オルカン投資家必見! 成長期待の高い新興国株式とアジア株式を比較

オルカン投資家必見!  成長期待の高い新興国株式とアジア株式を比較

投資情報部 川上雅人

2026/06/08

新興国株式とアジア株式、投資対象の違い

オルカンに代表される全世界株式ファンドによる分散投資が広がる中、さらなる成長機会を求める投資家の間でアジア株式への関心が高まっています。アジアには、AI・半導体関連産業で存在感を高める台湾や韓国に加え、インドや中国など、高い成長性と市場規模を兼ね備えた国・地域に、世界経済をけん引する企業や市場が集まっています。そこで今回は、アジア株式ファンドの特徴や運用実績を見ていきます。

図表1では、新興国株式の代表的な指数であるMSCIエマージング・マーケット・インデックスへの連動を目指すファンドと主なインデックスファンドの約1年間を比較していますが、半導体株の影響が大きい国内株式(日経平均)と新興国株式は、オルカンや米国株式(S&P500)を大きく上回る実績となっています。

新興国株式の上昇要因については、前回コラム「AI半導体株の上昇で変わる新興国株式 1年好成績ファンドの特徴は?」をご参照ください。

こうした変化を踏まえると、次に重要となるのは「どの投資対象を選ぶか」という視点です。新興国株式インデックスファンドは幅広い地域へ分散投資できる一方で、国・地域別の構成は指数に依存するため、必ずしも足元で好調な国や業種に重点的に投資できるとは限りません。こうした中、アジア株式ファンドは、台湾や韓国などテクノロジー関連企業の多い市場を相対的に厚く組み入れることで、成長が期待される分野の恩恵をより効率的に取り込むことができる点が特徴といえます。

さらに、より広い分散投資の観点からは、全世界株式ファンド(オルカン)との違いにも目を向ける必要があります。オルカンにおける新興国株式の比率は、2026年4月末時点で約12%にとどまります。そのため、新興国株式の構造変化による成長を十分に取り込むには、投資対象をアジアに絞りつつ、特定の国に偏らないファンドを選ぶことも有効といえます。

新興国株式とアジア株式では、国・地域別の構成に大きな違いがあります。図表2では、代表的なMSCI新興国指数とアジア株式ファンドの一般的な構成を比較したものです。

新興国株式インデックスには中南米、中東、アフリカも含まれる一方、アジア株式ファンドはアジア地域に投資対象を絞った構成となっています。こうしたことから新興国株式は幅広い分散投資が可能である一方、アジア株式は台湾・韓国を中心としたテクノロジー分野の成長をより直接的に取り込みやすい構成といえます。特に足元では、AI半導体需要の拡大を背景に、こうした違いがパフォーマンスにも影響していると考えられます。

図表3では、NISAで購入可能な過去1年間で好成績を収めたアジア株式ファンドを一覧にしています。取り上げたすべてのファンドが、好調だった新興国株式ファンドの1年リターンを上回る水準となっています。それぞれの特徴と好成績の背景について見ていきます。

図表1 主なインデックスファンドのパフォーマンスの比較 (2025年5月末=100、2026/6/2まで)

  • ※ QUICKのデータをもとにSBI証券作成
  • ※ 各ファンドのパフォーマンスはeMAXIS Slimシリーズで算出
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

図表2 新興国株式とアジア株式の構成比較 (2026年4月時点)

  • ※ MSCI、各ファンドのマンスリーレポートのデータをもとにSBI証券作成

図表3 NISAで買える1年好成績 アジア株式ファンド

順位 ファンド名 特徴
(投資対象)
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
5年
リターン
(年率)
5年
標準偏差
(年率)
5年
シャープ
レシオ
1 アジア未来成長株式ファンド 日本を除くアジア各国の製造業に投資、時流に合致した魅力ある業種の中から成長性ある銘柄に投資 113.66% 32.32% 11.58% 22.59% 0.51
2 アジア未来成長株式ファンド(3ヵ月決算型) 日本を除くアジア各国の製造業に投資、時流に合致した魅力ある業種の中から成長性ある銘柄に投資 113.19% 32.13% 11.47% 22.55% 0.50
3 アジア・オセアニア配当利回り株オープン(愛称:アジア配当物語) 安定した好配当が見込めるアジア・オセアニアの株式に投資 90.82% 32.27% 16.33% 18.33% 0.89
4 JPM アジア株・アクティブ・オープン 日本を除くアジア各国の株式が投資対象、成長性があり、かつ株価が割安と判断される銘柄を中心に投資 89.87% 26.35% 9.01% 21.20% 0.42
5 eMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックス 日経アジア300インベスタブル指数(配当込み、円換算)への連動を目指す 77.83% 31.30% 15.36% 18.09% 0.85
6 スパークス・新・国際優良アジア株ファンド(愛称:アジア厳選投資) 安定的にキャッシュフローを生み出すアジアの優良企業を中心に投資 69.86% 25.24% 7.41% 19.57% 0.37
7 SMT アジア新興国株式インデックス・オープン MSCI エマ−ジング・マ−ケット・アジア・インデックス(配当込み、円換算)への連動を目指す 69.64% 28.31% 12.90% 18.13% 0.71
8 HSBC アジア・プラス 成長著しいアジアの国々または地域の企業の株式に幅広く投資 68.07% 26.31% 11.02% 17.90% 0.61
9 HSBC アジア・プラス(3ヵ月決算型) 成長著しいアジアの国々または地域の企業の株式に幅広く投資 67.70% 26.09% 10.86% 17.86% 0.60
参考 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算、配当込み)への連動を目指す 67.36% 28.43% 14.17% 16.34% 0.86
参考 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン) 全世界株式(日本を含む)インデックスファンド 46.40% 27.12% 19.23% 14.39% 1.33
  • ※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成(2026年4月末基準)
  • ※SBI証券で購入可能なNISA・成長投資枠対象の「国際株式・エマージング・複数国」カテゴリーで運用期間5年以上のアジア株式ファンドを1年リターン順に表示
  • ※参考としてeMAXIS Slimシリーズの新興国株式とオルカンを表示
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

