iDeCo追加ファンドを解剖!半導体・FANG+・ゴールドなどの使い方は?

投資情報部 川上雅人
2026/10/26
iDeCoセレクトプランに追加されたファンドは?
SBI証券は、2026年12月に予定されているiDeCo制度改正を前に、iDeCoセレクトプランの運用商品を見直し、10月16日に新たなファンドを追加しました。
追加にあたっては、インデックスファンドは指数との乖離が小さく信託報酬が業界最安水準であること、アクティブファンドはファンドレーティングがカテゴリー平均を中長期(3~5年目途)で上回り、インデックスファンドとの差別化ができる特色のあるファンドであることが基準とされています。
なお、今回の見直しでは、追加とあわせて一部の運用商品が除外されました。除外された商品は新たに買い付けることはできませんが、除外日(10月16日)時点で保有している分は、除外後も継続して保有できます。今後も持ち続けるかどうかは、ご自身の運用方針に照らして確認しておくとよいでしょう。追加ファンドや除外ファンドの一覧はこちらをご覧ください。
iDeCoは原則60歳まで引き出せない、長期のお金です。そこで今回は、運用開始から3年以上の実績がある追加ファンドについて、リターンに加えてリスクと運用効率も確認し、ファンドアナリストの視点で整理しました(図表1)。運用開始から日が浅いSBI NASDAQ100インデックス・ファンド、DC ROBOPROファンドは、実績データが十分でないため、本稿では取り上げません。
SBI NASDAQ100インデックス・ファンドは、運用実績がもっとも長いNASDAQ100インデックスファンド(iFreeNEXT NASDAQ100インデックス)を、DC ROBOPROファンドは、既存のROBOPROファンドの運用実績を、ご参考にしてください。
図表1 iDeCoセレクトプラン追加ファンドのリターン・リスク・運用効率(2026年9月末時点、3年リターン順)
| 順位 | ファンド名 | カテゴリー | 1年 リターン |
3年 リターン (年率) |
5年 リターン (年率) |
3年 標準偏差 (年率) |
3年 シャープ レシオ (年率) |
カテゴリー内 %ランク |
ファンド レーティング (総合) |
| 1 | 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資) | 国際株式・グローバル・含む日本(F) | 74.52% | 63.37% | 46.67% | 35.78% | 1.77 | 4% | ★★★★★ |
| 2 | 情報エレクトロニクスファンド | 国内大型グロース | 76.24% | 47.67% | 28.96% | 30.44% | 1.56 | 9% | ★★★★★ |
| 3 | WCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型)(愛称:ネクスト・ジェネレーション) | 国際株式・グローバル・除く日本(F) | 12.27% | 42.26% | - | 22.20% | 1.89 | 2% | ★★★★★ |
| 4 | iFreeNEXT FANG+インデックス | 国際株式・北米(F) | 24.09% | 39.26% | 30.24% | 26.90% | 1.45 | 19% | ★★★★ |
| 5 | SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)(愛称:サクっと純金(為替ヘッジなし)) | コモディティ | 14.40% | 32.20% | - | 22.02% | 1.45 | 3% | ★★★★ |
| 6 | 大和住銀DC国内株式ファンド | 国内大型ブレンド | 32.14% | 26.97% | 22.68% | 15.75% | 1.70 | 55% | ★★★★ |
| 7 | イーストスプリング・インド・コア株式ファンド(愛称:+αインド) | 国際株式・インド(F) | -3.19% | 8.20% | - | 16.71% | 0.47 | 9% | ★★★★★ |
| 参考 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 国際株式・北米(F) | 22.87% | 24.67% | 21.26% | 16.12% | 1.51 | 3% | ★★★★★ |
| 参考 | eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 国際株式・グローバル・除く日本(F) | 23.73% | 24.04% | 19.57% | 14.54% | 1.63 | 9% | ★★★★ |
| 参考 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 国内大型ブレンド | 33.71% | 23.63% | 17.83% | 13.27% | 1.76 | 19% | ★★★★ |
- ※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成(2026年9月末基準)
- ※カテゴリー内%ランクは、3年シャープレシオを同じカテゴリーのファンドと比べた順位を、上位からの割合(%)で示したものです。数値が小さいほど上位です
- ※グレーの行は比較用の参考ファンドで、セレクトプラン採用の純資産上位の代表ファンド3本。「-」は設定から5年未満など、データがないもの
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
追加ファンドのリスクと運用効率は?
