オルカンの次は?2026年上半期、NISA成長投資枠で選ばれた人気ファンド9本

投資情報部 川上雅人
2026/08/03
2026年上半期は、世界株式や米国株式に投資するインデックスファンドに加え、AIを中心としたテーマ型ファンドにも資金が流入しました。一方で、短期的な値上がりだけでなく、「どのようなファンドに継続的に資金が流入したのか」という視点で投資信託の動向を見てみると、投資家の中長期的な関心や期待がより鮮明に見えてきます。
目先の値動きに一喜一憂せず、資産形成を続けていくうえでも、こうした資金の流れを振り返ることには大きな意味があります。
そこで今回は、NISA成長投資枠の対象で、かつ運用期間が3年以上のファンドの中から、2026年上半期(1月~6月)の資金流入額が多かった9本を取り上げます。パフォーマンスの良し悪しではなく、「投資家に選ばれたファンド」という切り口でご覧ください。
まずは、今回取り上げる9本の資金流入額とパフォーマンスデータを一覧にまとめました(図表1)。資金流入額は「買付金額-解約金額」で計算される純流入額であり、パフォーマンス数値は2026年6月末時点のものであるため、7月に入ってからの株式市場の下落局面は含まれていません。
図表1 2026年上半期 NISA成長投資枠 資金流入上位9ファンド(運用期間3年以上)の概要
| 順位 | ファンド名 | カテゴリー(イメージ) | 純資産総額 (億円) |
2026年上半期 資金流入額 (億円) |
1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
5年 リターン (年率) |
5年 標準偏差 (年率) |
5年 シャープ レシオ |
| 1 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン) | グローバル株式(含む日本)インデックス | 127,440 | 22,473 | 38.24% | 24.55% | 19.72% | 14.48% | 1.36 |
| 2 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 北米株式インデックス | 122,755 | 11,271 | 36.50% | 25.13% | 21.98% | 16.54% | 1.32 |
| 3 | ビクテ・ゴールド(為替ヘッジなし) | コモディティ(金) | 10,122 | 2,515 | 35.87% | 31.79% | 26.06% | 17.36% | 1.50 |
| 4 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 国内株式インデックス | 7,367 | 1,844 | 43.04% | 23.10% | 18.17% | 12.84% | 1.41 |
| 5 | iFreeNEXT FANG+インデックス | 米国株式テーマ型(テクノロジー株) | 12,603 | 1,507 | 25.62% | 34.69% | 26.86% | 28.93% | 0.93 |
| 6 | 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資) | グローバル株式テーマ型アクティブ | 10,073 | 1,464 | 118.52% | 65.79% | 48.03% | 35.01% | 1.37 |
| 7 | 東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし) | グローバル株式テーマ型アクティブ | 5,270 | 1,381 | 50.96% | 40.34% | 25.45% | 21.76% | 1.17 |
| 8 | ノムラ・ジャパン・オープン | 国内株式アクティブ | 4,472 | 1,365 | 83.05% | 36.36% | 25.09% | 17.76% | 1.41 |
| 9 | eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 国内株式インデックス | 5,055 | 1,169 | 75.73% | 30.41% | 21.57% | 19.29% | 1.12 |
- ※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成(2026年6月末基準)、純資産総額、資金流入額は単位未満四捨五入
- ※NISA成長投資枠対象ファンド(運用期間3年以上)を直近6ヵ月資金流入額(買付金額-解約金額)順に表示
- ※カテゴリー(イメージ)はファンドの投資対象・特徴を踏まえた本稿独自の分類であり、ウエルスアドバイザー等の公式なファンドカテゴリーとは異なります
- ※シャープレシオは、リスク(値動きの振れ幅)に対してどれだけ効率的にリターンを得られたかを示す指標で、一般的に数値が高いほど効率的にリターンを獲得していたと考えられます
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
オルカン、S&P500の存在感は変わらず
図表1を見ると、まず目を引くのは、やはり定番インデックスファンドへの資金集中です。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)が約2兆2,473億円、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)が約1兆1,271億円と、他のファンドと比べて突出した金額を集めました。この2本だけで、今回取り上げた9本の資金流入額合計のうち、約3/4を占める計算になります。「全世界に幅広く分散するか、米国に集中するか」という王道インデックスファンドの2択に、引き続き多くの資金が向かっていることがわかります。
この2本は低コストで幅広い銘柄に分散投資ができることに加え、NISAのつみたて投資枠・成長投資枠の両方で活用できる点も支持を集める要因と考えられます。
