日経平均株価が下値支持線に接近!?

日経平均株価が下値支持線に接近!?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実

2022/09/27

世界的な株安が続き、日経平均株価も続落

9月第3週(9/20-22)の日経平均(週足)は、米国市場の大幅安を背景に、前週末比413円82銭安(-1.5%)で続落しました。日経平均株価は下落基調であったものの、同期間の米主要株価指数が全て4~5%超の大幅安であったため、相対的に底堅い値動きでした。

休場明け後、20日(火)と21日(水)の東京市場は、週半ばに予定されていたFOMC(米連邦公開市場委員会)への警戒感から様子見姿勢が強く、両日ともやや薄商いの中、米国市場に連れる形で上下する値動きでした。
いつも以上に市場の関心が集まった9月FOMC(現地時間9/20-21開催)では、3会合連続となる0.75%の利上げが決定されました。この点に関しては、市場において事前に大方織り込み済みであったことから、特段の驚きはなかったように見受けられます。

ただしFOMCの結果が発表された9/21(水)の米国市場は大きく動きました。注視されたポイントとしては、FOMC各参加者が適切と考える政策金利の予想分布(通称:ドットチャート。3、6、9、12月のFOMC時に公表される)が、前回の6月公表時よりタカ派的になったことや、FRB(米連邦準備制度理事会)パウエル議長がインフレ抑制に関して今後も意欲的に取組み続けていくことを示したことが挙げられます。これらの材料が株式市場で嫌気されたことで、同日の米主要3株価指数が軒並み大幅安となり、週末まで尾を引きました。

さらに、FOMCとFRB議長会見を経て金融引締めの長期化と加速に対し懸念が強まり、政策金利との連動性が高い米2年国債利回りが4%超まで急騰しました。一方で、FRBの積極的な金融引締めにより景気見通しが悪化したことで、米10年国債利回り(長期金利)は、9/21(水)にわずかに下落していました。しかし、その後はインフレ懸念を背景に、2年国債利回りと同様に上昇の一途をたどっています。9/26(月)時点に至っても米2年国債利回りは4.3%、同10年債利回りは3.9%と両利回りが依然として高水準にあります。

長短金利の急激な上昇は株式市場にとって大きな逆風であり、9月第3週のNY ダウは-4.0%と大幅安、4営業日続落で取引を終えています。東京市場は同週の最終営業日である9/23(金)が休場であったため、米国市場での株安の影響は翌9月第4週に持ち越されました。そして、週初である9/26(月)に日経平均は2.7%超の急落スタートとなりました。また、NYダウは年初来安値を更新しながら、1/5(水)の過去最高値からの下落率が20%超となり、「弱気相場」入りが確認されています。そして、英国の新たな経済政策に端を発した、欧州経済見通しの悪化も今後の不安材料となりそうです。

株式市場にとって好材料が少ない中、日経平均株価採用銘柄の上昇率トップには経済再開による恩恵が想起される高島屋(8233)がランクインしています。しかしながら、相場全体の地合いが悪かったことから上昇率自体は1.7%とあまり大きくはありませんでした。同下落率ランキングでは世界的な景気見通し悪化から、原油価格が急落したのを受けINPEX(1605)がトップとなっています。

9月第3週での大きな出来事として、9/22(木)の夕方、日銀が1ドル145円台まで急進していた円安を阻止するため、とうとう24年ぶりに円買いの為替介入を行いました。結果として、一時は1ドル140円台まで円高となりましたが、9/26(月)には既に再び1ドル144円台まで円安に戻っています。市場では、日銀が大規模金融緩和政策を方向転換しない限り、為替介入をしても円安進行の大きな流れは変わらないとする意見が多く見受けられます。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

  • ※日経平均株価・NYダウ等各種株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図表2 日経平均株価

  • ※当社チャートツールを用いて作成。データは2022年9月27日9:30時点。

図表3 NYダウ

  • ※当社チャートツールを用いて作成。データは2022年9月27日 09:30時点。

図表4 ドル・円相場

  • ※当社チャートツールを用いて作成。データは2022年9月27日9:30時点。

図表5 主な予定

  • ※各種報道、WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

  • ※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。
    なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は現地時間を基準に記載しています。

図表7 日経平均株価採用銘柄の上昇率上位(9/16~9/26)

図表8  日経平均株価採用銘柄の下落率上位(9/16~9/26)

日経平均株価が下値支持線に接近!?

米国を中心とする世界的な株安を背景に、日経平均株価も下落基調となっています。足元では、9/12(月)から9/23(金)にかけ、NYダウは8.6%下落。それを嫌気する形で日経平均株価は9/13(火)を起点に、9/26(月)まで7.6%下落しています。

米国でインフレ・金利上昇懸念が続いていることが株安の大きな理由です。9/13(火)に発表の8月米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で8.3%上昇し、事前の市場コンセンサス(+8.1%)を上回りました。また、9/21(水)に結果発表のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、市場予想通り0.75%の利上げとなりましたが、FOMCメンバーが予想する2023年末の政策金利(上限)では5%も視野に入ってきました。

こうした中、米10年国債利回りは3.5%の節目を超えて上昇し、9/26(月)には一時12年ぶりの高水準である3.9%まで上昇しました。金利上昇が加速したことで再び、グロース株を中心に逆風が強まった形になっています。

ただ、日本株については過度な懸念は不要であると考えられます。岸田首相は現地時間9/22(木)午後に、NY証券取引所で講演を行い、(1)NISA(少額投資非課税制度)の恒久化、(2)水際対策のさらなる緩和、(3)10年間で150兆円超のGX(グリーントランスフォーメション)投資実施他を打ち出しました。当面は、グローバル景気の混迷を背景に外需は伸び悩みそうですが、内需は相対的に底堅く推移し、株価を下支えすると予想されます。

当面は以下の株価水準が日経平均の下値支持ラインになると考えられます。

(1)26,430円・・・日経平均BPS(9/26)24,028円×1.1(3/8に付けた本年PBR最低)→ほぼ9/26(月)終値に近い水準
(2)26,300円・・・8/17高値29,222円77銭から10%下押した水準
(3)26,053円・・・日経平均予想EPS(9/26)2,182円×PER11.94倍(3/8に付けた本年の最低)
(4)26,000円・・・心理的節目
(5)25,864円・・・日経平均株価25日移動平均(9/26)27,962円08銭から7.5%下押した水準(図表9参照)
(6)25,841円・・・7/1(金)に付けた安値水準
(7)25,520円・・・6/20(月)に付けた安値水準(図表9参照)

図表9  日経平均株価と25日移動平均かい離率

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2022/9/26現在。

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