ、金価格の上昇や業績拡大への期待から3年でも好成績となっていますが、値動きの振れ幅を示す標準偏差が大きいのが特徴といえます。

2位の厳選ジャパンは、優れた経営者の質・ビジョン、新しいビジネスモデル等により企業価値の増大が期待できる企業の中から、20銘柄程度に厳選して投資しているファンドです。組入上位銘柄はフジクラ、コナミグループ、富士電機、イビデン、日本電気などとなっており、組入銘柄数は23銘柄です(※)。23銘柄への集中投資ですが値動きの振れ幅を示す標準偏差(3年)はそれほど大きくなく、3年リターンでも好成績です。

3位のインベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド(愛称:世カエル)は、日本を含む世界各国のブロックチェーン関連株式に投資するファンドで、コインシェアーズ・ブロックチェーン・グローバル・エクイティ・インデックス(円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指しています。ブロックチェーンとはブロックと呼ばれる単位でデータを管理し、鎖(チェーン)のように連結して保管する金融取引履歴などで利用される技術のことで、ほとんどの暗号資産でブロックチェーン技術が使われています。組入上位銘柄は、米国が事業基盤のビットコインマイニング企業のサイファー・マイニング、オーストラリアに拠点を置くビットコインマイニング企業のアイレン、再生可能エネルギーによるビットコインマイニング企業のグリーンスパーク、台湾セミコンダクター・マニュファクチュアリング、北米最大級の規模を誇るビットコインマイニング企業のコア・サイエンティフィックなどとなっており、組入銘柄数は44銘柄です(※)。ビットコイン価格の上昇などから3年、5年でも好成績ですが、標準偏差はかなり大きくなっています。

4位のeMAXIS Neo クリーンテックは、日本を含む世界各国のクリーンテクノロジー関連企業の株式に投資を行うファンドで、S&P Kensho Cleantech Index(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果を目指しています。組入上位銘柄は、米国の電力機器メーカーのブルーム・エナジー、再生可能エネルギー・ストレージ向けエネルギー貯蔵・最適化ソフトウェアの提供を手がける米国のフルエンス・エナジー、カナダを拠点として燃料電池製品の製造等を手掛けるバラード・パワー・システムズ、公益事業規模・マイクログリッド・商業・産業向けの革新的な亜鉛ベースのエネルギー貯蔵ソリューションを設計・開発・製造・販売する米国のイオス・エナジー・エンタープライゼス、電気バランスシステム(EBOS)ソリューション・コンポーネントの提供を手がける米国のショウルズテクノロジーなどとなっており、組入銘柄数は30銘柄です(※)。2024年までは苦戦していましたが、2025年からのAI普及などによる電力需要の拡大で好成績です。標準偏差はかなり大きいファンドです。

5位のカレラ 日本小型株式ファンドは、日本の小型株式に投資し、事業内容、成長性、収益性、財務健全性などを勘案して銘柄を厳選しているファンドです。組入上位銘柄は三菱化工機、東京計器、寺崎電気産業、ダイハツインフィニアース、中国塗料などとなっており、組入銘柄数は32銘柄です(※)。造船、防衛、半導体といった成長シナリオに着目した小型株の組入れが特徴で、直近の組入銘柄はややテーマに偏りがありますが、3年リターンでも好成績です。

6位の中欧株式ファンドは、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアを中心に、それらの周辺諸国の株式等に投資しているファンドです。投資国比率は、ポーランド76.4%、ハンガリー11.0%、チェコ4.1%となっています(※)。安定した経済成長などを背景に投資している3ヵ国の株価指数は好パフォーマンスとなっていることから、3年でも好成績のファンドです。

7位の情報エレクトロニクスファンドは、電気機器、精密機器などエレクトロニクスに関連する企業群や情報ソフトサービス、通信など情報通信に関連する企業群の株式を主要投資対象としているファンドです。組入上位銘柄はソフトバンクグループ、フジクラ、古河電気工業、東京エレクトロン、富士通などとなっており、組入銘柄数は43銘柄です(※)。特定業種の成長株中心のポートフォリオのため標準偏差は大きいファンドですが、3年、5年リターンでもバランス良く好成績です。

8位の三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)は、国内の金価格(国内ETFである純金上場信託(1540))の値動きをとらえるファンドのため、申込受付日と約定日が同じファンドとなります。このファンドは金価格(海外の金ETF)に連動を目指す為替ヘッジなしのファンドと中長期的には似たような値動きです。金(ゴールド)ファンドは3年、5年リターンでもオルカンを上回る好成績となっています。

9位のソフトバンク&SBIグループ株式ファンドは、ソフトバンクグループ、SBIホールディングス及びそれらのグループ関連企業の株式に投資しているファンドです。組入上位銘柄は、ソフトバンクグループ、SBIホールディングス、LINEヤフー、ソフトバンク、ZOZOなどとなっており、組入銘柄数は16銘柄です(※)。2025年10月まで急上昇したソフトバンクグループの組入比率が約20%となっています。ソフトバンクですので、偶然にもNPBのMVPとつながりました。

上位9本のうち国内株式ファンドが4本となり、MLBとNPBのMVPと同様に日本が存在感を示しました。

過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありませんが、大谷選手のように過去の実績が将来の活躍につながる可能性もあります。図表2では2025年 MVP候補ファンドをパフォーマンス比較しました。

2025年のNISA枠消化などで新たなファンドを検討するなら、2025年 オルカンを超越したMVP候補ファンドへの分散投資も一考と思われます。

(※)ポートフォリオの情報は2025年10月末基準。個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

図表2 2025年 MVPファンド候補(10ヵ月リターン上位5本)のパフォーマンス比較 (2024/12/30~2025/11/26 2024/12/30=100)

  • ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は一部略称または愛称)
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

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