ファンドを見るときは、リターンの高さだけでなく、その裏にあるリスクも確認することが大切です。そこで、図表1では3年標準偏差と3年シャープレシオを掲載しました。
・標準偏差:リターンのブレ幅(値動きの大きさ)を示します。年率35%なら、1年で上下3~4割動くことも珍しくない水準です。
・シャープレシオ:リターンから無リスク金利を差し引いた値を、標準偏差で割った値で、リスク1単位あたりどれだけ超過リターンを得られたか(運用効率)を表します。高いほど効率が良かったことを意味します。
それぞれのファンドの特徴についてコメントします(10年のリターンは年率となります)。
3年リターン1位の野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)は、半導体関連企業の中から、技術力や価格決定力、利益構造、財務内容などの観点で銘柄を選ぶファンドです。組入上位銘柄はエヌビディア、ブロードコム、台湾セミコンダクターなどで、組入銘柄数は26銘柄です(※)。恵まれた投資対象でもありますが、5年・10年の長期リターンはトップクラスで、設定から約12年後の2021年11月には、基準価額(分配金再投資)が当初の10倍を超える「テンバガー」も達成しました。一方、半導体株は世界株が下落した年には、より大きく下落してきた傾向があり、標準偏差は35.78%とS&P500連動型(16.12%)の2倍超です。シャープレシオは1.77で、S&P500連動型(1.51)や全世界株式・除く日本(1.63)と大差なく、高いリターンの多くは大きなリスクを取った見返りと言えます。
2位の情報エレクトロニクスファンドは、エレクトロニクス関連と情報通信関連の企業の株式を主要な投資対象とし、設定から40年を超える運用実績があります。値動きは大きいものの、国内株式ファンドの中で長期のリターンはトップクラスです。組入上位銘柄は村田製作所、東京エレクトロン、フジクラなどで、組入銘柄数は48銘柄です(※)。3年47.67%に対し5年28.96%と直近3年の伸びが目立ちますが、AI関連株の上昇が成績を押し上げており、今後もAI関連の相場動向に左右されやすいファンドといえます。
3位のWCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型)は、参入障壁の持続可能性や企業文化、構造的な成長力、バリュエーションなどに基づき、世界の株式に厳選して投資します。組入上位銘柄はシーメンス・エナジー、ロールス・ロイス・ホールディングス、台湾セミコンダクターなどで、組入銘柄数は36銘柄です(※)。直近1年は銘柄選定などで苦戦し、リターンは12.27%とカテゴリー内の順位は下位ですが、3年リターンは上位の実績です。3年シャープレシオは1.89と一覧で最も高く、リスクの割に大きく稼いできました。厳選投資のアクティブファンドは、好不調の波が大きいことを示しています。
4位のiFreeNEXT FANG+インデックスは、米国のビッグテック企業10銘柄に等金額で投資する株価指数「FANG+」への連動を目指すインデックスファンドです。組入銘柄は、マイクロン・テクノロジー、メタ・プラットフォームズ、パランティア・テクノロジーズ、エヌビディア、ブロードコム、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、アップル、ネットフリックスの10銘柄です(※)。お客さまの要望が多かった人気ファンドで、リスクは高いものの、5年リターンは30.24%と高い水準です。3年リターンは39.26%、標準偏差26.90%、シャープレシオ1.45で、S&P500連動型より上昇局面での伸びが大きい一方、下落局面では下落率も大きくなりやすい、値動きの大きなファンドといえます。
5位のSBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)は、円換算ベースの金現物価格の値動きとおおむね同等の投資成果を目指し、ブラックロックが運用する「iシェアーズ・フィジカル・ゴールドETC」を実質的な主要投資対象とする、為替ヘッジなしの金ファンドです。日本の金ETFに連動するファンド(三菱UFJ純金ファンド)が既に採用されていますが、今回は業界最安水準の信託報酬率の金ファンドとして追加されました。株式とは異なる値動きが期待でき、分散の一手になり得ます。3年シャープレシオは1.45とカテゴリー内で上位です。ただし、金は配当や利息を生まず、近年の価格変動が大きかったことから、標準偏差は22.02%とS&P500連動型(16.12%)より大きくなっています。
6位の大和住銀DC国内株式ファンドは、国内株式に投資するアクティブファンドです。企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)に基づく割安性(バリュー)を重視しつつ、収益性や成長性も勘案して運用します。組入上位銘柄はみずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、トヨタ自動車などで、組入銘柄数は83銘柄です(※)。3年のシャープレシオはカテゴリー内で中位ですが、5年・10年のシャープレシオでは相対的に優秀です。10年リターンは17.88%、10年のシャープレシオは1.23と、リスクに見合うリターンを長期で積み重ねてきました。TOPIX連動型(3年リターン23.63%、標準偏差13.27%、シャープレシオ1.76)と比べると、3年のリスク当たりの効率は同水準ですが、5年のリターン(22.68%対17.83%)、シャープレシオ(1.57対1.39)は上回ります。アクティブファンドの付加価値は、代表的なインデックスファンドと比べて確認する視点が重要です。