1年好成績アジア株式ファンドの特徴

1年リターン1位のアジア未来成長株式ファンドおよび2位のアジア未来成長株式ファンド(3ヵ月決算型)は、成長性に着目してアジア株式に分散投資するファンドです。国・地域別構成比は、台湾(31.5%)、韓国(30.9%)、中国・香港(29.7%)と3地域にバランスよく配分されています。特に、台湾・韓国の半導体を中心としたテクノロジー株の上昇を背景に好成績となりました。これらのファンドは、参考で示したオルカンと比較すると1年リターンが大きく上回る一方、特定地域への投資となるため値動きの振れ幅を示す標準偏差も大きくなる傾向があります。したがって、高いリターンが期待できる反面、価格変動も大きくなる点には留意が必要といえます。

3位のアジア・オセアニア配当利回り株オープン(愛称:アジア配当物語)は、安定した好配当が見込めるアジア・オセアニアの株式に投資しているファンドです。国・地域別構成比は、台湾(28.7%)、香港(26.8%)、韓国(18.3%)、オーストラリア(16.0%)となっています。配当利回りを重視した銘柄の中にも、台湾や韓国のテクノロジー株が含まれていることから、結果として成長分野の上昇を取り込み好成績につながりました。

4位のJPM アジア株・アクティブ・オープンは、日本を除くアジア各国の株式が投資対象、成長性があり、かつ株価が割安と判断される銘柄を中心に投資するファンドです。国・地域別構成比は、中国・香港(40.5%)、台湾(28.9%)、韓国(24.1%)となっており、主要3地域に厚く投資しています。中国株の持ち直しに加え、台湾・韓国の半導体株の上昇も取り込むことで、バランスよく収益を確保した点が好成績の要因と考えられます。

5位のeMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックスは、アジアの上場企業300社を構成銘柄とする日経アジア300インベスタブル指数への連動を目指すインデックスファンドです。国・地域別構成比は、台湾(28.2%)や韓国(20.8%)といった半導体関連株が多い国の比率が高い一方、中国・香港の比率が20.9%と相対的に抑えられている点が特徴です。この構成によりAI半導体株の上昇を効率的に取り込んだインデックスファンドといえます。

6位のスパークス・新・国際優良アジア株ファンド(愛称:アジア厳選投資)は、安定的にキャッシュフローを生み出す優良企業を中心に投資するファンドです。国・地域別構成比は、中国・香港(30.3%)、韓国(28.9%)、台湾(28.8%)と、主要市場に分散投資されています。

7位のSMT アジア新興国株式インデックス・オープンは、MSCI エマ−ジング・マ−ケット・アジア・インデックスへの連動を目指すファンドです。国・地域別構成比は、台湾(29.1%)、中国・香港(27.0%)、韓国(22.0%)、インド(14.2%)となっており、新興国株式の中でもアジアに特化した構成となっています。

8位のHSBC アジア・プラスおよび9位のHSBC アジア・プラス(3ヵ月決算型)は成長著しいアジアの国々または地域の企業の株式に幅広く投資するファンドです。国・地域別構成比では、中国(24.3%)、台湾(23.5%)、韓国(20.1%)、インド(13.9%)などとなっており、広くアジア地域に分散投資しながら、成長を取り込む設計となっています。

以上の分析は、2026年4月末時点のポートフォリオを基に整理したものであり、実際の運用過程をすべて反映したものではありません。また、中国・香港の比率はマンスリーレポートをもとにした推計値です。

このように、アジア株式市場では各国の株価パフォーマンスや市場構造に変化が見られ、従来とは異なる投資機会が広がっています。こうした環境を踏まえると、オルカンをコア資産とし、成長期待の高いアジア株式ファンドをサテライトとして組み合わせる方法も、有力な選択肢の1つといえるでしょう。

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