ROEは「株主のお金を使って効率よく稼いでいるか」を測る物差し
前回の【マユコの投資レシピ】では、PER(ピー・イー・アール:株価収益率)・PBR(ピー・ビー・アール:株価純資産倍率)という2つの物差しについて、簡単にお伝えしました。
前回ではこんな疑問を残したままでした。
「『PERもPBRも低い会社』を見つけたとして、それは本当にお得な会社なのでしょうか?」
実は、PER・PBRだけでは「まだ見つかっていない穴場株」なのか、「安いのにはそれだけの理由がある」のかを見分けることはできません。
今回は、その見分け方のカギになる3つ目の指標「ROE」について、投資初心者の方にもわかりやすく解説していきます!
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■ROE(自己資本利益率)とは?(図表1)
ROE(アール・オー・イー)は、「株主が出したお金を使って、どれだけ効率よく利益を出せているか」を判断する指標です。日本語では「自己資本利益率」といいます。
前編で解説したPERとPBRは、どちらも「今の株価が妥当な水準にあるか」を測る物差しでした。
一方で、ROEは株価ではなく「株主が出したお金を使って稼ぐ効率性」を測る物差しです。
分かりにくいと思うので、以下の例をイメージしてみてください。
1年間の投資で、10万円の利益を出せた2人がいたとします。
Aさんは、100万円を元手に10万円の利益を、Bさんは、500万円を元手に10万円の利益を得ました。
得られた利益はどちらも同じ10万円ですが、効率よく資産を増やせたのはどちらでしょうか?
答えは、Aさんですよね。
会社も同じことが言えます。利益が多くても、その元手が大きければ、「効率よく稼げている」とは言えません。
このように、「利益の大きさ」ではなく「株主が出したお金を使って、効率よく稼げているか」を見るのがROEという指標です。
ROEは、次のように計算することができます。
ROE=当期純利益÷自己資本×100(%)
PERとPBRの単位は両方とも「倍」でしたが、ROEは「%(パーセント)」で表されます。
難しい言葉が出てきた…と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
まず「当期純利益」とは、1年間の会社の活動で得た収入から、かかった費用や税金などをすべて差し引いた後、最終的に残る利益のことを指します。
ここでいう費用には、人件費や商品の仕入れ代金など、会社を運営するためにかかるお金が幅広く含まれます。
そして「自己資本」は、先ほどのAさんとBさんの例でいう「元手」にあたる部分です。
これについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
■自己資本は前編に出てきた「純資産」とほぼ同じ
前編では、純資産を「会社の資産すべてから、銀行などからの借金(負債)を差し引いた金額」とご説明しました。
そして、差し引いた後に残るお金は「株主から出してもらったお金(配当に回さずに蓄積した過去の利益分を含む)」でしたね。
自己資本もこれと同じで、返済する必要のないお金※のことを指します。
厳密には、純資産から一部を除いた金額が自己資本になりますが、ざっくり純資産とほぼ同じと考えていただいて大丈夫です。ただし、買収直後の企業やグループ企業では差が大きくなることもあります。
※銀行からの借金(負債)と異なり、株主が出したお金(自己資本)には返済期限がありません。ただし返さないわけではなく、会社の利益から「配当」という形で株主に還元することが多いです。また、配当とは別に、返済期限がないため、会社はこのお金を長期的な事業に充てることができます。
■ROEの目安はどれくらい?
ROEは10%前後がひとつの目安として挙げられることがあります。実際に、日本取引所グループ(JPX)が公表している「決算短信集計結果」の2026年3月期(連結)を見ると、プライム市場の全産業(金融業を除く)のROEは9.44%でした。
ただ、業種によって数値の水準には差があります。
先ほどのJPXのデータを見てみると、プライム市場の製造業のROEは7.72%、非製造業では11.85%と差があります。
PER・PBRと同じく、ROE1つの数字だけで判断せず、その会社の過去の推移や同業他社と見比べることが大切です。
図表1 ROE(自己資本利益率)とは?