7位のイーストスプリング・インド・コア株式ファンドは、インド株式に投資するファンドで、「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」と同じ2つのマザーファンド(消費関連・インフラ関連)に投資します。10年以上の実績があるインド株式ファンドの中で、10年リターンはインフラ株式ファンドが13.18%で1位、消費関連ファンドが12.39%で3位です(2026年9月末時点で10年以上の運用実績がある「国際株式・インド」カテゴリーのファンドを比較したものです)。インド株式のアクティブファンドの中では相対的に低コストです。投資先は、自動車、銀行、医薬品などの消費関連(71銘柄)と、素材、建設・重機、電力、エネルギーなどのインフラ関連(60銘柄)が中心です。日本のスズキのインド子会社、インド最大級の民間銀行、財閥系の鉄鋼・電力会社など、インドの経済成長を支える企業のイメージです(※)。3年リターンは8.20%と見劣りしますが、同じマザーファンドに投資するファンドは、10年では12%台~13%台の高いリターンです。インドの相対的に高い成長力に期待する方向けのファンドといえます。
追加ファンドを含めた使い方は? コア・サテライトで考える
今回の追加ファンドは、値動きの大きいハイリスク・ハイリターンのファンドから、リスクが比較的穏やかなファンドまで、特色のあるファンドが中心です。使い方の基本として、資産を「土台(コア)」と「上乗せ・分散(サテライト)」に分けて考える方法を紹介します。割合だけだと分かりにくいため、資産100万円で考えた一例を図表2にまとめました。
割合は一例で、コアは6~8割、サテライトは2~4割の幅で考えることもできます(図表2は、その中心にあたる7割・3割の例です)。年齢や、値動きの大きさにどこまで耐えられるかによって、幅を持たせて考えます。使い方のポイントは、次の3つです。
コアは7割(70万円程度):分散が効き低コストのファンドを土台にします。米国株式だけにせず、国内株式や全世界株式、バランスファンドなどを組み合わせて、値動きの異なる資産を持つのがポイントです。ひとつの市場が不調でも、全体への影響をやわらげやすくなります。
サテライトは一部に(3割・30万円程度):コアを補う役割です。リターンの上乗せを狙うファンド(半導体関連など)と、分散を図るファンド(ゴールド、外国債券、REITなど)を組み合わせます。
ハイリスクは、サテライトの半分(15万円)程度を目安に:サテライトの中でも値動きの大きいファンドは、半分程度までを目安にし、残りは値動きが穏やかなファンドにします。リスクを多めに取れる方は、サテライトを4割程度まで広げ、ハイリスクのファンドを多めにする考え方もあります。慎重に考える場合は、3分の1(10万円)程度に抑える方法もあります。
ハイリスクのファンドの金額は、どう決めるか
株式市場全体が下落する局面では、株式ファンドが中心のコアも、一緒に下落します。その中でも、ハイリスクのファンドは値動きが大きいため、コアより大きく下落しやすい傾向があります。コアの下落に、ハイリスクの下落が上乗せされるイメージです。
そのため、ハイリスクのファンドの金額は、「上がったときにいくら増えるか」ではなく、「市場全体が下落したときに、資産全体の下落幅がどこまで大きくなっても耐えられるか」から決めることが大切です。
あわせて、次の3点も意識しておくとよいでしょう。
最悪の場合の許容額から決める:「いくら上がりそうか」より先に、「いくらまで下がっても耐えられるか」から、ハイリスクのファンドの金額を決めます。
組入銘柄の重なりも確認する:世界半導体株投資とFANG+は、エヌビディア、ブロードコムなど同じ会社に投資している部分があり、どちらも米国のハイテク株の影響を受けやすいファンドです。2本とも持つ場合は、合計でハイリスクの枠に収まるようにします。
年に1回は見直す:上昇したファンドは比率が膨らみます。iDeCoでは、配分変更やスイッチングで調整できます。定期的な見直しが難しい場合は、サテライトを持たず、分散の効いたコアのファンドだけで運用する方法もあります。サテライトは必須ではありません。
上記の金額や割合は、考え方を示す一例であり、特定の配分を推奨するものではありません。年齢、リスク許容度、iDeCoの運用期間に応じて、ご自身で判断してください。
【まとめ】
ファンドを選ぶ際はリターンだけでなく、標準偏差(リスク)とシャープレシオ(運用効率)をセットで見ること。
好成績は相場環境の影響を受けるため、コアは分散の効いたファンドに置き、ハイリスクは一部にとどめること。
そして、iDeCoは60歳まで引き出せないため、下落しても耐えられるかを基準に組み入れ比率を考えることが大切です。
(※)ポートフォリオの情報は2026年9月末基準。個別銘柄の取引を推奨するものではありません。
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