投資信託の積立は高値でも続けるべき?相場上昇時の判断軸

投資信託の積立は高値でも続けるべき?相場上昇時の判断軸

投資情報部 植田 雄也

2026/06/11

投資信託の積立は高値でも続けるべき?相場上昇時の判断軸

日経平均株価やS&P500などの主要株価指数が上昇すると、「今から投資信託の積立を始めても遅くないだろうか」「利益が出ているうちに売った方がよいのではないか」と考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、相場上昇だけで投資行動を変えるべきかどうかは別の問題です。なぜなら、投資信託を活用した長期・積立投資で大切なのは、相場を当てることではなく、投資目的に沿って長く運用を続けることだからです。

今回は、相場上昇時に確認したい積立投資との向き合い方について一緒に考えてみましょう。


■結論

相場が上昇したからといって、

・積立投資を見送る必要はない

・利益が出たことだけを理由に売却する必要もない

と考えます。

理由は3つです。

・将来の値動きを正確に予想することは難しい

・長期・積立投資の目的は最安値で買うことではなく、資産を積み上げること

・売却後に再び適切なタイミングで投資することは簡単ではない

したがって、積立を続けるか、売却するかの判断は、相場ではなく投資目的に基づいて行うことが大切です。

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「今は高いから積立しない」は合理的か?

相場が上昇すると、「今は高いから下がるまで待とう」と考えがちです。しかし、この判断は「これから相場が下がる」という予想を前提にしています。一方で、将来の相場を正確に予測することは困難です。そのため、「下がったら始めよう」と待つことは、結果として資産形成のスタートを遅らせる可能性があります。

そもそも、積立投資は将来の相場を当てるための仕組みではありません。
価格に関係なく継続的に購入することで、投資タイミングによる失敗を減らすことを目指す仕組み
です。

だからこそ、「今は高いから積立を始めない」という判断よりも、早く始めて継続することが重要と考えられます。


■図表1ITバブル崩壊前の高値圏から積立を始めた場合

図表1は、ITバブル崩壊前の高値圏にあった2000年1月から、毎月3万円の積立を20年間続けたケースです。
積立開始後にはITバブル崩壊やリーマンショックなど、大きな市場下落を経験しました。

しかし、その後も積立を継続した結果

・投資元本:720万円
・20年後の資産額:約1,268万円

となりました。

つまり、積立投資では「いつ始めたか」だけでなく、「継続できたか」も重要であることを示しています。


■図表2:リーマンショックが発生した2008年から積立を始めた場合

図表2は、リーマンショックが発生した年の2008年1月から、毎月3万円の積立を12年間続けたケースです。
積立開始後にはリーマンショックによって市場が大きく下落し、投資家にとって厳しい環境となりました。

しかし、その後も積立を継続した結果、

・投資元本:432万円
・12年後の資産額:約667万円

となりました。

つまり、積立投資では「良いタイミングで始められたか」だけでなく、「継続できたか」も重要であることを示しています。

図表1 ITバブル崩壊前の高値圏から積立を始めた場合

図表2 リーマンショックが発生した2008年から積立を始めた場合

■利益が出たときに確認したいこと

積立を続けて利益が出ると、売却したくなるのは自然な感情です。しかし、「利益が出たから売る」という判断には注意が必要です。なぜなら、その後の値上がりを取り逃す可能性があるからです。

また、「一度売って、下がったら買い戻す」には、

・いつ売るか
・いつ買い戻すか

という2回の投資判断が必要です。
ただし、将来の相場を予想することは難しく、売買タイミングを当て続けることは簡単ではありません。

では実際に、利益確定のために途中売却した場合と、そのまま保有を続けた場合ではどのような差が生じたのでしょうか。


■図表3:利益確定した場合と保有を継続した場合の資産額の比較

図表3では、2007年末に利益確定のために全額途中売却したケースと、そのまま保有を継続したケースを比較しています。

結果は、

・保有継続:約1,268万円
・途中売却:約1,095万円(8年目までの運用成果428万円+その後の12年の運用成果667万円)※

となり、173万円の差が生じました。
これは、途中で売却したことで、その後の値上がりを取り逃したためです。

利益確定そのものが悪いわけではありません。
ただ、「利益が出たから売る」という判断は、将来の成長機会を逃す可能性があることを示しています。


※分配金、税金、取引手数料、管理コスト等は考慮せず。

図表3 利益確定した場合と保有を継続した場合の資産額の比較

相場上昇時に確認したいのは「相場」ではなく「投資目的」

ここまで見てきたように、相場の先行きを予想して投資行動を変えることは簡単ではありません。
では、何を基準に判断すればよいのでしょうか。

確認したいポイントは次の2点です。

・積立を続けられる金額か
・そのお金を使う予定があるか

投資目的が変わっていないのであれば、相場の動きだけで投資行動を変える必要性は高くないのではないでしょうか。


■注意点

積立投資を続けたとしても必ず利益が出るわけではありません。投資には元本割れのリスクがあるため、生活費や緊急資金とは分けて、無理のない範囲で行うことが大切です。
また、利益が出ても売ってはいけないわけではありません。住宅購入、教育資金、老後資金の取り崩しなど、投資目的に沿って資金が必要になった場合は、売却も選択肢です。
大切なのは、「相場が上がったから売る」のではなく、「投資目的を実現するタイミングが来たか」を判断基準にすることです。


■まとめ

相場が上昇すると、「今から投資信託の積立投資を始めても遅いのではないか」「売った方がよいのではないか」と考えがちです。しかし、相場上昇だけで投資行動を変えるべきかどうかは別の問題です。なぜなら、投資信託を活用した長期・積立投資で大切なのは、相場を当てることではなく、投資目的に沿って長く運用を続けることだからです。

実際に、図表1・2は「いつ始めたか」よりも「続けたか」が重要である可能性を示しています。
また、図表3は相場を理由に売却すると、その後の成長機会を逃す可能性があることを示しています。
つまり、資産形成においては「相場を当てること」よりも「運用を続けること」が重要と考えられます。

だからこそ、投資信託を活用した長期・積立投資においては相場が変わったかではなく、投資目的が変わったかを判断基準にすることが大切です。投資の目的が変わっていないのであれば、相場の動きに左右されず積立投資を続けることも選択肢の一つかもしれません。

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