オルカンの次は? 多様化する投資先
オルカンやS&P500以外では、金(ゴールド)、半導体株、宇宙関連株、国内株、FANG+に代表される米国大型テクノロジー株など、多様な資産・テーマへの資金流入が目立ちました。単純にインデックス型が並んでいるわけではなく、テーマ型のアクティブファンド、国内株式のアクティブファンドやコモディティまで顔をそろえているのが、2026年上半期の特徴といえそうです。
・国内株式インデックス:eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)、eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
・国内株式アクティブ:ノムラ・ジャパン・オープン
・米国株式テーマ型(テクノロジー株):iFreeNEXT FANG+インデックス
・グローバル株式テーマ型アクティブ:野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)、東京海上・宇宙関連ファンド(為替ヘッジなし)
・コモディティ(金):ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
図表1のパフォーマンス欄をあわせて見ると、こうした資金流入の背景には、直近の運用成績の良さもありそうです。野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)は1年で118.52%、ノムラ・ジャパン・オープンは83.05%、eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は75.73%と、高いリターンを記録しており、こうした好調な実績が新規資金を呼び込んだ可能性は十分に考えられます。もちろん、短期的な好成績が今後も続く保証はありません。ただ、「資金がどこに向かったか」という事実の背景には、テーマ性や分散効果だけでなく、直近の運用実績への評価も一定程度含まれている、という点は押さえておきたいところです。
なお、図表1のパフォーマンスは6月末時点のものであり、7月以降の相場の乱高下は反映されていません。実際、その後は上半期に好調だった半導体株、宇宙関連、日経平均といったファンドほど調整幅が大きくなる場面もみられました。上半期の高いリターンは、裏を返せば値動きの大きさの表れでもあります。足元のパフォーマンスだけでなく、その裏側にある値動きの大きさ(標準偏差)にも目を向けることが重要です。
注目したい3本 ~オルカン投資家の分散投資先としても
オルカンとS&P500を除く7本のうち、特にピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)、ノムラ・ジャパン・オープンの3本は、すでにオルカンを保有している投資家にとっても、分散投資先として検討する価値があると考えます。
金(ゴールド)は株式とは異なる値動きをする資産であり、オルカンのような株式のみのポートフォリオに加えることで、資産クラスの分散という意味合いを持たせやすいといえます。
また、オルカンの国内株式組入比率はわずか5%程度(2026年6月末)にとどまるため、円資産の国内株式ファンドを追加で組み入れることで、外貨建て資産に直接起因する為替変動の影響を抑えることが期待できます。
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)は、直近6ヵ月で2,515億円の資金流入となり、オルカン、S&P500に次ぐ3位となりました。2026年3月以降、金価格は調整局面となっていますが、それまでの金価格上昇を受けて投資家の関心が高まり、資金流入につながったと考えられます。図表1の通り1年リターンは35.87%、5年シャープレシオも1.50と良好な数値ですが、これは2025年の金相場が記録的な上昇となったことが大きく寄与しています。5年という期間の中でも2025年の1年間の押し上げ効果が大きく、この良好な数値がそのまま今後も続くとは限らない点には注意が必要です。
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)は、突出したリターンこそないものの、オルカン対比でリスク・リターンのバランスに優れたインデックスファンドといえます。図表1を見ると、5年リターン(年率)は18.17%でオルカンの19.72%を下回りますが、5年標準偏差は12.84%とオルカンの14.48%より低いため、5年シャープレシオは1.41とオルカンの1.36をわずかに上回っています。
ノムラ・ジャパン・オープンは、国内株式を投資対象とするアクティブファンドで、5年リターン(年率)は25.09%とオルカンを上回っています。5年標準偏差は17.76%とTOPIXよりも高く、値動きの振れ幅は大きいものの、高いリターンを背景に5年シャープレシオは1.41となっており、オルカンの1.36をわずかに上回っています。
もっとも、ここで挙げた分散投資の考え方は一つの例にすぎません。値動きの大きさをある程度許容してでも、引き続き高いリターンを狙いたいという方にとっては、半導体株や宇宙関連株といったテーマ型アクティブファンドに加え、米国株式テーマ型(テクノロジー株)も選択肢になります。ただし、図表1で見た通り、これらは標準偏差も大きく、7月の調整局面でも値動きが大きくなった点は踏まえておきたいところです。
今回の上半期は、オルカンやS&P500への資金集中が続く一方で、金や国内株、半導体株、宇宙関連株といった多様な投資対象にも資金が流入しました。こうした資金の動きは、その時々の投資家の関心や市場環境を映す一つの指標とも考えられます。「何が上がったか」だけでなく、「どのようなファンドに資金が集まったのか」という視点で投資信託の動向を眺めてみると、投資家の関心の変化も見えてきます。今後も資金流入額と運用実績の変化を継続的に確認していきたいと思います。
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