ROEで見えること、気を付けること
前編の最後には、「PERもPBRも低い会社を見つけたとして、それは本当にお得な会社といえるのか」という疑問を残していました。
ROEを勉強した今、次の2社で考えてみましょう。
会社C:PER10倍、PBR0.6倍
会社D:PER10倍、PBR0.9倍
PERはどちらも10倍。一般的な目安である15倍~20倍より少し低い水準です。また、PBRも2社とも1倍を下回っています。
つまり2社とも「PERもPBRも低く、割安とされる会社」です。
2社の当期純利益と自己資本は次のようになっているとして、ROEを計算してみましょう。
会社C:当期純利益120億円、自己資本2,000億円
会社D:当期純利益180億円、自己資本2,000億円
計算してみると、
会社C:120÷2,000×100=6%
会社D:180÷2,000×100=9%
となります。
同じ2,000億円の元手を持っている2社ですが、会社Dの9%は、先ほどご紹介したプライム市場の全産業のROE(9.44%)に近い水準です。
稼ぐ効率は決して悪くないのに、株価は割安な水準にとどまっている状態といえます。
一方、会社Cは6%。市場全体と比べても、稼ぐ効率は高くありません。
「PERもPBRも低い会社」でも、ROEを見てみることで、会社Dは「まだ見つかっていない穴場株かも!」と考えることができますし、会社Cは「安いのにはそれだけの理由があるのでは?」と気付くきっかけになります。
もちろん、ROEを見ただけではどちらがよい会社かが決まるわけではありません。
ただ「割安」とされる株を見つけたときに、ROEもあわせて確認してみると「なぜ安いのか」を考える手がかりとなります!
■ROEが高ければ安心でもない?(図表2)
ここまでの説明を読んで、「じゃあROEが高い会社を選べばいいんだ」と思われるかもしれません。
ただ、ひとつ気を付けたいポイントがあります。
もう一度、ROEの計算式を見てみましょう。
ROE=当期純利益÷自己資本×100
算数のお話になります。
ROEは分子の「当期純利益」が大きいほど高くなりますが、分母の「自己資本」が小さいときにも高くなります。
前編でお伝えしたように、会社が事業を行うお金は「株主から出してもらったお金」と「銀行などから借りているお金」の2種類に分けられます。 ただ、分母の「自己資本」にあたるのは前者だけ。借りたお金はここには含まれていません。
そのため、借りたお金の割合が大きい会社は、分母である自己資本が相対的に小さくなり、同程度の利益でもROEは高くなりやすくなります。
自己資本の割合が小さくなる要因には、借り入れのほかに、自社株買いや配当などがあります。
ROEが高いときは、その理由が「稼ぐ効率がよいから」なのかどうかをあわせて見ることも大切です。
■近年注目されているROE
近年ROEが注目されている背景には、東京証券取引所(東証)の動きがあります。
東証は、2023年3月にプライム市場・スタンダード市場の上場会社に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。
会社が使っているお金に見合ったリターンを生み出せているか、また株式市場からどう評価されているかを分析し、改善に向けた取組みを進めることを求めるものです。2026年4月には要請もアップデートされています。
この要請をきっかけに、資本の効率性を意識する会社が増えており、会社の「稼ぐ効率」に注目が集まっていると言えるのではないでしょうか。
図表2 ROEが高い理由が「稼ぐ効率」とは限らない
図表3 【マユコの投資レシピ】PER·PBR·ROEでわかること
SBI証券で実際に確認してみよう
ここまで、ROEという3つ目の物差しについてお伝えしました。
ここからは、実際にSBI証券でROEを確認する方法をご紹介します。
SBI証券の画面では、「実績ROE」と「予想ROE」を確認することができます。
「実績ROE」はすでに確定した決算の数字をもとに計算された数値、「予想ROE」は会社の利益予想をもとに計算された数値です。
実績ROEは「これまでどれだけ効率よく稼げてきたか」、予想ROEは「これからどうなりそうか」を表しています。あわせて見ることで、稼ぐ効率が良くなりそうかどうかのヒントになります。
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個別銘柄画面 > その他「銘柄詳細」 > 「企業情報タブ」の中の「ROE」の行をチェック
【SBI証券 メインサイトでの確認方法(図表5)】
個別銘柄画面 > 「株価」タブの「情報表示」部分にて「詳細」をクリック > 財務指標の中の「ROE」の行をチェック
※ログインが必要です。
今回は、ROEについて解説させていただきました。
PER・PBRが「株価が妥当な水準にあるか」を判断する物差しであるのに対して、ROEは「株主のお金を使ってどれだけ効率よく稼げているか」の物差しとなる指標でした。
そして、前編から残していた疑問である「PERもPBRも低い会社は、お得な会社なのか」。
ROEを組み合わせてみることで、「稼ぐ効率がいいのに市場から見つかっていない会社」なのか、「稼ぐ効率が悪いから安く評価されている会社」なのか、その手がかりを得ることができます。
ただし、ROEも1つの数字だけで判断できるものではありません。借り入れの大きさによっても数値は変わりますし、業種によって数値の水準も異なります。
PER・PBRと同じように、同じ会社の過去や同業他社と比べてみることが大切です。
前編・後編で3つの物差しが揃いました!
気になる銘柄を見つけたら、ぜひPER・PBR・ROEをセットで確認してみてくださいね。
前編・後編とお付き合いいただきありがとうございました!
次回は8月27日に更新予定です!それではまたお会いしましょう👋🏻
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